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火龍
PHASE-125【四本腕】
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「まとめ役と思われるのを発見! 暴れよ! ランページボール」
俺と違ってガスマスクは、快活に俺の嫌いな魔法を使用。
火球が敵陣へと進めば、そこで小さな火球を飛び散らせる。
幸いなことに、今回はこちらにはこなかった。
「他愛なし」
十三歳のガスマスクは、俺よりも精神が逞しいのか、それとも病んでるのか。命を奪っても喜んでいるだけだ。
火球から難を逃れたやつらも混乱しており、そこに無慈悲にゲッコーさんとベルから弾丸が放たれる。
「フリーズランサー」
「回避!」
突如として響いた声に、ゲッコーさんが反応。
物陰に隠れれば、ガシャンとガラスが割れるような音と共に、俺が隠れていた岩陰の反対側から衝撃がズンッと伝わってくる。
「ふう~」
もしこれが岩を貫く魔法だったりしたら、俺は串刺しになってたかもしれないな。
こっそり覗き込めば、岩には電信柱みたいな氷柱が刺さっている。
足元には先端らしき鋭利な氷の円錐がごろりと転がっていた。ガラスのような音は先端が折れた音か。
それでも岩に残りが突き刺さるとか、どんな質量だよ。
「よく避けたな劣等種族」
あ? 誰が劣等種族だ! こっちの美的感覚なら、お前等は化け物にカテゴライズされるんですけど。
なんだよその四本腕は? 普通のサハギンとは違うようだな。
コクリコが言っていた、まとめ役ってやつか。
ランページボールにも驚いた様子はないな。
「我らの要塞に、大仰に仕掛けて来たようだが、蓋を開けてみれば、たったの四人とは」
おう、バカにした語気だな。
「そのたった四人に好き勝手されてるんですが、それは」
なので、こちらもバカにして抗弁してやる。
語末にwwwをつけた感じだ。
青い肌の四本腕のサハギンは、顔を真っ赤にして、俺に氷の矢を無数放ってくる。
直ぐさま隠れれば、キンッキンッ音を奏でる氷の矢。
「コソコソと隠れる割には大言を吐く下等種だ。ならば――」
まずいな。なにやら狙ってるぞ。
「――――クリスタルレイン」
「直上」
直ぐさまゲッコーさんが異変に気付けば、頭上からキラキラとしたつららサイズが、勢いよく降り注いでくる。
「無駄だ」
ここで安心と信頼のベルの炎が、頭上からの脅威を容易く取り除いてくれる。
いつもなら開始早々に炎を出すが、今回は軽機スタートだったからな。
やはり、炎が出るとこっちもゆとりが生まれる。
「炎を纏った女! 貴様らは王都に突如として現れた勇者とその一行か!」
「その通り」
籠もってるぞ……。声が籠もってる……。
お前は王都から来てないだろう。目立とうとするなよガスマスク。
「なんだその面妖な兜は? いや――、それ以上に面妖なポーズは」
ああ、それは同意する。
「う、うるさい! 貴男の四本腕も十分に面妖ですよ」
「愚かな。この至高なる四本の腕が分からぬとは。我はサハギンどもの上に立つ種、マレンティである。マレンティ、ティオタキ・ベロイカ。三爪痕が一角、溟海王ガンフィア様が右腕。バロニア程度を倒していい気になっているようだな」
「無駄に情報の入った、典型的なやられ役の台詞だな。もし、お前が本当に右腕なら、ガンフィアって頭目もたかがしれている」
渋い声での挑発。
それで十分だ。
会話でも分かるが、プライドが異様に高いから、自分より劣ると思っている人間に馬鹿にされたら顔真っ赤である。
怒りのままに氷の矢をゲッコーさんに唱えるが、それをMASADAで粉々にする。
「なんだ? 先ほどから面妖な武器を使う」
「面妖面妖とうるさい。面妖なのはお宅の体貌だろう」
更に挑発。
その間にプレイギアのアプリを使う。
カメラモードで激おこなマレンティを覗き込めば――、
「――――確かにコレは便利だ」
【ティオタキ・ベロイカ】
【種族・サハギン上位亜種マレンティ】
【レベル52】
【得手・氷結魔法】
【不得手・雷魔法】
【属性・傲慢】
氷が得意なのは分かるし、魚人系だから雷に弱いのもセオリーだな。
レベルが52となると、ホブゴブリンより確かに高い。
しかし、属性で傲慢ってなんだよ。性格で表示しろよ。
傲慢なのは分かるけども。
アプリには改善の余地があるな。
俺と違ってガスマスクは、快活に俺の嫌いな魔法を使用。
火球が敵陣へと進めば、そこで小さな火球を飛び散らせる。
幸いなことに、今回はこちらにはこなかった。
「他愛なし」
十三歳のガスマスクは、俺よりも精神が逞しいのか、それとも病んでるのか。命を奪っても喜んでいるだけだ。
火球から難を逃れたやつらも混乱しており、そこに無慈悲にゲッコーさんとベルから弾丸が放たれる。
「フリーズランサー」
「回避!」
突如として響いた声に、ゲッコーさんが反応。
物陰に隠れれば、ガシャンとガラスが割れるような音と共に、俺が隠れていた岩陰の反対側から衝撃がズンッと伝わってくる。
「ふう~」
もしこれが岩を貫く魔法だったりしたら、俺は串刺しになってたかもしれないな。
こっそり覗き込めば、岩には電信柱みたいな氷柱が刺さっている。
足元には先端らしき鋭利な氷の円錐がごろりと転がっていた。ガラスのような音は先端が折れた音か。
それでも岩に残りが突き刺さるとか、どんな質量だよ。
「よく避けたな劣等種族」
あ? 誰が劣等種族だ! こっちの美的感覚なら、お前等は化け物にカテゴライズされるんですけど。
なんだよその四本腕は? 普通のサハギンとは違うようだな。
コクリコが言っていた、まとめ役ってやつか。
ランページボールにも驚いた様子はないな。
「我らの要塞に、大仰に仕掛けて来たようだが、蓋を開けてみれば、たったの四人とは」
おう、バカにした語気だな。
「そのたった四人に好き勝手されてるんですが、それは」
なので、こちらもバカにして抗弁してやる。
語末にwwwをつけた感じだ。
青い肌の四本腕のサハギンは、顔を真っ赤にして、俺に氷の矢を無数放ってくる。
直ぐさま隠れれば、キンッキンッ音を奏でる氷の矢。
「コソコソと隠れる割には大言を吐く下等種だ。ならば――」
まずいな。なにやら狙ってるぞ。
「――――クリスタルレイン」
「直上」
直ぐさまゲッコーさんが異変に気付けば、頭上からキラキラとしたつららサイズが、勢いよく降り注いでくる。
「無駄だ」
ここで安心と信頼のベルの炎が、頭上からの脅威を容易く取り除いてくれる。
いつもなら開始早々に炎を出すが、今回は軽機スタートだったからな。
やはり、炎が出るとこっちもゆとりが生まれる。
「炎を纏った女! 貴様らは王都に突如として現れた勇者とその一行か!」
「その通り」
籠もってるぞ……。声が籠もってる……。
お前は王都から来てないだろう。目立とうとするなよガスマスク。
「なんだその面妖な兜は? いや――、それ以上に面妖なポーズは」
ああ、それは同意する。
「う、うるさい! 貴男の四本腕も十分に面妖ですよ」
「愚かな。この至高なる四本の腕が分からぬとは。我はサハギンどもの上に立つ種、マレンティである。マレンティ、ティオタキ・ベロイカ。三爪痕が一角、溟海王ガンフィア様が右腕。バロニア程度を倒していい気になっているようだな」
「無駄に情報の入った、典型的なやられ役の台詞だな。もし、お前が本当に右腕なら、ガンフィアって頭目もたかがしれている」
渋い声での挑発。
それで十分だ。
会話でも分かるが、プライドが異様に高いから、自分より劣ると思っている人間に馬鹿にされたら顔真っ赤である。
怒りのままに氷の矢をゲッコーさんに唱えるが、それをMASADAで粉々にする。
「なんだ? 先ほどから面妖な武器を使う」
「面妖面妖とうるさい。面妖なのはお宅の体貌だろう」
更に挑発。
その間にプレイギアのアプリを使う。
カメラモードで激おこなマレンティを覗き込めば――、
「――――確かにコレは便利だ」
【ティオタキ・ベロイカ】
【種族・サハギン上位亜種マレンティ】
【レベル52】
【得手・氷結魔法】
【不得手・雷魔法】
【属性・傲慢】
氷が得意なのは分かるし、魚人系だから雷に弱いのもセオリーだな。
レベルが52となると、ホブゴブリンより確かに高い。
しかし、属性で傲慢ってなんだよ。性格で表示しろよ。
傲慢なのは分かるけども。
アプリには改善の余地があるな。
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