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死霊魔術師
PHASE-624【今は鳴るなよ!】
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――――コクリコとオムニガル。
二人のやりとりを見て、周囲が笑っているので、余興としてはいいものだった。
おかげで場が和んだのか、離れた位置から姫や魔王を眺めていた貴族や豪族の面々も、次第に距離を縮めて挨拶を始める。
ゲッコーさんは美味い酒があればいいとばかりに、普段、口に出来ないような高価な酒を浴びるように飲んでおり、侯爵がそれに付き合っていた。
シャルナも興味があったようで、ゲッコーさんと侯爵の中に参加。
おっさん二人が手酌で飲むってのは虚しいからな。美人エルフがお酌をすれば侯爵のテンションも高くなるというもの。
「ふぃ~」
かくいう俺も存分に酔ってますけどね。
ガヤガヤと賑やかな空間から避難するように、会場となっている本邸の大広間からバルコニーへと移動。
煌々と照る満月が夜空の支配者として君臨している。
体を撫でていく夜風は、火照った体に心地いい。
ちょっと前まで北の地にいたけど、ドヌクトスの夜風の方が冷たく感じるのは、火龍装備を外しているからかな。
別に鎧は普段着のようなデザインだから脱がなくてもよかったんだけども、今回はずっと装備してたからな。
ちゃんとメンテナンスしとかないとな。
メンテっていっても、ただ洗うだけだけど。
鎧を服感覚で洗濯できるってのが凄いと思う。
プールポワンとブリガンダインを合わせたようなデザインで仕立てた、ワックさんの技巧の妙なんだろうな。
「酔い冷ましか」
「ああ。喧騒からの脱出か?」
「そうだ。近隣の貴族や豪族、素封家の男性陣が立て続けに来てな。挨拶はこなしたが、流石に煩わしくなってきた」
美人が佇んでいれば男が寄ってくるのは当たり前。
さながら誘蛾灯に寄ってくる虫みたいなもんだよ。男ってやつは。
ベルも珍しく頬が赤い。
「そこそこ飲んだんだな」
「普段は飲まないが、今回は祝賀だからな」
――うむ。
「どうした?」
「いや。なんでも」
酔ったお顔がお綺麗ですね。とは言えない。
サラッと言えるくらいの男になりたいもんだ。
「しかし、ここ最近のトールの成長は素晴らしい」
「ほんとか!」
急に俺の事を褒めるから、ついつい身構えてしまう。
「嘘などつくものか。魔大陸では要塞にて指揮官である者を倒し。地龍の時も臆さず常に戦う姿勢であった。今回のリン・クライツレンでもそれは同じ」
身構えてしまったものの、やはりベルに褒められると嬉しい。
酔いで火照った体を冷ましてたんだけども、またも熱くなってくる。
ベルは男は顔ではなく、生き様と言っていたからな。やはり生き様さえしっかりしていれば、ベルは俺に好意を寄せてくれると思う。
だから頑張るし頑張れる。
チート転生ではないけども、その分、成長する喜びを得る事が出来る。
「祝賀会を楽しんだら、数日はゆっくりとすればいい」
だな。最近はずっと動きっぱなしだったからな。まともに休みなんてとったことがない。
まだ高校生なのに、すごく労働している。
将来、日本に帰った後、ちゃんと社会人として働いていける自信に繋がるというもの。
人類が追い込まれた世界に比べれば、そこそこのブラック企業でも楽園と思えるくらいには頑張れるだろう。
俺が数日ゆっくり出来るって事は、ベルもゆっくり過ごすってことだよね。
ここは――、デ、デートなるイベントに誘ってみるのもいいのではないだろうか。
今はバルコニーに二人っきり。他の人が立ち入ってきそうな気配もない。
このチャンスを逃すような事はしない。
戦いで培った経験だ。好機ならば攻めねばならない。
「あのさ――」
ってこの後が言えなかった……。
別段、第三者が来たわけでも、ベルが立ち去ったわけでもない。
ではなぜか? ここで悪意があるとしか思えないテッテレー♪ が鳴ったからね!
レベルアップの音に、これほどイラッとした事はない。
殺意を抱いてしまう程の間の悪さだ。
二人のやりとりを見て、周囲が笑っているので、余興としてはいいものだった。
おかげで場が和んだのか、離れた位置から姫や魔王を眺めていた貴族や豪族の面々も、次第に距離を縮めて挨拶を始める。
ゲッコーさんは美味い酒があればいいとばかりに、普段、口に出来ないような高価な酒を浴びるように飲んでおり、侯爵がそれに付き合っていた。
シャルナも興味があったようで、ゲッコーさんと侯爵の中に参加。
おっさん二人が手酌で飲むってのは虚しいからな。美人エルフがお酌をすれば侯爵のテンションも高くなるというもの。
「ふぃ~」
かくいう俺も存分に酔ってますけどね。
ガヤガヤと賑やかな空間から避難するように、会場となっている本邸の大広間からバルコニーへと移動。
煌々と照る満月が夜空の支配者として君臨している。
体を撫でていく夜風は、火照った体に心地いい。
ちょっと前まで北の地にいたけど、ドヌクトスの夜風の方が冷たく感じるのは、火龍装備を外しているからかな。
別に鎧は普段着のようなデザインだから脱がなくてもよかったんだけども、今回はずっと装備してたからな。
ちゃんとメンテナンスしとかないとな。
メンテっていっても、ただ洗うだけだけど。
鎧を服感覚で洗濯できるってのが凄いと思う。
プールポワンとブリガンダインを合わせたようなデザインで仕立てた、ワックさんの技巧の妙なんだろうな。
「酔い冷ましか」
「ああ。喧騒からの脱出か?」
「そうだ。近隣の貴族や豪族、素封家の男性陣が立て続けに来てな。挨拶はこなしたが、流石に煩わしくなってきた」
美人が佇んでいれば男が寄ってくるのは当たり前。
さながら誘蛾灯に寄ってくる虫みたいなもんだよ。男ってやつは。
ベルも珍しく頬が赤い。
「そこそこ飲んだんだな」
「普段は飲まないが、今回は祝賀だからな」
――うむ。
「どうした?」
「いや。なんでも」
酔ったお顔がお綺麗ですね。とは言えない。
サラッと言えるくらいの男になりたいもんだ。
「しかし、ここ最近のトールの成長は素晴らしい」
「ほんとか!」
急に俺の事を褒めるから、ついつい身構えてしまう。
「嘘などつくものか。魔大陸では要塞にて指揮官である者を倒し。地龍の時も臆さず常に戦う姿勢であった。今回のリン・クライツレンでもそれは同じ」
身構えてしまったものの、やはりベルに褒められると嬉しい。
酔いで火照った体を冷ましてたんだけども、またも熱くなってくる。
ベルは男は顔ではなく、生き様と言っていたからな。やはり生き様さえしっかりしていれば、ベルは俺に好意を寄せてくれると思う。
だから頑張るし頑張れる。
チート転生ではないけども、その分、成長する喜びを得る事が出来る。
「祝賀会を楽しんだら、数日はゆっくりとすればいい」
だな。最近はずっと動きっぱなしだったからな。まともに休みなんてとったことがない。
まだ高校生なのに、すごく労働している。
将来、日本に帰った後、ちゃんと社会人として働いていける自信に繋がるというもの。
人類が追い込まれた世界に比べれば、そこそこのブラック企業でも楽園と思えるくらいには頑張れるだろう。
俺が数日ゆっくり出来るって事は、ベルもゆっくり過ごすってことだよね。
ここは――、デ、デートなるイベントに誘ってみるのもいいのではないだろうか。
今はバルコニーに二人っきり。他の人が立ち入ってきそうな気配もない。
このチャンスを逃すような事はしない。
戦いで培った経験だ。好機ならば攻めねばならない。
「あのさ――」
ってこの後が言えなかった……。
別段、第三者が来たわけでも、ベルが立ち去ったわけでもない。
ではなぜか? ここで悪意があるとしか思えないテッテレー♪ が鳴ったからね!
レベルアップの音に、これほどイラッとした事はない。
殺意を抱いてしまう程の間の悪さだ。
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