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お久しぶりの王都
PHASE-151【救荒作物は大事】
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「どうやら新たな仲間も出来たようだな」
生気に溢れる目を向ける王様。
「ああ、はい……。コクリコ・シュレンテッドと申します」
普段の勢いは何処へやら……。
王様の威風堂々たる姿と、王城へと足を踏み入れた事で、内弁慶は小動物のようにプルプルと震えている。
「この様な幼子が戦いの場に立つのは心苦しくもあるな」
申し訳なさそうな王様。
まったくもって気にしなくていいのに。
普段のコイツを見たらびっくりするよ。
捏造自伝が趣味の、戦闘狂の中二病者だから。
「王都もかなり様変わりしたであろう」
「ですね」
「これも荀彧先生のおかげだ」
完全に尊敬していますな。
先生と呼ぶとか、俺たちがいない間に、先生はかなりのネットワークを構築しているようで、以前は俺に六花のマントを渡す事に渋っていた連中も、先生の事になれば、大きく頷いてその通りと賛同している。
王様の周辺は、完全に先生の掌中だな。
「宴を催したいが、今は国政に力を入れたい。それにトールも、気心の知れたギルドの者たちと語り合いたいだろう」
あら、ホブゴブリンを倒した時は宴会ばかりだったのに、嘘みたいに国の舵取りに遮二無二なってますな。
いいことだけどね。
正直、おっさんたちに囲まれて食事をしても楽しくないから、こちらとしてもありがたい。
かたっ苦しいのは冒険者が苦手とするところだ。
と、心の中で格好つけてみる。
「何かあるならいつでも頼ってくれ」
そう言って、今回も報酬はなく、労いの言葉だけをいただき、王城より去る俺達。
よくよく考えると俺、刀が無いんだけども……。
まあいいや、先生が何とかしてくれるだろう。
だって、王都の一角で煙が上がっている。
鉄を欲していた先生。
ドワーフもいるって事だし、炉も修復されて、鍛冶屋が出来ているかもしれない。
「ほほう」
ようやく中を拝見。
俺の提案どおり、ギルドハウスの一階は、酒場と食事処になってる。
外から見ても大きいが、中に入れば広さに驚く。
一階は天井も高くて、圧迫感がない開放的な場所だ。
クエストを終えたメンバーもゆったり出来る空間だな。
「開放的になれば、懐も緩みますからね」
それも狙いか。
「とはいえ、まだ貨幣は無価値ですよね~」
「ええ。ですので、酒も肴も金属などでの払いです。ギルドの者ならツケもききます」
いまは昼間って事もあって、閑散としている。
というか、運営している?
「主。まだまだ人材を募集せねばなりません。とくに酒場の給仕に、一階にはクエストのための受付も雇わなければいけません」
「給仕や受付は、若い女性がいいですよ」
「なるほど、やはり若い女人がいれば、男は励みますからね」
そういう事ですよ。
――と、いうことで、
「ベル、バにぃん゛」
速攻で胸ぐらを掴まれてしまう。
「却下だ。無理矢理にでも着せてみろ。なます切りだ」
ひぃぃぃぃぃぃ……。
なんて炯眼。怖いよ中佐。
エメラルドグリーンの瞳に炎が宿っているよ。
いま現在、炎は使用出来ないはずなのに、宿ってますよ。
「世の中には戦意高揚というものがあって」
「だからなんだ」
「はい、すいませんでした……」
次ぎバニーにする時は、命がけになりそうだな。
「ベル殿は却下されましたが、女性を雇う事は大事でしょう。報酬としては、食料の提供が現状では可能です」
「十分な食料もないですけどね」
「いえいえ、近々、稗は実ります」
先生、俺たちが王都から出立したと同時に、修復だけでなく、木壁と王都城壁の間に田園を耕して、生産も同時進行だそうだ。
救荒作物でもある稗を大量生産。
荒地でもしっかりと育ってくれる一年草は、夏の終わりから秋には、十分な収穫が見込めるとの事だ。
「自分たちの食料ですからね。王都に住まう人々には、可能な限り協力していただきました」
「ありがたいことです」
木壁と、冒険者と王都兵の警邏のおかげで、王都外での農耕であっても、住人の皆さんは、脅威に怯えることなく従事してくださっているそうだ。
収穫し、脱穀後の稗の茎や葉は、そのまま飼料として使用し、家畜も殖やしていく。
計画通りに稗、粟、黍の生産から始め、主食となる麦や米へと変更していくその第一歩を確実にこなしてくださっている。
この世界での主食は、米より麦なので、そちらに力を入れていくみたいだ。
生気に溢れる目を向ける王様。
「ああ、はい……。コクリコ・シュレンテッドと申します」
普段の勢いは何処へやら……。
王様の威風堂々たる姿と、王城へと足を踏み入れた事で、内弁慶は小動物のようにプルプルと震えている。
「この様な幼子が戦いの場に立つのは心苦しくもあるな」
申し訳なさそうな王様。
まったくもって気にしなくていいのに。
普段のコイツを見たらびっくりするよ。
捏造自伝が趣味の、戦闘狂の中二病者だから。
「王都もかなり様変わりしたであろう」
「ですね」
「これも荀彧先生のおかげだ」
完全に尊敬していますな。
先生と呼ぶとか、俺たちがいない間に、先生はかなりのネットワークを構築しているようで、以前は俺に六花のマントを渡す事に渋っていた連中も、先生の事になれば、大きく頷いてその通りと賛同している。
王様の周辺は、完全に先生の掌中だな。
「宴を催したいが、今は国政に力を入れたい。それにトールも、気心の知れたギルドの者たちと語り合いたいだろう」
あら、ホブゴブリンを倒した時は宴会ばかりだったのに、嘘みたいに国の舵取りに遮二無二なってますな。
いいことだけどね。
正直、おっさんたちに囲まれて食事をしても楽しくないから、こちらとしてもありがたい。
かたっ苦しいのは冒険者が苦手とするところだ。
と、心の中で格好つけてみる。
「何かあるならいつでも頼ってくれ」
そう言って、今回も報酬はなく、労いの言葉だけをいただき、王城より去る俺達。
よくよく考えると俺、刀が無いんだけども……。
まあいいや、先生が何とかしてくれるだろう。
だって、王都の一角で煙が上がっている。
鉄を欲していた先生。
ドワーフもいるって事だし、炉も修復されて、鍛冶屋が出来ているかもしれない。
「ほほう」
ようやく中を拝見。
俺の提案どおり、ギルドハウスの一階は、酒場と食事処になってる。
外から見ても大きいが、中に入れば広さに驚く。
一階は天井も高くて、圧迫感がない開放的な場所だ。
クエストを終えたメンバーもゆったり出来る空間だな。
「開放的になれば、懐も緩みますからね」
それも狙いか。
「とはいえ、まだ貨幣は無価値ですよね~」
「ええ。ですので、酒も肴も金属などでの払いです。ギルドの者ならツケもききます」
いまは昼間って事もあって、閑散としている。
というか、運営している?
「主。まだまだ人材を募集せねばなりません。とくに酒場の給仕に、一階にはクエストのための受付も雇わなければいけません」
「給仕や受付は、若い女性がいいですよ」
「なるほど、やはり若い女人がいれば、男は励みますからね」
そういう事ですよ。
――と、いうことで、
「ベル、バにぃん゛」
速攻で胸ぐらを掴まれてしまう。
「却下だ。無理矢理にでも着せてみろ。なます切りだ」
ひぃぃぃぃぃぃ……。
なんて炯眼。怖いよ中佐。
エメラルドグリーンの瞳に炎が宿っているよ。
いま現在、炎は使用出来ないはずなのに、宿ってますよ。
「世の中には戦意高揚というものがあって」
「だからなんだ」
「はい、すいませんでした……」
次ぎバニーにする時は、命がけになりそうだな。
「ベル殿は却下されましたが、女性を雇う事は大事でしょう。報酬としては、食料の提供が現状では可能です」
「十分な食料もないですけどね」
「いえいえ、近々、稗は実ります」
先生、俺たちが王都から出立したと同時に、修復だけでなく、木壁と王都城壁の間に田園を耕して、生産も同時進行だそうだ。
救荒作物でもある稗を大量生産。
荒地でもしっかりと育ってくれる一年草は、夏の終わりから秋には、十分な収穫が見込めるとの事だ。
「自分たちの食料ですからね。王都に住まう人々には、可能な限り協力していただきました」
「ありがたいことです」
木壁と、冒険者と王都兵の警邏のおかげで、王都外での農耕であっても、住人の皆さんは、脅威に怯えることなく従事してくださっているそうだ。
収穫し、脱穀後の稗の茎や葉は、そのまま飼料として使用し、家畜も殖やしていく。
計画通りに稗、粟、黍の生産から始め、主食となる麦や米へと変更していくその第一歩を確実にこなしてくださっている。
この世界での主食は、米より麦なので、そちらに力を入れていくみたいだ。
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