831 / 1,580
北伐
PHASE-831【本丸めざして】
しおりを挟む
一度戦闘の経験はあるけど、ディザスターナイトの本当の強さを理解した。
ディザスターナイトの固有能力である【インフェクション】によるゾンビ兵の誕生。
なるほど――な。以前コクリコから聞いた話では、ディザスターナイトに襲われた大きな町が一夜にして死者の町になったというのも頷ける。
ディザスターナイトの強さは個の武というより、自らが戦力を増やしていくことで、蚕食のようにジワジワと侵攻するといった強さなんだな。
この要塞で一体のディザスターナイトが暴れるだけで全てが解決することだろう。
決して王の戦いとしては相応しくないけど。
「あんまり前に出させるなよ」
「分かってるわよ。アンデッドがこの戦いにおいて、勝利の原因となるような事にはしないわよ」
この一帯を占拠するためだけに投入するそうだ。
数ではこちらが有利だけども、入り組んだ要塞の各所を占拠するためには戦力を分散させないといけない。
少しでもそれを軽減させるための行動らしいし、王様からは許可をもらっているそうだ。
まあリンが言えば二つ返事だろう。
王侯貴族の面々は太祖の時代の英雄に心酔しているからな。
「で、俺をここに呼んだのは?」
「ここを占拠したのもこの先が本丸に続く道だからよ」
「なるほど」
メインルートは高順氏たちが押し込んでいる。
それでも向こう側も抵抗を見せているそうで、こちらのルートから迂回して一気に馬鹿息子がいるであろう謁見の間まで攻めるといったところ。
謁見の間は俺たちが会談で使用した部屋の更に奥になるそうだ。
前回使用した部屋は、いわば謁見の間で馬鹿息子が準備を終えるまでに、来訪者が待機するための控え室のような役割を持った部屋だったようだ。
「さあ、道をひらいてあげるから行ってきなさい」
「サンキュー。で、ベル達は?」
「貴男が勝手に進んでいなくなってしまったから、仕方がないので各所の占拠に動いてるわよ。あの面子だからあっという間に終わらせるでしょうね」
「分かったよ……」
絶対に俺の単独行動を怒っていることだろうな……。
あっという間に終わるってのがね……。喜ばしいことだけど、直ぐに終わるとなれば、俺が怒られるのも直ぐにやって来るのが嫌だな……。
「よし!」
少しでも心証をよくするために、ここは手柄を得るか。
とりあえずは馬鹿息子は確実に俺が殴る。
殴るといえば――、
「リンも来るんだろ」
「ここの占拠が出来て、代わりの兵達が合流したらね。それまでにお馬鹿さんを倒さないように」
「任せろ」
ミランドにも参加してもらいたいからな。
「さあどけ! どかないと皆むごたらしく死ぬことになるぞ! 抵抗しないで投降すれば助かるぞ」
俺の発言に合わせてリンが命じたようで、ディザスターナイトやゾンビ兵たちの攻撃が緩くなる。
「イィィィハァァァァァァ!」
「うるさい!」
バガンと籠手による裏拳を見舞う。
キノコでハイになっている連中は力の差を考えないで挑んでくる。
群れるようにディザスターナイトにも襲いかかれば、攻撃が緩くなったとはいえ、挑めば当然ながら攻撃は行使される。
で、次にはゾンビ兵へと変わっていく。
「馬鹿野郎たちが!」
降参すればいいのに。くだらないドープになんか手を出すから命を失うことになるし、死者としての尊厳まで奪われるんだよ。
なんて思いつつも、むごたらしい死を目の前にしながらも強い同情を持たなくなっている俺。
魔王軍の亜人やモンスターだけでなく、同種族である人の死に対しても感情が薄まっているような気がする。
一斉射撃の命令を出したんだもんな。感情が薄れるのも当然か……。
これからの戦いで俺が心がけないといけないのは、命を軽んじないことだ。
軽く見るようになれば、闇に呑み込まれての闇堕ちルートだからな。
ディザスターナイトの固有能力である【インフェクション】によるゾンビ兵の誕生。
なるほど――な。以前コクリコから聞いた話では、ディザスターナイトに襲われた大きな町が一夜にして死者の町になったというのも頷ける。
ディザスターナイトの強さは個の武というより、自らが戦力を増やしていくことで、蚕食のようにジワジワと侵攻するといった強さなんだな。
この要塞で一体のディザスターナイトが暴れるだけで全てが解決することだろう。
決して王の戦いとしては相応しくないけど。
「あんまり前に出させるなよ」
「分かってるわよ。アンデッドがこの戦いにおいて、勝利の原因となるような事にはしないわよ」
この一帯を占拠するためだけに投入するそうだ。
数ではこちらが有利だけども、入り組んだ要塞の各所を占拠するためには戦力を分散させないといけない。
少しでもそれを軽減させるための行動らしいし、王様からは許可をもらっているそうだ。
まあリンが言えば二つ返事だろう。
王侯貴族の面々は太祖の時代の英雄に心酔しているからな。
「で、俺をここに呼んだのは?」
「ここを占拠したのもこの先が本丸に続く道だからよ」
「なるほど」
メインルートは高順氏たちが押し込んでいる。
それでも向こう側も抵抗を見せているそうで、こちらのルートから迂回して一気に馬鹿息子がいるであろう謁見の間まで攻めるといったところ。
謁見の間は俺たちが会談で使用した部屋の更に奥になるそうだ。
前回使用した部屋は、いわば謁見の間で馬鹿息子が準備を終えるまでに、来訪者が待機するための控え室のような役割を持った部屋だったようだ。
「さあ、道をひらいてあげるから行ってきなさい」
「サンキュー。で、ベル達は?」
「貴男が勝手に進んでいなくなってしまったから、仕方がないので各所の占拠に動いてるわよ。あの面子だからあっという間に終わらせるでしょうね」
「分かったよ……」
絶対に俺の単独行動を怒っていることだろうな……。
あっという間に終わるってのがね……。喜ばしいことだけど、直ぐに終わるとなれば、俺が怒られるのも直ぐにやって来るのが嫌だな……。
「よし!」
少しでも心証をよくするために、ここは手柄を得るか。
とりあえずは馬鹿息子は確実に俺が殴る。
殴るといえば――、
「リンも来るんだろ」
「ここの占拠が出来て、代わりの兵達が合流したらね。それまでにお馬鹿さんを倒さないように」
「任せろ」
ミランドにも参加してもらいたいからな。
「さあどけ! どかないと皆むごたらしく死ぬことになるぞ! 抵抗しないで投降すれば助かるぞ」
俺の発言に合わせてリンが命じたようで、ディザスターナイトやゾンビ兵たちの攻撃が緩くなる。
「イィィィハァァァァァァ!」
「うるさい!」
バガンと籠手による裏拳を見舞う。
キノコでハイになっている連中は力の差を考えないで挑んでくる。
群れるようにディザスターナイトにも襲いかかれば、攻撃が緩くなったとはいえ、挑めば当然ながら攻撃は行使される。
で、次にはゾンビ兵へと変わっていく。
「馬鹿野郎たちが!」
降参すればいいのに。くだらないドープになんか手を出すから命を失うことになるし、死者としての尊厳まで奪われるんだよ。
なんて思いつつも、むごたらしい死を目の前にしながらも強い同情を持たなくなっている俺。
魔王軍の亜人やモンスターだけでなく、同種族である人の死に対しても感情が薄まっているような気がする。
一斉射撃の命令を出したんだもんな。感情が薄れるのも当然か……。
これからの戦いで俺が心がけないといけないのは、命を軽んじないことだ。
軽く見るようになれば、闇に呑み込まれての闇堕ちルートだからな。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
432
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる