692 / 1,668
ダンジョン何階まで潜れる?
PHASE-692【んじゃ戻るかね】
しおりを挟む
姫も呪いが解け、侯爵の派兵準備もととのい、俺の手には霊薬。
となれば――、
「勇者殿。万事整いました」
良いタイミングで入室してきますね。侯爵。
いよいよこの地から王都へと戻る事になる。
長かった。
侯爵の体を乗っ取っていたヴァンパイアのゼノを倒し。
まさかの敵のお膝元である魔大陸まで赴き、前魔王のリズベッドに地龍を救い、バランド北にてリンと戦闘。
で、ダンジョンでイルマイユと戦闘。
霊薬であるエリクシールを得ることが出来たが、それ以上に頼れる仲間が多く出来たことが最も大きな成果だろう。
姫の呪解もなり、侯爵の軍勢の助力も得た。
最高の状態で王都に戻れる。
凱旋と言っても言いすぎじゃないだろう。
それに俺たちの懐も潤う予定だしな。
「では戻るか」
「だな」
ベルの声は場をキリッとさせる。
魔王軍との戦いのための力が整ってきた。
これから魔王軍に対して守りから反抗に打って出ることになるだろう。
その前に、王都北の公爵サイドとも話をつけないといけないんだよな。
それらが済めば、人類サイドは力を集結させる事も可能なはずだ。
霊薬を手にしてから一日が経過する。
――――蒼穹!
「最高の天気だな。旅立ちにはいい空だ」
雲一つない晴れ渡った空。
俺の心もこの空に負けないくらいに晴れやか。
もちろんコクリコも。
俺たちがダンジョンで手に入れた金塊の両替が完了。
拵えが立派な防具などが競りにて全て売れた。
リンの言うように有名な職人が作った鎧にはレアリティがあったようで、競りは白熱したと侯爵。
で、俺たちの手元には、ダーナ円形金貨が約四千枚。
一枚が十万円金貨と同じくらいの額だと俺は記憶しているので、一度のダンジョン攻略で俺たちは約四億円の金を手に入れた事になる。
額を耳にし、百枚ずつ入った木箱が四十箱ほど俺たちの前に置かれた時は二人して固まった。
まず喜びよりも、額の大きさに怖さが勝った。
だが時間の経過とともに、恐怖も薄れて喜びだけが支配。
俺とコクリコは飛びはねて喜んだ。
山分けで一人二億――とはならない。冒険者はマタギ勘定。
パーティーメンバー皆で山分け。
今回はリンはいらないという事だったので五人で分ける。
分けても一人が日本円で八千万。
ゲッコーさんは酒蔵の運営資金に使用すると言って喜び、ベルからも感謝を受けるが使用目的は聞けなかった。
どうせゴロ太たちの為に使うんだろうけど。
愛玩達とのファンシーなお店の開業資金として使いそうだな。
シャルナは長命なエルフだからなのか、お金に対してそこまで感心を持ってはいなかった。
お金を使用せず、自然の物を利用するエルフには最低限のお金だけ有ればいいという考えのようだ。
それでも貰えたことに感謝してくれた。
俺と共にこの利益をもたらしたコクリコは贅沢品でも買うのかと思ったが、以外にも貯蓄するとの事。
散財のイメージがあるが、大金となると手堅いようだ。
かくいう俺もギルドの為の使用と、ベルには反対されているが、おピンク街の開業資金として一部を使用するつもり。
正直、この世界でお金をどう使うか分からないからこの選択肢。
現状、食事にも困っていないし、装備も整っているから自分の為の金の使い方が分からない。
いつ入り用になるか分からないので、俺もここは半分を貯蓄する堅実なプランを選択。
ほくほくの俺たち一行の側では、装備を調えたドヌクトスの兵士たち。
征東騎士団もそろい踏み。
イリー指揮の下、一糸乱れずに隊列を整えていく。
軍馬たちもよく鍛えられていて、嘶くことがない。
聞こえるといえば、時折、兵達や軍馬が動く事で発生する、鎧や馬甲が擦れる金属音くらい。
調練された兵と馬の姿は非常に心強い。
懐も潤い頼れる者達を引き連れて王都に戻る。
やはり凱旋と言っても言いすぎではない。
となれば――、
「勇者殿。万事整いました」
良いタイミングで入室してきますね。侯爵。
いよいよこの地から王都へと戻る事になる。
長かった。
侯爵の体を乗っ取っていたヴァンパイアのゼノを倒し。
まさかの敵のお膝元である魔大陸まで赴き、前魔王のリズベッドに地龍を救い、バランド北にてリンと戦闘。
で、ダンジョンでイルマイユと戦闘。
霊薬であるエリクシールを得ることが出来たが、それ以上に頼れる仲間が多く出来たことが最も大きな成果だろう。
姫の呪解もなり、侯爵の軍勢の助力も得た。
最高の状態で王都に戻れる。
凱旋と言っても言いすぎじゃないだろう。
それに俺たちの懐も潤う予定だしな。
「では戻るか」
「だな」
ベルの声は場をキリッとさせる。
魔王軍との戦いのための力が整ってきた。
これから魔王軍に対して守りから反抗に打って出ることになるだろう。
その前に、王都北の公爵サイドとも話をつけないといけないんだよな。
それらが済めば、人類サイドは力を集結させる事も可能なはずだ。
霊薬を手にしてから一日が経過する。
――――蒼穹!
「最高の天気だな。旅立ちにはいい空だ」
雲一つない晴れ渡った空。
俺の心もこの空に負けないくらいに晴れやか。
もちろんコクリコも。
俺たちがダンジョンで手に入れた金塊の両替が完了。
拵えが立派な防具などが競りにて全て売れた。
リンの言うように有名な職人が作った鎧にはレアリティがあったようで、競りは白熱したと侯爵。
で、俺たちの手元には、ダーナ円形金貨が約四千枚。
一枚が十万円金貨と同じくらいの額だと俺は記憶しているので、一度のダンジョン攻略で俺たちは約四億円の金を手に入れた事になる。
額を耳にし、百枚ずつ入った木箱が四十箱ほど俺たちの前に置かれた時は二人して固まった。
まず喜びよりも、額の大きさに怖さが勝った。
だが時間の経過とともに、恐怖も薄れて喜びだけが支配。
俺とコクリコは飛びはねて喜んだ。
山分けで一人二億――とはならない。冒険者はマタギ勘定。
パーティーメンバー皆で山分け。
今回はリンはいらないという事だったので五人で分ける。
分けても一人が日本円で八千万。
ゲッコーさんは酒蔵の運営資金に使用すると言って喜び、ベルからも感謝を受けるが使用目的は聞けなかった。
どうせゴロ太たちの為に使うんだろうけど。
愛玩達とのファンシーなお店の開業資金として使いそうだな。
シャルナは長命なエルフだからなのか、お金に対してそこまで感心を持ってはいなかった。
お金を使用せず、自然の物を利用するエルフには最低限のお金だけ有ればいいという考えのようだ。
それでも貰えたことに感謝してくれた。
俺と共にこの利益をもたらしたコクリコは贅沢品でも買うのかと思ったが、以外にも貯蓄するとの事。
散財のイメージがあるが、大金となると手堅いようだ。
かくいう俺もギルドの為の使用と、ベルには反対されているが、おピンク街の開業資金として一部を使用するつもり。
正直、この世界でお金をどう使うか分からないからこの選択肢。
現状、食事にも困っていないし、装備も整っているから自分の為の金の使い方が分からない。
いつ入り用になるか分からないので、俺もここは半分を貯蓄する堅実なプランを選択。
ほくほくの俺たち一行の側では、装備を調えたドヌクトスの兵士たち。
征東騎士団もそろい踏み。
イリー指揮の下、一糸乱れずに隊列を整えていく。
軍馬たちもよく鍛えられていて、嘶くことがない。
聞こえるといえば、時折、兵達や軍馬が動く事で発生する、鎧や馬甲が擦れる金属音くらい。
調練された兵と馬の姿は非常に心強い。
懐も潤い頼れる者達を引き連れて王都に戻る。
やはり凱旋と言っても言いすぎではない。
0
お気に入りに追加
447
あなたにおすすめの小説
強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
王子は婚約破棄をし、令嬢は自害したそうです。
七辻ゆゆ
ファンタジー
「アリシア・レッドライア! おまえとの婚約を破棄する!」
公爵令嬢アリシアは王子の言葉に微笑んだ。「殿下、美しい夢をありがとうございました」そして己の胸にナイフを突き立てた。
血に染まったパーティ会場は、王子にとって一生忘れられない景色となった。冤罪によって婚約者を自害させた愚王として生きていくことになる。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
【完結】彼女以外、みんな思い出す。
❄️冬は つとめて
ファンタジー
R15をつける事にしました。
幼い頃からの婚約者、この国の第二王子に婚約破棄を告げられ。あらぬ冤罪を突きつけられたリフィル。この場所に誰も助けてくれるものはいない。
他国から来た王妃ですが、冷遇? 私にとっては厚遇すぎます!
七辻ゆゆ
ファンタジー
人質同然でやってきたというのに、出されるご飯は母国より美味しいし、嫌味な上司もいないから掃除洗濯毎日楽しいのですが!?
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)
いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。
全く親父の奴!勝手に消えやがって!
親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。
俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。
母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。
なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな?
なら、出ていくよ!
俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ!
これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。
カクヨム様にて先行掲載中です。
不定期更新です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる