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極東
PHASE-424【そらシンデレラバストなわけだよ……】
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――――もったいぶって間を開けての発表だけど。インキュバスってなんだよ?
なんか聞いたことがあるような、ないような。
語呂が似ているからサキュバスの亜種的な種族と判断すればいいのだろうか?
正直、サキュバスがメジャーすぎて、俺の知識にはインキュバスは入っていない。
「ああ……そういう事なんだ……」
背後から影と戦っているシャルナが何とも残念そうな声を上げた。
同時に、俺を哀れむような目で見る。
コクリコはといえば、俺と目を合わせてくれない。無駄にイリーの体を心配しているが、明らかにわざとらしい。
途中参加のイリーはまだ理解は出来ていないご様子。傷を癒やすのに集中している。
ベルも俺と同様の知識しかないようで、インキュバスと言われても分かっていないって顔だ。
「おい、インキュバスってなんだ? サキュバスとどう違うんだよ!」
「ハハハハハ――――ハーッハハハハハハッ」
「もったいぶった高笑いは止めろヴァンパイア!」
「いやすまない。だが勇者よ。フハハ――、貴様は私を倒す方法として、笑い殺すというのを選択すれば、そこに勝機が見いだせたかもしれないな。ハハハハッ」
「いいから言え!」
「インキュバスは――――男だ」
「は?」
もったいぶってからの一言に、俺は理解が出来ないと、間の抜けた声と共に首を傾げた。
俺の仕草を見て肩を竦めたゼノは、嘲笑する表情を整えて、正面から俺を見ると、
「サキュバスとは女の夢魔だ。対してインキュバスは男の夢魔だ」
――……男の夢魔はインキュバス……。
ん? へ!? ということは、ランシェルちゃんはインキュバスだから……男?
は? へぇ!?
「ゲッコーさん」
俺の頭は絶賛混乱中。なので、ここは知識豊富なゲッコーさんに問うてみる。
苦笑いのゲッコーさんは、
「ヴァンパイアが言うように、ランシェルという子は、少年だ」
メイド服を着ているが、骨格の作りから初対面でゲッコーさんは理解していたそうだ。
俺は初対面の時、すっごく可愛い八重歯っ子って思ってたんですけども。
「ごめんなさい。言っている事が分かりません……」
「そうか……脳が現実を受け入れたくないんだな……。だが、あの子は男だ」
「オ、ト、コ」
「なんで急に先史時代から来たような口調になる……。現実と向き合いたくないからと、退化するな」
分からない。俺には分からないよ……。
「……男?」
「そうだ。男だ」
「女子ではなく?」
「男子」
「she?」
「He」
「♀?」
「♂」
全てにおいて逆を述べるゲッコーさんは、俺に残酷な真実を何度も突きつけてくる……。
――…………ランシェルちゃんは男……。
ばんなそかな……。じゃない。そんな馬鹿な。
「ランシェルちゃん。このお髭のおじさまが言っていることは事実かな……」
ゴクリと音が周囲にしっかりと聞こえるくらいに唾を飲み込んで、質問。
だれがお髭のおじさまだ。という、ゲッコーさんの発言を聞き流しつつ、戦闘状態であるのに、その事が気になってしまう俺。
ゼノは面白くてたまらないのか、手を出す素振りはない。
――…………。
ランシェルちゃんに問うて凝視。
喉が渇くほどに長い沈黙の間であったが、意を決したようにして…………、コクリと小さな首肯が返ってきた。
――…………本人が認めた。
ランシェルちゃんは男……。
じゃあ、なにか? 俺にエロエロな夢を見せていたのは、ランシェルちゃんなわけだよな。
俺は男にエロい夢を見せられて興奮していたわけだ。しかも精気までしっかりと取られていたわけだ。
ベルの夢だけでなく、メロン胸のランシェルちゃんが俺にパフパフしてくれたけど、それに喜んでいたけど……。
――……男じゃん! 俺、男に興奮したってことじゃんよ!
おんぶした時、シンデレラバストだけども、女の子の太ももや腕は柔らかいなって、邪な考えを巡らせてたけど……。
――……男じゃんよ!!!!
「お、とこ……」
――………………!?
「ぐはぁ!!!!」
襲い来る脱力感と、禁忌に触れてしまったのではという思い。
しかも童貞が、禁忌って……。
力なく崩れ落ちるしかないよね……。
四つん這いでなんとか堪えている俺の姿勢。
五体投地ではなく、この姿勢で耐えている俺の体は逞しいと思う……。
でも、精神世界はズッタズタだ。
「どうしたんだトール!? しっかりしろトール! トォォォォォォォォォォォル!!」
いや、それは貴男がゲームオーバーになった時に言われるやつやん。
俺の、ぐはぁ!!!! に、エコーかかっていたら完璧なヤツやん。
しかもワザと言っているよね。ハリウッディアンの口元が緩んでるんだよ!
にやついてんじゃねぇ!
なんか聞いたことがあるような、ないような。
語呂が似ているからサキュバスの亜種的な種族と判断すればいいのだろうか?
正直、サキュバスがメジャーすぎて、俺の知識にはインキュバスは入っていない。
「ああ……そういう事なんだ……」
背後から影と戦っているシャルナが何とも残念そうな声を上げた。
同時に、俺を哀れむような目で見る。
コクリコはといえば、俺と目を合わせてくれない。無駄にイリーの体を心配しているが、明らかにわざとらしい。
途中参加のイリーはまだ理解は出来ていないご様子。傷を癒やすのに集中している。
ベルも俺と同様の知識しかないようで、インキュバスと言われても分かっていないって顔だ。
「おい、インキュバスってなんだ? サキュバスとどう違うんだよ!」
「ハハハハハ――――ハーッハハハハハハッ」
「もったいぶった高笑いは止めろヴァンパイア!」
「いやすまない。だが勇者よ。フハハ――、貴様は私を倒す方法として、笑い殺すというのを選択すれば、そこに勝機が見いだせたかもしれないな。ハハハハッ」
「いいから言え!」
「インキュバスは――――男だ」
「は?」
もったいぶってからの一言に、俺は理解が出来ないと、間の抜けた声と共に首を傾げた。
俺の仕草を見て肩を竦めたゼノは、嘲笑する表情を整えて、正面から俺を見ると、
「サキュバスとは女の夢魔だ。対してインキュバスは男の夢魔だ」
――……男の夢魔はインキュバス……。
ん? へ!? ということは、ランシェルちゃんはインキュバスだから……男?
は? へぇ!?
「ゲッコーさん」
俺の頭は絶賛混乱中。なので、ここは知識豊富なゲッコーさんに問うてみる。
苦笑いのゲッコーさんは、
「ヴァンパイアが言うように、ランシェルという子は、少年だ」
メイド服を着ているが、骨格の作りから初対面でゲッコーさんは理解していたそうだ。
俺は初対面の時、すっごく可愛い八重歯っ子って思ってたんですけども。
「ごめんなさい。言っている事が分かりません……」
「そうか……脳が現実を受け入れたくないんだな……。だが、あの子は男だ」
「オ、ト、コ」
「なんで急に先史時代から来たような口調になる……。現実と向き合いたくないからと、退化するな」
分からない。俺には分からないよ……。
「……男?」
「そうだ。男だ」
「女子ではなく?」
「男子」
「she?」
「He」
「♀?」
「♂」
全てにおいて逆を述べるゲッコーさんは、俺に残酷な真実を何度も突きつけてくる……。
――…………ランシェルちゃんは男……。
ばんなそかな……。じゃない。そんな馬鹿な。
「ランシェルちゃん。このお髭のおじさまが言っていることは事実かな……」
ゴクリと音が周囲にしっかりと聞こえるくらいに唾を飲み込んで、質問。
だれがお髭のおじさまだ。という、ゲッコーさんの発言を聞き流しつつ、戦闘状態であるのに、その事が気になってしまう俺。
ゼノは面白くてたまらないのか、手を出す素振りはない。
――…………。
ランシェルちゃんに問うて凝視。
喉が渇くほどに長い沈黙の間であったが、意を決したようにして…………、コクリと小さな首肯が返ってきた。
――…………本人が認めた。
ランシェルちゃんは男……。
じゃあ、なにか? 俺にエロエロな夢を見せていたのは、ランシェルちゃんなわけだよな。
俺は男にエロい夢を見せられて興奮していたわけだ。しかも精気までしっかりと取られていたわけだ。
ベルの夢だけでなく、メロン胸のランシェルちゃんが俺にパフパフしてくれたけど、それに喜んでいたけど……。
――……男じゃん! 俺、男に興奮したってことじゃんよ!
おんぶした時、シンデレラバストだけども、女の子の太ももや腕は柔らかいなって、邪な考えを巡らせてたけど……。
――……男じゃんよ!!!!
「お、とこ……」
――………………!?
「ぐはぁ!!!!」
襲い来る脱力感と、禁忌に触れてしまったのではという思い。
しかも童貞が、禁忌って……。
力なく崩れ落ちるしかないよね……。
四つん這いでなんとか堪えている俺の姿勢。
五体投地ではなく、この姿勢で耐えている俺の体は逞しいと思う……。
でも、精神世界はズッタズタだ。
「どうしたんだトール!? しっかりしろトール! トォォォォォォォォォォォル!!」
いや、それは貴男がゲームオーバーになった時に言われるやつやん。
俺の、ぐはぁ!!!! に、エコーかかっていたら完璧なヤツやん。
しかもワザと言っているよね。ハリウッディアンの口元が緩んでるんだよ!
にやついてんじゃねぇ!
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