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攻略、リド砦
PHASE-24【救出と急襲】
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人質がいたことを考慮したのは正解だったな。
ゲッコーさんを召喚したのは大正解だ。
『まずはあの二体を制圧する』
「分かりました」
と、俺が応答していた時には、ドローンが通った道を経由して、すでに現場に到着しており、角から半身を出して、膝射にてサプレッサー付きの麻酔銃を構え、ダットサイトが頭に狙いをさだめると――、パシュンと音を立てる。
はたして亜人に効果はあるのかと凝視していれば、瞬く間に膝から崩れ落ちて眠りについた。
側の椅子に座っていたもう一体は、何事かと矢庭に立ち上がり、辺りを見回す。
警戒するオークに対して、ゲッコーさんは二発目は撃たずに、足音を立てることなく素早くオークの背後に回り込めば、肩に手を当て、膝裏を蹴り、バランスを崩させたところで、勢いよく顔面から石床に叩き付けた。
――オークは起き上がることもなくダウンだ。
囚われている女性たちは、目の前で急にオークが倒れたことに驚き慌てふためいている。
でも声は不思議と出さない。きっと声を出せば、黙るようにと、力を振るわれてきたのかもしれない。体中にあるアザがその証拠だろう。
そう思うと、砦にいる奴らには、心底、怒りを抱いてしまう。
『もう大丈夫だ』
光学迷彩を解除しつつ、倒れたオークの体を探り、鍵を手に入れて牢を開く。
でも女性たちは、突如として眼界に現れたゲッコーさんを怖がって、牢屋から出ようとしない。
『いいか、ここでその暗い牢から足を踏み出さなければ、君たちに明るい世界は訪れない。俺を信じて、足を踏み出すんだ』
渋い声からの、勇気を与える優しい声音。
一番近くにいる女性に手を伸ばせば、恐る恐る手を掴んできた。
ゲッコーさん、勇気を与えるように強く握り返して引っ張り、立ち上がらせる。
とまあ、俺が見たのはここまで、横のベルが抱いている怒りを俺に向けてきそうなので、全裸の女性をガン見することは回避とばかりに、ディスプレイから目を反らした。
『着る物は――――』
流石に大人数を裸のまま移動させるなんて可哀想だもんな。
ディスプレイは見られないが、言動からするに、近くにあった、亜人達が使用しているであろうベッドのシーツなんかを回収して、それを女性たちに渡しているようだ。
布きれの破れる音が耳朶に届く。
亜人もシーツとか使うんだなと思ってしまった。人間を真似た営みなんだろうが、全裸の女性を目にした時点で、営みがゲスなことしか思い浮かばない。
「脱出まで無事でいてください」
ここでディスプレイに目を向け直せば。最低限だが、ちゃんと隠せている女性たちが目に入ってくる。
ここからが本番だな。
『任せておけ。こちらに来るルートは潰す。それでもたどり着けば、普段はソフトだが、俺も人間だ。この状況を目にした時点で、ハードキルを行使させてもらう』
麻酔銃から変更し、手にするのはアサルトライフルのMASADA だ。
マガジンを入れて、チャージングハンドルを引く。
力を込めて引いているように見えた。やはり内心穏やかではないのだろう。
『とりあえず、脱出するにもこちらに注意を向かせたくない。頼めるか?』
「承知しました」
俺が応えるんじゃないの? ここは……。
などと思っていても、俺のことなど気にも留めずに、ベルは勢いよく砦の門に向かって驀地だ。
すげえよ! 鳥かよ! ツバメかよ! 低空を滑空するような高速移動。
人間の移動速度ではない。確実に俺のいた世界で短距離を行えば、ワールドレコードだ。未来永劫、更新されることのないワールドレコードだ。
「まったく、普通人の俺の身にもなれ……」
後を追うために走りつつ、ディスプレイにも目を向けながら、月明かりだけを頼りに、ゴツゴツとした足場をひた走る。
前方に目を向け直せば、いよいよ臨界点を越えたベルが、全身に炎を纏えば、一帯を明るくする。
そうなれば、物見櫓に立つ見張りも気付くというもの。
オークが吠えた。
次には矢をつがえて、ベルへと向かって放つ。
迎撃の展開は早く、かなりの矢がベルに降り注ぐ。
しかし、尋常ならざる速度で動くベルを捕捉するのは難しく、岩肌に当たれば、鏃が奏でる金属音だけが虚しく響いた。
それでも数本は、ベルに当たりそうな軌道だったが、纏った炎に触れれば、矢は蒸発するように消滅した。
やっぱり炎があると、鎧はいらないよな。
止まることを知らないベルは、門前まで到達する。
迎え撃つために、大剣を振り上げるトロールが咆哮。
その後ろでは、開かれた門からオークの集団も出て来る。
だけど――――、
「ゲス共が!」
冷静さは何処へ――、大音声と共に、王都で見せたものとは比べものにならない炎の大波が、門で迎撃を整えていた、トロールとオークの群れを容易く呑み込んでいった――――。
断末魔をあげる事すら許されない。
敵対者たちだけでなく、門に物見櫓も消し炭だ。
ゲッコーさんを召喚したのは大正解だ。
『まずはあの二体を制圧する』
「分かりました」
と、俺が応答していた時には、ドローンが通った道を経由して、すでに現場に到着しており、角から半身を出して、膝射にてサプレッサー付きの麻酔銃を構え、ダットサイトが頭に狙いをさだめると――、パシュンと音を立てる。
はたして亜人に効果はあるのかと凝視していれば、瞬く間に膝から崩れ落ちて眠りについた。
側の椅子に座っていたもう一体は、何事かと矢庭に立ち上がり、辺りを見回す。
警戒するオークに対して、ゲッコーさんは二発目は撃たずに、足音を立てることなく素早くオークの背後に回り込めば、肩に手を当て、膝裏を蹴り、バランスを崩させたところで、勢いよく顔面から石床に叩き付けた。
――オークは起き上がることもなくダウンだ。
囚われている女性たちは、目の前で急にオークが倒れたことに驚き慌てふためいている。
でも声は不思議と出さない。きっと声を出せば、黙るようにと、力を振るわれてきたのかもしれない。体中にあるアザがその証拠だろう。
そう思うと、砦にいる奴らには、心底、怒りを抱いてしまう。
『もう大丈夫だ』
光学迷彩を解除しつつ、倒れたオークの体を探り、鍵を手に入れて牢を開く。
でも女性たちは、突如として眼界に現れたゲッコーさんを怖がって、牢屋から出ようとしない。
『いいか、ここでその暗い牢から足を踏み出さなければ、君たちに明るい世界は訪れない。俺を信じて、足を踏み出すんだ』
渋い声からの、勇気を与える優しい声音。
一番近くにいる女性に手を伸ばせば、恐る恐る手を掴んできた。
ゲッコーさん、勇気を与えるように強く握り返して引っ張り、立ち上がらせる。
とまあ、俺が見たのはここまで、横のベルが抱いている怒りを俺に向けてきそうなので、全裸の女性をガン見することは回避とばかりに、ディスプレイから目を反らした。
『着る物は――――』
流石に大人数を裸のまま移動させるなんて可哀想だもんな。
ディスプレイは見られないが、言動からするに、近くにあった、亜人達が使用しているであろうベッドのシーツなんかを回収して、それを女性たちに渡しているようだ。
布きれの破れる音が耳朶に届く。
亜人もシーツとか使うんだなと思ってしまった。人間を真似た営みなんだろうが、全裸の女性を目にした時点で、営みがゲスなことしか思い浮かばない。
「脱出まで無事でいてください」
ここでディスプレイに目を向け直せば。最低限だが、ちゃんと隠せている女性たちが目に入ってくる。
ここからが本番だな。
『任せておけ。こちらに来るルートは潰す。それでもたどり着けば、普段はソフトだが、俺も人間だ。この状況を目にした時点で、ハードキルを行使させてもらう』
麻酔銃から変更し、手にするのはアサルトライフルのMASADA だ。
マガジンを入れて、チャージングハンドルを引く。
力を込めて引いているように見えた。やはり内心穏やかではないのだろう。
『とりあえず、脱出するにもこちらに注意を向かせたくない。頼めるか?』
「承知しました」
俺が応えるんじゃないの? ここは……。
などと思っていても、俺のことなど気にも留めずに、ベルは勢いよく砦の門に向かって驀地だ。
すげえよ! 鳥かよ! ツバメかよ! 低空を滑空するような高速移動。
人間の移動速度ではない。確実に俺のいた世界で短距離を行えば、ワールドレコードだ。未来永劫、更新されることのないワールドレコードだ。
「まったく、普通人の俺の身にもなれ……」
後を追うために走りつつ、ディスプレイにも目を向けながら、月明かりだけを頼りに、ゴツゴツとした足場をひた走る。
前方に目を向け直せば、いよいよ臨界点を越えたベルが、全身に炎を纏えば、一帯を明るくする。
そうなれば、物見櫓に立つ見張りも気付くというもの。
オークが吠えた。
次には矢をつがえて、ベルへと向かって放つ。
迎撃の展開は早く、かなりの矢がベルに降り注ぐ。
しかし、尋常ならざる速度で動くベルを捕捉するのは難しく、岩肌に当たれば、鏃が奏でる金属音だけが虚しく響いた。
それでも数本は、ベルに当たりそうな軌道だったが、纏った炎に触れれば、矢は蒸発するように消滅した。
やっぱり炎があると、鎧はいらないよな。
止まることを知らないベルは、門前まで到達する。
迎え撃つために、大剣を振り上げるトロールが咆哮。
その後ろでは、開かれた門からオークの集団も出て来る。
だけど――――、
「ゲス共が!」
冷静さは何処へ――、大音声と共に、王都で見せたものとは比べものにならない炎の大波が、門で迎撃を整えていた、トロールとオークの群れを容易く呑み込んでいった――――。
断末魔をあげる事すら許されない。
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