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俺、異世界に来たんだってよ
PHASE-12【どうにかやって距離を縮めることは出来ないだろうか……】
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「頭を下げる前に、剣を振り下ろす事を思い出されればよいでしょう」
ベルヴェットってば、自分は関係ないとばかりの、木で鼻をくくる応対だよ。
体を反転させて立ち去ろうとしている。
「ちょっと待てよ」
「気安いぞトール!」
忠誠心ゼロはダテじゃない。
制止を完全に無視だよ。
彼女の応対の所作を目にした王様は、絶望に覆われたかのように体を丸めて、絨毯の上に倒れ込む。
なんとも情けないじゃないか――――。
「ベルヴェット」
「いい加減にしろ! 気安く名を呼ぶなトール!」
「そっくりそのまま返すぞ」
お前だって俺の名前を気安く呼んでるんだからな。
生意気なことを言うとばかりに、長身からの見下したような視線。
まあ、ギリギリで俺の方が身長はあるんだけどね。弓なりに反ってしまってる分、俺が見上げている状態だ。あ、そもそもヒールの高いブーツ履いてるから、現状では俺より身長は高いのか……。
ハハ、純粋に見下ろされてました……。なんだろう、心が痛い……。
――――現在、城を後にして、荒廃とした市井まで移動。
ツカツカと、ヒールの高いブーツでよくもまあ転ばずに戦えるもんだ。
今回は炎を放っただけの簡単なお仕事で、動くことはなかったけどさ。でも、移動する時はとんでもなく速かったな。
あのブーツで短距離世界一も顔負けの速さだった。
歩くベルヴェットは周囲を見渡す。
彼女の視線を追えば、破壊された民家や、その前で立ち尽くす家主と思われる人物、お腹を空かせて泣いている子供を見ていた。
「話を聞いてやろうぜ。王様の」
――……無視かよ……。
「どうせ知らない土地だろ。どこに向かう足なんだよ。王城に戻ろうぜ!」
たとえ無理ゲーでも、俺はこの世界を救って、早急に日本に帰りたい。
こうやって大好きになったキャラと歩けるのは嬉しいが、周囲の光景で素直には喜べない。愛想もないし。
「そう言えば――――」
ここで足を止めて、振り向く美人。
振り向く反動で、長い髪が横に流れる。まるで燃えているような艶やかさ。
髪にも見とれるし、足を交差させるようなモデルのような歩き方を自然と出来るところも魅力的だ。
「なぜお前は私を知っている?」
切れ長の目に睨まれる。
と、ここでまた同じ質問か……。答えてなかったから当然ではあるが。
こういう相手は適当な嘘をつけば、簡単に見破るし、今後、信用もされなくなってしまうだろう。
ここは素直になろう。
「俺が召喚したんだ。ベルヴェットを」
「召喚?」
「そう、このどん詰まりな世界を救ってもらうために」
「ここの連中を見ただろう。あれではどうやっても救えん。それとも私一人でどうにかしろと?」
不可能といった感じだな。あれだけの力を有していても、流石に一人で戦況を覆せるなんてのは無理だよな。
神でもあるまいし。そこまでのチート能力は流石にないよな。
「俺も頑張るから」
「ハハ、面白い冗談だ。ここの者たちに比べれば気骨はあるが、頼りにはならんな」
はっきりと物を言う。それだけ自分に自信があるって事か。俺が欲するものだな。その自信。
「俺個人の力は大したことないけど、ベルヴェットみたいな英雄を召喚する事が出来る」
「だから、気安いぞ」
「ごめん……」
流石に呼び捨てが過ぎたのか、一気に距離を詰められて、身構えることも出来ないままに胸ぐらを掴まれてしまった……。
炯眼と行動に対して、本気でビビる……。
ビビってる最中でも、美人はいい香りがすると思えるから、俺は存外、大物なのかもしれない。
ベルヴェットってば、自分は関係ないとばかりの、木で鼻をくくる応対だよ。
体を反転させて立ち去ろうとしている。
「ちょっと待てよ」
「気安いぞトール!」
忠誠心ゼロはダテじゃない。
制止を完全に無視だよ。
彼女の応対の所作を目にした王様は、絶望に覆われたかのように体を丸めて、絨毯の上に倒れ込む。
なんとも情けないじゃないか――――。
「ベルヴェット」
「いい加減にしろ! 気安く名を呼ぶなトール!」
「そっくりそのまま返すぞ」
お前だって俺の名前を気安く呼んでるんだからな。
生意気なことを言うとばかりに、長身からの見下したような視線。
まあ、ギリギリで俺の方が身長はあるんだけどね。弓なりに反ってしまってる分、俺が見上げている状態だ。あ、そもそもヒールの高いブーツ履いてるから、現状では俺より身長は高いのか……。
ハハ、純粋に見下ろされてました……。なんだろう、心が痛い……。
――――現在、城を後にして、荒廃とした市井まで移動。
ツカツカと、ヒールの高いブーツでよくもまあ転ばずに戦えるもんだ。
今回は炎を放っただけの簡単なお仕事で、動くことはなかったけどさ。でも、移動する時はとんでもなく速かったな。
あのブーツで短距離世界一も顔負けの速さだった。
歩くベルヴェットは周囲を見渡す。
彼女の視線を追えば、破壊された民家や、その前で立ち尽くす家主と思われる人物、お腹を空かせて泣いている子供を見ていた。
「話を聞いてやろうぜ。王様の」
――……無視かよ……。
「どうせ知らない土地だろ。どこに向かう足なんだよ。王城に戻ろうぜ!」
たとえ無理ゲーでも、俺はこの世界を救って、早急に日本に帰りたい。
こうやって大好きになったキャラと歩けるのは嬉しいが、周囲の光景で素直には喜べない。愛想もないし。
「そう言えば――――」
ここで足を止めて、振り向く美人。
振り向く反動で、長い髪が横に流れる。まるで燃えているような艶やかさ。
髪にも見とれるし、足を交差させるようなモデルのような歩き方を自然と出来るところも魅力的だ。
「なぜお前は私を知っている?」
切れ長の目に睨まれる。
と、ここでまた同じ質問か……。答えてなかったから当然ではあるが。
こういう相手は適当な嘘をつけば、簡単に見破るし、今後、信用もされなくなってしまうだろう。
ここは素直になろう。
「俺が召喚したんだ。ベルヴェットを」
「召喚?」
「そう、このどん詰まりな世界を救ってもらうために」
「ここの連中を見ただろう。あれではどうやっても救えん。それとも私一人でどうにかしろと?」
不可能といった感じだな。あれだけの力を有していても、流石に一人で戦況を覆せるなんてのは無理だよな。
神でもあるまいし。そこまでのチート能力は流石にないよな。
「俺も頑張るから」
「ハハ、面白い冗談だ。ここの者たちに比べれば気骨はあるが、頼りにはならんな」
はっきりと物を言う。それだけ自分に自信があるって事か。俺が欲するものだな。その自信。
「俺個人の力は大したことないけど、ベルヴェットみたいな英雄を召喚する事が出来る」
「だから、気安いぞ」
「ごめん……」
流石に呼び捨てが過ぎたのか、一気に距離を詰められて、身構えることも出来ないままに胸ぐらを掴まれてしまった……。
炯眼と行動に対して、本気でビビる……。
ビビってる最中でも、美人はいい香りがすると思えるから、俺は存外、大物なのかもしれない。
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