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極東
PHASE-376【帝国は規模が違うね】
しおりを挟む「――――ふぃ~」
食った。
ブランチと言ってもいい時間帯だな。
ベーコンエッグに黒パンにポタージュスープ。
この世界で提供された食事としては、昨晩の夕食に続いて豪華だった。
堪能する喜びも有るけど、山脈を越えたら、未だにこんな食事を食べることも出来ない人たちがいるから、罪悪感も芽生えてしまう。
王都でも干し肉が販売され始めたし、もう少しがんばれば、こういう食事も食べることが出来るはずだ。
その為にも侯爵の助力を得なければ。
「お口に合いましたか?」
「とっても」
俺が一呼吸おいたところを見計らって、ランシェルちゃんが紅茶を出してくれる。
昨日のハーブティーとは違って、飲み慣れたものだ。
同時に笑顔ももらえる。それだけで元気になれるね。
あんだけ寝といて元気になれるってのもおかしなもんだが……。
――……なんか疲れが残ってるよな……。
これが二日酔いという症状なのかもしれない。
「どうされました?」
「いや、大丈夫」
気にするほどじゃないからいいけど。
しかし、ランシェルちゃんは可愛いのに、妙に艶やかな立ち振る舞いなんだよな。エロさを感じてしまう。
「今日、姫様にお会いになるのですよね」
「そうだよ」
「お元気なお姿を目にしていただき、安堵してもらえれば、私共も嬉しい限りです」
ランシェルちゃんマジ天使。この笑顔には間違いなくチャームの効果があるな。間違いなくある!
だって俺がかかっちゃってるもの~。
注いでくれた紅茶のカップに手を伸ばす。
「おっと!」
「大変!」
ついつい見とれていたから、こぼしてしまった。
熱いものだったから足にかからなくて良かったぜ。若干だけど、俺のブーツにかかった程度だ。
俺が拭こうと動いた時には、すでにランシェルちゃんが拭いているというね。
――……熱くてもよかったから、股間にかかっていたらどうなってたんだろうと、邪な考えを巡らせてしまう。
「まっふぁく、はぐかしい」
まったく、恥ずかしい。と言いたいんだろうな。
とりあえずハムスターやリスを彷彿させるようになるまで、食い物を口の中に詰め込むなよ。
恥ずかしいってのはお前のことだよ。コクリコ。
ランシェルちゃんの話では、この広間で朝からずっと食事をとっているらしい。
こいつは、あればあるだけ食べるのだろうか……。
食べて空いた皿はすぐに美人メイドさん達が片付けて、新しい食事が運ばれるから、自分が偉くなったと勘違い。
尚且つ料理も美味いから口と手が止まらなくなっているようで、メイドさん達も手がつけられなくなっているようだ。
「お前、太ってもいいのか」
昨日の夜も腹がえらいことになってたけども。
「私は痩せていますから、少しくらい太った方がいいのです」
「それは第三者に言われることなんだけどな」
――――結局、止めないままでいると、コイツは昼に合流してきたベル達と共に昼食まで食べた……。
底なしだな……。
――――で、ベルは俺を起こして早々にいなくなったと思ったら、ゲッコーさんとシャルナの三人で何処に行ってたのかな?
聞けば、探検と、子供のような内容で返してくるゲッコーさん。
探検って何だよ。
――――さて、皆の昼食がすんだところで、
「行きますかね」
身だしなみを整えて、この屋敷から続く専用の道を前日と同様の馬車で移動。
この別邸から姫が居住する本邸までの石畳を白馬の四頭立てが進む。
二つの屋敷を繋げるためだけの道とはね。庶民の俺では考えつかないよ。
感想を口にして出せば、ベルはさほど珍しくもないと言う。
帝国は、城に隣接して皇帝が住まう宮殿があるそうだ。
隣接といっても、城から宮殿までは二キロほど離れているらしい。
その間には専用の道がある。
宮殿の周囲には、ご子息達が住まう屋敷が半径四キロ圏内にあり、それら全てを囲う城壁は、分厚く堅牢。
一般の者たちは入ることが不可能な土地だそうだ。
政務、軍議なんかは城で行い、宮殿は休むだけの場所。
皇族が住むだけのために、どんだけ広い土地を利用してんだろうか。豪壮すぎるぞプロニアス帝国。
そんなことに浪費するような思考だから、資源を得る為に、周辺諸国に侵攻してんだろうな。
というか、ここの上を行く話をするんじゃないよ。ここがしょぼく思えるから。
ここで凄いと思っている俺がちっぽけになるでしょ。
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