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増やそう経験
PHASE-298【支点、力点、作用点】
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――……なんて思えるか! 俺はまだ終わらない! ここで終われば好感度が下がったままじゃないか! 下がらせたのは俺の行為だけれども。
「マントを羽織ろうとも!」
「挑むか。いい覚悟だ」
「マントの間からチラリと見えるのが余計にエロいですよ!」
揺さぶりをかけてやる。
「お前……」
上手くいった。ベルのヤツ、恥ずかしかったのか、開かれた前部分を覆うような所作。
それでは木剣は振れまい。
「もらった!」
得意の上段から攻める。
木剣を振れなくても足はあると警戒しつつの振り。
ギリギリで打ち込みを止めて、参ったと言わせて俺の勝ちだ。
「フッ」
「……ええ…………」
鼻で笑われて、俺のインクリーズ付与の振り下ろしをマントの下からちょこっとだけ頭を出した木剣の切っ先で受け止められた。
一点で容易く止めるとか……。
マントから木剣だけを出して的確に一点で止めるとかそんな事が出来るんですね……。
マントの中という、自由がききにくい空間内での腕の可動域だけで、インクリーズ付与の一撃を止めるってどんな技量なんだよ……。
全てが規格外すぎて、思考が追っつきませんよ……。
「マントにはこういう使い方もあるのだ」
死角から飛び出す木剣って事だね。
「勉強になります」
いま目の前でされている芸当をやれと言われても出来ませんがね。
相変わらず、凄すぎてまったく参考になりません。
暗器みたいに不意を突いてくる木剣で、俺の一振りが容易く防がれれば、
「あ! いたい゛!?」
情けない声を上げてしまう。
タフネスなんて発動してなかったんやと思わせる痛み。
一点で止めた木剣をそのまま木刀に沿うように走らせてきて、小手を見舞われる。
本当に痛い……。骨折したんじゃないのだろうか。
「いや、マジで骨せっづん!?」
――……いつもの如く、胸ぐらを掴まれるルートに突入しました……。
ベルさんは木剣を手から放す。偉いのは地面に置くとかしないことだね。
ベルトにでも挟んだのかな?
マントの内側での事だから確認できません。
剣道でも、竹刀の切っ先を地面につけるのは不作法であり、やってはいけない行為。
一昔前の体育教師とかは、竹刀を手にして威厳を放ってたらしいけど、切っ先を地面につける不作法者も多かったとか。
ベルさんはそんなことをしない出来た中佐です。
「覚悟は――――、出来ているな」
木剣の代わりにマントから出て来るのは拳。
女性がグーパンとかやらない方がいいんじゃないだろうか。絵面的に……。
柳眉が逆立ち、険のある切れ長の目。
ふ~……。また馴染みの味を堪能しないといけないのか…………。
手料理なら喜ぶけども、鉄の味はもうこりごりだよ……。
さりとて、俺とて異世界にきて鍛えられたんだ。ここで諦めるわけにはいかない!
「放してもらう!」
「まだ抵抗するか」
「単純な力だけなら俺は負けん」
加えて肉体強化してんだ。振りほどくくらいなら――――、
「無駄だ」
――……なんで……? なんで振りほどけないんだ。
細い腕のどこにそんな力が。
「支点さえ抑えれば、力点も作用点も発揮出来ない」
「テコの原理ですね」
小学校の時に習うやつだ。
「そうだ。お前の動かす腕に合わせて、こちらはお前の腕の支点を押さえ込めばいいだけだ」
簡単に言うよね。
ベルは胸ぐら掴んでいて、こっちは腕二本が動かせるのに、残った腕一本でこっちの二本を制するんだからな。
この中佐の前では全てが無意味なのか……。
「マントを羽織ろうとも!」
「挑むか。いい覚悟だ」
「マントの間からチラリと見えるのが余計にエロいですよ!」
揺さぶりをかけてやる。
「お前……」
上手くいった。ベルのヤツ、恥ずかしかったのか、開かれた前部分を覆うような所作。
それでは木剣は振れまい。
「もらった!」
得意の上段から攻める。
木剣を振れなくても足はあると警戒しつつの振り。
ギリギリで打ち込みを止めて、参ったと言わせて俺の勝ちだ。
「フッ」
「……ええ…………」
鼻で笑われて、俺のインクリーズ付与の振り下ろしをマントの下からちょこっとだけ頭を出した木剣の切っ先で受け止められた。
一点で容易く止めるとか……。
マントから木剣だけを出して的確に一点で止めるとかそんな事が出来るんですね……。
マントの中という、自由がききにくい空間内での腕の可動域だけで、インクリーズ付与の一撃を止めるってどんな技量なんだよ……。
全てが規格外すぎて、思考が追っつきませんよ……。
「マントにはこういう使い方もあるのだ」
死角から飛び出す木剣って事だね。
「勉強になります」
いま目の前でされている芸当をやれと言われても出来ませんがね。
相変わらず、凄すぎてまったく参考になりません。
暗器みたいに不意を突いてくる木剣で、俺の一振りが容易く防がれれば、
「あ! いたい゛!?」
情けない声を上げてしまう。
タフネスなんて発動してなかったんやと思わせる痛み。
一点で止めた木剣をそのまま木刀に沿うように走らせてきて、小手を見舞われる。
本当に痛い……。骨折したんじゃないのだろうか。
「いや、マジで骨せっづん!?」
――……いつもの如く、胸ぐらを掴まれるルートに突入しました……。
ベルさんは木剣を手から放す。偉いのは地面に置くとかしないことだね。
ベルトにでも挟んだのかな?
マントの内側での事だから確認できません。
剣道でも、竹刀の切っ先を地面につけるのは不作法であり、やってはいけない行為。
一昔前の体育教師とかは、竹刀を手にして威厳を放ってたらしいけど、切っ先を地面につける不作法者も多かったとか。
ベルさんはそんなことをしない出来た中佐です。
「覚悟は――――、出来ているな」
木剣の代わりにマントから出て来るのは拳。
女性がグーパンとかやらない方がいいんじゃないだろうか。絵面的に……。
柳眉が逆立ち、険のある切れ長の目。
ふ~……。また馴染みの味を堪能しないといけないのか…………。
手料理なら喜ぶけども、鉄の味はもうこりごりだよ……。
さりとて、俺とて異世界にきて鍛えられたんだ。ここで諦めるわけにはいかない!
「放してもらう!」
「まだ抵抗するか」
「単純な力だけなら俺は負けん」
加えて肉体強化してんだ。振りほどくくらいなら――――、
「無駄だ」
――……なんで……? なんで振りほどけないんだ。
細い腕のどこにそんな力が。
「支点さえ抑えれば、力点も作用点も発揮出来ない」
「テコの原理ですね」
小学校の時に習うやつだ。
「そうだ。お前の動かす腕に合わせて、こちらはお前の腕の支点を押さえ込めばいいだけだ」
簡単に言うよね。
ベルは胸ぐら掴んでいて、こっちは腕二本が動かせるのに、残った腕一本でこっちの二本を制するんだからな。
この中佐の前では全てが無意味なのか……。
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