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ミルド領
PHASE-941【素晴らしい力――ね】
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「お待ちしておりました公爵様」
都市門前では俺達が来訪するというのを事前に耳にしていた人物達が出迎えていてくれる。
紺色のローブで身を包んだ女性と、お供が数人。
こちらも事前に執事のスティーブンスに話を聞いていたから、
「えっと――魔導討究会のアビゲイル・ラインドランドさんですね?」
「左様でございます」
典雅な一礼のアビゲイルさん。
この世界の女性は基本、美人が多い。
修道服なんかで使用されるウィンプルで頭を覆っているから髪の色やヘアスタイルは分からないけども、美人だというのだけは理解できる。
「魔導討究会で代表をしているとか」
と、ここでこちらの美人代表であるベルが問う。
「はい。まだまだ若輩ですが務めさせていただいております」
年齢は二十五だという。
この魔術学都市において討究会の代表を務めるイコール、この都市全体の代表にもなるという。
確かに二十五でこの大きな都市の代表というのは凄いね。
大したものだと素直な感想を口から出せば、それを言うなら十代でこの地の全てを統べる方が遙かに上ですと、微笑みと共に返してくる。
――……そうなんだよな。
公都の広大さにも驚くけど、この魔術学都市という巨大な都市だって俺の統治下ってことなんだよな。
凄いね俺。まあ、調子には乗らないけど。
「さてさて、いったいどれほどの術者達がいるのか楽しみですね」
「多分だけど殆どがお前以上の実力者だと思われる」
「生意気な事を言うようになったのは、公爵となって勘違いし始めた証拠でしょうかね?」
「いや、お前に対しては全くもってぶれずに以前からこのスタイルだよ。コクリコさん」
「どうやらこの私と一戦交えたいようですね」
「やめとけ。お前では俺には勝てんよ」
「何という増上慢」
「増上慢の権化に言われたくねえよ」
「私のは増上慢ではなく悟ったというのです」
「大魔法の一つでも使えるようになってから言え」
「そこまでだ。二人して門の前でみっともない。とてもこの地の統治者とその仲間の振る舞いとは思えん」
ベルからのお叱り。
まあ拳骨が飛んでこなかっただけよかった。
「なんかすいません」
コクリコとのくだらないやり取りを作り笑いで待っててくれていたアビゲイルさん達に謝罪。
頭を下げるだけで驚かれるのは、自称・暫定公爵が原因。諸侯たちが同じような驚きを見せたのはつい最近なので、そのリアクションは経験済み。
あの馬鹿はここを訪れた時、アビゲイルさんを口説こうとしたことがあったそうだ。
俺のモノになればこの都市をもっと大きなものにしてやるし、素晴らしい力を与えてやると言ったという。
そんな馬鹿な発言をする馬鹿と比べられるだけで、俺の株は勝手に急上昇。
あの馬鹿にはそこだけは感謝だな。
まあ感謝はしてやるけど、ここでの迷惑行為に対して、後でしっかりと殴ってやるのは確定。
それよりも何よりも――、
「「素晴らしい力ね~」」
気になる部分をゲッコーさんとシンクロさせる。
「ここで話すのも失礼ですのでお入りください。馬車を用意しております」
「有り難うございます。ところであの巨像は動くんですか」
「――ご想像にお任せします」
微笑と共に返ってくる。どうやらあれは動くようだな。
この都市に危険が訪れた時、あの巨像は戦うんだろうな。
ストーンゴーレムに金属鎧を纏わせたデザイン。
敵を殲滅するまで動き回るってところか。
――ま、俺のゴロ丸の方が強いけどね。
なんたってミスリルゴーレムだし、可愛いし。
などと心の中で身内贔屓。
「――――こりゃ凄い」
門を潜れば目の前に用意されていた馬車に驚く。
車輪は存在せず、馬車が宙に浮いていた。
「これはフロートという魔法ですよね?」
「よくおわかりで。流石は公爵様であり勇者様ですね」
「いや~それほどでも」
美人に褒められると良い気分だな。
都市門前では俺達が来訪するというのを事前に耳にしていた人物達が出迎えていてくれる。
紺色のローブで身を包んだ女性と、お供が数人。
こちらも事前に執事のスティーブンスに話を聞いていたから、
「えっと――魔導討究会のアビゲイル・ラインドランドさんですね?」
「左様でございます」
典雅な一礼のアビゲイルさん。
この世界の女性は基本、美人が多い。
修道服なんかで使用されるウィンプルで頭を覆っているから髪の色やヘアスタイルは分からないけども、美人だというのだけは理解できる。
「魔導討究会で代表をしているとか」
と、ここでこちらの美人代表であるベルが問う。
「はい。まだまだ若輩ですが務めさせていただいております」
年齢は二十五だという。
この魔術学都市において討究会の代表を務めるイコール、この都市全体の代表にもなるという。
確かに二十五でこの大きな都市の代表というのは凄いね。
大したものだと素直な感想を口から出せば、それを言うなら十代でこの地の全てを統べる方が遙かに上ですと、微笑みと共に返してくる。
――……そうなんだよな。
公都の広大さにも驚くけど、この魔術学都市という巨大な都市だって俺の統治下ってことなんだよな。
凄いね俺。まあ、調子には乗らないけど。
「さてさて、いったいどれほどの術者達がいるのか楽しみですね」
「多分だけど殆どがお前以上の実力者だと思われる」
「生意気な事を言うようになったのは、公爵となって勘違いし始めた証拠でしょうかね?」
「いや、お前に対しては全くもってぶれずに以前からこのスタイルだよ。コクリコさん」
「どうやらこの私と一戦交えたいようですね」
「やめとけ。お前では俺には勝てんよ」
「何という増上慢」
「増上慢の権化に言われたくねえよ」
「私のは増上慢ではなく悟ったというのです」
「大魔法の一つでも使えるようになってから言え」
「そこまでだ。二人して門の前でみっともない。とてもこの地の統治者とその仲間の振る舞いとは思えん」
ベルからのお叱り。
まあ拳骨が飛んでこなかっただけよかった。
「なんかすいません」
コクリコとのくだらないやり取りを作り笑いで待っててくれていたアビゲイルさん達に謝罪。
頭を下げるだけで驚かれるのは、自称・暫定公爵が原因。諸侯たちが同じような驚きを見せたのはつい最近なので、そのリアクションは経験済み。
あの馬鹿はここを訪れた時、アビゲイルさんを口説こうとしたことがあったそうだ。
俺のモノになればこの都市をもっと大きなものにしてやるし、素晴らしい力を与えてやると言ったという。
そんな馬鹿な発言をする馬鹿と比べられるだけで、俺の株は勝手に急上昇。
あの馬鹿にはそこだけは感謝だな。
まあ感謝はしてやるけど、ここでの迷惑行為に対して、後でしっかりと殴ってやるのは確定。
それよりも何よりも――、
「「素晴らしい力ね~」」
気になる部分をゲッコーさんとシンクロさせる。
「ここで話すのも失礼ですのでお入りください。馬車を用意しております」
「有り難うございます。ところであの巨像は動くんですか」
「――ご想像にお任せします」
微笑と共に返ってくる。どうやらあれは動くようだな。
この都市に危険が訪れた時、あの巨像は戦うんだろうな。
ストーンゴーレムに金属鎧を纏わせたデザイン。
敵を殲滅するまで動き回るってところか。
――ま、俺のゴロ丸の方が強いけどね。
なんたってミスリルゴーレムだし、可愛いし。
などと心の中で身内贔屓。
「――――こりゃ凄い」
門を潜れば目の前に用意されていた馬車に驚く。
車輪は存在せず、馬車が宙に浮いていた。
「これはフロートという魔法ですよね?」
「よくおわかりで。流石は公爵様であり勇者様ですね」
「いや~それほどでも」
美人に褒められると良い気分だな。
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