709 / 1,668
北伐
PHASE-709【このレベリングは間違いなくチート】
しおりを挟む
もし公爵サイドと折り合いが合わずに最悪の事態になったなら、後に合流する侯爵の征東騎士団を高順氏に指揮させれば大軍相手でも怖くないな。
そうなった場合、騎士団長であるイリーに対して失礼のないようにお願いしないといけないだろうけど。
「彼の勇将が参戦してくれるのは心強い。これは我々も励みませんとな!」
「待て伯爵。まだ戦いになるとは決まっていないと言っているだろう」
とか言いながら、高順氏が参戦すると聞いた時、嬉々とした声を上げていたのを俺はしっかりと見ていましたよ。王様。
「ですが王よ、どう言い訳しようとも王土に無断で拠点を築く時点で黒とすべきです。そのような者に話し合いを勧めたところで耳を傾けますまい」
「伯爵の仰るとおりでしょう。いくら前王弟とはいえ、この様な時に混乱を招くような行動をするならば折檻も必要!」
「流石はエンドリュー候。共に励みましょうぞ!」
侯爵も伯爵も裂帛あふれる声音だね。
オリハルコン装備を互いに自慢しあう辺り、王派閥の中でも武闘派なんだろうな。
伯爵がワイルドなら、侯爵はインテリな戦い方を好みそうだ。
「ふむん。叔父上に我らは健在と戦場で見せつければ、話し合いのテーブルについてくれるかもしれんな」
「然り、然り」
王様の重厚な声に野太い声で伯爵が相槌。
何のことはない。王様も結構な武闘派なのかもしれないな。
筋骨隆々だし。
俺が出会った時は骨張った手で、今にも棺桶に体を寝かせるような感じだったのにな。
変わるもんだよ。
ま、ずっとそこを心の中でツッコんでいたが、別人になった理由がようやく理解できた。
高順氏のスキルがこの世界で適用されるって事は――――、もちろん先生もってことだろうからな。
ユニークスキル【王佐の才】
先生のいる都市に君主がいる場合、都市全域の人物の政治力が向上。全師事の向上というスキルが発動する。
この君主ってのは、主と呼ばれる俺はもちろん含まれるんだろうけど、王都の主である王様にも適用されるんだろう。
というか、王侯貴族を見る限り確実に適用されている。
「……これ、チートだな……」
「何がだ? さっきからどうしたのだトール」
ぶつぶつと独白する俺に、背後のベルが怪訝な表情になるが、そこは仕方ないと流してもらいたい。
ベルが個人でのチートなら、先生は戦略的なチート能力を有していることになる。
もちろんベルの力が十全の場合、一人でも戦略的な力を発揮するだろうけど、あくまで個だ。
先生のは集団。
王佐の才はゲーム内だと、都市全域の人物に反映する。
つまりは同じ都市にいる君主、武将や文官てことだ。それ以外はそもそも操作ができないから反映されるって事がまずない。
だがゲームとは違い、現実世界であるここだと、テキストに書かれている都市全域の人物に反映は、文字通り都市全域に影響するって事かもしれない。
だから俺達が王都に戻ってくる度に王様や臣下の皆さんが快活でやる気に漲っていて、別人にでもなったのかと錯覚を覚えたわけだ。
市井でも活気ある人々によって商いが行われているし、戦火となるかもしれない王都に残り、協力したいと言う気骨ある旅商人の方々もいたわけだ。
木壁でも黒色級の新米ギルドメンバー達が、油断のない警戒を見せてくれたし、王兵たちの対応も早かった。
もちろん皆が懸命になって、王都を復興させようという気持ちもあるんだろうけど、王都の発展速度と、兵の末端に至るまでの士気の高さは間違いなく先生のスキルが反映しているとしか考えられない。
全師事向上によって、普通に調練をするよりも、兵達の練度が高くなるという効果が間違いなく発動している。
王都に王様がいる状態で先生がいれば、王都全体のスキルがアップするわけだ。
いや……、まじでチートだぞ。
パッシブスキルで王都全域の、人物の能力向上を可能にするとかやばいくらいのチートだぞ。
聞いたことねえよ、都市規模でのレベリングなんて……。
王侯貴族に兵士だけでなく、ギルド、冒険者。果ては一般人まで師事による能力向上対象ってことなんだからな。
やっぱすげえよ先生は。
そうなった場合、騎士団長であるイリーに対して失礼のないようにお願いしないといけないだろうけど。
「彼の勇将が参戦してくれるのは心強い。これは我々も励みませんとな!」
「待て伯爵。まだ戦いになるとは決まっていないと言っているだろう」
とか言いながら、高順氏が参戦すると聞いた時、嬉々とした声を上げていたのを俺はしっかりと見ていましたよ。王様。
「ですが王よ、どう言い訳しようとも王土に無断で拠点を築く時点で黒とすべきです。そのような者に話し合いを勧めたところで耳を傾けますまい」
「伯爵の仰るとおりでしょう。いくら前王弟とはいえ、この様な時に混乱を招くような行動をするならば折檻も必要!」
「流石はエンドリュー候。共に励みましょうぞ!」
侯爵も伯爵も裂帛あふれる声音だね。
オリハルコン装備を互いに自慢しあう辺り、王派閥の中でも武闘派なんだろうな。
伯爵がワイルドなら、侯爵はインテリな戦い方を好みそうだ。
「ふむん。叔父上に我らは健在と戦場で見せつければ、話し合いのテーブルについてくれるかもしれんな」
「然り、然り」
王様の重厚な声に野太い声で伯爵が相槌。
何のことはない。王様も結構な武闘派なのかもしれないな。
筋骨隆々だし。
俺が出会った時は骨張った手で、今にも棺桶に体を寝かせるような感じだったのにな。
変わるもんだよ。
ま、ずっとそこを心の中でツッコんでいたが、別人になった理由がようやく理解できた。
高順氏のスキルがこの世界で適用されるって事は――――、もちろん先生もってことだろうからな。
ユニークスキル【王佐の才】
先生のいる都市に君主がいる場合、都市全域の人物の政治力が向上。全師事の向上というスキルが発動する。
この君主ってのは、主と呼ばれる俺はもちろん含まれるんだろうけど、王都の主である王様にも適用されるんだろう。
というか、王侯貴族を見る限り確実に適用されている。
「……これ、チートだな……」
「何がだ? さっきからどうしたのだトール」
ぶつぶつと独白する俺に、背後のベルが怪訝な表情になるが、そこは仕方ないと流してもらいたい。
ベルが個人でのチートなら、先生は戦略的なチート能力を有していることになる。
もちろんベルの力が十全の場合、一人でも戦略的な力を発揮するだろうけど、あくまで個だ。
先生のは集団。
王佐の才はゲーム内だと、都市全域の人物に反映する。
つまりは同じ都市にいる君主、武将や文官てことだ。それ以外はそもそも操作ができないから反映されるって事がまずない。
だがゲームとは違い、現実世界であるここだと、テキストに書かれている都市全域の人物に反映は、文字通り都市全域に影響するって事かもしれない。
だから俺達が王都に戻ってくる度に王様や臣下の皆さんが快活でやる気に漲っていて、別人にでもなったのかと錯覚を覚えたわけだ。
市井でも活気ある人々によって商いが行われているし、戦火となるかもしれない王都に残り、協力したいと言う気骨ある旅商人の方々もいたわけだ。
木壁でも黒色級の新米ギルドメンバー達が、油断のない警戒を見せてくれたし、王兵たちの対応も早かった。
もちろん皆が懸命になって、王都を復興させようという気持ちもあるんだろうけど、王都の発展速度と、兵の末端に至るまでの士気の高さは間違いなく先生のスキルが反映しているとしか考えられない。
全師事向上によって、普通に調練をするよりも、兵達の練度が高くなるという効果が間違いなく発動している。
王都に王様がいる状態で先生がいれば、王都全体のスキルがアップするわけだ。
いや……、まじでチートだぞ。
パッシブスキルで王都全域の、人物の能力向上を可能にするとかやばいくらいのチートだぞ。
聞いたことねえよ、都市規模でのレベリングなんて……。
王侯貴族に兵士だけでなく、ギルド、冒険者。果ては一般人まで師事による能力向上対象ってことなんだからな。
やっぱすげえよ先生は。
0
お気に入りに追加
447
あなたにおすすめの小説
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。
彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。
父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。
わー、凄いテンプレ展開ですね!
ふふふ、私はこの時を待っていた!
いざ行かん、正義の旅へ!
え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。
でも……美味しいは正義、ですよね?
2021/02/19 第一部完結
2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結
母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)
いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。
全く親父の奴!勝手に消えやがって!
親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。
俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。
母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。
なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな?
なら、出ていくよ!
俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ!
これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。
カクヨム様にて先行掲載中です。
不定期更新です。
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
【完結】公爵家の末っ子娘は嘲笑う
たくみ
ファンタジー
圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。
アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。
ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?
それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。
自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。
このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。
それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。
※小説家になろうさんで投稿始めました
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
だから聖女はいなくなった
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」
レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。
彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。
だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。
キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。
※7万字程度の中編です。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる