847 / 1,668
北伐
PHASE-847【後は折檻だけ】
しおりを挟む
「まあいいんだけどな。こんな状況下だし」
「ですよ……ね」
「後で約束通りベルに見せてやればいい。馬鹿息子の時でなく、直接ベルと試合でもして――な」
「…………」
嫌でございます! 試合ではなく俺が死絶の死合にしかならないからね! っと反論したかったが、ゲッコーさんの目が本気なものだったので反論は出来ず、首肯で返すしかなかった……。
じゃないとこの場で死絶になりかねない……。
本当に、この人達は俺に対してスパルタすぎるよ……。
インスタントで力を簡単に得るとか絶対に許さないといった意思が伝わってくる。
お手軽にストレージデータからポンポン召喚できない原因でもある。
俺の最強データを召喚したら絶対に激オコするだろうな……。
出したくても出せない。
有っても押せない核のボタンみたいなもんだ。
「じゃあ試合も見たいし、さっさと終わらせようか」
「……了解です」
声のトーンがマジすぎて肯定だけを強いるパワハラオーラのゲッコーさん。
ガリオンのオーラアーマーの方がよっぽど攻めやすい……。
「トール。とりあえずコイツ等はどうします?」
敗者に対する尊厳を少しは覚えるべきなんだろうが、今回の連中は同情するような相手でもないからな。倒れているそいつ等を踏みつけているコクリコを見ても注意はしなかった。
ゲッコーさんが登場したあたりから兵士たちも謁見の間へと到着。
到着したばかりで申し訳ないけども兵士たちに拘束を任せ――、
「大物は逃したか」
と残念がる高順氏も征東騎士団たちと共に入ってくる。
お見事なくらいに白銀の鎧には傷も返り血もなく、戦場に赴いたとき同様に輝いていた。
「中央を攻めてくれたから、他が手薄になってたんで助かりました」
「そう言ってもらえると助かる」
「高順氏にはこの謁見の間と、まだ抵抗している勢力が近辺にいるでしょうから制圧をお願いしたいです。後――コイツも」
白目になっているガリオンを指さしてお願いする。
高順氏に任せておけば、抵抗したとしても直ぐさま無抵抗にしてくれるだろうからね。
快諾してくれるあたり話の分かる武人である。
本当に、なんで冷遇されていた呂布の下にいて、更には一緒に殉じたのか謎すぎる。
生き残っていれば絶対、後世に名をはせた武将になっていただろうに。
俺はしっかりと厚遇するけどね。
呂布のように甘言に耳を傾けて、諫言を煩わしく思うような人間にはならないよ。
だからゲッコーさんの言葉にはしっかりと首肯で返したわけですから……。
――――有能な人材達によって相手側の拘束はほぼ終わったので、俺は俺のパーティーと共に先へと進む。
ラルゴ達はここで一息だな。
リンがまだ到着していないけども、報告に来たエルダースケルトンによれば、練兵場一帯の制圧が完了したからゾンビ兵となった死者を丁重に埋葬した後、合流するということだった。
ゾンビ兵を連れ立っての行動となれば、王様の戦いの品位を下げると判断したようだ。
いつまでも死者を弄ぶような行為もよくないからな。
戦闘で奪われた命も多いだろうから、その者達の供養も任せよう。
ネクロマンサーでアンデッドなリンに任せるってのも変な話だけど。
――謁見の間より更に先。
シンメトリーからなる白亜の柱が立つ通路を駆ける俺たち。
抵抗勢力はほぼ残っていない。
ガリオンを倒した事で、傭兵団たちの動きは鳴りを潜めていた。
その代わりに、
「ここから先は通さん!」
「忠勤だね」
要塞を守っている正規兵が俺たちの前に数人立ちふさがる。
士気は低くても、自分たちが兵だという矜持と、兵という任を全うするといったところ。
馬鹿にはもったいないくらいに胆力のある兵達だ。
なので全力で殴ってやろう。
手心を加えれば失礼だろうからな。
命を奪う事だけは回避だ。後の魔王軍との戦いで活躍してもらいたいからな。
てなわけで、
「押し通るぞ」
矜持を持つ者達の腰を落としての踏ん張る姿勢は綺麗なもの。
カイトシールドを前面に出して構えることで、攻撃よりも守勢にて俺たちの動きを押しとどめようとする気概。
選択肢がそれしかないというのが本当のところなんだろうけどな。
カイトシールドに拳を打ち込めばそれだけで兵は後方へと吹き飛んでくれる。
両隣の者達が飛ばされる味方を顧みずに俺へとシールドバッシュを仕掛けてくるが、
「遅い」
穴の空いた部分に足を踏み入れ、両隣の兵士たちの顎先に拳を打ち込めばそれで終わる。
「綺麗だな。今のはいい動きだった」
言いつつ既にゲッコーさんが残りの兵達を投げて投げて、絞めて終わらせていた。
俺なんかよりも遙かに早い制圧からの称賛。
嬉しくもあり、悔しくもあるというもの。
もっと強くならないとな。
「ですよ……ね」
「後で約束通りベルに見せてやればいい。馬鹿息子の時でなく、直接ベルと試合でもして――な」
「…………」
嫌でございます! 試合ではなく俺が死絶の死合にしかならないからね! っと反論したかったが、ゲッコーさんの目が本気なものだったので反論は出来ず、首肯で返すしかなかった……。
じゃないとこの場で死絶になりかねない……。
本当に、この人達は俺に対してスパルタすぎるよ……。
インスタントで力を簡単に得るとか絶対に許さないといった意思が伝わってくる。
お手軽にストレージデータからポンポン召喚できない原因でもある。
俺の最強データを召喚したら絶対に激オコするだろうな……。
出したくても出せない。
有っても押せない核のボタンみたいなもんだ。
「じゃあ試合も見たいし、さっさと終わらせようか」
「……了解です」
声のトーンがマジすぎて肯定だけを強いるパワハラオーラのゲッコーさん。
ガリオンのオーラアーマーの方がよっぽど攻めやすい……。
「トール。とりあえずコイツ等はどうします?」
敗者に対する尊厳を少しは覚えるべきなんだろうが、今回の連中は同情するような相手でもないからな。倒れているそいつ等を踏みつけているコクリコを見ても注意はしなかった。
ゲッコーさんが登場したあたりから兵士たちも謁見の間へと到着。
到着したばかりで申し訳ないけども兵士たちに拘束を任せ――、
「大物は逃したか」
と残念がる高順氏も征東騎士団たちと共に入ってくる。
お見事なくらいに白銀の鎧には傷も返り血もなく、戦場に赴いたとき同様に輝いていた。
「中央を攻めてくれたから、他が手薄になってたんで助かりました」
「そう言ってもらえると助かる」
「高順氏にはこの謁見の間と、まだ抵抗している勢力が近辺にいるでしょうから制圧をお願いしたいです。後――コイツも」
白目になっているガリオンを指さしてお願いする。
高順氏に任せておけば、抵抗したとしても直ぐさま無抵抗にしてくれるだろうからね。
快諾してくれるあたり話の分かる武人である。
本当に、なんで冷遇されていた呂布の下にいて、更には一緒に殉じたのか謎すぎる。
生き残っていれば絶対、後世に名をはせた武将になっていただろうに。
俺はしっかりと厚遇するけどね。
呂布のように甘言に耳を傾けて、諫言を煩わしく思うような人間にはならないよ。
だからゲッコーさんの言葉にはしっかりと首肯で返したわけですから……。
――――有能な人材達によって相手側の拘束はほぼ終わったので、俺は俺のパーティーと共に先へと進む。
ラルゴ達はここで一息だな。
リンがまだ到着していないけども、報告に来たエルダースケルトンによれば、練兵場一帯の制圧が完了したからゾンビ兵となった死者を丁重に埋葬した後、合流するということだった。
ゾンビ兵を連れ立っての行動となれば、王様の戦いの品位を下げると判断したようだ。
いつまでも死者を弄ぶような行為もよくないからな。
戦闘で奪われた命も多いだろうから、その者達の供養も任せよう。
ネクロマンサーでアンデッドなリンに任せるってのも変な話だけど。
――謁見の間より更に先。
シンメトリーからなる白亜の柱が立つ通路を駆ける俺たち。
抵抗勢力はほぼ残っていない。
ガリオンを倒した事で、傭兵団たちの動きは鳴りを潜めていた。
その代わりに、
「ここから先は通さん!」
「忠勤だね」
要塞を守っている正規兵が俺たちの前に数人立ちふさがる。
士気は低くても、自分たちが兵だという矜持と、兵という任を全うするといったところ。
馬鹿にはもったいないくらいに胆力のある兵達だ。
なので全力で殴ってやろう。
手心を加えれば失礼だろうからな。
命を奪う事だけは回避だ。後の魔王軍との戦いで活躍してもらいたいからな。
てなわけで、
「押し通るぞ」
矜持を持つ者達の腰を落としての踏ん張る姿勢は綺麗なもの。
カイトシールドを前面に出して構えることで、攻撃よりも守勢にて俺たちの動きを押しとどめようとする気概。
選択肢がそれしかないというのが本当のところなんだろうけどな。
カイトシールドに拳を打ち込めばそれだけで兵は後方へと吹き飛んでくれる。
両隣の者達が飛ばされる味方を顧みずに俺へとシールドバッシュを仕掛けてくるが、
「遅い」
穴の空いた部分に足を踏み入れ、両隣の兵士たちの顎先に拳を打ち込めばそれで終わる。
「綺麗だな。今のはいい動きだった」
言いつつ既にゲッコーさんが残りの兵達を投げて投げて、絞めて終わらせていた。
俺なんかよりも遙かに早い制圧からの称賛。
嬉しくもあり、悔しくもあるというもの。
もっと強くならないとな。
0
お気に入りに追加
447
あなたにおすすめの小説
初夜に「君を愛するつもりはない」と夫から言われた妻のその後
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
結婚式の日の夜。夫のイアンは妻のケイトに向かって「お前を愛するつもりはない」と言い放つ。
ケイトは知っていた。イアンには他に好きな女性がいるのだ。この結婚は家のため。そうわかっていたはずなのに――。
※短いお話です。
※恋愛要素が薄いのでファンタジーです。おまけ程度です。
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)
いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。
全く親父の奴!勝手に消えやがって!
親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。
俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。
母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。
なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな?
なら、出ていくよ!
俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ!
これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。
カクヨム様にて先行掲載中です。
不定期更新です。
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断
Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。
23歳の公爵家当主ジークヴァルト。
年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。
ただの女友達だと彼は言う。
だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。
彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。
また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。
エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。
覆す事は出来ない。
溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。
そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。
二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。
これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。
エルネスティーネは限界だった。
一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。
初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。
だから愛する男の前で死を選ぶ。
永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。
矛盾した想いを抱え彼女は今――――。
長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。
センシティブな所へ触れるかもしれません。
これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。
だから聖女はいなくなった
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」
レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。
彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。
だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。
キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。
※7万字程度の中編です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる