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トール師になる
PHASE-1067【熟れて調子に乗るのは駄目なヤツ】
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「俺の勝ち」
お互いにピリアなしで戦えば、コクリコとギムロンコンビに勝つだけの力があるのが分かったのは大きい。
インスタントなのに巧みだったコンビネーションには翻弄されたが、インスタント故の欠点を突いて、一対一に持ち込んで勝ちに繋げることは可能だった。
まあ危なかったけども。
でも俺はしっかりと強くなっている。この二人に勝てたんだからな。
うん……。そうなんだよ……。ベルが異常なだけなんだ……。
思い出すまい。
思い出せばまた痛みがぶり返してきそうだからな……。
「――そろそろ起きろよコクリコ。お前のことだ、もう立てるだろう?」
「なんという言い方。女性に対しての言い様ではないですね。優しさを感じられません」
「それだけ喋れれば回復とかはいらないな」
「ですが納得いきません」
「何がだよ」
ネックスプリングで華麗に立ち上がる姿は元気そのもの。さっきまで白目を剥いていたのが嘘のようだな。
コクリコ――全身これバネである。
「だってトールは二刀流の練習がしたかったのでしょう。まったく出来ていないじゃないですか。逃げですよ。徒手空拳に逃げましたよ」
――……。
「いやいやいやいやっ! 二刀流よりも無手で勝利する方が凄いだろうが!」
練習できなかったのは事実だが。
「大体コクリコがミスリルフライパンを使用したのが原因だろう。俺の棒切れ破壊しやがって! お前も同じような棒を使え!」
これはギムロンにも言えたことだけど。
継いでから返せば、
「ハッ!」
鼻で笑われたので、本気で殴ってやろうかと思いました。
「ベルなら破壊されることなく対応しますよ」
「ベルと一緒にすんな。あいつの場合はお前等の攻撃がそもそも当たらないし、一方的に棒切れでの打擲ルートだよ。そもそもベルと対峙したらお前ら絶対に逃げるだろうが」
「「まあ、確かに」」
ここでもいい感じのコンビネーションで声を合わせて返してくる。
「だとしても二刀流の練習になってなかった時点でトールの負けです」
「お前ね……実戦でも同じこと言えんのかよ……」
「関係ありません。さっきの戦いはなかった事にしてやり直しを所望します」
「もういいよ」
「ワシも殴られるのはもういい」
「なかった事に! なかった事に! なかった事に! なかった事に! なかった――――」
「うるせえ! お前はノーカン連呼する地下王国の班長か!」
見苦しいったらありゃしない。
ギムロンはどこの地下王国のドワーフだ? って気にしてたけど、そこは流してもらって結構。
「仕方ありません。試合に負けて勝負に勝ったという判断にしときます」
「お前はどうしてそんなに強気なの?」
二刀流より無手の相手に負けている方がはっきりいって恥ずかしいからね。
まあいいけど。
マナ不使用の状態で、この二人に無手で勝てる事が分かっただけでも、俺にとっては大きな自信に繋がったからな。
「とりあえず、君たちの位階は現状維持という事を会頭からお知らせいたします」
「「ぐぬぬ……」」
ハッ! 悔しがるのも息ぴったりだな。本当にいいコンビだよ。
「素晴らしかったです師匠」
「有り難う」
いや~。負けて恥ずかしいところを見られずにすんだよ。
俺の勝利に瞳を輝かせて心から喜んでくれていた。
俺達の戦いを終始見ていた我が弟子サルタナは出来た弟子である。
俺達の戦いが終われば水を用意してくれてるからね。
三人して手作り感まる出しの木製カップに入った水を一気に煽る。
「ぐふぅ~」
ギムロンは酒だろうが水だろうがリアクションは変わらないんだな。
「僕も師匠みたいに、家族や友達を守れるような強い男になれますか?」
「もちろんだ。なんと言っても俺の弟子だからな。しっかりと鍛錬して皆を守れるような存在になるんだ。力に驕ることも妬むことも駄目だ。守りたいと思いたいなら心は強くなければならない。だからこの金言を心にしっかりと刻んでくれ」
「それはなんでしょう?」
問うてくるサルタンから一歩離れ、それっぽい雰囲気を醸してから体を反転しサルタナと目を合わせ口を開く。
「嫉むな――お前が歩んでいく道だ。嘲るな――お前が歩んで来た道だ。この精神を忘れないように」
「はい!」
「いいこと言うの。流石は会頭」
髭をしごきながらのギムロンの横では、コクリコがぶつぶつと俺の言った発言を復唱しながらメモをとる。
捏造自伝に自分の発言として書き記すんだろう。
まあ、今回は強くは言うまい。
これ俺のリアフレの発言をまんま引用しただけだからな。
FPSを始めたばかりの時、上手く操作できないで相手にいいようにされてイライラしてしまい、初心者狩り楽しいの? なんて虚勢を張ってフレンド達をしらけさせた時、前者の発言で諭され。
後者の発言は、熟れてきたところでランクの若い始めたばかりのプレイヤーの立ち回りを小馬鹿にしてしまい、それを諭された時のなんだよね。
そのリアフレのお陰で、俺はイライラすることなく楽しくゲームが出来るようになったな。
例外として、セラとやる時はイライラしてしまうけどね。
まだまだ俺も精神は未熟だってことだな。
しかし妬むじゃなく、嫉むをチョイスするところが俺のリアフレって感じだよな。
中二病クサいもの。
お互いにピリアなしで戦えば、コクリコとギムロンコンビに勝つだけの力があるのが分かったのは大きい。
インスタントなのに巧みだったコンビネーションには翻弄されたが、インスタント故の欠点を突いて、一対一に持ち込んで勝ちに繋げることは可能だった。
まあ危なかったけども。
でも俺はしっかりと強くなっている。この二人に勝てたんだからな。
うん……。そうなんだよ……。ベルが異常なだけなんだ……。
思い出すまい。
思い出せばまた痛みがぶり返してきそうだからな……。
「――そろそろ起きろよコクリコ。お前のことだ、もう立てるだろう?」
「なんという言い方。女性に対しての言い様ではないですね。優しさを感じられません」
「それだけ喋れれば回復とかはいらないな」
「ですが納得いきません」
「何がだよ」
ネックスプリングで華麗に立ち上がる姿は元気そのもの。さっきまで白目を剥いていたのが嘘のようだな。
コクリコ――全身これバネである。
「だってトールは二刀流の練習がしたかったのでしょう。まったく出来ていないじゃないですか。逃げですよ。徒手空拳に逃げましたよ」
――……。
「いやいやいやいやっ! 二刀流よりも無手で勝利する方が凄いだろうが!」
練習できなかったのは事実だが。
「大体コクリコがミスリルフライパンを使用したのが原因だろう。俺の棒切れ破壊しやがって! お前も同じような棒を使え!」
これはギムロンにも言えたことだけど。
継いでから返せば、
「ハッ!」
鼻で笑われたので、本気で殴ってやろうかと思いました。
「ベルなら破壊されることなく対応しますよ」
「ベルと一緒にすんな。あいつの場合はお前等の攻撃がそもそも当たらないし、一方的に棒切れでの打擲ルートだよ。そもそもベルと対峙したらお前ら絶対に逃げるだろうが」
「「まあ、確かに」」
ここでもいい感じのコンビネーションで声を合わせて返してくる。
「だとしても二刀流の練習になってなかった時点でトールの負けです」
「お前ね……実戦でも同じこと言えんのかよ……」
「関係ありません。さっきの戦いはなかった事にしてやり直しを所望します」
「もういいよ」
「ワシも殴られるのはもういい」
「なかった事に! なかった事に! なかった事に! なかった事に! なかった――――」
「うるせえ! お前はノーカン連呼する地下王国の班長か!」
見苦しいったらありゃしない。
ギムロンはどこの地下王国のドワーフだ? って気にしてたけど、そこは流してもらって結構。
「仕方ありません。試合に負けて勝負に勝ったという判断にしときます」
「お前はどうしてそんなに強気なの?」
二刀流より無手の相手に負けている方がはっきりいって恥ずかしいからね。
まあいいけど。
マナ不使用の状態で、この二人に無手で勝てる事が分かっただけでも、俺にとっては大きな自信に繋がったからな。
「とりあえず、君たちの位階は現状維持という事を会頭からお知らせいたします」
「「ぐぬぬ……」」
ハッ! 悔しがるのも息ぴったりだな。本当にいいコンビだよ。
「素晴らしかったです師匠」
「有り難う」
いや~。負けて恥ずかしいところを見られずにすんだよ。
俺の勝利に瞳を輝かせて心から喜んでくれていた。
俺達の戦いを終始見ていた我が弟子サルタナは出来た弟子である。
俺達の戦いが終われば水を用意してくれてるからね。
三人して手作り感まる出しの木製カップに入った水を一気に煽る。
「ぐふぅ~」
ギムロンは酒だろうが水だろうがリアクションは変わらないんだな。
「僕も師匠みたいに、家族や友達を守れるような強い男になれますか?」
「もちろんだ。なんと言っても俺の弟子だからな。しっかりと鍛錬して皆を守れるような存在になるんだ。力に驕ることも妬むことも駄目だ。守りたいと思いたいなら心は強くなければならない。だからこの金言を心にしっかりと刻んでくれ」
「それはなんでしょう?」
問うてくるサルタンから一歩離れ、それっぽい雰囲気を醸してから体を反転しサルタナと目を合わせ口を開く。
「嫉むな――お前が歩んでいく道だ。嘲るな――お前が歩んで来た道だ。この精神を忘れないように」
「はい!」
「いいこと言うの。流石は会頭」
髭をしごきながらのギムロンの横では、コクリコがぶつぶつと俺の言った発言を復唱しながらメモをとる。
捏造自伝に自分の発言として書き記すんだろう。
まあ、今回は強くは言うまい。
これ俺のリアフレの発言をまんま引用しただけだからな。
FPSを始めたばかりの時、上手く操作できないで相手にいいようにされてイライラしてしまい、初心者狩り楽しいの? なんて虚勢を張ってフレンド達をしらけさせた時、前者の発言で諭され。
後者の発言は、熟れてきたところでランクの若い始めたばかりのプレイヤーの立ち回りを小馬鹿にしてしまい、それを諭された時のなんだよね。
そのリアフレのお陰で、俺はイライラすることなく楽しくゲームが出来るようになったな。
例外として、セラとやる時はイライラしてしまうけどね。
まだまだ俺も精神は未熟だってことだな。
しかし妬むじゃなく、嫉むをチョイスするところが俺のリアフレって感じだよな。
中二病クサいもの。
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