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チートがほぼ無い冒険
PHASE-228【自力解決の誓い】
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このままマテバを使用しても、大型だと致命傷にはならない。
「物理耐性強化タフネス。筋力強化インクリーズ。敏捷強化ラピッド」
念じるように唱えれば、体内から力が漲ってくる。
わざわざ効果内容まで口にすることはないだろうが、口にしてしまうのは俺がそいういのが好きなお年頃だからね。仕方ないのだ!
「そいや!」
跳躍――――。
――……自分が思った以上のジャンプ力だった……。
泥濘に浸かった足に加えて、水の抵抗があるというのに、その様な場所からとは思えないほどの跳躍。
優に三メートルは飛んでいる。助走なしの跳躍。足場の悪い状態で三メートルだ。
ピリアって凄い。まじでこの能力を保持したまま日本に帰りたい。
絶対にメダルを日本にもたらすのに。異世界では俺TUEEEEではないが、日本に戻って、俺SUGEEEEになりたい。
「援護たのむ」
俺SUGEEEEな状態にて空中で抜刀しながら伝えれば、言い終わりと同時に矢がウォーターサイドなる巨大ワームに放たれ。後方ではタチアナが「ファーストエイド」と唱えてクラックリックの痛みを癒やす。
「そい!」
矢に遅れてギムロンが樽のような体を弓なりにして、両刃のバトルアックスを諸手で投擲。
ブォンブォンと風を切ってワームへと直撃。
分厚い斧の刃が深く突き刺さる箇所からは、今までで一番激しく緑色の体液が吹き出してくる。
先に刺さった矢の痛みなんて瞬時に忘れさせるほどの衝撃だったようで、
「ギュギィィィィィィィィィ」
今までにないけたたましい鳴き声を上げて、ブンブンと鎌首を振り回し、口腔から胃酸をまき散らしていく。
クラックリックとギムロンの行動は、俺が宙にいるわずかな間で行われた優れた技巧。
後は酸が、俺へとかからないことを祈るだけだ。空中で回避するスキルなど無論、俺は所持していないからな。
激痛に襲われて、俺に狙いが定まっていないだけでも最高の掩護である。
俺の横を酸が通り過ぎるのを横目で見つつ、
「せいや!」
掩護で生まれたチャンスを無駄にしないために、暴れるワームの体と、刀の振り下ろしが重なり合うタイミングで、体重を乗せた一振りを打ち込んだ。
「――ぶぺ」
渾身の一撃だけを考えた振りだった……。
なので着地どころか、受け身すら考慮していなかったので、振り抜けばそのまま俺の体は湿地にダイブ。
情けない声と共に起き上がる体は当然、泥まみれである。
洗い流したいと思うことよりも、顔についた泥を拭いながら見るのはワームの方向。
鳴き声はやんでおり、代わりにバッシャァァァァァンといった大きな水音。
ワークが湿地へと倒れ込む。
「お見事!」
どたどたと膝まで水に浸かった足をせわしなく動かし、ワームへと近づけば、自慢のバトルアックスを引き抜きつつ俺へ賛辞を呈するギムロン。
警戒するように肩を張らせていたのが弛緩し、体液の付着したバトルアックスを水で洗っていることから、巨大ワーム・ウォーターサイドは絶命したようである。
「素晴らしい斬撃でした。あと少し深ければ両断できていましたよ」
クラックリックは番えた矢を矢筒に戻しつつ、ギムロン同様にワームに刺さった矢を引き抜き、水で洗いながらこれまた賛辞を呈する。
命を奪ったことで賛辞を受けるのは嬉しくはないので、皆が無事なことが嬉しいというのに変換する。
しかし、インクリーズによる膂力の向上によって、俺なんかでも両断に近い斬撃を見舞うことが出来るとはね。
しっかりと足を地面につけた状態での斬撃なら、間違いなく両断できていたんだろう。
タフネスにも感謝だ。
着地に失敗して情けない声を出してしまったが、痛みは全く感じなかった。
反省点は、俺の想像を超えるラピッドの瞬発力。
肉体強化のインクリーズの効果も重複していたとはいえ、泥濘と水に浸かった足で、助走もせずにあそこまで高く跳躍できるなんてな。
力のバランスを理解する為に、実戦前に感覚をつかまないといけなかった。
ここは猛反省だ。
ぶっつけ本番は愚の骨頂だ。
次の戦いではもっと上手く立ち回らないと。
じゃないと、今回はクラックリックは衝撃を受けただけだったけど、次はその程度ではすまないかもしれない。
途方も無く実力に開きがあるが、俺とベルを比較したなら、ベルは味方に被害が出る前に終わらせる。
俺は勇者で前衛。射手であるクラックリックが負傷して、自分が無傷ってのは、結果がよくても経過としての評価はダメダメだ。
「ふぅぅぅぅ……」
「なんじゃい重い嘆息を」
勝利したんだから喜べと、ギムロンがでっかい手で俺の背中を叩くけども、いくら湿地の主とはいえ、今までの相手から比べると、ボスキャラにはカテゴライズできない。
苦戦という苦戦では無かった、もっと手早く対処しないとな。
やはり俺は、召喚に依存しすぎている。
今回は本格的にやばいと思わない限り、自力で解決してみよう。
じゃないと、いつまでたっても個の力が上達しない。
よくて銃までに留めておこう。
「物理耐性強化タフネス。筋力強化インクリーズ。敏捷強化ラピッド」
念じるように唱えれば、体内から力が漲ってくる。
わざわざ効果内容まで口にすることはないだろうが、口にしてしまうのは俺がそいういのが好きなお年頃だからね。仕方ないのだ!
「そいや!」
跳躍――――。
――……自分が思った以上のジャンプ力だった……。
泥濘に浸かった足に加えて、水の抵抗があるというのに、その様な場所からとは思えないほどの跳躍。
優に三メートルは飛んでいる。助走なしの跳躍。足場の悪い状態で三メートルだ。
ピリアって凄い。まじでこの能力を保持したまま日本に帰りたい。
絶対にメダルを日本にもたらすのに。異世界では俺TUEEEEではないが、日本に戻って、俺SUGEEEEになりたい。
「援護たのむ」
俺SUGEEEEな状態にて空中で抜刀しながら伝えれば、言い終わりと同時に矢がウォーターサイドなる巨大ワームに放たれ。後方ではタチアナが「ファーストエイド」と唱えてクラックリックの痛みを癒やす。
「そい!」
矢に遅れてギムロンが樽のような体を弓なりにして、両刃のバトルアックスを諸手で投擲。
ブォンブォンと風を切ってワームへと直撃。
分厚い斧の刃が深く突き刺さる箇所からは、今までで一番激しく緑色の体液が吹き出してくる。
先に刺さった矢の痛みなんて瞬時に忘れさせるほどの衝撃だったようで、
「ギュギィィィィィィィィィ」
今までにないけたたましい鳴き声を上げて、ブンブンと鎌首を振り回し、口腔から胃酸をまき散らしていく。
クラックリックとギムロンの行動は、俺が宙にいるわずかな間で行われた優れた技巧。
後は酸が、俺へとかからないことを祈るだけだ。空中で回避するスキルなど無論、俺は所持していないからな。
激痛に襲われて、俺に狙いが定まっていないだけでも最高の掩護である。
俺の横を酸が通り過ぎるのを横目で見つつ、
「せいや!」
掩護で生まれたチャンスを無駄にしないために、暴れるワームの体と、刀の振り下ろしが重なり合うタイミングで、体重を乗せた一振りを打ち込んだ。
「――ぶぺ」
渾身の一撃だけを考えた振りだった……。
なので着地どころか、受け身すら考慮していなかったので、振り抜けばそのまま俺の体は湿地にダイブ。
情けない声と共に起き上がる体は当然、泥まみれである。
洗い流したいと思うことよりも、顔についた泥を拭いながら見るのはワームの方向。
鳴き声はやんでおり、代わりにバッシャァァァァァンといった大きな水音。
ワークが湿地へと倒れ込む。
「お見事!」
どたどたと膝まで水に浸かった足をせわしなく動かし、ワームへと近づけば、自慢のバトルアックスを引き抜きつつ俺へ賛辞を呈するギムロン。
警戒するように肩を張らせていたのが弛緩し、体液の付着したバトルアックスを水で洗っていることから、巨大ワーム・ウォーターサイドは絶命したようである。
「素晴らしい斬撃でした。あと少し深ければ両断できていましたよ」
クラックリックは番えた矢を矢筒に戻しつつ、ギムロン同様にワームに刺さった矢を引き抜き、水で洗いながらこれまた賛辞を呈する。
命を奪ったことで賛辞を受けるのは嬉しくはないので、皆が無事なことが嬉しいというのに変換する。
しかし、インクリーズによる膂力の向上によって、俺なんかでも両断に近い斬撃を見舞うことが出来るとはね。
しっかりと足を地面につけた状態での斬撃なら、間違いなく両断できていたんだろう。
タフネスにも感謝だ。
着地に失敗して情けない声を出してしまったが、痛みは全く感じなかった。
反省点は、俺の想像を超えるラピッドの瞬発力。
肉体強化のインクリーズの効果も重複していたとはいえ、泥濘と水に浸かった足で、助走もせずにあそこまで高く跳躍できるなんてな。
力のバランスを理解する為に、実戦前に感覚をつかまないといけなかった。
ここは猛反省だ。
ぶっつけ本番は愚の骨頂だ。
次の戦いではもっと上手く立ち回らないと。
じゃないと、今回はクラックリックは衝撃を受けただけだったけど、次はその程度ではすまないかもしれない。
途方も無く実力に開きがあるが、俺とベルを比較したなら、ベルは味方に被害が出る前に終わらせる。
俺は勇者で前衛。射手であるクラックリックが負傷して、自分が無傷ってのは、結果がよくても経過としての評価はダメダメだ。
「ふぅぅぅぅ……」
「なんじゃい重い嘆息を」
勝利したんだから喜べと、ギムロンがでっかい手で俺の背中を叩くけども、いくら湿地の主とはいえ、今までの相手から比べると、ボスキャラにはカテゴライズできない。
苦戦という苦戦では無かった、もっと手早く対処しないとな。
やはり俺は、召喚に依存しすぎている。
今回は本格的にやばいと思わない限り、自力で解決してみよう。
じゃないと、いつまでたっても個の力が上達しない。
よくて銃までに留めておこう。
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