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ミルド領・閑話
PHASE-1016【っべー】
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「とにかくだ。なんでも聞き入れるといった時点で聞き入れろよ。後、領地の為に活躍もしてもらうけど、魔王軍との戦いとなれば、ここの連中の命を捧げてもらう。がっつりと最前線で活躍してもらうからな」
「なんとも貪欲な公爵殿だな」
なんか柔和な笑みを湛えてくれたのがうれしかったりする。
険しかったマジョリカだったけども、少しは胸襟を開いてくれたと思いたいね。
「それと、お宅等の下で暴れ回っていた愚連隊もしっかりと連れて行ってくれよ」
戦いの中では間違いなく役に立たないので、自領となる新天地――というか故郷で農作なんかの人々を支える仕事に従事させるようにお願いする。
「気前が良すぎるな。我が孫よ」
呆れ口調でありながらも笑顔な爺様の横では、荀攸さんが頭を抱えていた。
凄いぞ俺。荀氏に頭を抱えさせるなんて中々に出来ない事だろうからな。
乱れに乱れまくる髪が荀攸さんの心の苦悶を表現しているようだった。
すだれのレベルが更にアップ。
「時として人情に傾倒した裁きもあっていいだろう」
「流石はベル。俺に茶々を入れる二人とは全くもって違うね」
本来なら間違いなく駄目な裁きなんだろうが、人類や他種族が大変だという時に、この戦力をみすみす見逃すのはお馬鹿のやること。
「ということで荀攸さん。この面子にちゃんとルールを教えてあげてください」
俺って公爵だけど、細かいルールなんて知らないお馬鹿だからね。
この辺は荀攸さんと爺様を中心とした有能さん達に丸投げさせてもらう。
俺が出来る事は、有能さんを信じることだけ。
もし失敗が発生して責任が生じたら、その時は俺がその泥をかぶればいいだけだ。
田中角栄がそんな事を言ってた。
「いや、ですが……」
まだ納得がいかないようですね荀攸さん。
継いで発したのは、自ら毒を体に入れるようなものだという俺に対する心配。
ありがたい発言だが、俺はその発言を待っていた。
俺のターン! ドロー! 手札よりマジックカード・必殺の切り返しを発動!
「青州兵だって黄巾賊だったでしょ。それを本当の主である曹操は受け入れたじゃないですか。だから俺もいいでしょう。数だとこっちは愚連隊をいれても五千程度ですよ」
黄巾賊はたしか兵と非戦闘員を入れれば百万を超えたはず。
そんな大人数を受け入れた曹操に比べれば、俺の方がイージーでしょうと言ってみれば、荀攸さんは渋々と首肯で応じてくれて――、
「よいですかなドルカネス新伯爵殿。我々は常に貴方方を見張りますし、この大陸の為に大いに働いていただきます。主殿の大恩にしっかりと報いていただきたい」
「そうそう。荀攸さんの言うとおりだからな。伯爵として頑張れ、悪役令嬢なんかにはなるなよ。なっていいのは悪役令嬢がどういったルートを歩むかを知っていて、それを回避できる転生した人だけだから」
「なんとも厚かましいなそこの臣下は。そしてやはり訳の分からんことを言う男だ」
「んんっ!」
「分かった。いや、分かりました。ドルカネス新伯爵をもり立てて、今まで犯してきた罪の百倍、励ませていただく」
傭兵らしからぬ片膝をついた丁寧な語りで、マジョリカの代わりにガリオンが荀攸さんに応じる。
こういった時の荀攸さんの迫力はかなりのものである。
発言どおり、しっかりと励んでもらおうと思っていれば――、
「百倍ですと? いいや! 千倍返しで報いていただく。いいですね。千倍返しです!」
穏和な表情から目を見開いての迫力ある発言に、片膝をつくガリオンだけでなく、地面に座り込んでいたマジョリカも気圧されるように背を反らしていた。
本当に凄い迫力だった。
乱れていた髪もいつの間に整ってるし。
荀攸さん。日曜日の高視聴率ドラマを見た経験でもあるのかな? と、思えるくらいに千倍返しのところは迫力がありましたよ。
「それにしても呆気ない勝利だったね。それだけトールがしっかりと成長しているってことなんだろうけど」
「さもあろう、さもあろう。シャルナは俺の事をしっかりと理解してくれているな。俺はしっかりと成長しているのだよ。まだまだ強くなるぜ!」
長命なエルフとは違って人間なんて短い寿命だけども、その短い期間にしっかりと俺は成長していくよ。
「疲れているか?」
ここでベルも笑みを湛えて俺に水を差し出してくれる。
「んなわけないじゃん。まだまだ余裕だよ」
嬉しいね~。シャルナとベルの美人二人に挟まれて褒めてもらって、労いの水までもらえるんだから。
グビグビと男らしく一気飲み。余裕の姿を二人の美人に見せてやる。
「では――カイル」
「あ、はい!」
ん? ベルがカイルへと手を伸ばすよ。
すると不思議な事に、カイルが恭しくしながら木剣を渡していたよ。
俺やベルの前では、屈強な冒険者としての姿が潜んでしまうよね。
俺の時とは違って、ベルの時は声に緊迫したものが含まれているけどね。
で、なぜに木剣?
――…………なんだろうか、嫌な予感しかないよ。
背中から全身に寒気が広がってくるよ……。
おかしいな……。火龍の鎧は装備してんだけどな……。
「さあ、試してやろう」
ん、ぐうぅ!?
噴き出そうになった水を何とか飲み込むことに成功。
――……やべえ……。
調子に乗った発言しちまった……。
まだまだ余裕とか言うんじゃなかった。
マジでやっべー。っべー。やっべーわ。
最近はベルからの力試しを上手い具合に回避していたが、ここに来て……。
っべー、っべーわ。
「なんとも貪欲な公爵殿だな」
なんか柔和な笑みを湛えてくれたのがうれしかったりする。
険しかったマジョリカだったけども、少しは胸襟を開いてくれたと思いたいね。
「それと、お宅等の下で暴れ回っていた愚連隊もしっかりと連れて行ってくれよ」
戦いの中では間違いなく役に立たないので、自領となる新天地――というか故郷で農作なんかの人々を支える仕事に従事させるようにお願いする。
「気前が良すぎるな。我が孫よ」
呆れ口調でありながらも笑顔な爺様の横では、荀攸さんが頭を抱えていた。
凄いぞ俺。荀氏に頭を抱えさせるなんて中々に出来ない事だろうからな。
乱れに乱れまくる髪が荀攸さんの心の苦悶を表現しているようだった。
すだれのレベルが更にアップ。
「時として人情に傾倒した裁きもあっていいだろう」
「流石はベル。俺に茶々を入れる二人とは全くもって違うね」
本来なら間違いなく駄目な裁きなんだろうが、人類や他種族が大変だという時に、この戦力をみすみす見逃すのはお馬鹿のやること。
「ということで荀攸さん。この面子にちゃんとルールを教えてあげてください」
俺って公爵だけど、細かいルールなんて知らないお馬鹿だからね。
この辺は荀攸さんと爺様を中心とした有能さん達に丸投げさせてもらう。
俺が出来る事は、有能さんを信じることだけ。
もし失敗が発生して責任が生じたら、その時は俺がその泥をかぶればいいだけだ。
田中角栄がそんな事を言ってた。
「いや、ですが……」
まだ納得がいかないようですね荀攸さん。
継いで発したのは、自ら毒を体に入れるようなものだという俺に対する心配。
ありがたい発言だが、俺はその発言を待っていた。
俺のターン! ドロー! 手札よりマジックカード・必殺の切り返しを発動!
「青州兵だって黄巾賊だったでしょ。それを本当の主である曹操は受け入れたじゃないですか。だから俺もいいでしょう。数だとこっちは愚連隊をいれても五千程度ですよ」
黄巾賊はたしか兵と非戦闘員を入れれば百万を超えたはず。
そんな大人数を受け入れた曹操に比べれば、俺の方がイージーでしょうと言ってみれば、荀攸さんは渋々と首肯で応じてくれて――、
「よいですかなドルカネス新伯爵殿。我々は常に貴方方を見張りますし、この大陸の為に大いに働いていただきます。主殿の大恩にしっかりと報いていただきたい」
「そうそう。荀攸さんの言うとおりだからな。伯爵として頑張れ、悪役令嬢なんかにはなるなよ。なっていいのは悪役令嬢がどういったルートを歩むかを知っていて、それを回避できる転生した人だけだから」
「なんとも厚かましいなそこの臣下は。そしてやはり訳の分からんことを言う男だ」
「んんっ!」
「分かった。いや、分かりました。ドルカネス新伯爵をもり立てて、今まで犯してきた罪の百倍、励ませていただく」
傭兵らしからぬ片膝をついた丁寧な語りで、マジョリカの代わりにガリオンが荀攸さんに応じる。
こういった時の荀攸さんの迫力はかなりのものである。
発言どおり、しっかりと励んでもらおうと思っていれば――、
「百倍ですと? いいや! 千倍返しで報いていただく。いいですね。千倍返しです!」
穏和な表情から目を見開いての迫力ある発言に、片膝をつくガリオンだけでなく、地面に座り込んでいたマジョリカも気圧されるように背を反らしていた。
本当に凄い迫力だった。
乱れていた髪もいつの間に整ってるし。
荀攸さん。日曜日の高視聴率ドラマを見た経験でもあるのかな? と、思えるくらいに千倍返しのところは迫力がありましたよ。
「それにしても呆気ない勝利だったね。それだけトールがしっかりと成長しているってことなんだろうけど」
「さもあろう、さもあろう。シャルナは俺の事をしっかりと理解してくれているな。俺はしっかりと成長しているのだよ。まだまだ強くなるぜ!」
長命なエルフとは違って人間なんて短い寿命だけども、その短い期間にしっかりと俺は成長していくよ。
「疲れているか?」
ここでベルも笑みを湛えて俺に水を差し出してくれる。
「んなわけないじゃん。まだまだ余裕だよ」
嬉しいね~。シャルナとベルの美人二人に挟まれて褒めてもらって、労いの水までもらえるんだから。
グビグビと男らしく一気飲み。余裕の姿を二人の美人に見せてやる。
「では――カイル」
「あ、はい!」
ん? ベルがカイルへと手を伸ばすよ。
すると不思議な事に、カイルが恭しくしながら木剣を渡していたよ。
俺やベルの前では、屈強な冒険者としての姿が潜んでしまうよね。
俺の時とは違って、ベルの時は声に緊迫したものが含まれているけどね。
で、なぜに木剣?
――…………なんだろうか、嫌な予感しかないよ。
背中から全身に寒気が広がってくるよ……。
おかしいな……。火龍の鎧は装備してんだけどな……。
「さあ、試してやろう」
ん、ぐうぅ!?
噴き出そうになった水を何とか飲み込むことに成功。
――……やべえ……。
調子に乗った発言しちまった……。
まだまだ余裕とか言うんじゃなかった。
マジでやっべー。っべー。やっべーわ。
最近はベルからの力試しを上手い具合に回避していたが、ここに来て……。
っべー、っべーわ。
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