227 / 1,668
チートがほぼ無い冒険
PHASE-227【急造パーティー、戦闘開始】
しおりを挟む
「うへ~……」
襞が波打つ姿は、形容できない気持ち悪さ……。小さい姿なら我慢も出来るが、六、七メートルありそうな体長に、胴回りは大木サイズ。そんのが動くとなれば、不気味であり脅威だ。
目があるのかは分からないが、こちらを向き、先端がぽっかりと開く。
口だというのは直ぐに理解できた。
円形からなる口には、口内に沿うようにギザギザの弧を描いたような歯がびっしりと何列にもなって生えている。
歯舌を禍々しくしたような感じだ。
歯の先端は体内の方を向いていて、噛まれてしまえば、何列もあるギザギザの歯に捕らえられ、引き抜くことは不可能というのが分かる。あの口に捕まれば、生きたままゆっくりと丸呑みのバッドエンドルートに突入するわけだな。
「でもクラーケンと比べるとデカくはない」
「比べる相手が違いすぎます。あんな最強格のモンスターと比べる相手ではないです。ですが力はありますし、水中では我々より俊敏です」
最強格か。ベルの青い炎でえらいことになってたけどな。クラーケン。
クラックリックの言では、地の利は向こう側にある。
だがこっちは四人。クラックリックは俺へと語ると同時に、矢をウォーターサイドに向けてから、
「インクリーズ」
ほほう。当たり前のように使えるんだな……。
やはり王道漫画ですかね?
主人公が使えるようになったら、周囲も使えて当然みたいな流れですよ……。
これが俺TUEEEE作品なら、周りが出来ない事を主人公だけが平然とやってのけるんだろう。周囲はそこにシビれる憧れるゥ! な、わけだ。
俺がそんな作品の主人公になったら、強さに過信して、調子に乗って痛い目に遭うこと間違いなしだな。
なので、地道に強くなっていきます――――、
「よっと!」
なんて思いながらも、ズドン! と、マテバから一発。オーバーテクノロジーの武器に頼るスタイル。
「「「おお!」」」
と、三人が声を合わせ、
「これが勇者である会頭と、従者が使用する魔法の筒かい」
と、ギムロンが驚く二人を置いて、一人、継ぐ。
ホルスターから取り出し、しっかりと両手でグリップを固定したから見事に命中だ。余裕を持って待ち構えられたから出来たことだ。
弾丸を受けたワームの赤黒い体表からは、緑色の体液が流れ出してくる。
「キュルルルルルル――――」
甲高い鳴き声。例えるなら、車のファンベルトが劣化したような音。
ダメージは負っているみたいだけど、動きは止まらない。
纏っていた泥が周囲に飛び散り、はっきりと体表が出現する。
赤黒い巨大ミミズ。泥に隠されていたものが露わとなる。
ちょっとだけ体表を覗かせているだけでも気持ち悪かったのに、全体の襞が波打つ姿はそれ以上。総毛立ってしまう。
タチアナなんかは両手で自分の腕をさする仕草。
仕草をするためにスタッフを泥濘に突き立てる余裕はある模様。
「シッ!」
気合いと共にクラックリックが矢を放つ。
ズブリと箆が半分ほど埋没する。
水中でも速く動ける事から、全体が筋肉と考えられるけど、インクリーズを使用しての矢の威力は流石だ。深く突き刺さっている。
威力はウォーターサイドの甲高い鳴き声を聞けば分かる。
.357マグナム弾が当たった以上の鳴き声だった。
悶えるように体を震わせながらも、蛇が鎌首を上げるかのような姿勢になる。
「来るぞい。当たればただではすまんぞ」
焦りが混じるギムロンの声音。
でっかいワームが鎌首を弓なりに反らす。
明らかに口からなにかを吐き出そうとしている所作である。
はたして正にで、ぽっかりと空いた歯舌の見える口腔より、粘度の高い液体が吐き出される。
「きたね!」
足場の悪い中で何とか回避に成功。
「……げっ」
粘液が着弾したのは浮き草の一帯。
ジュュュュュュュュュュュ――っと、音を立てて煙を上げ浮き草が溶ける。
「毒か!」
「と言うより、強力な胃酸です」
クラックリックが次の矢を番えつつ教えてくれる。
「触れたり煙も吸わないように」
継いで警告。
さわりはしないが、呼吸は注意しないとな。
「ギュィィィィィィィ」
次の一手とばかりに、酸を吐き出した反動のまま上半身でこちらに体当たり。
バシャャャャャン! 大きな衝撃。
沈殿していた湿地の泥が、強大なワームが動き回ることで攪拌され、泥水となって茶色い水柱を上げる。
「くぅ……」
クラックリックが苦痛の声を上げる。
「大丈夫か!」
俺はすかさずクラックリックの前に立つ。
「ありがとうございます。衝撃を受けただけです」
衝撃だけでも歪んだ表情。直撃は当然よろしくないわけだな。
襞が波打つ姿は、形容できない気持ち悪さ……。小さい姿なら我慢も出来るが、六、七メートルありそうな体長に、胴回りは大木サイズ。そんのが動くとなれば、不気味であり脅威だ。
目があるのかは分からないが、こちらを向き、先端がぽっかりと開く。
口だというのは直ぐに理解できた。
円形からなる口には、口内に沿うようにギザギザの弧を描いたような歯がびっしりと何列にもなって生えている。
歯舌を禍々しくしたような感じだ。
歯の先端は体内の方を向いていて、噛まれてしまえば、何列もあるギザギザの歯に捕らえられ、引き抜くことは不可能というのが分かる。あの口に捕まれば、生きたままゆっくりと丸呑みのバッドエンドルートに突入するわけだな。
「でもクラーケンと比べるとデカくはない」
「比べる相手が違いすぎます。あんな最強格のモンスターと比べる相手ではないです。ですが力はありますし、水中では我々より俊敏です」
最強格か。ベルの青い炎でえらいことになってたけどな。クラーケン。
クラックリックの言では、地の利は向こう側にある。
だがこっちは四人。クラックリックは俺へと語ると同時に、矢をウォーターサイドに向けてから、
「インクリーズ」
ほほう。当たり前のように使えるんだな……。
やはり王道漫画ですかね?
主人公が使えるようになったら、周囲も使えて当然みたいな流れですよ……。
これが俺TUEEEE作品なら、周りが出来ない事を主人公だけが平然とやってのけるんだろう。周囲はそこにシビれる憧れるゥ! な、わけだ。
俺がそんな作品の主人公になったら、強さに過信して、調子に乗って痛い目に遭うこと間違いなしだな。
なので、地道に強くなっていきます――――、
「よっと!」
なんて思いながらも、ズドン! と、マテバから一発。オーバーテクノロジーの武器に頼るスタイル。
「「「おお!」」」
と、三人が声を合わせ、
「これが勇者である会頭と、従者が使用する魔法の筒かい」
と、ギムロンが驚く二人を置いて、一人、継ぐ。
ホルスターから取り出し、しっかりと両手でグリップを固定したから見事に命中だ。余裕を持って待ち構えられたから出来たことだ。
弾丸を受けたワームの赤黒い体表からは、緑色の体液が流れ出してくる。
「キュルルルルルル――――」
甲高い鳴き声。例えるなら、車のファンベルトが劣化したような音。
ダメージは負っているみたいだけど、動きは止まらない。
纏っていた泥が周囲に飛び散り、はっきりと体表が出現する。
赤黒い巨大ミミズ。泥に隠されていたものが露わとなる。
ちょっとだけ体表を覗かせているだけでも気持ち悪かったのに、全体の襞が波打つ姿はそれ以上。総毛立ってしまう。
タチアナなんかは両手で自分の腕をさする仕草。
仕草をするためにスタッフを泥濘に突き立てる余裕はある模様。
「シッ!」
気合いと共にクラックリックが矢を放つ。
ズブリと箆が半分ほど埋没する。
水中でも速く動ける事から、全体が筋肉と考えられるけど、インクリーズを使用しての矢の威力は流石だ。深く突き刺さっている。
威力はウォーターサイドの甲高い鳴き声を聞けば分かる。
.357マグナム弾が当たった以上の鳴き声だった。
悶えるように体を震わせながらも、蛇が鎌首を上げるかのような姿勢になる。
「来るぞい。当たればただではすまんぞ」
焦りが混じるギムロンの声音。
でっかいワームが鎌首を弓なりに反らす。
明らかに口からなにかを吐き出そうとしている所作である。
はたして正にで、ぽっかりと空いた歯舌の見える口腔より、粘度の高い液体が吐き出される。
「きたね!」
足場の悪い中で何とか回避に成功。
「……げっ」
粘液が着弾したのは浮き草の一帯。
ジュュュュュュュュュュュ――っと、音を立てて煙を上げ浮き草が溶ける。
「毒か!」
「と言うより、強力な胃酸です」
クラックリックが次の矢を番えつつ教えてくれる。
「触れたり煙も吸わないように」
継いで警告。
さわりはしないが、呼吸は注意しないとな。
「ギュィィィィィィィ」
次の一手とばかりに、酸を吐き出した反動のまま上半身でこちらに体当たり。
バシャャャャャン! 大きな衝撃。
沈殿していた湿地の泥が、強大なワームが動き回ることで攪拌され、泥水となって茶色い水柱を上げる。
「くぅ……」
クラックリックが苦痛の声を上げる。
「大丈夫か!」
俺はすかさずクラックリックの前に立つ。
「ありがとうございます。衝撃を受けただけです」
衝撃だけでも歪んだ表情。直撃は当然よろしくないわけだな。
0
お気に入りに追加
447
あなたにおすすめの小説
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。
彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。
父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。
わー、凄いテンプレ展開ですね!
ふふふ、私はこの時を待っていた!
いざ行かん、正義の旅へ!
え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。
でも……美味しいは正義、ですよね?
2021/02/19 第一部完結
2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結
母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)
いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。
全く親父の奴!勝手に消えやがって!
親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。
俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。
母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。
なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな?
なら、出ていくよ!
俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ!
これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。
カクヨム様にて先行掲載中です。
不定期更新です。
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
【完結】公爵家の末っ子娘は嘲笑う
たくみ
ファンタジー
圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。
アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。
ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?
それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。
自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。
このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。
それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。
※小説家になろうさんで投稿始めました
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
だから聖女はいなくなった
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」
レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。
彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。
だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。
キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。
※7万字程度の中編です。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる