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トール師になる
PHASE-1137【お馬鹿と目立ちたがり屋は、高いところが好き】
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「こいつは確か――」
「ランドイーターだな」
と、エルダーの一体が発する。
リンが敵対していた時、ベルに使用した魔法だな。
大地から大口が現れて対象を丸呑み。
ベルには通用しなかったが、抵抗も出来ない死体となったカゲストは呑み込まれるだけ。
――死体へと触れると同時に起動する発動魔法だったとエルダーの説明。
「術式が発動したって事は、何かしらを仕込まれていたって事かな?」
「そういう事だろうな」
バックステップする中、カゲストが大口に呑まれる時、体を中心として魔法陣が展開したのが見えたが、それが発動術式ってことだろう。
「証拠隠滅ってことね」
土で出来たと思われる大口が閉じたまま大地へと沈んでいけば、カゲストも血溜まりも跡形もなく消えてしまった。
「やってくれるよ!」
大地系の魔法ということで、俺が肩越しに睨む対象は当然ダークエルフさん達。
だが一斉に否定の声で返してきた。続けて私兵たちを見るも全力で首を横に振ってくる。
「まあ、ここの面子ではないかもな」
と、ゲッコーさん。
「みたいですね」
戦いの後、話がまとまってきた中、あえて状況を悪くするのは愚策だもんな。
「勇者」
「なんです?」
「あの発動術式はハイエルフを呑み込むだけではないと思うぞ。別の意図もあったようだ」
「その理由は?」
「周囲に目を向けることだ」
と、エルダーに代わってゲッコーさんが応える。
「ヌヌヌヌ……」
ゲッコーさんの声に続いて耳朶に届くのは、やる気のない声――声で合っているか分からんが。
ゲッコーさんが周囲に目を向けろと言うだけあって――、
「しっかりと包囲されてますね」
やる気のない声とおもわれるものが一箇所からではなく全周囲から聞こえ、その声に混じってズルズルと引きずるような音も発生する。
それは――人型が歩行する度に聞こえてくるというものだった。
「あれは何ですか?」
問えば、
「マッドマンだ」
と、もう一体のエルダーが教えてくれる。
知識豊富なアンデッドはありがたいね。
マッドマン――大地系魔法であるクリエイトによって作られた眷属。
クリエイトと聞くと、以前に山賊がゴーレムを使用した時、スクロールを使用してゴーレムを修復していたが、修復だけでなく眷属も作れる魔法だそうな。
ゴーレムもこの魔法によって生み出され、ゴーレムがハイランクなら、マッドマンはローランクに分類される存在。
とはいえ……、
「圧倒的な数だな」
「弱いが鬱陶しい連中だ」
言いつつ俺の横でエルダーの一体が剣を振ってのマスリリース。
赤黒い斬撃が飛び、マッドマンの脇腹を掠める。
斬られた部分へ泥が流れ込むことで元に戻る。ダメージが無いように見えた。
「と、この様に面倒くさい」
はたして正にで、弱い存在であっても掠める程度だと決定打にはならないようだ。
次に放つマスリリースはマッドマンの胴体へと直撃し、上半身と下半身に分ける。
この一撃によってマッドマンは形を保てず泥へと戻った。
最初が悪い例で、二度目が良い例ってことね。
倒すには両断以上の攻撃をしないといけないわけだ。
他にも魔法――特に火炎系や水系が効果的だという。
燃やして水気を飛ばして脆くするか、水で洗い流すってイメージなのかな?
脅威としては低いけども、数は多いししっかりと攻撃しないと倒しにくい。
時間を要する面倒な相手って事は分かった。
まあでも――、
「火炎系に弱いとか、俺にとってはボーナスチャンスでしかねえ!」
ブレイズと発して残火に轟々と炎を纏わせ、最も群がっている場所へと狙いを定めて驀地。
両断すれば倒せるし、俺の場合は浅くてもそこから炎が燃え広がれば、泥の体はボロボロと崩れ落ちていく。
「他愛なし」
「流石です師匠。皆さんも迎撃お願いします」
「「「「ハッ!」」」」
あらま。エリスの言うことを聞いて私兵が動いてら。
元々が氏族寄りだからな。それ以上の存在である王族の下知となれば素直に聞くのかな。
単純に名誉挽回ってところか。
「これは我々にとっても脅威である」
ネクレス氏が発せばダークエルフさん達も迎撃の姿勢。
手に武器を持ちつつエリスを見ている。
流石に先ほどまで敵対していた者たちが手に利器を持つのだから、エリスが警戒すると思ったようだ。
「ファーストエイド」
と、当の本人は未だ回復をしていなかったネクレス氏に回復魔法をしてあげるという甘々さ。
「その優しさが仇となり、命取りにならなければいいですな」
「大丈夫です。僕は強くなる予定ですし、僕を守ってくれる仲間たちも強くなるんで」
「……そうですか」
屈託のない笑顔に毒気が抜かれた様子のネクレス氏。
エリスの発言を体現するようにサルタナとハウルーシ君がエリスの護衛につく。
「鉄壁だな」
と、それを見るネクレス氏は一言称賛すれば、他のダークエルフさん達と共にマッドマンへと向かっていった。
「ゴロ丸は指示を維持」
「キュ!」
つまりは子供三人から離れるな。であり、それを理解してくれる。
ゲッコーさんを見れば、ゴロ丸と一緒に護衛についてくれる。
護衛にはつくが俺は動かない。一服する。その分、お前が動けと目で伝えてきた。
素晴らしいアイコンタクトで……。
「さて――」
しっかりと護衛をしてもらっているのはいいとしても、エリスをこのまま集落に留めるのもよくない。
早いところ皆と合流させて城に送り届けないとな。
なんて考えていると素晴らしい時宜だと言わんばかりに、俺の眼前から迫ってくるマッドマンに赫々とした火球が飛来し――直撃。
人型の泥は爆発四散。
「徹頭徹尾、絶好調で最高潮の我――参上!」
闇夜の中、ワンドの貴石が赫奕たる光彩を放ち、その輝きに照らされる琥珀色の瞳とラセットブラウンの髪。
基調色の黄色と差し色の黒からなるローブをバサリと音を立てて靡かせつつ、格好良くポージングを決める場所は――高床式住居の屋根の上。
コクリコの姉御、堂々参上。
登場の台詞が昔の日曜、朝八時を思わせてくれるじゃ~ないか。
「ランドイーターだな」
と、エルダーの一体が発する。
リンが敵対していた時、ベルに使用した魔法だな。
大地から大口が現れて対象を丸呑み。
ベルには通用しなかったが、抵抗も出来ない死体となったカゲストは呑み込まれるだけ。
――死体へと触れると同時に起動する発動魔法だったとエルダーの説明。
「術式が発動したって事は、何かしらを仕込まれていたって事かな?」
「そういう事だろうな」
バックステップする中、カゲストが大口に呑まれる時、体を中心として魔法陣が展開したのが見えたが、それが発動術式ってことだろう。
「証拠隠滅ってことね」
土で出来たと思われる大口が閉じたまま大地へと沈んでいけば、カゲストも血溜まりも跡形もなく消えてしまった。
「やってくれるよ!」
大地系の魔法ということで、俺が肩越しに睨む対象は当然ダークエルフさん達。
だが一斉に否定の声で返してきた。続けて私兵たちを見るも全力で首を横に振ってくる。
「まあ、ここの面子ではないかもな」
と、ゲッコーさん。
「みたいですね」
戦いの後、話がまとまってきた中、あえて状況を悪くするのは愚策だもんな。
「勇者」
「なんです?」
「あの発動術式はハイエルフを呑み込むだけではないと思うぞ。別の意図もあったようだ」
「その理由は?」
「周囲に目を向けることだ」
と、エルダーに代わってゲッコーさんが応える。
「ヌヌヌヌ……」
ゲッコーさんの声に続いて耳朶に届くのは、やる気のない声――声で合っているか分からんが。
ゲッコーさんが周囲に目を向けろと言うだけあって――、
「しっかりと包囲されてますね」
やる気のない声とおもわれるものが一箇所からではなく全周囲から聞こえ、その声に混じってズルズルと引きずるような音も発生する。
それは――人型が歩行する度に聞こえてくるというものだった。
「あれは何ですか?」
問えば、
「マッドマンだ」
と、もう一体のエルダーが教えてくれる。
知識豊富なアンデッドはありがたいね。
マッドマン――大地系魔法であるクリエイトによって作られた眷属。
クリエイトと聞くと、以前に山賊がゴーレムを使用した時、スクロールを使用してゴーレムを修復していたが、修復だけでなく眷属も作れる魔法だそうな。
ゴーレムもこの魔法によって生み出され、ゴーレムがハイランクなら、マッドマンはローランクに分類される存在。
とはいえ……、
「圧倒的な数だな」
「弱いが鬱陶しい連中だ」
言いつつ俺の横でエルダーの一体が剣を振ってのマスリリース。
赤黒い斬撃が飛び、マッドマンの脇腹を掠める。
斬られた部分へ泥が流れ込むことで元に戻る。ダメージが無いように見えた。
「と、この様に面倒くさい」
はたして正にで、弱い存在であっても掠める程度だと決定打にはならないようだ。
次に放つマスリリースはマッドマンの胴体へと直撃し、上半身と下半身に分ける。
この一撃によってマッドマンは形を保てず泥へと戻った。
最初が悪い例で、二度目が良い例ってことね。
倒すには両断以上の攻撃をしないといけないわけだ。
他にも魔法――特に火炎系や水系が効果的だという。
燃やして水気を飛ばして脆くするか、水で洗い流すってイメージなのかな?
脅威としては低いけども、数は多いししっかりと攻撃しないと倒しにくい。
時間を要する面倒な相手って事は分かった。
まあでも――、
「火炎系に弱いとか、俺にとってはボーナスチャンスでしかねえ!」
ブレイズと発して残火に轟々と炎を纏わせ、最も群がっている場所へと狙いを定めて驀地。
両断すれば倒せるし、俺の場合は浅くてもそこから炎が燃え広がれば、泥の体はボロボロと崩れ落ちていく。
「他愛なし」
「流石です師匠。皆さんも迎撃お願いします」
「「「「ハッ!」」」」
あらま。エリスの言うことを聞いて私兵が動いてら。
元々が氏族寄りだからな。それ以上の存在である王族の下知となれば素直に聞くのかな。
単純に名誉挽回ってところか。
「これは我々にとっても脅威である」
ネクレス氏が発せばダークエルフさん達も迎撃の姿勢。
手に武器を持ちつつエリスを見ている。
流石に先ほどまで敵対していた者たちが手に利器を持つのだから、エリスが警戒すると思ったようだ。
「ファーストエイド」
と、当の本人は未だ回復をしていなかったネクレス氏に回復魔法をしてあげるという甘々さ。
「その優しさが仇となり、命取りにならなければいいですな」
「大丈夫です。僕は強くなる予定ですし、僕を守ってくれる仲間たちも強くなるんで」
「……そうですか」
屈託のない笑顔に毒気が抜かれた様子のネクレス氏。
エリスの発言を体現するようにサルタナとハウルーシ君がエリスの護衛につく。
「鉄壁だな」
と、それを見るネクレス氏は一言称賛すれば、他のダークエルフさん達と共にマッドマンへと向かっていった。
「ゴロ丸は指示を維持」
「キュ!」
つまりは子供三人から離れるな。であり、それを理解してくれる。
ゲッコーさんを見れば、ゴロ丸と一緒に護衛についてくれる。
護衛にはつくが俺は動かない。一服する。その分、お前が動けと目で伝えてきた。
素晴らしいアイコンタクトで……。
「さて――」
しっかりと護衛をしてもらっているのはいいとしても、エリスをこのまま集落に留めるのもよくない。
早いところ皆と合流させて城に送り届けないとな。
なんて考えていると素晴らしい時宜だと言わんばかりに、俺の眼前から迫ってくるマッドマンに赫々とした火球が飛来し――直撃。
人型の泥は爆発四散。
「徹頭徹尾、絶好調で最高潮の我――参上!」
闇夜の中、ワンドの貴石が赫奕たる光彩を放ち、その輝きに照らされる琥珀色の瞳とラセットブラウンの髪。
基調色の黄色と差し色の黒からなるローブをバサリと音を立てて靡かせつつ、格好良くポージングを決める場所は――高床式住居の屋根の上。
コクリコの姉御、堂々参上。
登場の台詞が昔の日曜、朝八時を思わせてくれるじゃ~ないか。
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