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増やそう経験
PHASE-321【プライベート・ミリタリー・カンパニーのことだよ】
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リオスと接収した洞窟をつなぐ道。この場合の道は、方向音痴のコクリコによってもたらされた新しいルートの方。
正規の湿地帯ルートを移動することなく、スムーズに物資搬入を陸地を使ってのものにしたいからと、王都、リオス、洞窟をつなぐ道を整地する事になった。
舗装して往来速度を上げることで、三カ所の連係による即時対応を可能とする。
「折角コボルト達が切り開いてくれた洞窟です。現在、彼らが住まうのは我々と同じ場所。ならば、洞窟の所有も我々にあると判断したいですね」
魔王軍の為に洞窟を掘削したのではなく、俺たちのために掘削をしてくれたと思えば、彼らも救われるというもの。
「魔王軍が洞窟を前線基地と考えていたのならば、今度は我々が対魔王軍の前線基地として使用してやりましょう」
「と、なると、防衛強化が今後の課題ですね」
湿地を利用することで敵対者の進行速度を鈍らせ、且つ、野生のモンスターである巨大ワーム、ウォーターサイドによる妨害と脅威。
洞窟の周辺には土手を築き上げ、櫓を各所に建て、櫓と櫓をつなぐ回廊は射手が配置できる広い道幅で建設。
湿地による大穀倉地帯を作り、最終的には後方からの支援を受けることなく潤沢な糧食を獲得し、洞窟を難攻不落の要塞へと変貌させる。
「虎牢関の如き要害としましょう」
「落とされてますよね……」
「ですね。ですがそれは守り手が無能だったからですよ。この要塞に赴任させる者たちは、優秀な人材で編制します」
選りすぐりのギルドメンバー。ナブル将軍にも話はつけており、有能な戦士団を中心とした王都兵を駐留させるそうだ。
王都兵のここ最近の立ち振る舞いを見れば、精兵なのもよく分かる。
以前とは違って、信頼出来る。
「主の奇跡と勝利により士気も高く、練度の高い兵が育っております。特にベル殿の師事が大きいですね」
あ……、ゲッコーさんの名前が出なかったよ……。
おかしいな。ゲッコーさんも結構がんばってくれてると思うんだけどな。
目出し帽の現代戦術を訓練しているメンバーを目にしたんだけどな。
王都兵と限定すれば、ベルだけの功績になるのかな?
ここはあんまり触れないでおこう。伝説の兵士が影を纏う姿は見たくないからな。
ギルドメンバーの中で先生は新たな組織も立ち上げようと考えている。
探究心や素材集めに強い関心がある冒険者ではなく、戦いに特化し、それを生業にしていた冒険者からなる組織をとのことだ。
王都の兵達と共に行動したり、復興などではなく、戦闘重視で各地に派遣する組織。
「まるでPMCですね」
「PMC――――確か、Private Military Companyの略ですね。そう考えてくださっていいと思います」
――……PMCって略さないとそんな名前なんだ。そうなんだね……。ふ~ん……。
横文字を詰まることなくスラスラ~って言えちゃう先生の成長ぶりに驚かされる。
傭兵と素直に言っていれば、こんな驚きは得られなかっただろうな。
「冒険者だけでなく。主のための私兵でもあるPMCを見事に調練していき、精兵として鍛え上げます」
あんまり力を付けすぎると王サイドを刺激する心配――――、というのも以前まで。
今では王様だけでなく、勇者に力を与えすぎることに慎重だった臣下の貴族の面々も、先生を信頼し頼っている。
そもそも俺に私兵団を創設すると先生が口にしている時点で、話はついているって事だろうし。
「大穀倉地帯の開拓に、要塞建設を両方こなすって大変ですよ。ゴーレムが封じられたスクロールを使用しますか?」
王都だけでなく、その他の街町に村だって復興が急がれるのに。
「あれは報酬ですからね。人力でこなしてもらいます」
報酬とした方が、やる気も出るからって事らしいが、何よりも、この要塞は人の手で造らないといけないと先生は語る。
「元々こちらの拠点ではなかった敵方が築き上げようとした拠点。それを奪ったというのは今回が初めてのこと。だからこそ人々の力で造らねばなりません」
リド砦は元々は人間サイドの拠点。それを魔王軍に奪われ、ゲッコーさんの大量C4により使用不可能とした。
火龍が捕らえられていた要塞は、火龍を開放した後、奪取したわけではない。
そもそも陸から離れすぎていて戦略的な価値がない。
今回、魔王軍が拠点としようとした洞窟。
拠点としてまだ体を成していなかったが、それでも拠点として考えれば、敵から初めて奪ったことになるんだろう。
奪うというのが重要なんだよな。
奪ったという既成事実が、人々を鼓舞することに繋がるからだ。
正規の湿地帯ルートを移動することなく、スムーズに物資搬入を陸地を使ってのものにしたいからと、王都、リオス、洞窟をつなぐ道を整地する事になった。
舗装して往来速度を上げることで、三カ所の連係による即時対応を可能とする。
「折角コボルト達が切り開いてくれた洞窟です。現在、彼らが住まうのは我々と同じ場所。ならば、洞窟の所有も我々にあると判断したいですね」
魔王軍の為に洞窟を掘削したのではなく、俺たちのために掘削をしてくれたと思えば、彼らも救われるというもの。
「魔王軍が洞窟を前線基地と考えていたのならば、今度は我々が対魔王軍の前線基地として使用してやりましょう」
「と、なると、防衛強化が今後の課題ですね」
湿地を利用することで敵対者の進行速度を鈍らせ、且つ、野生のモンスターである巨大ワーム、ウォーターサイドによる妨害と脅威。
洞窟の周辺には土手を築き上げ、櫓を各所に建て、櫓と櫓をつなぐ回廊は射手が配置できる広い道幅で建設。
湿地による大穀倉地帯を作り、最終的には後方からの支援を受けることなく潤沢な糧食を獲得し、洞窟を難攻不落の要塞へと変貌させる。
「虎牢関の如き要害としましょう」
「落とされてますよね……」
「ですね。ですがそれは守り手が無能だったからですよ。この要塞に赴任させる者たちは、優秀な人材で編制します」
選りすぐりのギルドメンバー。ナブル将軍にも話はつけており、有能な戦士団を中心とした王都兵を駐留させるそうだ。
王都兵のここ最近の立ち振る舞いを見れば、精兵なのもよく分かる。
以前とは違って、信頼出来る。
「主の奇跡と勝利により士気も高く、練度の高い兵が育っております。特にベル殿の師事が大きいですね」
あ……、ゲッコーさんの名前が出なかったよ……。
おかしいな。ゲッコーさんも結構がんばってくれてると思うんだけどな。
目出し帽の現代戦術を訓練しているメンバーを目にしたんだけどな。
王都兵と限定すれば、ベルだけの功績になるのかな?
ここはあんまり触れないでおこう。伝説の兵士が影を纏う姿は見たくないからな。
ギルドメンバーの中で先生は新たな組織も立ち上げようと考えている。
探究心や素材集めに強い関心がある冒険者ではなく、戦いに特化し、それを生業にしていた冒険者からなる組織をとのことだ。
王都の兵達と共に行動したり、復興などではなく、戦闘重視で各地に派遣する組織。
「まるでPMCですね」
「PMC――――確か、Private Military Companyの略ですね。そう考えてくださっていいと思います」
――……PMCって略さないとそんな名前なんだ。そうなんだね……。ふ~ん……。
横文字を詰まることなくスラスラ~って言えちゃう先生の成長ぶりに驚かされる。
傭兵と素直に言っていれば、こんな驚きは得られなかっただろうな。
「冒険者だけでなく。主のための私兵でもあるPMCを見事に調練していき、精兵として鍛え上げます」
あんまり力を付けすぎると王サイドを刺激する心配――――、というのも以前まで。
今では王様だけでなく、勇者に力を与えすぎることに慎重だった臣下の貴族の面々も、先生を信頼し頼っている。
そもそも俺に私兵団を創設すると先生が口にしている時点で、話はついているって事だろうし。
「大穀倉地帯の開拓に、要塞建設を両方こなすって大変ですよ。ゴーレムが封じられたスクロールを使用しますか?」
王都だけでなく、その他の街町に村だって復興が急がれるのに。
「あれは報酬ですからね。人力でこなしてもらいます」
報酬とした方が、やる気も出るからって事らしいが、何よりも、この要塞は人の手で造らないといけないと先生は語る。
「元々こちらの拠点ではなかった敵方が築き上げようとした拠点。それを奪ったというのは今回が初めてのこと。だからこそ人々の力で造らねばなりません」
リド砦は元々は人間サイドの拠点。それを魔王軍に奪われ、ゲッコーさんの大量C4により使用不可能とした。
火龍が捕らえられていた要塞は、火龍を開放した後、奪取したわけではない。
そもそも陸から離れすぎていて戦略的な価値がない。
今回、魔王軍が拠点としようとした洞窟。
拠点としてまだ体を成していなかったが、それでも拠点として考えれば、敵から初めて奪ったことになるんだろう。
奪うというのが重要なんだよな。
奪ったという既成事実が、人々を鼓舞することに繋がるからだ。
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