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北伐
PHASE-822【悪しき空間は断てない】
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「行くぞ。勇者と呼ばれる者」
語り口は強者のそれっぽい。
ヒャッハー系とは違って凄みがある。
「――て、無手」
のわりには、まるで刀剣を持ったような構えだな。
無精髭の金髪ソフトモヒカン。顔にはトライバル系の入れ墨が彫られている。
マジックカーブと考えるべきだろう。
もう片方は腰にロープを巻いた長身痩躯の男。焦げ茶の長髪で、目元が隠れているから相手の視線を窺えない。
「俺から仕掛ける」
「いつも通りだ」
開始の合図と共に、長身痩躯が腰部分で両手を動かせば、次には俺に向かって高速で飛んでくる物体。
ご丁寧に頭を狙ってのもの。躱せば二撃目。
身をかがめて回避すると、投擲されたものが使用者の元に戻っていく。
「ほう躱すか」
「流石は勇者だな」
と、身をかがめて躱したところにソフトモヒカンが一気に距離を詰め、正面から大上段にて振り下ろす動作。
なにを? とは考えない。身をかがめた状態から足をバネにして勢いよく後方に回避。
ヒュンという風切り音が確かに聞こえるのを確認――したところでソフトモヒカンの背後から二本の投擲物が再び俺に襲いかかる。
「なめんな!」
籠手で弾いて対応。
「この連携を対処するか」
「副団長以来だな」
二度目で長身痩躯の攻撃方法が理解できた。
腰に巻いたロープの先端には忍者が使用するクナイみたいなのがついている。
確か――中国武術で使用する鏢ってやつかな。
本来は手裏剣みたいに使う武器だったはずだ。三国志の無双系ゲームでも使用していた美人キャラがいたな。
ロープで結んだのは縄鏢っていうんだっけ?
それに近い武器だ。
にしても、長身痩躯はいい。
問題は前衛だ。
確かに風切り音がした。
手には何も持ってないように見えるが、実際は持っていると考えるべきだな。
本当に例の作品が好きでよかった。前もっての知識があれば驚きも少ないから、浮き足立つこともない。
前衛の武器は――、
「見えない剣ってやつか」
「ほう。初太刀で気付くか」
「インビジブル・エアってのがあってだな。知識はそういったのから手に入れている。なので備えることも出来る」
「ん?」
「気にしなくていい。あちらと比べると、あちらにとても失礼だからな」
「それは俺の得物を馬鹿にしているという事か」
「そらそうだろう。あっちは美少女の王様が振るう伝説の聖剣様だぞ! ランクA++の対城宝具と比べられるか! どんだけガチャを回しても振り向いてもくれない!」
「…………訳の分からん。だがこの断空のガーズを侮っていることは許せん」
ああそうですかい。
断空ね。
空間を断つって事なんだろう。見えない剣というネタバレが分かれば対応する手段もある。
でも、もしあれが魔法剣の類いとなると、見極めるのが難しくもなるだろう。
剣の間合いはどれくらいか。そんでもって魔法剣なら剣身が伸びる可能性も考慮しないといけない。
火龍装備だから安心と高をくくれば、負わなくていい手傷を負う事にも繋がる。
でもって、
「ヒュウ!」
小気味よく気迫を発しつつ高速で飛んでくる二本の鏢。
そこいらの弓兵の矢よりも速い。
横っ飛びで回避。
「シュウ!」
跳躍して体を回転させ、腰に巻いたロープをリールのように巻いて戻しつつ、更に投擲。
空中からのそれを躱せば、地面に鏢が深く突き刺さる。
「威力も抜群。技としてもしっかりしている」
「だろう。俺の相棒は凄いだろう」
「ちぃ!」
クソ! 地面に刺さってるからロープを切ってやろうと思えば、四人衆の湿布と違って、ガーズのラピッドは本物。
瞬時にして俺へと接近し、動作を封じてくる。
避けることとロープ切りに頭を使っていた俺。イグニースを発動するけども些か遅れたから展開幅が狭い。
「ファイヤーボール」
イグニースの隙間を狙うようにして火球が俺へと放たれる。
「おら!」
炎の盾を諦めて左拳を火球へと叩き込んでやる。
「なんという無茶を……」
爆発を回避する為に後方に下がるのが見えた。
でもって何となくヤツの持つ剣のタネも分かった。
語り口は強者のそれっぽい。
ヒャッハー系とは違って凄みがある。
「――て、無手」
のわりには、まるで刀剣を持ったような構えだな。
無精髭の金髪ソフトモヒカン。顔にはトライバル系の入れ墨が彫られている。
マジックカーブと考えるべきだろう。
もう片方は腰にロープを巻いた長身痩躯の男。焦げ茶の長髪で、目元が隠れているから相手の視線を窺えない。
「俺から仕掛ける」
「いつも通りだ」
開始の合図と共に、長身痩躯が腰部分で両手を動かせば、次には俺に向かって高速で飛んでくる物体。
ご丁寧に頭を狙ってのもの。躱せば二撃目。
身をかがめて回避すると、投擲されたものが使用者の元に戻っていく。
「ほう躱すか」
「流石は勇者だな」
と、身をかがめて躱したところにソフトモヒカンが一気に距離を詰め、正面から大上段にて振り下ろす動作。
なにを? とは考えない。身をかがめた状態から足をバネにして勢いよく後方に回避。
ヒュンという風切り音が確かに聞こえるのを確認――したところでソフトモヒカンの背後から二本の投擲物が再び俺に襲いかかる。
「なめんな!」
籠手で弾いて対応。
「この連携を対処するか」
「副団長以来だな」
二度目で長身痩躯の攻撃方法が理解できた。
腰に巻いたロープの先端には忍者が使用するクナイみたいなのがついている。
確か――中国武術で使用する鏢ってやつかな。
本来は手裏剣みたいに使う武器だったはずだ。三国志の無双系ゲームでも使用していた美人キャラがいたな。
ロープで結んだのは縄鏢っていうんだっけ?
それに近い武器だ。
にしても、長身痩躯はいい。
問題は前衛だ。
確かに風切り音がした。
手には何も持ってないように見えるが、実際は持っていると考えるべきだな。
本当に例の作品が好きでよかった。前もっての知識があれば驚きも少ないから、浮き足立つこともない。
前衛の武器は――、
「見えない剣ってやつか」
「ほう。初太刀で気付くか」
「インビジブル・エアってのがあってだな。知識はそういったのから手に入れている。なので備えることも出来る」
「ん?」
「気にしなくていい。あちらと比べると、あちらにとても失礼だからな」
「それは俺の得物を馬鹿にしているという事か」
「そらそうだろう。あっちは美少女の王様が振るう伝説の聖剣様だぞ! ランクA++の対城宝具と比べられるか! どんだけガチャを回しても振り向いてもくれない!」
「…………訳の分からん。だがこの断空のガーズを侮っていることは許せん」
ああそうですかい。
断空ね。
空間を断つって事なんだろう。見えない剣というネタバレが分かれば対応する手段もある。
でも、もしあれが魔法剣の類いとなると、見極めるのが難しくもなるだろう。
剣の間合いはどれくらいか。そんでもって魔法剣なら剣身が伸びる可能性も考慮しないといけない。
火龍装備だから安心と高をくくれば、負わなくていい手傷を負う事にも繋がる。
でもって、
「ヒュウ!」
小気味よく気迫を発しつつ高速で飛んでくる二本の鏢。
そこいらの弓兵の矢よりも速い。
横っ飛びで回避。
「シュウ!」
跳躍して体を回転させ、腰に巻いたロープをリールのように巻いて戻しつつ、更に投擲。
空中からのそれを躱せば、地面に鏢が深く突き刺さる。
「威力も抜群。技としてもしっかりしている」
「だろう。俺の相棒は凄いだろう」
「ちぃ!」
クソ! 地面に刺さってるからロープを切ってやろうと思えば、四人衆の湿布と違って、ガーズのラピッドは本物。
瞬時にして俺へと接近し、動作を封じてくる。
避けることとロープ切りに頭を使っていた俺。イグニースを発動するけども些か遅れたから展開幅が狭い。
「ファイヤーボール」
イグニースの隙間を狙うようにして火球が俺へと放たれる。
「おら!」
炎の盾を諦めて左拳を火球へと叩き込んでやる。
「なんという無茶を……」
爆発を回避する為に後方に下がるのが見えた。
でもって何となくヤツの持つ剣のタネも分かった。
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