578 / 1,668
死霊魔術師
PHASE-578【油断大敵】
しおりを挟む
「よし」
火葬と手を合わせる所作を終えてから、一人、勝利の喜びを口からこぼす。
「無事だったか」
「良いタイミングできますね。ゲッコーさん」
間違いなく出るタイミングを窺っていただろう。
自分のノルマはこなして、助力もしないで俺の戦いを見ていたな。
「中々に愛らしいゴーレムを召喚できるのだな。羨ましいぞ」
「ベルも見てたのかよ!」
助けろよ。パーティーなんだから。
いつまでも放任主義はよくないぞ。
言い返してみれば、あの程度の手合いくらい最早、敵ではないだろうって言い返してくるからね。
勝てたけども、トリッキータイプは苦手なんですよ。
これを言えば、ならば慣れればいいだけだろう。って、間違いなく言ってくるだろうからもう何も言わない。
「さて、二人は?」
「ここですよ」
屋根の上に立って腕組み。
スケルトンを大量に倒してご満悦なのか表情がホクホクしている。
なぜか手にしているのはワンドではなく、スケルトンが持っていたであろうメイスが握られていた。
にしても、ここのスケルトンは数は多いが弱い。
でもしっかりとした装備も多いよな。
刃毀れ装備もいたけど、ソルジャークラスになると革鎧に盾に武器と、正直、王都の兵よりも整っているし、新米冒険者なら羨ましがるレベル。
倒してドロップした大量の武具を繁華街に運んでから街商でも開けば、一財産築けそうなくらいにいい装備なんだよな。
「他愛なし。他愛なし」
「いいから降りてこい」
未だに圧倒的勝利に酔いしれているコクリコ。
弱いとはいえ、かなりの数のスケルトンを相手に無双したわけだからな。インスタントな一騎当千にご満悦だ。
ま、俺が相手にしてたのを倒せてたら褒めてもいいけど。と、内心にてマウントを取りたがる俺。
シャルナはそそくさと降りて合流。流石にコクリコのノリにはついて行けないらしい。
ま、屋根上で勝利のポージングをしている様は中々にイタイ光景だからな……。
勝利の余韻に浸り、メイスを高らかに掲げているコクリコの方向から、名状しがたい生ぬるい風が俺の頬を撫でていくのを感じ取った。
同時に感じる悪寒。
俺以外も察知した模様。勝ちに酔いしれるコクリコを除いて。
「コクリコ! いいから早く合流しろ!」
勘がやばいと告げている。
何がやばいか分からないし、俺の勘が当てになるとは思えないが、悪い時の勘ってのは大抵は当たるってのが大半だろう。
咄嗟にラピッドでコクリコの元まで跳躍。
「ダークフレイムピラー」
突如として聞こえてきた声と、突如としてコクリコの足元から立ち上がる漆黒の炎。
「ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
コクリコの叫びが聞こえてくる炎の中にダイブ。
黒い炎の柱からコクリコを押し倒すようにして脱出させる。
「おい! 大丈夫か!」
ぶすぶすと上がる煙と、意識がとんでいるのか返事がない。
呼吸はあるから問題はない――と思いたい……。
漆黒の炎の柱がコクリコを完全に覆い隠す前に、柱から救出できたのがよかった。
もう少し遅れていたら大きなダメージを受けていただろう。
一瞬でこれなんだから。
シャルナを呼ぶよりも早く、雑嚢からハイポーションを二本取り出してコクリコの体にかける。
ファンタジーの素晴らしいところはこういったところか。
火傷をおった体から、見る見ると火傷が消えていく。
「へ~。お兄ちゃんにはあんまり効果がないみたいだね」
あどけない声が聞こえる。ダークフレイムとか言っていた声と一緒。
建物の壁が原因なのか、声は反響していてどこから語りかけているのか位置が掴みにくい。
「コクリコ!」
俺に続いてシャルナが屋根へと来てくれると、プロテクションを展開してからヒールを唱える。
「クスクス」
「なにが――おかしいんだ?」
冷静に返答できてる。
コクリコがやられて声を荒げるかと自分でも思ったけど、存外、冷静だ。
ここで熱くなれば相手のペースになるからな。
感情のコントロールは出来ている。
――――今のところは――――。
火葬と手を合わせる所作を終えてから、一人、勝利の喜びを口からこぼす。
「無事だったか」
「良いタイミングできますね。ゲッコーさん」
間違いなく出るタイミングを窺っていただろう。
自分のノルマはこなして、助力もしないで俺の戦いを見ていたな。
「中々に愛らしいゴーレムを召喚できるのだな。羨ましいぞ」
「ベルも見てたのかよ!」
助けろよ。パーティーなんだから。
いつまでも放任主義はよくないぞ。
言い返してみれば、あの程度の手合いくらい最早、敵ではないだろうって言い返してくるからね。
勝てたけども、トリッキータイプは苦手なんですよ。
これを言えば、ならば慣れればいいだけだろう。って、間違いなく言ってくるだろうからもう何も言わない。
「さて、二人は?」
「ここですよ」
屋根の上に立って腕組み。
スケルトンを大量に倒してご満悦なのか表情がホクホクしている。
なぜか手にしているのはワンドではなく、スケルトンが持っていたであろうメイスが握られていた。
にしても、ここのスケルトンは数は多いが弱い。
でもしっかりとした装備も多いよな。
刃毀れ装備もいたけど、ソルジャークラスになると革鎧に盾に武器と、正直、王都の兵よりも整っているし、新米冒険者なら羨ましがるレベル。
倒してドロップした大量の武具を繁華街に運んでから街商でも開けば、一財産築けそうなくらいにいい装備なんだよな。
「他愛なし。他愛なし」
「いいから降りてこい」
未だに圧倒的勝利に酔いしれているコクリコ。
弱いとはいえ、かなりの数のスケルトンを相手に無双したわけだからな。インスタントな一騎当千にご満悦だ。
ま、俺が相手にしてたのを倒せてたら褒めてもいいけど。と、内心にてマウントを取りたがる俺。
シャルナはそそくさと降りて合流。流石にコクリコのノリにはついて行けないらしい。
ま、屋根上で勝利のポージングをしている様は中々にイタイ光景だからな……。
勝利の余韻に浸り、メイスを高らかに掲げているコクリコの方向から、名状しがたい生ぬるい風が俺の頬を撫でていくのを感じ取った。
同時に感じる悪寒。
俺以外も察知した模様。勝ちに酔いしれるコクリコを除いて。
「コクリコ! いいから早く合流しろ!」
勘がやばいと告げている。
何がやばいか分からないし、俺の勘が当てになるとは思えないが、悪い時の勘ってのは大抵は当たるってのが大半だろう。
咄嗟にラピッドでコクリコの元まで跳躍。
「ダークフレイムピラー」
突如として聞こえてきた声と、突如としてコクリコの足元から立ち上がる漆黒の炎。
「ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
コクリコの叫びが聞こえてくる炎の中にダイブ。
黒い炎の柱からコクリコを押し倒すようにして脱出させる。
「おい! 大丈夫か!」
ぶすぶすと上がる煙と、意識がとんでいるのか返事がない。
呼吸はあるから問題はない――と思いたい……。
漆黒の炎の柱がコクリコを完全に覆い隠す前に、柱から救出できたのがよかった。
もう少し遅れていたら大きなダメージを受けていただろう。
一瞬でこれなんだから。
シャルナを呼ぶよりも早く、雑嚢からハイポーションを二本取り出してコクリコの体にかける。
ファンタジーの素晴らしいところはこういったところか。
火傷をおった体から、見る見ると火傷が消えていく。
「へ~。お兄ちゃんにはあんまり効果がないみたいだね」
あどけない声が聞こえる。ダークフレイムとか言っていた声と一緒。
建物の壁が原因なのか、声は反響していてどこから語りかけているのか位置が掴みにくい。
「コクリコ!」
俺に続いてシャルナが屋根へと来てくれると、プロテクションを展開してからヒールを唱える。
「クスクス」
「なにが――おかしいんだ?」
冷静に返答できてる。
コクリコがやられて声を荒げるかと自分でも思ったけど、存外、冷静だ。
ここで熱くなれば相手のペースになるからな。
感情のコントロールは出来ている。
――――今のところは――――。
0
お気に入りに追加
447
あなたにおすすめの小説
【完結】言いたいことがあるなら言ってみろ、と言われたので遠慮なく言ってみた
杜野秋人
ファンタジー
社交シーズン最後の大晩餐会と舞踏会。そのさなか、第三王子が突然、婚約者である伯爵家令嬢に婚約破棄を突き付けた。
なんでも、伯爵家令嬢が婚約者の地位を笠に着て、第三王子の寵愛する子爵家令嬢を虐めていたというのだ。
婚約者は否定するも、他にも次々と証言や証人が出てきて黙り込み俯いてしまう。
勝ち誇った王子は、最後にこう宣言した。
「そなたにも言い分はあろう。私は寛大だから弁明の機会をくれてやる。言いたいことがあるなら言ってみろ」
その一言が、自らの破滅を呼ぶことになるなど、この時彼はまだ気付いていなかった⸺!
◆例によって設定ナシの即興作品です。なので主人公の伯爵家令嬢以外に固有名詞はありません。頭カラッポにしてゆるっとお楽しみ下さい。
婚約破棄ものですが恋愛はありません。もちろん元サヤもナシです。
◆全6話、約15000字程度でサラッと読めます。1日1話ずつ更新。
◆この物語はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆9/29、HOTランキング入り!お読み頂きありがとうございます!
10/1、HOTランキング最高6位、人気ランキング11位、ファンタジーランキング1位!24h.pt瞬間最大11万4000pt!いずれも自己ベスト!ありがとうございます!
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
王子は婚約破棄をし、令嬢は自害したそうです。
七辻ゆゆ
ファンタジー
「アリシア・レッドライア! おまえとの婚約を破棄する!」
公爵令嬢アリシアは王子の言葉に微笑んだ。「殿下、美しい夢をありがとうございました」そして己の胸にナイフを突き立てた。
血に染まったパーティ会場は、王子にとって一生忘れられない景色となった。冤罪によって婚約者を自害させた愚王として生きていくことになる。
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
【完結】彼女以外、みんな思い出す。
❄️冬は つとめて
ファンタジー
R15をつける事にしました。
幼い頃からの婚約者、この国の第二王子に婚約破棄を告げられ。あらぬ冤罪を突きつけられたリフィル。この場所に誰も助けてくれるものはいない。
何でも奪っていく妹が森まで押しかけてきた ~今更私の言ったことを理解しても、もう遅い~
秋鷺 照
ファンタジー
「お姉さま、それちょうだい!」
妹のアリアにそう言われ奪われ続け、果ては婚約者まで奪われたロメリアは、首でも吊ろうかと思いながら森の奥深くへ歩いて行く。そうしてたどり着いてしまった森の深層には屋敷があった。
ロメリアは屋敷の主に見初められ、捕らえられてしまう。
どうやって逃げ出そう……悩んでいるところに、妹が押しかけてきた。
母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)
いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。
全く親父の奴!勝手に消えやがって!
親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。
俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。
母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。
なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな?
なら、出ていくよ!
俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ!
これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。
カクヨム様にて先行掲載中です。
不定期更新です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる