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火龍
PHASE-132【メタリック】
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「ここから先が肝心だ」
誰よりも先を歩むベル。
逃げだすサハギンの首根っこを掴むと、次には拘束して自由を奪うゲッコーさん。
人間でなくても、関節があるなら問題ないといったところか。
苦しむ声が要塞内に響く――――。
「この先に続く通路を真っ直ぐと進めば、火龍が捕らえられているそうだ」
「いよいよご対面ですね」
尋問から解放されたサハギンが、抵抗はしないと、弱々しく許しをこうてから、走り去っていった。
人語をしゃべれるのは、マレンティ以外にもいるんだな。
――――通路へと踏み込めば、瘴気の濃さが途端に変わった。
黒い濃霧だ。一メートル先もろくに見えない。
「足元や壁。罠の設置も考えられる。十分に気をつけよう」
ゲッコーさんの助言に首肯で返すが、
「……んん…………」
俺の側でコクリコが小さく唸る。
今までの快活な姿じゃない。
「どうした?」
進めば進むほど、コクリコの足取りがふらついてきている。
「おい、大丈夫なのか?」
「ええ……まったく、問題らい……れす」
「ありありじゃねえか!」
呂律も回ってないし。
流石にガスマスクでも対応できないくらいに瘴気が濃いのかもしれない。
このままだと本当に、ダークサイドに魅了されてしまいそうだ。
「お前、さっきのところで待っとけ」
「嫌ですよ! ここからが私の……」
こいつ、自伝を作るのに命をかけてるな……。
命がけでやらなきゃ何事も成功しない。っていうお手本だな。
だが――、ここは無理矢理にでも。
「ベル」
「分かった」
内容を言っていないのにこの即時対応。
素敵な以心伝心である。
「な、なにを!?」
首根っこを掴んで無理矢理に強制退場だ。
「このままだったら、大変な事になってたでしょうね」
「ああ、ランページボールなんてのを乱発されたらたまったもんじゃない」
残された男二人で語り合う。
「とはいえ、普段から俺らがいても、平然と唱えてますけどね」
「そうだな。あの子はナチュラルボーンなコンフュージョンなんだろう」
さらっと毒を吐いたな……。
「――――待たせた」
ベルが合流。
「ぐずらなかったか?」
「岩にくくりつけてやった」
おう……。将来はいい母親になりそうだが、
「いいのか? まだ敵が徘徊している可能性もあるぞ。もし敵がコクリコを襲ったら」
「問題ない。コクリコの周囲に、炎の壁を作ってやっている。無駄遣いをさせられた」
敵じゃないので熱さは感じないだろうが、俺が同じことをされたら、怖くてたまらないんですけど……。
というか無駄遣い?
「更に濃くなってきた」
罠などを警戒するために、斥候の達人でもあるゲッコーさんが中腰で移動しつつ、濃い瘴気の中で全体に目をこらしてくれる。
「しかし、敵の気配は感じませんね」
ゲッコーさんの後ろに続く、生きるレーダー装置とも言っていいベルが、脅威を感じないと伝えてくる。
で、最後尾を安全に歩ませていただく俺。
感知スキルなんかも覚えないとな。
ギルドメンバーのシーフやスカウトのような職種の方々に、師事してもらわないと。
覚えないといけないことが多すぎ!
身体能力向上は、ピリアってマナで習得するんだったな。
「見ろ」
広い空間に出て、まず口を開いたのはベル。
言われなくても分かると言いたい。
だって……、でかいもの……。
二十メートルくらいかな。
全長が二十メートルくらいある、全身がメタリックな赤い鱗に覆われたドラゴンがそこにいた――――。
誰よりも先を歩むベル。
逃げだすサハギンの首根っこを掴むと、次には拘束して自由を奪うゲッコーさん。
人間でなくても、関節があるなら問題ないといったところか。
苦しむ声が要塞内に響く――――。
「この先に続く通路を真っ直ぐと進めば、火龍が捕らえられているそうだ」
「いよいよご対面ですね」
尋問から解放されたサハギンが、抵抗はしないと、弱々しく許しをこうてから、走り去っていった。
人語をしゃべれるのは、マレンティ以外にもいるんだな。
――――通路へと踏み込めば、瘴気の濃さが途端に変わった。
黒い濃霧だ。一メートル先もろくに見えない。
「足元や壁。罠の設置も考えられる。十分に気をつけよう」
ゲッコーさんの助言に首肯で返すが、
「……んん…………」
俺の側でコクリコが小さく唸る。
今までの快活な姿じゃない。
「どうした?」
進めば進むほど、コクリコの足取りがふらついてきている。
「おい、大丈夫なのか?」
「ええ……まったく、問題らい……れす」
「ありありじゃねえか!」
呂律も回ってないし。
流石にガスマスクでも対応できないくらいに瘴気が濃いのかもしれない。
このままだと本当に、ダークサイドに魅了されてしまいそうだ。
「お前、さっきのところで待っとけ」
「嫌ですよ! ここからが私の……」
こいつ、自伝を作るのに命をかけてるな……。
命がけでやらなきゃ何事も成功しない。っていうお手本だな。
だが――、ここは無理矢理にでも。
「ベル」
「分かった」
内容を言っていないのにこの即時対応。
素敵な以心伝心である。
「な、なにを!?」
首根っこを掴んで無理矢理に強制退場だ。
「このままだったら、大変な事になってたでしょうね」
「ああ、ランページボールなんてのを乱発されたらたまったもんじゃない」
残された男二人で語り合う。
「とはいえ、普段から俺らがいても、平然と唱えてますけどね」
「そうだな。あの子はナチュラルボーンなコンフュージョンなんだろう」
さらっと毒を吐いたな……。
「――――待たせた」
ベルが合流。
「ぐずらなかったか?」
「岩にくくりつけてやった」
おう……。将来はいい母親になりそうだが、
「いいのか? まだ敵が徘徊している可能性もあるぞ。もし敵がコクリコを襲ったら」
「問題ない。コクリコの周囲に、炎の壁を作ってやっている。無駄遣いをさせられた」
敵じゃないので熱さは感じないだろうが、俺が同じことをされたら、怖くてたまらないんですけど……。
というか無駄遣い?
「更に濃くなってきた」
罠などを警戒するために、斥候の達人でもあるゲッコーさんが中腰で移動しつつ、濃い瘴気の中で全体に目をこらしてくれる。
「しかし、敵の気配は感じませんね」
ゲッコーさんの後ろに続く、生きるレーダー装置とも言っていいベルが、脅威を感じないと伝えてくる。
で、最後尾を安全に歩ませていただく俺。
感知スキルなんかも覚えないとな。
ギルドメンバーのシーフやスカウトのような職種の方々に、師事してもらわないと。
覚えないといけないことが多すぎ!
身体能力向上は、ピリアってマナで習得するんだったな。
「見ろ」
広い空間に出て、まず口を開いたのはベル。
言われなくても分かると言いたい。
だって……、でかいもの……。
二十メートルくらいかな。
全長が二十メートルくらいある、全身がメタリックな赤い鱗に覆われたドラゴンがそこにいた――――。
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