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火龍
PHASE-135【嘆息】
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「これって、まずいよな」
ギンギンに頭に響く咆哮に耐えて、何とか立ち上がりつつ、耳を押さえながらベルと合流。
「ああ」
と、短く返してくると、マレンティの時とは別次元の炎を纏い、俺の一歩前に立つ。
頼りになる背中を見せてくれる。
「で、ギルドリーダー。どうする」
いつでも強力な火器は使えるとゲッコーさん。
でも、俺たちは救いに来たのであって、討伐ではないのだ。
俺への攻撃だって、捕らえていたモンスターだと勘違いしたのかもしれないし。
となれば、
「ほう」
俺の一歩前に立つベルの更に一歩前に立てば、ベルが感心の声を漏らす。
「火龍よ。俺たちは貴方を救いに来た勇者一行。敵意は――――」
ドズン!
「ひょう!?」
とりあえず、最後まで聞こうか!
やあやあ我こそは――、と名乗っている鎌倉武士を攻撃するモンゴル軍じゃないんだから。
「聞いてく――ひゃあ!」
だから、攻撃せんと聞けや!
「あかん、あの野郎、俺たちを完全に敵と見なしている」
「だな~」
なんて軽口なんでしょうね。ゲッコーさんのその余裕が欲しいですよ。
でもって、手には軽便なM72 LAW。
バットケースみたいな形状の後方を引っ張り伸ばしてから、
「警告も無く攻撃を仕掛けて来たお宅が悪い」
と、発言して発射。
広い空間だ。バックブラストの脅威は無い。
威力としては命を殺めるほどじゃないから、使用しているのだと信じてますよ。
これに加えて――、
「はっ」
気概を口に出してベルが火龍を炎の壁で囲む。
目隠し状態を作りだしたところに、ゲッコーさんが発射したロケット弾が命中。
爆炎が上がる中で、
「グルルルルル」
うなり声が聞こえると、次には突風が発生。
「あいた!」
風に押されて尻餅をついてしまった。
炎の壁の中から巨大な翼が広がり、風を作り出す。
それに、ベルの炎を意にも返していない。
「ノーダメージか」
「の、ようだな。流石は火を司る火龍だ」
感嘆するベル。
そうなんだよ。火龍なんだよな。
しかも世界の火を司る。火の神のような存在。
となれば、ベルの炎は意味をなさないという事になるのでは……。
「あれ、この異世界に来てこの状況は、最高にやばいんじゃ……」
「なあ」
なあって……。ロケラン担いで何をそんなに気楽でいるのか。
あげくに煙草まで吸い始めるし。
さっきの一撃が効果的じゃなかったから、捨て鉢にでもなってんですか?
「!?」
まずい! これはよくゲームでも目にするやつだ。
火龍が大きく息を吸う。
胸部分が大きく膨らんでいる。
「ブレスくるぞ!」
急いでベルの後ろへと移動。
申し訳ないけども、ここは頼るしかない。
ベルもそれが分かっているのか、炎で壁を作り、俺とゲッコーさんを守ってくれる。
「まったく、女性一人に任せっきりになるのは情けないな」
小声でこぼすゲッコーさん。の、割には一服を楽しんでますよね。
炎の壁の展開からややあって、ゴォォォォォォォ――――と唸りを上げる轟音と熱風。
「あちぃ!」
壁に守られていてもジリジリと肌を焼いてくる勢いだ。
「こりゃくらったら一瞬で丸焦げだ」
まあ、丸焦げって言葉を聞けば少しは安心する。
丸焦げですむんだからな。
ベルの場合は一瞬で灰燼だから。
火力ならベルの方が上だと判断したい。
「――――助かったよ」
何とかブレスは防ぎきれた。ベルには本当に感謝だ。
「二人とも――」
ブレスの最中に、ゲッコーさんは周囲を調べ上げ、少しでも攻撃を防げる場所をピックアップしてくれる。
余裕の一服は、広間を調べる余裕に繋がっていたようだ。
洞窟を拡張したような造りでしかないが、流石は火龍を封じる要塞である。
魔王軍もそれ相応の備えはしているようで、この広間の隅には、壁になるように設けられた大岩やくぼみがあった。
火龍が暴れた時の避難場所といったところか。
「背は壁になって逃げにくいが、ブレスの直撃よりはましだ」
「ですね」
と、返している矢先に、火龍の胸元がまたも膨らむ。
この世界の火の元締めのような存在なだけあって、リキャストタイムなんて必要ないようだ。
全力疾走でくぼみへと向かう。
――――ん?
「あれ、ベルは!?」
「心配ない」
一緒に走っていると思ったら、先ほどの場から動いていない。
再度、ブレスを防いでくれた。
熱風だけがこちらに届くが、先ほどのような熱さはない。
「ふぅ……」
あ……。
ベルが嘆息。
戦闘中に嘆息だ。
疲労している? あのベルが?
それだけ、威力がすさまじかったのだろうか、あのブレスは。
それとも体調が悪いのか?
いままでの言動から察すれば、そうとも考えられるが――――。
ギンギンに頭に響く咆哮に耐えて、何とか立ち上がりつつ、耳を押さえながらベルと合流。
「ああ」
と、短く返してくると、マレンティの時とは別次元の炎を纏い、俺の一歩前に立つ。
頼りになる背中を見せてくれる。
「で、ギルドリーダー。どうする」
いつでも強力な火器は使えるとゲッコーさん。
でも、俺たちは救いに来たのであって、討伐ではないのだ。
俺への攻撃だって、捕らえていたモンスターだと勘違いしたのかもしれないし。
となれば、
「ほう」
俺の一歩前に立つベルの更に一歩前に立てば、ベルが感心の声を漏らす。
「火龍よ。俺たちは貴方を救いに来た勇者一行。敵意は――――」
ドズン!
「ひょう!?」
とりあえず、最後まで聞こうか!
やあやあ我こそは――、と名乗っている鎌倉武士を攻撃するモンゴル軍じゃないんだから。
「聞いてく――ひゃあ!」
だから、攻撃せんと聞けや!
「あかん、あの野郎、俺たちを完全に敵と見なしている」
「だな~」
なんて軽口なんでしょうね。ゲッコーさんのその余裕が欲しいですよ。
でもって、手には軽便なM72 LAW。
バットケースみたいな形状の後方を引っ張り伸ばしてから、
「警告も無く攻撃を仕掛けて来たお宅が悪い」
と、発言して発射。
広い空間だ。バックブラストの脅威は無い。
威力としては命を殺めるほどじゃないから、使用しているのだと信じてますよ。
これに加えて――、
「はっ」
気概を口に出してベルが火龍を炎の壁で囲む。
目隠し状態を作りだしたところに、ゲッコーさんが発射したロケット弾が命中。
爆炎が上がる中で、
「グルルルルル」
うなり声が聞こえると、次には突風が発生。
「あいた!」
風に押されて尻餅をついてしまった。
炎の壁の中から巨大な翼が広がり、風を作り出す。
それに、ベルの炎を意にも返していない。
「ノーダメージか」
「の、ようだな。流石は火を司る火龍だ」
感嘆するベル。
そうなんだよ。火龍なんだよな。
しかも世界の火を司る。火の神のような存在。
となれば、ベルの炎は意味をなさないという事になるのでは……。
「あれ、この異世界に来てこの状況は、最高にやばいんじゃ……」
「なあ」
なあって……。ロケラン担いで何をそんなに気楽でいるのか。
あげくに煙草まで吸い始めるし。
さっきの一撃が効果的じゃなかったから、捨て鉢にでもなってんですか?
「!?」
まずい! これはよくゲームでも目にするやつだ。
火龍が大きく息を吸う。
胸部分が大きく膨らんでいる。
「ブレスくるぞ!」
急いでベルの後ろへと移動。
申し訳ないけども、ここは頼るしかない。
ベルもそれが分かっているのか、炎で壁を作り、俺とゲッコーさんを守ってくれる。
「まったく、女性一人に任せっきりになるのは情けないな」
小声でこぼすゲッコーさん。の、割には一服を楽しんでますよね。
炎の壁の展開からややあって、ゴォォォォォォォ――――と唸りを上げる轟音と熱風。
「あちぃ!」
壁に守られていてもジリジリと肌を焼いてくる勢いだ。
「こりゃくらったら一瞬で丸焦げだ」
まあ、丸焦げって言葉を聞けば少しは安心する。
丸焦げですむんだからな。
ベルの場合は一瞬で灰燼だから。
火力ならベルの方が上だと判断したい。
「――――助かったよ」
何とかブレスは防ぎきれた。ベルには本当に感謝だ。
「二人とも――」
ブレスの最中に、ゲッコーさんは周囲を調べ上げ、少しでも攻撃を防げる場所をピックアップしてくれる。
余裕の一服は、広間を調べる余裕に繋がっていたようだ。
洞窟を拡張したような造りでしかないが、流石は火龍を封じる要塞である。
魔王軍もそれ相応の備えはしているようで、この広間の隅には、壁になるように設けられた大岩やくぼみがあった。
火龍が暴れた時の避難場所といったところか。
「背は壁になって逃げにくいが、ブレスの直撃よりはましだ」
「ですね」
と、返している矢先に、火龍の胸元がまたも膨らむ。
この世界の火の元締めのような存在なだけあって、リキャストタイムなんて必要ないようだ。
全力疾走でくぼみへと向かう。
――――ん?
「あれ、ベルは!?」
「心配ない」
一緒に走っていると思ったら、先ほどの場から動いていない。
再度、ブレスを防いでくれた。
熱風だけがこちらに届くが、先ほどのような熱さはない。
「ふぅ……」
あ……。
ベルが嘆息。
戦闘中に嘆息だ。
疲労している? あのベルが?
それだけ、威力がすさまじかったのだろうか、あのブレスは。
それとも体調が悪いのか?
いままでの言動から察すれば、そうとも考えられるが――――。
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