181 / 1,668
王族の湯治場クレトス
PHASE-181【俺以外、召喚をするの禁止!】
しおりを挟む
「気をつけろ。手前のアラミアンスってのはスクロールを所持してるぞ」
「なに!? なぜ知っている」
「それは俺が勇者だからさ」
格好つけてみる。
以外と受けがよかったのか、シャルナからは、凄い! って、尊敬された。
「お兄ちゃん流石は勇者だね。だから相手のことも理解できるんだね。凄いや」
って、ゴロ太からも可愛い顔で尊敬される。
声はまったく可愛くないけども。
むしろ勇者としては、その威厳ある声になりたい。
でもって、ゴロ太に尊敬されたら、ベルから嫉妬の目で見られるっていうね……。
その視線は俺の心をズンガズンガさせる……。
俺が他の女にチヤホヤされてたら向けて欲しい視線なんだけどな……。
「とにかくだ。あいつから潰せばいいわけだな」
麻酔銃を引き抜くゲッコーさんの動きは早いが、
「なめるな! いけゴーレム!」
「ふぁ!?」
ゴーレムだと! シーゴーレムならばかすか沈めてきたが。
スクロールを開いて、描かれた魔法陣に手を触れさせれば、スクロールが光の粒子となって霧散。
強い光とともに大地が揺れて、地面が盛り上がり形を成していく。
四メートルはありそうな、土と石で出来た巨人が現れた。
樽のようなボディに、大木のような腕と足。筒型の頭には、赤く輝く一つ目。
なんとも機械的な目である。
グポーンという効果音が似合いそうだ。
「さあトール。どうする?」
「え!?」
急にゲッコーさんが後ろに下がったよ。
手にする麻酔銃はなんだったの?
明らかに戦闘を俺にやらせようとしているよね。
「啖呵を切っていたからな。きっと勇者としての戦いを見せてくれるのだろう」
追撃のベル。
明らかにボス戦なんですけど。
毎度このパターンに入るね。
俺をそこまでして育てたいのか?
この二人、スパルタもいいところ。
ゴーレムへと目を向ける。
ズンズンと地面を揺らし、やる気満々でこちらに接近。
冗談ではない!
「いけ!」
だめ押しとばかりに、山賊の中の一人が更にスクロールを手にして、発動。
――……なんてこったい。またもゴーレムが出てきた。
山賊全員を調べなかった俺のミスだな。
こうなると、他の連中もスクロールを所持していると考えるべきだろう。
「面倒な相手だね」
シャルナが汗を垂らす。
「ゴーレムだからな。物理耐性に魔法にも強いんだっけ?」
「そうだよ。魔王軍に従ってたみたいだから、その時に与えられたのかも」
「魔王軍って太っ腹だな。あんな奴らにスクロールなんて」
「それだけ、潤沢にいろんな物が揃ってるって事だよ」
こっちはWW2時の金属類回収令みたいに、鉄扉を溶かして装備とかって言ってるのに、羨ましい限りだ。
矢を番えて弓を構えてみても、シャルナも流石に理解しているのか、構えるだけで、矢を放つつもりはないようだ。
ここはロケラン系のゲッコーさんの出番なんだが、当の本人は俺に任せてみようとしている。
「しかたね――――」
「ファイヤーボール」
分かってた。
絶対にお前が先手うつって分かってた。
でもって――、
「ぐぬぬぬぬ……」
通用しないのも分かってた。
聞いてた? 俺とシャルナの会話。物理だけでなく、魔法にも耐性あるって話。
ノービスじゃ通用しねえよ。
「どいてな、ぺったんこ」
「なにおぅ!」
「魔法ってのは、こういうのを言うのよ!」
高圧的に言いつつ、
「スプリームフォール!」
と、継ぐ。
魔法耐性が高かろうとも、大魔法は効果あるだろう。
なんたって土や石だからな。瀑布でもって麓まで流してやるぜ。
宙空に突如と暗雲が立ち込めて、そこより滝が降り注ぐ。
直下のゴーレム達はただでは済まないだろう。
今の俺は――――、やはり格好いい。
「なに!? なぜ知っている」
「それは俺が勇者だからさ」
格好つけてみる。
以外と受けがよかったのか、シャルナからは、凄い! って、尊敬された。
「お兄ちゃん流石は勇者だね。だから相手のことも理解できるんだね。凄いや」
って、ゴロ太からも可愛い顔で尊敬される。
声はまったく可愛くないけども。
むしろ勇者としては、その威厳ある声になりたい。
でもって、ゴロ太に尊敬されたら、ベルから嫉妬の目で見られるっていうね……。
その視線は俺の心をズンガズンガさせる……。
俺が他の女にチヤホヤされてたら向けて欲しい視線なんだけどな……。
「とにかくだ。あいつから潰せばいいわけだな」
麻酔銃を引き抜くゲッコーさんの動きは早いが、
「なめるな! いけゴーレム!」
「ふぁ!?」
ゴーレムだと! シーゴーレムならばかすか沈めてきたが。
スクロールを開いて、描かれた魔法陣に手を触れさせれば、スクロールが光の粒子となって霧散。
強い光とともに大地が揺れて、地面が盛り上がり形を成していく。
四メートルはありそうな、土と石で出来た巨人が現れた。
樽のようなボディに、大木のような腕と足。筒型の頭には、赤く輝く一つ目。
なんとも機械的な目である。
グポーンという効果音が似合いそうだ。
「さあトール。どうする?」
「え!?」
急にゲッコーさんが後ろに下がったよ。
手にする麻酔銃はなんだったの?
明らかに戦闘を俺にやらせようとしているよね。
「啖呵を切っていたからな。きっと勇者としての戦いを見せてくれるのだろう」
追撃のベル。
明らかにボス戦なんですけど。
毎度このパターンに入るね。
俺をそこまでして育てたいのか?
この二人、スパルタもいいところ。
ゴーレムへと目を向ける。
ズンズンと地面を揺らし、やる気満々でこちらに接近。
冗談ではない!
「いけ!」
だめ押しとばかりに、山賊の中の一人が更にスクロールを手にして、発動。
――……なんてこったい。またもゴーレムが出てきた。
山賊全員を調べなかった俺のミスだな。
こうなると、他の連中もスクロールを所持していると考えるべきだろう。
「面倒な相手だね」
シャルナが汗を垂らす。
「ゴーレムだからな。物理耐性に魔法にも強いんだっけ?」
「そうだよ。魔王軍に従ってたみたいだから、その時に与えられたのかも」
「魔王軍って太っ腹だな。あんな奴らにスクロールなんて」
「それだけ、潤沢にいろんな物が揃ってるって事だよ」
こっちはWW2時の金属類回収令みたいに、鉄扉を溶かして装備とかって言ってるのに、羨ましい限りだ。
矢を番えて弓を構えてみても、シャルナも流石に理解しているのか、構えるだけで、矢を放つつもりはないようだ。
ここはロケラン系のゲッコーさんの出番なんだが、当の本人は俺に任せてみようとしている。
「しかたね――――」
「ファイヤーボール」
分かってた。
絶対にお前が先手うつって分かってた。
でもって――、
「ぐぬぬぬぬ……」
通用しないのも分かってた。
聞いてた? 俺とシャルナの会話。物理だけでなく、魔法にも耐性あるって話。
ノービスじゃ通用しねえよ。
「どいてな、ぺったんこ」
「なにおぅ!」
「魔法ってのは、こういうのを言うのよ!」
高圧的に言いつつ、
「スプリームフォール!」
と、継ぐ。
魔法耐性が高かろうとも、大魔法は効果あるだろう。
なんたって土や石だからな。瀑布でもって麓まで流してやるぜ。
宙空に突如と暗雲が立ち込めて、そこより滝が降り注ぐ。
直下のゴーレム達はただでは済まないだろう。
今の俺は――――、やはり格好いい。
0
お気に入りに追加
447
あなたにおすすめの小説
王子は婚約破棄をし、令嬢は自害したそうです。
七辻ゆゆ
ファンタジー
「アリシア・レッドライア! おまえとの婚約を破棄する!」
公爵令嬢アリシアは王子の言葉に微笑んだ。「殿下、美しい夢をありがとうございました」そして己の胸にナイフを突き立てた。
血に染まったパーティ会場は、王子にとって一生忘れられない景色となった。冤罪によって婚約者を自害させた愚王として生きていくことになる。
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。
彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。
父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。
わー、凄いテンプレ展開ですね!
ふふふ、私はこの時を待っていた!
いざ行かん、正義の旅へ!
え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。
でも……美味しいは正義、ですよね?
2021/02/19 第一部完結
2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結
母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)
いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。
全く親父の奴!勝手に消えやがって!
親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。
俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。
母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。
なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな?
なら、出ていくよ!
俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ!
これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。
カクヨム様にて先行掲載中です。
不定期更新です。
【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断
Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。
23歳の公爵家当主ジークヴァルト。
年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。
ただの女友達だと彼は言う。
だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。
彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。
また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。
エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。
覆す事は出来ない。
溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。
そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。
二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。
これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。
エルネスティーネは限界だった。
一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。
初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。
だから愛する男の前で死を選ぶ。
永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。
矛盾した想いを抱え彼女は今――――。
長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。
センシティブな所へ触れるかもしれません。
これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる