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トール師になる
PHASE-1155【強者が漫画とかでみせる業前】
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「ほら」
「おう!?」
えげつない刺突だな。
足を狙ってくる辺り、致命傷を避けて回復させてまた痛めつけるという発言が本当だというのが分かるというもの。
本当にサイコパスだな……。
向かってくる時の口が裂けたような笑みのせいで、余計にそう思えてしまう。
「マスリリース」
接近に対する迎撃として三日月状の黄色からなる光斬を放つも――、
「くだらない」
「くだらないっすか……」
おかしいな。使用している刀剣の切れ味に比例するだけの威力のはずなのに。
まだまだ俺の実力が技に追いついていないって事なのか。
それとも相手が規格外だからか。
その両方だろうけど……。
「マスリリース」
と、今度は二回振る。
十字を書き、燐光を纏った光斬がデミタスへと直撃コースで向かっていくも――、
「無駄だと言っている」
何でだよ。
何で初手の一振りと同様にかき消されるんだよ。
しかもフランベルジュや障壁魔法じゃなく、左手に触れただけでかき消されるとか……。
なんだよあの左手は。
ズカズカと強く余裕のある足取りで向かってくる強者の姿に呑まれそうになる中で、
「ブレイズ!」
即座に残火に炎を纏わせて接近しての斬撃。
「ほう。逃げずに進んでくるのは見事であるとだけ言ってあげましょう。気に入らないけど」
強者はそれだけ言えば、先ほどと同様にぶれることなく左腕を残火へと向けて伸ばし、泥パックに覆われた掌をこちらへと見せれば、炎を纏った残火の刃をも受け止める。
「本当に……なんだよソレ――っと!?」
横っ飛びで地面を転がりながらデミタスから離れる。
「無様な動きね」
言われてもしかたない。
だが咄嗟に躱していなければ、波打つ大剣の一振りにやられていたし、何よりも怖かったのが、
「普通に掴もうとするんだな」
「そんななまくらなら、手で掴んだところで問題はないからね」
初めてだよ。残火をなまくらなんて呼ばれたのは……。
だが、ブレイズを纏った状態でダメージがないってのはな……。
刃だけの状態だと、魔法付与なんかされた武器や防具に防がれることはあるけど、ブレイズこみの一振りを素手で防がれるってのはショックを受けるね。
マスリリース同様、俺の現状の実力では残火の力をフルに引き出せていないか……。
結構、頑張ってるんだけどな。
エルフの子供たちの師匠にはなっているけども、俺自身がまだまだだよ。
「さあ、今度はしっかりと当ててやろう。死なない程度に調整してね」
「余計な調整だな」
「余計? そんなに早く死にたいのかしら?」
「んにゃわきゃない」
縮地による移動は脅威だが、そもそも全てがハイスペックなデミタス。
通常の動きに関しても圧倒的。
俺が使用できるようなピリアなら全てを扱えると考えていいし、俺が未習得のモノだって扱えて当然の存在。
いや~辛いね……。
自信が砕かれそうになる。
まあ――、まだそうになるってところだ。
砕かれる。や、砕かれた。と、心中で確定していない事が、今の俺の支えになってくれている。
「ちょこまかと逃げの一辺倒もどこまで続くかしら? お前はアクセル、こちらは縮地。逃げることは不可能」
「だよね」
今のところ縮地使用時のデミタスに対しては、タイミングを見計らって縮地の後にアクセルを使用する事で、こちらの間合いに詰めさせないようにして回避に徹しているけども、流石に連続使用となればこちらの集中力は欠けてくる。
対して相手は俺よりも圧倒的な強者。
スタミナも集中力も格段に上。
時間と共に俺は追い込まれる。
「勇者、少しは攻めてきてもいいのだけれど?」
首を傾げての嘲笑。
初太刀。
マスリリース。
ブレイズを纏った斬撃。
その悉くを左手一つで防がれれば、様子見になってしまうのは当然でしょうよ。
「来ないなら――」
「そこっ!」
縮地により俺の背後に回り込んできたデミタスに向かってホルスターからライノを抜き、上半身を捻って牽制の二発を発砲。
「ふんっ!」
俺の牽制という思いが届いたのか、足を止めて左手を振る動作。
牽制のための足止めは出来た……。
うん……。足を止めることは出来たんだ……。
――…………。
――……。
目の前の光景に俺は呆気にとられて動きが止まるも、デミタスは攻撃を仕掛けてこない。
俺への攻撃よりも、今は別の事に興味が出た模様……。
次には……、
「なるほど。どういった原理で放っているのかは分からないが、鉛を独楽のように回転させて飛ばしているのか」
――…………!?
「はぁぁぁんっっ!?」
振った左手の食指と中指。中指と無名指に弾丸が挟まっているという光景。
その光景に、驚きとアホまる出しな声を上げてしまう俺。
「おう!?」
えげつない刺突だな。
足を狙ってくる辺り、致命傷を避けて回復させてまた痛めつけるという発言が本当だというのが分かるというもの。
本当にサイコパスだな……。
向かってくる時の口が裂けたような笑みのせいで、余計にそう思えてしまう。
「マスリリース」
接近に対する迎撃として三日月状の黄色からなる光斬を放つも――、
「くだらない」
「くだらないっすか……」
おかしいな。使用している刀剣の切れ味に比例するだけの威力のはずなのに。
まだまだ俺の実力が技に追いついていないって事なのか。
それとも相手が規格外だからか。
その両方だろうけど……。
「マスリリース」
と、今度は二回振る。
十字を書き、燐光を纏った光斬がデミタスへと直撃コースで向かっていくも――、
「無駄だと言っている」
何でだよ。
何で初手の一振りと同様にかき消されるんだよ。
しかもフランベルジュや障壁魔法じゃなく、左手に触れただけでかき消されるとか……。
なんだよあの左手は。
ズカズカと強く余裕のある足取りで向かってくる強者の姿に呑まれそうになる中で、
「ブレイズ!」
即座に残火に炎を纏わせて接近しての斬撃。
「ほう。逃げずに進んでくるのは見事であるとだけ言ってあげましょう。気に入らないけど」
強者はそれだけ言えば、先ほどと同様にぶれることなく左腕を残火へと向けて伸ばし、泥パックに覆われた掌をこちらへと見せれば、炎を纏った残火の刃をも受け止める。
「本当に……なんだよソレ――っと!?」
横っ飛びで地面を転がりながらデミタスから離れる。
「無様な動きね」
言われてもしかたない。
だが咄嗟に躱していなければ、波打つ大剣の一振りにやられていたし、何よりも怖かったのが、
「普通に掴もうとするんだな」
「そんななまくらなら、手で掴んだところで問題はないからね」
初めてだよ。残火をなまくらなんて呼ばれたのは……。
だが、ブレイズを纏った状態でダメージがないってのはな……。
刃だけの状態だと、魔法付与なんかされた武器や防具に防がれることはあるけど、ブレイズこみの一振りを素手で防がれるってのはショックを受けるね。
マスリリース同様、俺の現状の実力では残火の力をフルに引き出せていないか……。
結構、頑張ってるんだけどな。
エルフの子供たちの師匠にはなっているけども、俺自身がまだまだだよ。
「さあ、今度はしっかりと当ててやろう。死なない程度に調整してね」
「余計な調整だな」
「余計? そんなに早く死にたいのかしら?」
「んにゃわきゃない」
縮地による移動は脅威だが、そもそも全てがハイスペックなデミタス。
通常の動きに関しても圧倒的。
俺が使用できるようなピリアなら全てを扱えると考えていいし、俺が未習得のモノだって扱えて当然の存在。
いや~辛いね……。
自信が砕かれそうになる。
まあ――、まだそうになるってところだ。
砕かれる。や、砕かれた。と、心中で確定していない事が、今の俺の支えになってくれている。
「ちょこまかと逃げの一辺倒もどこまで続くかしら? お前はアクセル、こちらは縮地。逃げることは不可能」
「だよね」
今のところ縮地使用時のデミタスに対しては、タイミングを見計らって縮地の後にアクセルを使用する事で、こちらの間合いに詰めさせないようにして回避に徹しているけども、流石に連続使用となればこちらの集中力は欠けてくる。
対して相手は俺よりも圧倒的な強者。
スタミナも集中力も格段に上。
時間と共に俺は追い込まれる。
「勇者、少しは攻めてきてもいいのだけれど?」
首を傾げての嘲笑。
初太刀。
マスリリース。
ブレイズを纏った斬撃。
その悉くを左手一つで防がれれば、様子見になってしまうのは当然でしょうよ。
「来ないなら――」
「そこっ!」
縮地により俺の背後に回り込んできたデミタスに向かってホルスターからライノを抜き、上半身を捻って牽制の二発を発砲。
「ふんっ!」
俺の牽制という思いが届いたのか、足を止めて左手を振る動作。
牽制のための足止めは出来た……。
うん……。足を止めることは出来たんだ……。
――…………。
――……。
目の前の光景に俺は呆気にとられて動きが止まるも、デミタスは攻撃を仕掛けてこない。
俺への攻撃よりも、今は別の事に興味が出た模様……。
次には……、
「なるほど。どういった原理で放っているのかは分からないが、鉛を独楽のように回転させて飛ばしているのか」
――…………!?
「はぁぁぁんっっ!?」
振った左手の食指と中指。中指と無名指に弾丸が挟まっているという光景。
その光景に、驚きとアホまる出しな声を上げてしまう俺。
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