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北伐
PHASE-751【名前がアウト】
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整然とした隊列に今一度、目を向ける。
軽装の黒いレザーアーマーによる工兵達の兜はやはり安全第一のためなのか、しっかりとした金属製の兜。
公爵サイドの標準装備であるケトルハットに近いけども、近代的なデザインである。
作業場の方々が被っているようなヘルメットデザインだな。
明らかにデザイン提供は――ゲッコーさんだな。
降車したゲッコーさんを見れば、いつもの如くドヤ顔でサムズアップしながら俺たちの立つ場所へとやって来る。
「本当は軽くて頑丈なABS樹脂製がいいんだが、無いからな」
「でしょうね」
「工兵の名前は黒鍬と名付けた。日本の戦国時代なんかに活躍した工兵達だ」
「へ~」
まったく知らないな。
黒鍬だからレザーアーマーに、担ったバトルスコップの柄が黒色なんだろうね。
「珍しいデザインの兜ですね。ケトルハットとも違いますが」
「自分のオリジナルですよ。侯爵」
作業用ヘルメットのようなデザインを自分のオリジナルと言い切っていいのでしょうか? ゲッコーさん。
「ケトルハットにも似てますが、何という名が付いた兜なのですかな?」
と、伯爵から聞かれれば、頤に拇指と食指を当ててうつむくようにしてしばらく考え込むと、閃いたのか正面を向く表情は自信ありのもの。
そして開いた口からは――、
「グリーンセーフティです。緑色じゃないというツッコミはなしでお願いしますよ」
なんて笑いながら爵位持ちに言ってますけどもね……。
「……絶対に怒られる案件じゃねえか!」
緑色がどうのこうのではなく、名前の部分でしっかりとツッコんであげた。
――――砦へと向かう増援と別れ、行き来がなくなり寂しさのある街道を走れば、王都外周の木壁へと到着。
誰何に答えてすんなりと開く門を潜る。
こんな乗り物に乗っているのも俺たちくらいなもんだしな。
それでも一応は止めて確認をする辺りしっかりしている。
木壁内へと入れば我が目を疑う。
「これは中々――――」
後部座席の侯爵も、中腰の前傾姿勢にて前の座席へと頭を出し、フロントガラスの先にある光景を見る。
「準備は整いつつあるという事でしょうな」
満足そうな伯爵。
木壁と城壁の間にある田園にはテントがいくつも建てられている。
刈り取りが終わり、現在使用されていない箇所だけに限定はされているようだ。
テントの外では見たこともない乗り物が王都へと向かっている事に驚きの表情を見せる兵士たちがたくさんいる。
王都兵とはまた違った装備の者達。
ざっと見て二千はいるだろう。
中には王都兵たちもいる。
北伐の準備は着々と進んでいるとばかりに、幌馬車へと麻袋を積んでいく。
公爵のとこと違って、人足だけでなく兵士たちも一緒になって運ぶところは好感が持てる。
「――――凄いね」
王都の北門を潜れば大賑わいだ。
街商はないはずなんだけど、王都の住民の皆さんが北門付近にて商売を行っている。
窓を開ければ芳ばしい香りが入ってくるし、非番や公休の兵士たちが普段着に剣を佩いた状態で飲み食いを楽しんでいた。
酒も出ているようだ。
見た顔もいる。
白い手ぬぐいを頭に巻いたのは確か――――ゲッコーさんの酒蔵で主任をしているミカルドさん? だったかな。
ドワーフの面々と一緒になって酒を振る舞っている。
ビールの味が最高なのか、兵士たちには大好評。
芳ばしい香りと共に窓から入ってくるのは訛りのある口調。二十騎で馳せ参じてくれた豪族のとこの兵士たちだな。
王都の新たなる名産となるであろうビールを楽しんでくれているのは嬉しいけども、やはり野郎たちが多いとなると――――、おピンク街がないのが申し訳なく思えてしまうよね。
毛深いドワーフ達よりも、綺麗どころにお酌してもらうほうが嬉しいだろうし、戦意高揚にも繋がると思うんだよね。
やはり諦めきれないよな。男の夢――――おピンク街!
軽装の黒いレザーアーマーによる工兵達の兜はやはり安全第一のためなのか、しっかりとした金属製の兜。
公爵サイドの標準装備であるケトルハットに近いけども、近代的なデザインである。
作業場の方々が被っているようなヘルメットデザインだな。
明らかにデザイン提供は――ゲッコーさんだな。
降車したゲッコーさんを見れば、いつもの如くドヤ顔でサムズアップしながら俺たちの立つ場所へとやって来る。
「本当は軽くて頑丈なABS樹脂製がいいんだが、無いからな」
「でしょうね」
「工兵の名前は黒鍬と名付けた。日本の戦国時代なんかに活躍した工兵達だ」
「へ~」
まったく知らないな。
黒鍬だからレザーアーマーに、担ったバトルスコップの柄が黒色なんだろうね。
「珍しいデザインの兜ですね。ケトルハットとも違いますが」
「自分のオリジナルですよ。侯爵」
作業用ヘルメットのようなデザインを自分のオリジナルと言い切っていいのでしょうか? ゲッコーさん。
「ケトルハットにも似てますが、何という名が付いた兜なのですかな?」
と、伯爵から聞かれれば、頤に拇指と食指を当ててうつむくようにしてしばらく考え込むと、閃いたのか正面を向く表情は自信ありのもの。
そして開いた口からは――、
「グリーンセーフティです。緑色じゃないというツッコミはなしでお願いしますよ」
なんて笑いながら爵位持ちに言ってますけどもね……。
「……絶対に怒られる案件じゃねえか!」
緑色がどうのこうのではなく、名前の部分でしっかりとツッコんであげた。
――――砦へと向かう増援と別れ、行き来がなくなり寂しさのある街道を走れば、王都外周の木壁へと到着。
誰何に答えてすんなりと開く門を潜る。
こんな乗り物に乗っているのも俺たちくらいなもんだしな。
それでも一応は止めて確認をする辺りしっかりしている。
木壁内へと入れば我が目を疑う。
「これは中々――――」
後部座席の侯爵も、中腰の前傾姿勢にて前の座席へと頭を出し、フロントガラスの先にある光景を見る。
「準備は整いつつあるという事でしょうな」
満足そうな伯爵。
木壁と城壁の間にある田園にはテントがいくつも建てられている。
刈り取りが終わり、現在使用されていない箇所だけに限定はされているようだ。
テントの外では見たこともない乗り物が王都へと向かっている事に驚きの表情を見せる兵士たちがたくさんいる。
王都兵とはまた違った装備の者達。
ざっと見て二千はいるだろう。
中には王都兵たちもいる。
北伐の準備は着々と進んでいるとばかりに、幌馬車へと麻袋を積んでいく。
公爵のとこと違って、人足だけでなく兵士たちも一緒になって運ぶところは好感が持てる。
「――――凄いね」
王都の北門を潜れば大賑わいだ。
街商はないはずなんだけど、王都の住民の皆さんが北門付近にて商売を行っている。
窓を開ければ芳ばしい香りが入ってくるし、非番や公休の兵士たちが普段着に剣を佩いた状態で飲み食いを楽しんでいた。
酒も出ているようだ。
見た顔もいる。
白い手ぬぐいを頭に巻いたのは確か――――ゲッコーさんの酒蔵で主任をしているミカルドさん? だったかな。
ドワーフの面々と一緒になって酒を振る舞っている。
ビールの味が最高なのか、兵士たちには大好評。
芳ばしい香りと共に窓から入ってくるのは訛りのある口調。二十騎で馳せ参じてくれた豪族のとこの兵士たちだな。
王都の新たなる名産となるであろうビールを楽しんでくれているのは嬉しいけども、やはり野郎たちが多いとなると――――、おピンク街がないのが申し訳なく思えてしまうよね。
毛深いドワーフ達よりも、綺麗どころにお酌してもらうほうが嬉しいだろうし、戦意高揚にも繋がると思うんだよね。
やはり諦めきれないよな。男の夢――――おピンク街!
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