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北伐
PHASE-848【コロッセオ】
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「明るいな」
通路の先から光が差す。次の広間なのか、それとも外へと続くのか。
――結果は、
「外であり、空間でもあるな」
よくもまあ――
「無駄な物を建設している」
「ですよね」
俺の心の発言を続けてくれたのはゲッコーさん。
火山灰などを使用したローマンコンクリートにも似た材料を使用しての建築物の中に俺たちは立っている。
上を見ればしっかりと空。
淡い朱色に染まる時間帯。
夕陽が沈み、宵の藍色へと変わる前ってところか。
なので通路の先から差した光は空が原因ではない。
方々に立つ白光色の外灯が光の原因。まるでグランドなんかのナイター照明のようだった。
「本当にここまでこれたか。ガリオン達も存外に不甲斐ない」
「おう。胸くそ悪い声による7.1サラウンドは地獄だぜ」
俯瞰から見れば円形の形状となっているだろう建築物。
なので声が壁に反響し、いやでも全包囲から聞こえてくる空間。
「コロッセオなんて無駄なものを要塞につくるなよ」
「無駄ではない。ここは罪を犯した者を公開処刑にする場所であり、もし生き残ることが出来れば、俺の兵として戦うことが許される、誉れを得ることも出来る場所でもある」
なに胸を反らして言ってんだか……。
聞いてるこっちが恥ずかしくなってくるぞ。
謁見の間のように無駄にこった彫刻が施されている。とはいえあそこに比べれば派手さはなく、悪くはない。
後の世界で歴史的な価値がある場所にはなりそうだ。
「お前のせいでいい造りも台無しだけどな」
「本当にふざけたヤツだ!」
俺たちが立つ地面を見下ろすように、コロッセオに設けている主賓席のような場所から、相も変わらず顔真っ赤で俺にお怒りの馬鹿息子。
「馬鹿と煙は高いところが好きっていうけど本当だな」
「その口を閉じろ! 然もなくば――」
「手ずから首を刎ねてやるってか? あんな弓術しかないのにか? ハッ! 笑わせる」
コイツ相手だと気持ちいいくらいに嘲った言葉が口から溢れてくる。
「貴様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「あんまり怒らせるな」
ベルがここで割って入る。
「頭の血管が切れてそれで死なれても困る」
と、小馬鹿にするところは流石だね。
「黙って我が妃となればいいものを」
「……お前の自信はどこから来るんだよ!」
残念ルックスが勘違い発言ばかりしやがって。
俺だってそのめげないメンタルさえあれば、常にパーティーにいるベルにしつこく言い寄りたいよ。
根負けして付き合ってもらえるかもしれないからな。
「どうした?」
「なんでもないよ」
――――しつこく言い寄るよりは男磨きに励んで、必殺必中のほうが格好いいかな。
「ええい! ベルヴェットから離れろ」
「ええ……」
普通にやり取りしただけで嫉妬丸出し。
自分の恋人とすでに認定してんのかな?
ベルにとってはいい迷惑だな。
当の本人は馴れ馴れしくベルヴェットと名を出されていることに若干の疲れを見せている。
「ベルはここで待機してろよ。木箱の中身は理解できているからな。あいつの自信は俺たちの想像通りだろうさ。それが出てきた時、サクサクと解決してあいつの自信を粉々にしてやる」
「では任せよう。粉々どころか、塵も残すな」
「お、おう」
厳しいね~。
「だから親しくするな! 我が妃だぞ」
俺の妃だよ! って即答で言えたら格好いいんだろうけどな。
「俺の仲間だよ。勝手に妃にするな!」
が、関の山だった。
通路の先から光が差す。次の広間なのか、それとも外へと続くのか。
――結果は、
「外であり、空間でもあるな」
よくもまあ――
「無駄な物を建設している」
「ですよね」
俺の心の発言を続けてくれたのはゲッコーさん。
火山灰などを使用したローマンコンクリートにも似た材料を使用しての建築物の中に俺たちは立っている。
上を見ればしっかりと空。
淡い朱色に染まる時間帯。
夕陽が沈み、宵の藍色へと変わる前ってところか。
なので通路の先から差した光は空が原因ではない。
方々に立つ白光色の外灯が光の原因。まるでグランドなんかのナイター照明のようだった。
「本当にここまでこれたか。ガリオン達も存外に不甲斐ない」
「おう。胸くそ悪い声による7.1サラウンドは地獄だぜ」
俯瞰から見れば円形の形状となっているだろう建築物。
なので声が壁に反響し、いやでも全包囲から聞こえてくる空間。
「コロッセオなんて無駄なものを要塞につくるなよ」
「無駄ではない。ここは罪を犯した者を公開処刑にする場所であり、もし生き残ることが出来れば、俺の兵として戦うことが許される、誉れを得ることも出来る場所でもある」
なに胸を反らして言ってんだか……。
聞いてるこっちが恥ずかしくなってくるぞ。
謁見の間のように無駄にこった彫刻が施されている。とはいえあそこに比べれば派手さはなく、悪くはない。
後の世界で歴史的な価値がある場所にはなりそうだ。
「お前のせいでいい造りも台無しだけどな」
「本当にふざけたヤツだ!」
俺たちが立つ地面を見下ろすように、コロッセオに設けている主賓席のような場所から、相も変わらず顔真っ赤で俺にお怒りの馬鹿息子。
「馬鹿と煙は高いところが好きっていうけど本当だな」
「その口を閉じろ! 然もなくば――」
「手ずから首を刎ねてやるってか? あんな弓術しかないのにか? ハッ! 笑わせる」
コイツ相手だと気持ちいいくらいに嘲った言葉が口から溢れてくる。
「貴様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「あんまり怒らせるな」
ベルがここで割って入る。
「頭の血管が切れてそれで死なれても困る」
と、小馬鹿にするところは流石だね。
「黙って我が妃となればいいものを」
「……お前の自信はどこから来るんだよ!」
残念ルックスが勘違い発言ばかりしやがって。
俺だってそのめげないメンタルさえあれば、常にパーティーにいるベルにしつこく言い寄りたいよ。
根負けして付き合ってもらえるかもしれないからな。
「どうした?」
「なんでもないよ」
――――しつこく言い寄るよりは男磨きに励んで、必殺必中のほうが格好いいかな。
「ええい! ベルヴェットから離れろ」
「ええ……」
普通にやり取りしただけで嫉妬丸出し。
自分の恋人とすでに認定してんのかな?
ベルにとってはいい迷惑だな。
当の本人は馴れ馴れしくベルヴェットと名を出されていることに若干の疲れを見せている。
「ベルはここで待機してろよ。木箱の中身は理解できているからな。あいつの自信は俺たちの想像通りだろうさ。それが出てきた時、サクサクと解決してあいつの自信を粉々にしてやる」
「では任せよう。粉々どころか、塵も残すな」
「お、おう」
厳しいね~。
「だから親しくするな! 我が妃だぞ」
俺の妃だよ! って即答で言えたら格好いいんだろうけどな。
「俺の仲間だよ。勝手に妃にするな!」
が、関の山だった。
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