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増やそう経験
PHASE-340【三国の英雄(マイナー)】
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質という発言を耳にして、今にも怒りでベルが暴れそうだが、ゴロ太を起こすことも出来ないので堪えている。
――――結果として、多数の重傷者を出した王兵と、シュネーの死によって鎮圧は完了した。
これによりブラムスの魔道研究所は閉鎖。
研究者たちの大半は拘束されたそうだが、中には逃げ果せた者もいるらしい。
この事件がもとで組織は解体。
ワックさんの師であるノップさんは、こんな時代だからこそ世界を見たいと言い、生まれたばかりのゴロ太をワックさんに託して、旅だったそうだ。
残った赤ん坊のゴロ太を引き取ったワックさんは、一時期、王都で生活をしていたそうだが、そんな中で生後間もないゴロ太に異変が見られたそうだ。
生まれて間もないのに二足歩行で歩き、片言だが人語まで話したという。
シュネーが魔道研究の被検体になった時から身籠もっていた結果、ゴロ太にその力が入り込んだと考えたワックさんは、ゴロ太が利用される事を恐れて、王都から王族の湯治場であるクレトスへと移住し、今に至った。
生まれながらにして二足歩行、人語を理解し話す。
幼い時から人の手のように前足で物を扱うゴロ太には、ワックさんが自身の技術を教え、子守歌がわりに英雄譚の話をよく聞かせたそうだ。
その甲斐もあって、正義に魅了される良い子に育ったわけだ。
なるほどね。だから俺に対してえらくなついてんだな。
――――しんみりする中で申し訳ないが、気になるとこがある俺は、
「生まれた時からあの渋い声だったんですか?」
「え、はいそうです」
そうか、生まれた時からハードボイルド系の声だったんだな。
にしてもさっきからさ……。
「おのれ悪しき者め。まだ逃げている者もいるとなるなら、この私が手ずから探し出し、粛清してくれる!」
いつもの修正じゃなくて、粛清とは穏やかじゃないなベルさん。
ゴロ太を起こさないために小声。だけども裂帛の気合いが込められた声音は迫力のあるもので、耳にするこっちの肝が冷えてくる。
今にも炎が復活しそうな勢いだよ。
ゴロ太は自身の母親の記憶はないということだから、出来るだけそこには触れないで欲しいというワックさんのお願いに、俺たちは頷いて返した。
「ううん……」
ムニュムニュと口を動かし、クシクシとお目々を擦りながらゴロ太が起床。
愛らしい動作だが、やはり声だけは渋い良い声である。
「起きたかいゴロ太」
「うん。続きを頑張るよ」
ワックさんに応えるゴロ太がベルの膝から起き上がれば、寝起きという事もありゴロリと転がってしまう。
過保護が全開のベルが素早く抱き起こす。
「怪我は無いか」
焦りの声たるや……。
「平気だよ。ありがとうお姉ちゃん」
「うむ。私が全力で守ってやるからな」
ワックさんの話を聞いた後だから、気合いの入りまくった声だった。
ゴロ太は首を傾げながらも、再度お礼を口にしていた。
――――仕上げに入れば後は邪魔になるからと、俺たちは外で待機。
ベルだけは後ろ髪を引かれていた。
皆が一生懸命に働いているのに、俺たちだけなにもしないで芝生の上で寝転がるってのは悪い気がする。
なので!
ここで俺は新たなる力を召喚しようと思う。
先生が要塞トールハンマーでの戦巧者を欲する発言に、私兵団を創設するという発言。
ここはそれらをこなしてくれる人材を召喚しようと考えている。
先生と同じ作品から――――。
といっても、俺のゲームデータは先生が配下になっているだけのもの。
だから呼び出すとなれば、それは敵性勢力からの召喚だ。
なので俺は厳選した。
そこそこの強さに統率力。加えて兵を大事にし、私利私欲を有さない存在をと考えに考えた。
ここで関羽や張飛となれば、説得すれば立ち上がってくれる可能性もあるが、説得に失敗すれば戦闘突入となる可能性もある、プレイギアに確実に戻せるという確証も無い。
豪傑だ。俺の動きより速く動かれたら、プレイギアを向ける前に殺される可能性がある。
特に後者は短気だから交渉が上手くいかなかったら、即、襲ってきそう。
武力の高いのを選択するのはリスキーだ。
なのでそこそこ強くて、人格的にも問題ないとなると、俺の中では一人しか思い浮かばない。
メインのキャラクターではなくマイナーだけど、人物像から、かなり好きな武将だ。
「先生。ここで要塞トールハンマーと、私兵団の長を務める候補を召喚しようと思います」
「この中で真っ先に私に告白するという事は、私に関係していますね」
「はい。先生にとっては敵である人物です。でもって、俺との親密性もないので、戦いに発展する可能性もあります」
だから警戒は怠らないようにと言うことで、ベルとゲッコーさんには備えてもらう。
シャルナとコクリコも協力してくれるようで、先の二人と共に身構えてくれる。
――――結果として、多数の重傷者を出した王兵と、シュネーの死によって鎮圧は完了した。
これによりブラムスの魔道研究所は閉鎖。
研究者たちの大半は拘束されたそうだが、中には逃げ果せた者もいるらしい。
この事件がもとで組織は解体。
ワックさんの師であるノップさんは、こんな時代だからこそ世界を見たいと言い、生まれたばかりのゴロ太をワックさんに託して、旅だったそうだ。
残った赤ん坊のゴロ太を引き取ったワックさんは、一時期、王都で生活をしていたそうだが、そんな中で生後間もないゴロ太に異変が見られたそうだ。
生まれて間もないのに二足歩行で歩き、片言だが人語まで話したという。
シュネーが魔道研究の被検体になった時から身籠もっていた結果、ゴロ太にその力が入り込んだと考えたワックさんは、ゴロ太が利用される事を恐れて、王都から王族の湯治場であるクレトスへと移住し、今に至った。
生まれながらにして二足歩行、人語を理解し話す。
幼い時から人の手のように前足で物を扱うゴロ太には、ワックさんが自身の技術を教え、子守歌がわりに英雄譚の話をよく聞かせたそうだ。
その甲斐もあって、正義に魅了される良い子に育ったわけだ。
なるほどね。だから俺に対してえらくなついてんだな。
――――しんみりする中で申し訳ないが、気になるとこがある俺は、
「生まれた時からあの渋い声だったんですか?」
「え、はいそうです」
そうか、生まれた時からハードボイルド系の声だったんだな。
にしてもさっきからさ……。
「おのれ悪しき者め。まだ逃げている者もいるとなるなら、この私が手ずから探し出し、粛清してくれる!」
いつもの修正じゃなくて、粛清とは穏やかじゃないなベルさん。
ゴロ太を起こさないために小声。だけども裂帛の気合いが込められた声音は迫力のあるもので、耳にするこっちの肝が冷えてくる。
今にも炎が復活しそうな勢いだよ。
ゴロ太は自身の母親の記憶はないということだから、出来るだけそこには触れないで欲しいというワックさんのお願いに、俺たちは頷いて返した。
「ううん……」
ムニュムニュと口を動かし、クシクシとお目々を擦りながらゴロ太が起床。
愛らしい動作だが、やはり声だけは渋い良い声である。
「起きたかいゴロ太」
「うん。続きを頑張るよ」
ワックさんに応えるゴロ太がベルの膝から起き上がれば、寝起きという事もありゴロリと転がってしまう。
過保護が全開のベルが素早く抱き起こす。
「怪我は無いか」
焦りの声たるや……。
「平気だよ。ありがとうお姉ちゃん」
「うむ。私が全力で守ってやるからな」
ワックさんの話を聞いた後だから、気合いの入りまくった声だった。
ゴロ太は首を傾げながらも、再度お礼を口にしていた。
――――仕上げに入れば後は邪魔になるからと、俺たちは外で待機。
ベルだけは後ろ髪を引かれていた。
皆が一生懸命に働いているのに、俺たちだけなにもしないで芝生の上で寝転がるってのは悪い気がする。
なので!
ここで俺は新たなる力を召喚しようと思う。
先生が要塞トールハンマーでの戦巧者を欲する発言に、私兵団を創設するという発言。
ここはそれらをこなしてくれる人材を召喚しようと考えている。
先生と同じ作品から――――。
といっても、俺のゲームデータは先生が配下になっているだけのもの。
だから呼び出すとなれば、それは敵性勢力からの召喚だ。
なので俺は厳選した。
そこそこの強さに統率力。加えて兵を大事にし、私利私欲を有さない存在をと考えに考えた。
ここで関羽や張飛となれば、説得すれば立ち上がってくれる可能性もあるが、説得に失敗すれば戦闘突入となる可能性もある、プレイギアに確実に戻せるという確証も無い。
豪傑だ。俺の動きより速く動かれたら、プレイギアを向ける前に殺される可能性がある。
特に後者は短気だから交渉が上手くいかなかったら、即、襲ってきそう。
武力の高いのを選択するのはリスキーだ。
なのでそこそこ強くて、人格的にも問題ないとなると、俺の中では一人しか思い浮かばない。
メインのキャラクターではなくマイナーだけど、人物像から、かなり好きな武将だ。
「先生。ここで要塞トールハンマーと、私兵団の長を務める候補を召喚しようと思います」
「この中で真っ先に私に告白するという事は、私に関係していますね」
「はい。先生にとっては敵である人物です。でもって、俺との親密性もないので、戦いに発展する可能性もあります」
だから警戒は怠らないようにと言うことで、ベルとゲッコーさんには備えてもらう。
シャルナとコクリコも協力してくれるようで、先の二人と共に身構えてくれる。
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