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北伐
PHASE-852【注目されてます】
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「もの凄く馬鹿を馬鹿にして調子に乗ってますよ」
「乗っているな。足を掬われなければいいがな」
味方の方から俺に対してヤジっぽいツッコミが来るのはどうなのよ。
コクリコとベルの冷ややかな言い様は俺のやる気を削いでくるね。相手が大したことないとはいえ頑張ってるのに!
よし――、
「ベル。もし次にウネウネテラテラ系が来たら代わるか? 調子に乗ってる俺に手本を見せてよ」
「い、いや……。それは……だな……。トール、頑張ってくれ」
本当に嫌なのか、ベルが後退って両手を前に出して拒んできた。
でもって応援してくれるっていうね。
いいよ。女の子はそうじゃないと。だから男は頑張れるんですから。
「何をしているさっさと立つのだ!」
「に゛ぁぁぁ……」
おお、チコっぽい鳴き声になった。
弱々しいけどな。
立ち上がれば象ほどある体は震えている。
鼻面を殴られて脳が揺れているようだ。
「まだやるのか?」
俺が一歩前に出ればマンティコア達はふらつきからくる震えではなく、驚異を感じた震えを一つ大きく行い、後方へと下がる。
知性と理性が高いからこそ、これ以上、戦闘をしたところで勝てないというのが分かっているようだ。
ベストな選択だな。
「ええい! 怖じけずにたた――」
「「「「おお!」」」」
馬鹿息子の声を阻害するように大歓声が上がる。
「あらあら」
いつの間にかコロッセオの観客席にはそこそこの王兵や諸侯の兵。俺のギルドメンバーが集っていた。
観戦する中には、訛り兵と一緒になって嬉々とした表情の豪族ロンゲル氏もいる。
どうやら庭園での制圧は無事にすんだようだな。
――でもって、最も目立ち、俺のテンションが上がるのが、
「「「「トール様ぁぁぁぁぁぁ!」」」」
といった黄色い歓声がよく聞こえてくる。
野郎の声にはフィルターがかかっているのかとばかりに、女性陣の声はよく聞こえる俺の都合のいい耳。
サキュバスメイドさん達も合流してくれている。
そろって美人の皆さんに歓声をいただければやる気が出るのが男というものだ。
いや良かった。メイドさん達の歓声はないと思っていたけど、馬鹿が小出しに木箱を出してくるから観戦に間に合ったようだ。
よかったよ。一気に出せという俺の発言を真に受けなくて。
おかげで俺のテンションはMAX!
「くぅぅぅぅぅぅ! なぜ貴様のようなうだつの上がらぬヤツに!」
地団駄踏んでら。
いいだろう。皆、俺の女たちだぜ。
心の中だけでもそう思わせていただきたい。
「さっさと殺せ! マンティコア!」
嫉妬まる出しで激しくツバを飛ばして指示をだせば、
「「「「BUUUUUUUUUUUU!!!!」」」」
一斉に観客席からのブーイングが上がる。
これに目を泳がせている馬鹿息子。
あいつにとってホームのはずなのに、完全にアウェーになってるな。
このブーイングにはマンティコア達も気圧されてしまっているのか、耳を力なく寝かせてしまう。
――俺がさっと手を挙げると、ピタリとブーイングが止むのはなんとも小気味がいい。
完全に俺のフィールドになった事で、馬鹿息子はようやく敗北が自分の背後に迫っていることを理解したのか、あわあわとし始める。
「というか今更かよ……」
呆れ口調の独白が漏れてしまう。
まあいい。
「さあ降伏しろ。マンティコア達は戦いたがっていない」
すっと三頭に掌を見せるようにして威圧すれば、完全に及び腰。
唸りを上げて威嚇するなんて事はない。猫のように尻尾を後ろ足の間に巻き込ませている。
完全に俺に恐怖しているようだ。
凄いね。俺がデッカい生物――しかも三頭。手を向けただけで制する事が出来るまでに強くなれたなんてね。
「なんと情けない。これがマンティコアの限界か」
「違うっての。飼い主にそこまでの思いがないからだろ。うちのチコは優秀だぞ」
「ええい! 次だ! とっておきを見せてやる!」
「とっておきとか言わないでお前が出てこいよ」
「馬鹿め! 個人の力などたかが知れている。それを集約させて有能な力として使うのが俺の力だ」
なんだよ。結構まともな政治屋みたいな事も言えるんだな。
まあ、コイツの場合は逃げ口上なんだろうけどさ。
言葉が全然ひびいてこないからね。こんなヘタレが言ったところで薄っぺらい虚言としてしか伝わってこない。
やっぱり貴族や政治屋の演説ってのは、何を言うかじゃなく、誰が言うかだな。
聞き手を魅了する者じゃないと、まず話を聞いてもらえないからな。
コイツじゃ誰も耳をかさないよ。
かさないどころか、再び巻き起こるブーイングの嵐。
「乗っているな。足を掬われなければいいがな」
味方の方から俺に対してヤジっぽいツッコミが来るのはどうなのよ。
コクリコとベルの冷ややかな言い様は俺のやる気を削いでくるね。相手が大したことないとはいえ頑張ってるのに!
よし――、
「ベル。もし次にウネウネテラテラ系が来たら代わるか? 調子に乗ってる俺に手本を見せてよ」
「い、いや……。それは……だな……。トール、頑張ってくれ」
本当に嫌なのか、ベルが後退って両手を前に出して拒んできた。
でもって応援してくれるっていうね。
いいよ。女の子はそうじゃないと。だから男は頑張れるんですから。
「何をしているさっさと立つのだ!」
「に゛ぁぁぁ……」
おお、チコっぽい鳴き声になった。
弱々しいけどな。
立ち上がれば象ほどある体は震えている。
鼻面を殴られて脳が揺れているようだ。
「まだやるのか?」
俺が一歩前に出ればマンティコア達はふらつきからくる震えではなく、驚異を感じた震えを一つ大きく行い、後方へと下がる。
知性と理性が高いからこそ、これ以上、戦闘をしたところで勝てないというのが分かっているようだ。
ベストな選択だな。
「ええい! 怖じけずにたた――」
「「「「おお!」」」」
馬鹿息子の声を阻害するように大歓声が上がる。
「あらあら」
いつの間にかコロッセオの観客席にはそこそこの王兵や諸侯の兵。俺のギルドメンバーが集っていた。
観戦する中には、訛り兵と一緒になって嬉々とした表情の豪族ロンゲル氏もいる。
どうやら庭園での制圧は無事にすんだようだな。
――でもって、最も目立ち、俺のテンションが上がるのが、
「「「「トール様ぁぁぁぁぁぁ!」」」」
といった黄色い歓声がよく聞こえてくる。
野郎の声にはフィルターがかかっているのかとばかりに、女性陣の声はよく聞こえる俺の都合のいい耳。
サキュバスメイドさん達も合流してくれている。
そろって美人の皆さんに歓声をいただければやる気が出るのが男というものだ。
いや良かった。メイドさん達の歓声はないと思っていたけど、馬鹿が小出しに木箱を出してくるから観戦に間に合ったようだ。
よかったよ。一気に出せという俺の発言を真に受けなくて。
おかげで俺のテンションはMAX!
「くぅぅぅぅぅぅ! なぜ貴様のようなうだつの上がらぬヤツに!」
地団駄踏んでら。
いいだろう。皆、俺の女たちだぜ。
心の中だけでもそう思わせていただきたい。
「さっさと殺せ! マンティコア!」
嫉妬まる出しで激しくツバを飛ばして指示をだせば、
「「「「BUUUUUUUUUUUU!!!!」」」」
一斉に観客席からのブーイングが上がる。
これに目を泳がせている馬鹿息子。
あいつにとってホームのはずなのに、完全にアウェーになってるな。
このブーイングにはマンティコア達も気圧されてしまっているのか、耳を力なく寝かせてしまう。
――俺がさっと手を挙げると、ピタリとブーイングが止むのはなんとも小気味がいい。
完全に俺のフィールドになった事で、馬鹿息子はようやく敗北が自分の背後に迫っていることを理解したのか、あわあわとし始める。
「というか今更かよ……」
呆れ口調の独白が漏れてしまう。
まあいい。
「さあ降伏しろ。マンティコア達は戦いたがっていない」
すっと三頭に掌を見せるようにして威圧すれば、完全に及び腰。
唸りを上げて威嚇するなんて事はない。猫のように尻尾を後ろ足の間に巻き込ませている。
完全に俺に恐怖しているようだ。
凄いね。俺がデッカい生物――しかも三頭。手を向けただけで制する事が出来るまでに強くなれたなんてね。
「なんと情けない。これがマンティコアの限界か」
「違うっての。飼い主にそこまでの思いがないからだろ。うちのチコは優秀だぞ」
「ええい! 次だ! とっておきを見せてやる!」
「とっておきとか言わないでお前が出てこいよ」
「馬鹿め! 個人の力などたかが知れている。それを集約させて有能な力として使うのが俺の力だ」
なんだよ。結構まともな政治屋みたいな事も言えるんだな。
まあ、コイツの場合は逃げ口上なんだろうけどさ。
言葉が全然ひびいてこないからね。こんなヘタレが言ったところで薄っぺらい虚言としてしか伝わってこない。
やっぱり貴族や政治屋の演説ってのは、何を言うかじゃなく、誰が言うかだな。
聞き手を魅了する者じゃないと、まず話を聞いてもらえないからな。
コイツじゃ誰も耳をかさないよ。
かさないどころか、再び巻き起こるブーイングの嵐。
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