616 / 1,668
死霊魔術師
PHASE-616【片側マントは真似したい】
しおりを挟む
「大体、人間は嫌いなんだろう?」
なんで嫌いな人間を守るためのものを築いているのか。
「嫌いであっても滅びるのは見ていられないのよ」
なにこのツンデレみたいな感じ。
別に貴男の事なんて何とも思ってないんだからね! なんて言いながら、ベッタリくっついてくるタイプのような……。
「そもそも人だけでなく、私の場合は亜人たちも含まれているから。人間が見下す対象である亜人もね! 貴方たちには理解できないかも知れないけど」
おっと、ずっとこんな所に引き籠もっているから俺たちの行いを知らないみたいだな。
まあ、外の情勢にはそこまで詳しくないみたいだけども、そんな中でもこういった施設を造っているのは大したものだ。
「亜人たちなら俺たちと一緒にいるぞ」
「なに? もしかして奴隷あつかい?」
リンの目が、キッと鋭いものに変わる
「そんな事しているような連中と一緒に行動するわけないでしょ」
シャルナが横から口を出してくる。
元々、俗世から身を引いた理由が人間の驕りによる亜人種たちとの戦いが原因だったよな。
解決はしたけども、その後は人と関わらないようにこの地に来たんだろう。
亜人たちだけでなく、嫌いであっても人間を滅亡から守るための要塞を築くとはね。
「あれ、いい人?」
「失礼ね。私はいい人よ」
「嘘ばっかり。だったら直ぐさま我が親友であるプリシュカを人間に戻してもらいたいものですね」
ヴァンピレスの呪いを解けとコクリコが凄む。
凄んだところで相手がコクリコだからか、リンは意にも介していない。
イラッとしたのか、勝利者として気が強くなっているコクリコさんのワンドが怪しく輝く。
ポップフレアなる新魔法を更に発動させるつもりなのだろうか。
「凄まなくても戻してあげるわよ。ここまで来て私を倒す事が出来る時点で合格だから」
自分に勝てない存在なら魔王軍にも勝てない。そんな者達にこの世界は任せられないという、負けても尚マウントを取りたいようである。
あまりの生意気な言い様に、生意気では負けてないコクリコがいよいよエンレージがMAXになったのか、ワンドを振り上げたところで――、パチーンと、コクリコの動作を見計らったかのようにフィンガースナップが一つ響く。
「お前ね……。結局、戦うつもりか?」
「別に戦うつもりはないわよ」
この間合いなら間違いなくベルが仕掛けるだろうけど、そのベルが動かないことから察するに、相手からは殺意を感じる事がなかったんだろう。
――――フィンガースナップで現れるのは、戦闘時と同様にスケルトンの兵達。
装備は違うけどね。
「――――お呼びか」
「おお!? 喋った! 今度のは喋るぞシャルナ」
「エルダースケルトンだね」
こいつらがグレーターより上の連中か。
当たり前のようにフィンガースナップ一つで、百体以上が出て来るな。
というか、ランク関係なしに同じくらいの数が出せるんだな。
「本気を出せば最大でどのくらいの数を一気に召喚、使役可能なんだ?」
「二千ってとこね」
二千……。
「まあ現在、二千は召喚しているんだけど」
この場には百から二百くらいのスケルトンが召喚されているだけなんだが、残りはどこに? と思ったが、工事の話を耳にしていたから、
「残りは作業か」
「その通り」
「で、主よ。何用か?」
普通に喋るんだな。片言でもなく流暢に喋るエルダーの一体。
メタリックグレーの独特な光沢ある流線型のブレストプレートと、剣と盾。
ショルダーアーマーにガントレット、レッグアーマーと兜もブレストプレートみたいに流線型タイプ。
漆黒のマントは左肩だけにかけたデザインのものだ。
ゲッコーさん曰く、片側だけのマントはペリースと言うらしい。
グレーターとはまた違った格好良さ。
グレーターが歴戦の戦士達とするなら、エルダー達は騎士だな。
やはりペリースなるマントが格好いい。俺も片方だけにマントをしようかな。
鎧のデザインはロボットアニメで例えるなら、前者は1980年代以降で、後者が2000年代って感じだ。
角張りと流線。どちらにも良さがある。俺としては見慣れた流線型の方が好み。
独特な光沢が有る装備は、光の加減でその様に見えているのではなく、表面が流動していように見えるので、魔法付与によるものだと思われる。
魔法付与装備で会話が出来るスケルトンが眼前に百体以上。
壮観だ。
驚異ではなく、壮観という二文字が先に浮かんだ。
なんで嫌いな人間を守るためのものを築いているのか。
「嫌いであっても滅びるのは見ていられないのよ」
なにこのツンデレみたいな感じ。
別に貴男の事なんて何とも思ってないんだからね! なんて言いながら、ベッタリくっついてくるタイプのような……。
「そもそも人だけでなく、私の場合は亜人たちも含まれているから。人間が見下す対象である亜人もね! 貴方たちには理解できないかも知れないけど」
おっと、ずっとこんな所に引き籠もっているから俺たちの行いを知らないみたいだな。
まあ、外の情勢にはそこまで詳しくないみたいだけども、そんな中でもこういった施設を造っているのは大したものだ。
「亜人たちなら俺たちと一緒にいるぞ」
「なに? もしかして奴隷あつかい?」
リンの目が、キッと鋭いものに変わる
「そんな事しているような連中と一緒に行動するわけないでしょ」
シャルナが横から口を出してくる。
元々、俗世から身を引いた理由が人間の驕りによる亜人種たちとの戦いが原因だったよな。
解決はしたけども、その後は人と関わらないようにこの地に来たんだろう。
亜人たちだけでなく、嫌いであっても人間を滅亡から守るための要塞を築くとはね。
「あれ、いい人?」
「失礼ね。私はいい人よ」
「嘘ばっかり。だったら直ぐさま我が親友であるプリシュカを人間に戻してもらいたいものですね」
ヴァンピレスの呪いを解けとコクリコが凄む。
凄んだところで相手がコクリコだからか、リンは意にも介していない。
イラッとしたのか、勝利者として気が強くなっているコクリコさんのワンドが怪しく輝く。
ポップフレアなる新魔法を更に発動させるつもりなのだろうか。
「凄まなくても戻してあげるわよ。ここまで来て私を倒す事が出来る時点で合格だから」
自分に勝てない存在なら魔王軍にも勝てない。そんな者達にこの世界は任せられないという、負けても尚マウントを取りたいようである。
あまりの生意気な言い様に、生意気では負けてないコクリコがいよいよエンレージがMAXになったのか、ワンドを振り上げたところで――、パチーンと、コクリコの動作を見計らったかのようにフィンガースナップが一つ響く。
「お前ね……。結局、戦うつもりか?」
「別に戦うつもりはないわよ」
この間合いなら間違いなくベルが仕掛けるだろうけど、そのベルが動かないことから察するに、相手からは殺意を感じる事がなかったんだろう。
――――フィンガースナップで現れるのは、戦闘時と同様にスケルトンの兵達。
装備は違うけどね。
「――――お呼びか」
「おお!? 喋った! 今度のは喋るぞシャルナ」
「エルダースケルトンだね」
こいつらがグレーターより上の連中か。
当たり前のようにフィンガースナップ一つで、百体以上が出て来るな。
というか、ランク関係なしに同じくらいの数が出せるんだな。
「本気を出せば最大でどのくらいの数を一気に召喚、使役可能なんだ?」
「二千ってとこね」
二千……。
「まあ現在、二千は召喚しているんだけど」
この場には百から二百くらいのスケルトンが召喚されているだけなんだが、残りはどこに? と思ったが、工事の話を耳にしていたから、
「残りは作業か」
「その通り」
「で、主よ。何用か?」
普通に喋るんだな。片言でもなく流暢に喋るエルダーの一体。
メタリックグレーの独特な光沢ある流線型のブレストプレートと、剣と盾。
ショルダーアーマーにガントレット、レッグアーマーと兜もブレストプレートみたいに流線型タイプ。
漆黒のマントは左肩だけにかけたデザインのものだ。
ゲッコーさん曰く、片側だけのマントはペリースと言うらしい。
グレーターとはまた違った格好良さ。
グレーターが歴戦の戦士達とするなら、エルダー達は騎士だな。
やはりペリースなるマントが格好いい。俺も片方だけにマントをしようかな。
鎧のデザインはロボットアニメで例えるなら、前者は1980年代以降で、後者が2000年代って感じだ。
角張りと流線。どちらにも良さがある。俺としては見慣れた流線型の方が好み。
独特な光沢が有る装備は、光の加減でその様に見えているのではなく、表面が流動していように見えるので、魔法付与によるものだと思われる。
魔法付与装備で会話が出来るスケルトンが眼前に百体以上。
壮観だ。
驚異ではなく、壮観という二文字が先に浮かんだ。
0
お気に入りに追加
447
あなたにおすすめの小説
王子は婚約破棄をし、令嬢は自害したそうです。
七辻ゆゆ
ファンタジー
「アリシア・レッドライア! おまえとの婚約を破棄する!」
公爵令嬢アリシアは王子の言葉に微笑んだ。「殿下、美しい夢をありがとうございました」そして己の胸にナイフを突き立てた。
血に染まったパーティ会場は、王子にとって一生忘れられない景色となった。冤罪によって婚約者を自害させた愚王として生きていくことになる。
強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)
いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。
全く親父の奴!勝手に消えやがって!
親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。
俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。
母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。
なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな?
なら、出ていくよ!
俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ!
これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。
カクヨム様にて先行掲載中です。
不定期更新です。
【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断
Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。
23歳の公爵家当主ジークヴァルト。
年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。
ただの女友達だと彼は言う。
だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。
彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。
また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。
エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。
覆す事は出来ない。
溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。
そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。
二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。
これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。
エルネスティーネは限界だった。
一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。
初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。
だから愛する男の前で死を選ぶ。
永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。
矛盾した想いを抱え彼女は今――――。
長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。
センシティブな所へ触れるかもしれません。
これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる