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北伐
PHASE-864【プチン】
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ダルメシアンの口からスマートな着地を成功させてオルトロスモドキ全体を見る。
モロトフカクテルの爆発で大きく咳き込むダルメシアンのせいで、俺への攻撃は中断といったところ。
流石に口から炎を出すだけあって、痛みは感じてもモロトフによる炎の爆発ダメージは軽微なようだな。
咳き込む度に、俺に放とうとしていた炎が口から飛沫のように吐き出される。
炎ではなく火の粉のようだった。
「こ、こら! こちらに向けて吐き出すな!」
馬鹿息子は火の粉程度で大混乱。
――程なくしてむせ返りが治まれば、
「ゴルルルルルッ!」
お怒りだ。ダルメシアンが俺に強い憤怒の目を向けてくる。
白い毛並みと黒の斑点を逆立てて、絶対に俺の事を許さないといった感じ。
「ガウガウッ!」
威嚇するように吠えれば、残った頭はさらに困惑。
二つの頭があれば考えもそれぞれ。
先ほどから俺がダルメシアンしか狙ってないから余計に怒りが芽生えるのだろう。
なんで自分ばっかりなんだ! ってところかな。
「さっさとやれ!」
お前に言われるまでもない! と、ダルメシアンが先行。
本体である茶毛の方が無理矢理に引っ張られており、動きに連携は見られない。
「こういった所がモドキなんだろうな」
きっと幻獣のオルトロスはツーカーな関係で、双頭が卓抜な連携を行うんだろう。
「やっぱお前等じゃ幻獣のポジションにはなれないな」
「殺せ!」
「言ってていいのかよ。なあミランド」
「まったくです」
モドキがこちらに意識を向けているから、がらんどうとなった馬鹿にミランドが容易く接近。
首を左手に持ち、右手を大きく振りかぶる。
俺もダルメシアンが咳き込んでいる時からイグニースを練りに練って収縮。
烈火の準備を終えたところで疾駆。
「次の折檻は手加減なしで頼むよ」
「分かりました」
一度、殴ったところで高慢ちきな性格は治らない。
だからこそ次は全力とばかりにミランドは腰を捻った全力姿勢。
「早くだずけろぉぉぉぉぉお!」
悲鳴にも似た馬鹿の声だが、茶毛は反応できてもダルメシアンは反応しない。
怒りの感情のままに俺へと接近しようとする。
茶毛が本体ってのもあって馬鹿の指示に従おうとするが、怒りのダルメシアンと動きがかみ合わずちぐはぐとなってしまう。
途端に双頭の怪物の動きが鈍くなる。
「これなら当てるなというのが難しいな」
ミランドを瞥見すれば――、恐怖に歪む馬鹿息子の顔面へと目がけて拳を叩き込むことに成功。
「ひぶぅ……」
情けない声とともに二度目の吹き飛ぶ姿を目にすれば、全力の折檻というのが分かるものだった。
俺もミランドを見習って全力による――、
「烈火!」
ちぐはぐで動きがダメダメなダルメシアンの鼻っ面に目がけて一撃。
爆発が生じれば、マンティコア達よりも巨大な存在が、爆発と激痛にたまらず頭を大きく振り上げる。
反動で体が棹立ちの状態となり……、
「あ……」
やってしまったと思ったが、時すでに遅かった……。
棹立ち、そのまま背中から地面へと倒れるオルトロスモドキのその位置には、吹き飛ばされたお馬鹿が起き上がろうとしたところ。
そこに大きな影が迫ってくれば、
「!? ひぃぃやぁぁぁぁぁぁ! ぐるなぁぁぁぁあ…………あっ………………」
――……力ない声の後、プチンッ! という音が聞こえた。
巨体が地面に倒れ込む重々しい音よりも、小さな何かが圧力によって潰れたような音の方がしっかりと耳朶に届いた……。
「あ、ああ……」
なんてこった……。
ああ! どうしよう!!
「やってしまいましたね!」
コクリコが俺の失態に対して口を開けば、
「殺っちまったな!」
正面から返す俺。
まさかこんな事で馬鹿息子――もとい、カリオネルの命を奪う事になるなんて……。
命を奪う経験はしている。
人間の命を奪う事は今回の北伐でS級さん達に俺が指示を出し、実行させた。
その感覚があるからか、一人の命を奪う事に後悔の気持ちもあるが、それ以上に今後の情報を失った損失の方が大きいという事に重きを置いている俺がいた。
モロトフカクテルの爆発で大きく咳き込むダルメシアンのせいで、俺への攻撃は中断といったところ。
流石に口から炎を出すだけあって、痛みは感じてもモロトフによる炎の爆発ダメージは軽微なようだな。
咳き込む度に、俺に放とうとしていた炎が口から飛沫のように吐き出される。
炎ではなく火の粉のようだった。
「こ、こら! こちらに向けて吐き出すな!」
馬鹿息子は火の粉程度で大混乱。
――程なくしてむせ返りが治まれば、
「ゴルルルルルッ!」
お怒りだ。ダルメシアンが俺に強い憤怒の目を向けてくる。
白い毛並みと黒の斑点を逆立てて、絶対に俺の事を許さないといった感じ。
「ガウガウッ!」
威嚇するように吠えれば、残った頭はさらに困惑。
二つの頭があれば考えもそれぞれ。
先ほどから俺がダルメシアンしか狙ってないから余計に怒りが芽生えるのだろう。
なんで自分ばっかりなんだ! ってところかな。
「さっさとやれ!」
お前に言われるまでもない! と、ダルメシアンが先行。
本体である茶毛の方が無理矢理に引っ張られており、動きに連携は見られない。
「こういった所がモドキなんだろうな」
きっと幻獣のオルトロスはツーカーな関係で、双頭が卓抜な連携を行うんだろう。
「やっぱお前等じゃ幻獣のポジションにはなれないな」
「殺せ!」
「言ってていいのかよ。なあミランド」
「まったくです」
モドキがこちらに意識を向けているから、がらんどうとなった馬鹿にミランドが容易く接近。
首を左手に持ち、右手を大きく振りかぶる。
俺もダルメシアンが咳き込んでいる時からイグニースを練りに練って収縮。
烈火の準備を終えたところで疾駆。
「次の折檻は手加減なしで頼むよ」
「分かりました」
一度、殴ったところで高慢ちきな性格は治らない。
だからこそ次は全力とばかりにミランドは腰を捻った全力姿勢。
「早くだずけろぉぉぉぉぉお!」
悲鳴にも似た馬鹿の声だが、茶毛は反応できてもダルメシアンは反応しない。
怒りの感情のままに俺へと接近しようとする。
茶毛が本体ってのもあって馬鹿の指示に従おうとするが、怒りのダルメシアンと動きがかみ合わずちぐはぐとなってしまう。
途端に双頭の怪物の動きが鈍くなる。
「これなら当てるなというのが難しいな」
ミランドを瞥見すれば――、恐怖に歪む馬鹿息子の顔面へと目がけて拳を叩き込むことに成功。
「ひぶぅ……」
情けない声とともに二度目の吹き飛ぶ姿を目にすれば、全力の折檻というのが分かるものだった。
俺もミランドを見習って全力による――、
「烈火!」
ちぐはぐで動きがダメダメなダルメシアンの鼻っ面に目がけて一撃。
爆発が生じれば、マンティコア達よりも巨大な存在が、爆発と激痛にたまらず頭を大きく振り上げる。
反動で体が棹立ちの状態となり……、
「あ……」
やってしまったと思ったが、時すでに遅かった……。
棹立ち、そのまま背中から地面へと倒れるオルトロスモドキのその位置には、吹き飛ばされたお馬鹿が起き上がろうとしたところ。
そこに大きな影が迫ってくれば、
「!? ひぃぃやぁぁぁぁぁぁ! ぐるなぁぁぁぁあ…………あっ………………」
――……力ない声の後、プチンッ! という音が聞こえた。
巨体が地面に倒れ込む重々しい音よりも、小さな何かが圧力によって潰れたような音の方がしっかりと耳朶に届いた……。
「あ、ああ……」
なんてこった……。
ああ! どうしよう!!
「やってしまいましたね!」
コクリコが俺の失態に対して口を開けば、
「殺っちまったな!」
正面から返す俺。
まさかこんな事で馬鹿息子――もとい、カリオネルの命を奪う事になるなんて……。
命を奪う経験はしている。
人間の命を奪う事は今回の北伐でS級さん達に俺が指示を出し、実行させた。
その感覚があるからか、一人の命を奪う事に後悔の気持ちもあるが、それ以上に今後の情報を失った損失の方が大きいという事に重きを置いている俺がいた。
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