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ミルド領
PHASE-950【組織名】
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――ペラペラと一通り見る。
「これは合成獣の研究資料ですかね?」
「そうだろうな」
多種多様な生物を合成した結果が書かれている。
経過報告もしっかりと書かれており、そこには――、
「暴走の恐れあり……」
なんともおっかない文字が書かれていた。
「その暴走の恐れありが現実となったことで、大急ぎで撤収したんだろう」
許可を女性陣からもらいつつゲッコーさんが紫煙を燻らせる。
「と、なるとですよ……」
「ここにはその暴走したのがいるって事だろう」
吸った煙をゆっくりと吐き出しつつ、俺の問いに応じてくれる。
「暴走したのがあのでっかいムカデヤスデならいいんですけどね~」
「十中八九ちがうだろうな。その羊皮紙の内容からして」
でしょうね。
もう一度、羊皮紙に目を通す。
目を留める内容は、人工的に作り出すウェアベアというもの。
「シャルナ。ウェアベアってなんぞ?」
「ウェアベアは熊の姿に似た獣人。熊とは違って人語も理解できる種族だよ」
ガルム氏たちヴィルコラクやコボルト達と近い種族だな。
大型で非常に力が強い種族だという。
山や森の奥深くに住み、人間とはあまり関わりを持っていないという。
力はあるも温厚であり、危害を加えない限り敵対行動をとらない種族だそうだ。
「といってもそれは本家。対してこっちは」
「トール風に言うならモドキだね」
シャルナの声には怒りが混じっている。
カリオネルが俺にコロッセオでぶつけてきた合成獣に対してもお怒りだったからな。
エルフであり、生物保護にも力を入れているシャルナだからこそ、命を弄ぶ実験を行っているコイツ等が許せないようだ。
「ともあれ、ここまで来た甲斐はありましたね」
「そうだな。組織名はしっかりと理解できた」
手渡された羊皮紙から得られる情報は多かった。
特に羊皮紙に書かれた文章の末尾には、記録していた人物のありふれた名前と、それとは別に共通する名前が使用されていた。
この共通した名前がコイツ等の組織名なのだろう。
「カイメラ――名は体を表すといった組織名だな」
と、ゲッコーさんが継ぐ。
合成獣であるキメラ。英語圏ではカイメラとも言うそうだ。
合成獣を生み出す組織の名が合成獣そのもの。
「洒落てますね」
「まったくだ」
「反吐が出ますよ」
「まったくだ」
二人揃って研究室の一角を睨み付ける。
羊皮紙に書かれているとおりだとするなら、
「あの堅牢な扉の先って事なんでしょうね。人工のウェアベアやその他の合成獣が巣くってるのは」
「そういう事だろう」
煙草を携帯灰皿へと仕舞い、室内戦を想定してか、宙空から取り出した選択武器はAA-12 。
一人で面制圧を可能とするフルオートショットガン。
狭い通路で且つ相手が接近スタイルなら、間違いなく最強の携行火器だろう。
「もしかしたらあのムカデヤスデは、カイメラなる組織の連中が逃げ出す為の時間稼ぎに、室内に放っていったのかもしれませんね」
「その可能性はあるな。人の命令を聞くのはコロッセオで経験しているしな」
カリオネル如きの命令に従ってたもんな。
生み出した連中の発言なら尚更だろう。
「それでは行きましょうか」
左手にワンドを持ち替え、代わりに右手にミスリルフライパンを手にしたコクリコが先頭になって進もうとする。
いつもの事だから慣れたけども、それよりも問題は――、
「アビゲイルさん。ここから先は危険なようですからここで待ちますか?」
「嫌です!」
強い語気による即答。
こんな訳も分からない場所に一人で待たされるのは御免だという。
確かにこんな場所で一人で待つってのは俺も御免だな。
ジャンパーから元の場所に帰ってもらうのがいいんだけど、本人は俺達と行動を共にしたいようだ。
この都市の代表だから見届ける責任があるとのこと。
都市の代表であり、魔導討究会の代表でもあるわけだからな、魔導師としても一級だろう。
ここは戦力として頼らせてもらおう。
「これは合成獣の研究資料ですかね?」
「そうだろうな」
多種多様な生物を合成した結果が書かれている。
経過報告もしっかりと書かれており、そこには――、
「暴走の恐れあり……」
なんともおっかない文字が書かれていた。
「その暴走の恐れありが現実となったことで、大急ぎで撤収したんだろう」
許可を女性陣からもらいつつゲッコーさんが紫煙を燻らせる。
「と、なるとですよ……」
「ここにはその暴走したのがいるって事だろう」
吸った煙をゆっくりと吐き出しつつ、俺の問いに応じてくれる。
「暴走したのがあのでっかいムカデヤスデならいいんですけどね~」
「十中八九ちがうだろうな。その羊皮紙の内容からして」
でしょうね。
もう一度、羊皮紙に目を通す。
目を留める内容は、人工的に作り出すウェアベアというもの。
「シャルナ。ウェアベアってなんぞ?」
「ウェアベアは熊の姿に似た獣人。熊とは違って人語も理解できる種族だよ」
ガルム氏たちヴィルコラクやコボルト達と近い種族だな。
大型で非常に力が強い種族だという。
山や森の奥深くに住み、人間とはあまり関わりを持っていないという。
力はあるも温厚であり、危害を加えない限り敵対行動をとらない種族だそうだ。
「といってもそれは本家。対してこっちは」
「トール風に言うならモドキだね」
シャルナの声には怒りが混じっている。
カリオネルが俺にコロッセオでぶつけてきた合成獣に対してもお怒りだったからな。
エルフであり、生物保護にも力を入れているシャルナだからこそ、命を弄ぶ実験を行っているコイツ等が許せないようだ。
「ともあれ、ここまで来た甲斐はありましたね」
「そうだな。組織名はしっかりと理解できた」
手渡された羊皮紙から得られる情報は多かった。
特に羊皮紙に書かれた文章の末尾には、記録していた人物のありふれた名前と、それとは別に共通する名前が使用されていた。
この共通した名前がコイツ等の組織名なのだろう。
「カイメラ――名は体を表すといった組織名だな」
と、ゲッコーさんが継ぐ。
合成獣であるキメラ。英語圏ではカイメラとも言うそうだ。
合成獣を生み出す組織の名が合成獣そのもの。
「洒落てますね」
「まったくだ」
「反吐が出ますよ」
「まったくだ」
二人揃って研究室の一角を睨み付ける。
羊皮紙に書かれているとおりだとするなら、
「あの堅牢な扉の先って事なんでしょうね。人工のウェアベアやその他の合成獣が巣くってるのは」
「そういう事だろう」
煙草を携帯灰皿へと仕舞い、室内戦を想定してか、宙空から取り出した選択武器はAA-12 。
一人で面制圧を可能とするフルオートショットガン。
狭い通路で且つ相手が接近スタイルなら、間違いなく最強の携行火器だろう。
「もしかしたらあのムカデヤスデは、カイメラなる組織の連中が逃げ出す為の時間稼ぎに、室内に放っていったのかもしれませんね」
「その可能性はあるな。人の命令を聞くのはコロッセオで経験しているしな」
カリオネル如きの命令に従ってたもんな。
生み出した連中の発言なら尚更だろう。
「それでは行きましょうか」
左手にワンドを持ち替え、代わりに右手にミスリルフライパンを手にしたコクリコが先頭になって進もうとする。
いつもの事だから慣れたけども、それよりも問題は――、
「アビゲイルさん。ここから先は危険なようですからここで待ちますか?」
「嫌です!」
強い語気による即答。
こんな訳も分からない場所に一人で待たされるのは御免だという。
確かにこんな場所で一人で待つってのは俺も御免だな。
ジャンパーから元の場所に帰ってもらうのがいいんだけど、本人は俺達と行動を共にしたいようだ。
この都市の代表だから見届ける責任があるとのこと。
都市の代表であり、魔導討究会の代表でもあるわけだからな、魔導師としても一級だろう。
ここは戦力として頼らせてもらおう。
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