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38話 スタンピード・少女参戦

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強いプレッシャーを感じながらも胸当て小僧は剣を
抜く。

「ヘェ~戦う気なんだ。」

そう言いながら謎の人物が折れた杖を取り出した。
柄の部分から先がない。武器の役割りを果たせるの
だろうか?

「あっしを…舐めると痛い目みるでやんすよ!」

折れた杖を見て強気になる胸当て小僧。

「別に…お前見たいな奴に使う必要もないが……」

「一瞬で消えな!ダークネス・ブレード!!」

折れた杖の先に黒い炎の剣が出来る。

は、話しが違うでやんす!
壊れた武器じゃない。強気が一瞬で弱気に変わってしまう。

コア(魔力値が高いです。全力で回避ルートを出します!)

黒い炎の剣が揺らめく…

「死ね!変な奴!」

横一線に黒い炎の剣を薙ぎ払う謎の人物。

コア(回避。回避。回避。)

黒い炎の斬撃が飛んでくる!

地面に伏せて何とか耐え凌ぐ胸当て小僧。
カーラの胸当ての先端が少しだけ焦げた……
(マジで死ぬ…ヤバいって!)

その頃…

オーガ100体と対峙する冒険者達とブリリの2人…
連戦の疲れが見える。

「ふんばれ!お前ら!」

激が飛ぶが普段の力が出せない冒険者達。
次第に後退していく。アイラは傷ついた冒険者達の回復まわる……

「カーラ!」

「ああ!アタシが前に出る!戦える奴らは続け!」

前線へ駆けるカーラ。疲れが見えるが引くわけにはいかないと気合いを見せる。

「行くぞ!街まで距離がない守るんだ!」

数百メートル先には街の門がみえる!

「さぁ大丈夫よ!下がりなさい…」

怪我をした冒険者の傷が癒える。
「ありがとうございます。まだ戦える!」

アイラは怒る!
「駄目よ!貴方達は下がりなさい!街に避難して!」

怪我をした冒険者は戦い抜く聖女に言う。
「駄目です街には恋人がいる…守らないと!」

アイラが立ち上がる。
「約束したでしょ私が守る!貴方も恋人も!」

「せ、聖女様に迷惑は…」

「下がれーーーーーーー!!」
叫びながら前線に戻るアイラ。

「月に照らされし白き花よ!その美しさで闇を照らせ!」

「拡散ライトアローーーー!!」

オーガ達に拡散ライトアローを放つ。

「まだよ!ありったけよ!」
連続で放つアイラ。
一発…二発…三発……
「ハァハァ…私が守るんだから!」

門の上から戦いを見るマイ。

「凄いよ!凄い!聖女味のお姉チャン!ガンバレー!」

城壁から戦いを見つめる。街人達は焦る。
「凄いが敵の数が多過ぎる。お前ら弓をかまえろ!」

街中もピリピリしだす……

「お姉チャン…苦しいの?」

「聖女様って言っても女の子なんだ!辛いだろうよ。」

「……………」

階段を駆け降り門をでる…

「何してんだ!マイ!戻れ!」
慌てる街人達…

「アタチが…お姉チャンを助けるんだ!」

アイラめがけて走り出したマイ!

「マイ!戻れ!」


◇◇◇◇◇

「ハァハァ…ヤバいでやんす!」

連続で黒い炎の斬撃を飛ばす謎の人物。
コアの回避ルートで何とか凌ぐ胸当て小僧…

「本当に…お前何者だ?」


胸当て小僧は余裕がないのだが、何者か聞かれたら答えるのがスジだと中腰の姿勢になる。

「この世に産まれて十数年。貧困の人達の為…世界をまたにかけ悪党から救い出す!正体不明の正義のヒーロー!ひとよんで!!」 

「うるさいんだよ!ダークネス・ファイア!」

「どわ~~~!!」

森の中に避難する胸当て小僧。
(何故決め台詞を最後まで言わせてくれないんだ…)

コア(余裕ありますね。)

(ないよ!どうにかならないか?コア!)

コア(決め台詞の件ですか。)

(違う!あの怖い奴だよ!)

コア(……勇者に変更します。)

胸当て小僧の職業を勇者に変更するとコアが言う。

(それで勝てるのか?)

コア(現在のレベルで勇者なら互角以上です。)

周りには誰も居ない。謎の人物を倒したら勇者とは誰もわからないまま…

胸当て小僧はコアに相談する。

……。

コア(本当に勇者が嫌なんですね。)

胸当て小僧「あっしは、のんびり隠居生活がしたいだけでい!」

コア(私には普通に話して下さい。)

胸当て小僧「すまん!その作戦で頼むコア!」

コア(了解です。)

胸当て小僧は、何やら作戦を考えついたようだが
果たして上手く行くのだろうか?


◇◇◇◇◇



マイ「聖女味の!お姉チャーーーーン!!」

振り向くアイラ。
「マイちゃん!何で来たの!」

「ハア…助けにだよ!お姉チャン!」

アイラ「危ないわ!戻りなさい。」

珍しく険しい顔のアイラ。

「怒らないで……アタシ、お姉チャンが頑張っているからアタシがお姉チャンを助けるんだ!」

最前線に出るマイ!

追うアイラ。こんな争いに子供巻き込むわけには行かない!

「皆!下がってーーーー!」
叫ぶマイ。
「マイ!何してる!」
カーラも驚いている。

マイは杖を前に出した……

「我が物と思えば軽し笠の雪…降り注げ静寂の結晶!」

マイの杖の前に青白い魔法陣が現れる。

雲ひとつない空から何かが降り注いで来る。

「何コレは…雪?」

白く小さな粒が大量に降り注ぐ。

「まぁ綺麗ね!」

アイラは空を見上げている。


更にマイは続ける。

「月に叢雲、花に風…静寂を撃ち破れ!」

マイの杖の前に現れた青白い魔法陣の上に緑の魔法陣が追加される。

降り注ぐ雪を飲み込む様に強風が吹き荒れる!

「くっ!まるで吹雪じゃねえか…」

戦いの熱を冷ますかのようにカーラのビキニアーマーが冷えて行く。

2つの魔法陣が重なり合う。

「アタチがお姉チャンを守るんだから!!」

「ダブルマジック!!」

「冬の貴婦人!!」

猛吹雪がオーガ達を襲う。

「すげーな……」
冒険者達はマイの魔法を只々見つめている。

雪の礫が次々とオーガ達を飲み込んで行く…

数分後。

全てのオーガが氷の花の結晶に覆われ完全にフリーズ
している。

「ハァハァ…皆!叩き壊しちゃえ!!」

「行ける!お前ら砕いて!砕いて!砕きまくるんだ!」

一斉に飛びかかる冒険者達。
苦戦していたオーガ達が嘘の様に簡単に砕ける。

勝者…サウナの街の冒険者達!!

マイはアイラの人差し指を掴む震えている。

「勇気を出すのって…お腹すくわよね!」

マイは頷く。必死にアイラを助ける為にとった行動。
我に返り、目の前の戦況を見るマイ。震えが止まらない。

そんなマイを見ながらモックエプロンのポケットを
ゴソゴソするアイラ。
「??」

駄菓子が出てきた。

「お礼よ!美味しいわよ!」

「怒ってないの?お姉チャン」

アイラを見つめるマイ。

「どうかな?とりあえずお菓子食べなさい!」
マイは渡された駄菓子を食べる。
モグモグマイ…
「うわ~!このお菓子…聖女味だ~!」

「マイちゃん!」

モグモグマイはアイラを見上げる。

「それは好きな人にしかあげない……」
「特別な聖女味のお菓子だぞ!」

「ありがとう!お姉チャン。」
マイは…思い切りアイラに抱きつく!!
ポンポンと頭を撫でるアイラ……
(な、なんですか!このキュンキュン感は…快感になるのです!)


妹見たいに見えるマイ…
アイラは新たな快感を得た。

次回へ続く。














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