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増やそう経験
PHASE-352【姫】
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俺たちが王様と同じ場所に座ることが分かっていたのだろう。
俺たちが座る人数分を目算して、最上段に座る俺たちに合わせて、臣下の方々は両サイドの間隔を空けている。
俯瞰から見れば、さぞ見栄えがいいはずだ。
こういう細やかな配慮も出来る有能さ。
王様を始め、臣下の皆さんも完全復活だな。
「荀彧殿から話は聞いたぞ」
俺の両隣には、王様と先生が腰を下ろしている。
横を見れば先生が軽く会釈。
「ドヌクトスへと行くそうだな」
「はい」
「エンドリュー候は頼れる人物だ。是非とも助力を得てもらいたい。我々ではあの地まで行くことは出来ないが、トール達ならば可能だろう」
「任せてください」
瘴気の中は俺たちしか行けない。出来る奴らがやるべきなんだ。
――――この俺の意識の高さたるや。随分と自発的に行動しようとする気持ちが芽生えてきたもんだ。
会頭としての責任感も強くなってきたと自負している。
皆のために率先して行動に移せる俺を誰か好きになってくれないかな~。
チラリと横を見ても先生と王様っていうのがね。ここはベルとシャルナが両隣に座ってくれると嬉しいんだけど……。
「……それと頼みがあるのだが」
お、なんだろうか? 王様の声のトーンが一段階さがった。
暗いというより、照れくさいといったかんじかな。鼻頭をポリポリと掻く姿は、典型的な照れ隠しの動作だ。
「娘が――――プリシュカが息災かも確認して欲しい」
ああ――。
先生が、以前読んでいた紀伝体で得た情報を話してくれたな。
王様が魔王軍との戦いに対して、弱々しくなった理由の一つに、息子さんを戦いで亡くしてしまったというのがあったな。
で、娘は安全なところへ避難させたという内容も聞いた。
安全な場所というのは、辺境候であるエンドリュー候の住む、城郭都市ドヌクトスだったわけか。
王様はエンドリュー候に、全幅の信頼を置いているって事だったし、そこに娘を避難させるのも頷ける。
娘か――――。王様の娘って事だから、姫なんだよな。
――――――プリシュカ姫か。
――――姫。
――姫か!
姫。つまりは英雄譚につきものの、勇者とのラブロマンス。
勇者――――。つまりは――――It's me!
おいおい、来たんじゃないのロマンス。
「娘さんのお歳は?」
ついついええ声を出してしまう。
先生は俺の横で肩を竦めないように。
皆も嘆息しない。これは大事な事なんだから。姫と勇者は、ファンタジーでは外せないペアですからね。
「十五になる。遅くに授かったものだったから、特に可愛がってしまってな」
年齢的にはドンピシャだな。
いよいよラブロマンスくるんじゃないか。出会ったらまあ、その……、ぶちゃいくでしたって事はないよな。
王様、以前は年老いた人物だと思っていたが、生気が漲ってからは若々しくなったし、イケメンさんでもある。
これは、可愛い姫説あるな。
やばいな。俺にはベルがいるのにな~。
ま、当の本人からはまったく相手にされてないけど……。
「王都も住みやすくなった。トール達のおかげだ。なのでどうにかして……」
なんとも言いにくそう。公私混同はよくなといったところなのか、王様は指をごにょごにょとさせて次の言葉を発せられないでいる。
背後の噴水の水音だけが――、場を支配していた。
「王都にプリシュカ姫を連れて帰ればいいんですね」
「う、む。まあ……」
やはり娘となると、父親ってのはこうなるのかな。
特に残された子供がその姫だけならな。
「あの、奥様は?」
息子さんの死と、姫の存在は知っているが、奥さんのことは聞かされたことがない。
「娘を産んだ後にな……」
「すいません……」
「いや、かまわんよ」
出産後、衰弱から体力が回復することなく、そのまま亡くなられたと聞かされる。
だからこそ、余計に娘さんが可愛くてたまらないんだろう。
俺たちが座る人数分を目算して、最上段に座る俺たちに合わせて、臣下の方々は両サイドの間隔を空けている。
俯瞰から見れば、さぞ見栄えがいいはずだ。
こういう細やかな配慮も出来る有能さ。
王様を始め、臣下の皆さんも完全復活だな。
「荀彧殿から話は聞いたぞ」
俺の両隣には、王様と先生が腰を下ろしている。
横を見れば先生が軽く会釈。
「ドヌクトスへと行くそうだな」
「はい」
「エンドリュー候は頼れる人物だ。是非とも助力を得てもらいたい。我々ではあの地まで行くことは出来ないが、トール達ならば可能だろう」
「任せてください」
瘴気の中は俺たちしか行けない。出来る奴らがやるべきなんだ。
――――この俺の意識の高さたるや。随分と自発的に行動しようとする気持ちが芽生えてきたもんだ。
会頭としての責任感も強くなってきたと自負している。
皆のために率先して行動に移せる俺を誰か好きになってくれないかな~。
チラリと横を見ても先生と王様っていうのがね。ここはベルとシャルナが両隣に座ってくれると嬉しいんだけど……。
「……それと頼みがあるのだが」
お、なんだろうか? 王様の声のトーンが一段階さがった。
暗いというより、照れくさいといったかんじかな。鼻頭をポリポリと掻く姿は、典型的な照れ隠しの動作だ。
「娘が――――プリシュカが息災かも確認して欲しい」
ああ――。
先生が、以前読んでいた紀伝体で得た情報を話してくれたな。
王様が魔王軍との戦いに対して、弱々しくなった理由の一つに、息子さんを戦いで亡くしてしまったというのがあったな。
で、娘は安全なところへ避難させたという内容も聞いた。
安全な場所というのは、辺境候であるエンドリュー候の住む、城郭都市ドヌクトスだったわけか。
王様はエンドリュー候に、全幅の信頼を置いているって事だったし、そこに娘を避難させるのも頷ける。
娘か――――。王様の娘って事だから、姫なんだよな。
――――――プリシュカ姫か。
――――姫。
――姫か!
姫。つまりは英雄譚につきものの、勇者とのラブロマンス。
勇者――――。つまりは――――It's me!
おいおい、来たんじゃないのロマンス。
「娘さんのお歳は?」
ついついええ声を出してしまう。
先生は俺の横で肩を竦めないように。
皆も嘆息しない。これは大事な事なんだから。姫と勇者は、ファンタジーでは外せないペアですからね。
「十五になる。遅くに授かったものだったから、特に可愛がってしまってな」
年齢的にはドンピシャだな。
いよいよラブロマンスくるんじゃないか。出会ったらまあ、その……、ぶちゃいくでしたって事はないよな。
王様、以前は年老いた人物だと思っていたが、生気が漲ってからは若々しくなったし、イケメンさんでもある。
これは、可愛い姫説あるな。
やばいな。俺にはベルがいるのにな~。
ま、当の本人からはまったく相手にされてないけど……。
「王都も住みやすくなった。トール達のおかげだ。なのでどうにかして……」
なんとも言いにくそう。公私混同はよくなといったところなのか、王様は指をごにょごにょとさせて次の言葉を発せられないでいる。
背後の噴水の水音だけが――、場を支配していた。
「王都にプリシュカ姫を連れて帰ればいいんですね」
「う、む。まあ……」
やはり娘となると、父親ってのはこうなるのかな。
特に残された子供がその姫だけならな。
「あの、奥様は?」
息子さんの死と、姫の存在は知っているが、奥さんのことは聞かされたことがない。
「娘を産んだ後にな……」
「すいません……」
「いや、かまわんよ」
出産後、衰弱から体力が回復することなく、そのまま亡くなられたと聞かされる。
だからこそ、余計に娘さんが可愛くてたまらないんだろう。
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