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北伐
PHASE-846【現状、回避成功。現状は……】
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「なにを偉そうに言ってんだか」
ぬぅシャルナか。
いつもいつも横から出てきては俺の計画を狂わせるからな。
このタイミングでの登場は俺にとってはおもしろくない。
おピンク街の時だって横からしゃしゃり出た結果、ベルと対決となり計画が頓挫したからな。
「なんだシャルナ」
心底で声を整えてから口に出す。
「トールだって勝手に行動してたでしょ」
「それは認めよう。確かに俺は浅はかで愚かだった」
「え!? 素直」
当たり前だろう。こういう時は素直になるのがいいんだよ。
「皆に迷惑をかけてしまったのは事実。しかも単独行動の愚かさも身を持って知ったからな。余計に申し訳なく思っている」
とまあこの様に下から下からと発言を行い、典雅な一礼で謝罪すればいいのですよ。
謝罪している以上、それ以上の追及をすれば野暮というもの。
そうなればこの状況を見ている第三者ポジションであるラルゴ達は、攻め手側に対して冷たい目を向けるものさ。
思い出すね――――。小学校の時をさ。
いじめっ子が俺に意地悪をし、周囲の皆は俺を可哀想だと同情していた。
が、あまりにもしつこかったので殴ったら、いじめっ子が大号泣。次の瞬間には俺に対して冷ややかな目を向けてきたもんな~。
小学生って、政治屋もびっくりするくらいの掌返しを見せる時があるよね。
その経験を活かすことで、シャルナはラルゴ達から冷ややかな視線を受ける事になる。
そこまで言う必要があるのか? 勇者が謝罪をしているのにまだ何か言おうとしている。折角の勝利の余韻が台無しだ。などなど――。
俺にとって素晴らしい援護射撃であるヤジだ。
「本当に猛反しているよ。単独行動の愚は目も当てられない」
単身で動き周り、戦わなくていい連中と一人で戦う羽目になり、更に時間を無駄に使ったこともしっかりと伝える。
まあ別段、苦戦もしない相手ばかりだったけど。
ガリオン以外は本当に大したことなかったからな。
「すまないベル。そしてシャルナ!」
「まあ、今回は私も指摘を受けてしまう立場だったからな。ここでトールを叱責しても説得力にかけるというものだ」
「いや、うん……。反省しているならいいんだよ」
視線に耐えられなかったご様子。
「ありがとう二人とも」
「そうですよ。今回はトールも活躍していますからね」
コクリコが援護射撃とはありがたい。
だが今回は――は、違うぞ。今回も――な。
「私達と離れているわずかな間に、新たなる力も習得していますから」
――……ありがたくない援護射撃だった。
別にソレはいま言わなくていい。
「そうなのか?」
「……ああ、うん。覚えたよ。マスリリースってピリアを」
「離れている相手に斬撃波を飛ばすってやつだね」
「それだよシャルナ」
「ほう、そんな技を習得したのか」
「……うん」
「見てみたいな」
「見せるのは後でもいいんじゃない。今は先に進まないと」
ガリオンも倒していることだし、後は馬鹿息子だけだからな。
馬鹿息子との戦闘中に見せてあげるよと約束。
言い訳をしつつベル達から距離を取る俺。
――……迷子の失態はベルに対する反論で回避できたけど、お手軽習得がばれた場合は間違いなく怒られる。なにか言い訳を考えないとな。
「言い訳を考える時間を得たわけだ」
「ひょう!?」
心臓が飛び出しそうになる。
乱れる動悸。世界的ドラマーのドラムテクの如き激しいものだ。
いつの間にか背後に立っていたのはゲッコーさん。
猛禽を思わせる鋭い眼光。
炯眼は俺をしっかりと捕捉している。
歴戦の勇士が戦場にて培ってきた洞察力をもってすれば、俺の思惑など透けて見えているようだ……。
ぬぅシャルナか。
いつもいつも横から出てきては俺の計画を狂わせるからな。
このタイミングでの登場は俺にとってはおもしろくない。
おピンク街の時だって横からしゃしゃり出た結果、ベルと対決となり計画が頓挫したからな。
「なんだシャルナ」
心底で声を整えてから口に出す。
「トールだって勝手に行動してたでしょ」
「それは認めよう。確かに俺は浅はかで愚かだった」
「え!? 素直」
当たり前だろう。こういう時は素直になるのがいいんだよ。
「皆に迷惑をかけてしまったのは事実。しかも単独行動の愚かさも身を持って知ったからな。余計に申し訳なく思っている」
とまあこの様に下から下からと発言を行い、典雅な一礼で謝罪すればいいのですよ。
謝罪している以上、それ以上の追及をすれば野暮というもの。
そうなればこの状況を見ている第三者ポジションであるラルゴ達は、攻め手側に対して冷たい目を向けるものさ。
思い出すね――――。小学校の時をさ。
いじめっ子が俺に意地悪をし、周囲の皆は俺を可哀想だと同情していた。
が、あまりにもしつこかったので殴ったら、いじめっ子が大号泣。次の瞬間には俺に対して冷ややかな目を向けてきたもんな~。
小学生って、政治屋もびっくりするくらいの掌返しを見せる時があるよね。
その経験を活かすことで、シャルナはラルゴ達から冷ややかな視線を受ける事になる。
そこまで言う必要があるのか? 勇者が謝罪をしているのにまだ何か言おうとしている。折角の勝利の余韻が台無しだ。などなど――。
俺にとって素晴らしい援護射撃であるヤジだ。
「本当に猛反しているよ。単独行動の愚は目も当てられない」
単身で動き周り、戦わなくていい連中と一人で戦う羽目になり、更に時間を無駄に使ったこともしっかりと伝える。
まあ別段、苦戦もしない相手ばかりだったけど。
ガリオン以外は本当に大したことなかったからな。
「すまないベル。そしてシャルナ!」
「まあ、今回は私も指摘を受けてしまう立場だったからな。ここでトールを叱責しても説得力にかけるというものだ」
「いや、うん……。反省しているならいいんだよ」
視線に耐えられなかったご様子。
「ありがとう二人とも」
「そうですよ。今回はトールも活躍していますからね」
コクリコが援護射撃とはありがたい。
だが今回は――は、違うぞ。今回も――な。
「私達と離れているわずかな間に、新たなる力も習得していますから」
――……ありがたくない援護射撃だった。
別にソレはいま言わなくていい。
「そうなのか?」
「……ああ、うん。覚えたよ。マスリリースってピリアを」
「離れている相手に斬撃波を飛ばすってやつだね」
「それだよシャルナ」
「ほう、そんな技を習得したのか」
「……うん」
「見てみたいな」
「見せるのは後でもいいんじゃない。今は先に進まないと」
ガリオンも倒していることだし、後は馬鹿息子だけだからな。
馬鹿息子との戦闘中に見せてあげるよと約束。
言い訳をしつつベル達から距離を取る俺。
――……迷子の失態はベルに対する反論で回避できたけど、お手軽習得がばれた場合は間違いなく怒られる。なにか言い訳を考えないとな。
「言い訳を考える時間を得たわけだ」
「ひょう!?」
心臓が飛び出しそうになる。
乱れる動悸。世界的ドラマーのドラムテクの如き激しいものだ。
いつの間にか背後に立っていたのはゲッコーさん。
猛禽を思わせる鋭い眼光。
炯眼は俺をしっかりと捕捉している。
歴戦の勇士が戦場にて培ってきた洞察力をもってすれば、俺の思惑など透けて見えているようだ……。
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