11 / 30
第一章 出逢い 編
10 全盛期のAランク冒険者
しおりを挟む
「これは誰じゃ?」
二人と全く会話が噛み合わないドドル。デコルはドドルだと何度も騒ぐ男に引き出しから、生え際確認用の手鏡を渡した。
手鏡を見るドドルは混乱する。これは儂か?シワもなければ自慢の白髭もない。そして今日は身体の動きが軽い。
誰じゃ?この若者は…
……………!
そうだ!昨日再発行してもらった冒険者プレートを見れば分かる筈だ。
ドドルは首にかけられたネックレスを外す。
「ドドル Aランク冒険者」そう刻まれた真っ黒なプレート…間違いない、この若者は儂じゃ!
若返った…何故?
若返りの魔法など聞いた事がない。帝国お抱えの賢者が不死の魔法を開発したと昔聞いた事があったが…
確か…あれは、心がないゾンビになったとかそんな話しだった記憶がある。
「私の薬でドドじいは、元気になったんだよ!」
混乱する3人の動きが止まる。窓辺に腰掛けて退屈そうに足をバタバタさせていたマナは手のひらを輝かせ小さな瓶を取り出した。
机に置かれた金色の液体が入った小瓶…
3人は机すれすれまで顔を近づけ片目を閉じて眼力全開で小瓶を覗き込んだ。
「ね、ねぇ…ギルド長?もしかして…これ…」
「言うな!言ってはならんぞレナ・バース!!」
小瓶の前で大きな声を出すデコル。
「儂は見た事が無いぞ…じゃが何故か思ってしまう…これはもしかして伝説の…」
「だから言うなよ!このドドルもどき!!」
また、小瓶の前で大きな声を出すデコル。
冗談じゃない。世界樹の枝に、もしこの小瓶の中身がアレなら大陸中の奴らが、この街に押し寄せる。そんな事になったらこの街は…
「触るな!何やってんだドドルもどき!!」
……………「誰がもどきじゃ!」
本当だ。妖精さんが言っていた通りだ。人族はくだらない事で直ぐに争いを始める。そんなに私の薬が珍しいのかしら?欲しいなら言ってくれれば幾らでも出すのにな。
作る時間は沢山あったんだから!
『パリンッ!』
2人の組み合いは徐々に熱量がましていく。狭い部屋の限られたスペースで互いに有効打が無い争い。デコルはギルド長になる前はBランク冒険者の上位だった。先輩のドドルに憧れてAランクを目指したが残念ながら夢は潰えた。しかし纏め役としての能力は冒険者の中で群を抜いて才能があった。マナはデコルを嫌うが、ギルド長としての彼は街中からの信頼を得ている。
「ちっ!何だよこの力…本当にドドル先輩と同じじゃないか!」
何発もらった?高速過ぎて見えないが、この痛みには覚えがある!
新人の頃…何発も受けたからな!
ドドルもどきと呼んだ若者から繰り出される高速の拳。
痛みより若き日の訓練を思い出すデコル。
「儂は本物のドドルじゃ!バカタレ!!」
机ごとデコルを床に叩きつける爆腕のドドル。いささかやり過ぎた感があるが、男には引けない時があると都合良く自分で自分に言い聞かせる。
「ちょっと、お二人さん瓶割れてますよ?」
冷静に争いを見守ったレナ・バース。彼女はドドルさんが本当に若返ったんだと確信した。理由は私でも勝てそうにないから…
「何をしておる!デコル!」
「先輩が投げつけるからだろ!」
デコルは認めた。この若者はドドル先輩だ。間違いない俺が憧れて目指したあのドドル先輩だ。
でも、俺のせいにするのは納得が行かない。
「何がギルド長権限じゃ!男なら拳で語れデコル!」
「権力も立派な男の武器だ!」
壮絶な打ち合いは遂に部屋の外へと広がった。
「また壁壊しやがって…」
「お前が簡単に吹き飛ぶから壊れたんじゃ!」
壮絶な打ち合いが終わったのは日が沈む頃だった。
マナは広場で争う2人を見ていたが飽きてしまい。ベンチでレナ・バースに膝枕をしてもらい外の風を感じながら眠っていた。
レナ・バースは気持ち良さそうに眠るマナの頭を撫でながら2人の争いを見守った。
「ハァハァ…う~…参りました!俺の負けです!」
「ふん!粘りおってデコルのくせに!」
2人の争いの勝者はドドルだった。やはりAランクは、伊達じゃなかった。
「そ、それで…何か話しがあったんですよね?先輩」
忘れていた。熱くなって忘れていたぞ!
「聞いてくれ!家に…家がある丘に世界樹が出来たんじゃが…どうしたら良いのじゃ?」
「はあ?」
何だよ今日は!世界樹の事だらけじゃないか?世界樹の枝に、あの瓶はおそらくエリクサーだ。そして、世界樹が出来た?出来るものなのか世界樹は?
そう言えば今朝、ギルド諜報員達が世界樹が聖域から消えたとか言っていたな…
話しがデカすぎて頭が痛くなるぜ!
広場で大の字で寝そべるデコルは、また生え際が後退すると内心思っていた。
「エリクサーって生え際に効くのかな?」
二人と全く会話が噛み合わないドドル。デコルはドドルだと何度も騒ぐ男に引き出しから、生え際確認用の手鏡を渡した。
手鏡を見るドドルは混乱する。これは儂か?シワもなければ自慢の白髭もない。そして今日は身体の動きが軽い。
誰じゃ?この若者は…
……………!
そうだ!昨日再発行してもらった冒険者プレートを見れば分かる筈だ。
ドドルは首にかけられたネックレスを外す。
「ドドル Aランク冒険者」そう刻まれた真っ黒なプレート…間違いない、この若者は儂じゃ!
若返った…何故?
若返りの魔法など聞いた事がない。帝国お抱えの賢者が不死の魔法を開発したと昔聞いた事があったが…
確か…あれは、心がないゾンビになったとかそんな話しだった記憶がある。
「私の薬でドドじいは、元気になったんだよ!」
混乱する3人の動きが止まる。窓辺に腰掛けて退屈そうに足をバタバタさせていたマナは手のひらを輝かせ小さな瓶を取り出した。
机に置かれた金色の液体が入った小瓶…
3人は机すれすれまで顔を近づけ片目を閉じて眼力全開で小瓶を覗き込んだ。
「ね、ねぇ…ギルド長?もしかして…これ…」
「言うな!言ってはならんぞレナ・バース!!」
小瓶の前で大きな声を出すデコル。
「儂は見た事が無いぞ…じゃが何故か思ってしまう…これはもしかして伝説の…」
「だから言うなよ!このドドルもどき!!」
また、小瓶の前で大きな声を出すデコル。
冗談じゃない。世界樹の枝に、もしこの小瓶の中身がアレなら大陸中の奴らが、この街に押し寄せる。そんな事になったらこの街は…
「触るな!何やってんだドドルもどき!!」
……………「誰がもどきじゃ!」
本当だ。妖精さんが言っていた通りだ。人族はくだらない事で直ぐに争いを始める。そんなに私の薬が珍しいのかしら?欲しいなら言ってくれれば幾らでも出すのにな。
作る時間は沢山あったんだから!
『パリンッ!』
2人の組み合いは徐々に熱量がましていく。狭い部屋の限られたスペースで互いに有効打が無い争い。デコルはギルド長になる前はBランク冒険者の上位だった。先輩のドドルに憧れてAランクを目指したが残念ながら夢は潰えた。しかし纏め役としての能力は冒険者の中で群を抜いて才能があった。マナはデコルを嫌うが、ギルド長としての彼は街中からの信頼を得ている。
「ちっ!何だよこの力…本当にドドル先輩と同じじゃないか!」
何発もらった?高速過ぎて見えないが、この痛みには覚えがある!
新人の頃…何発も受けたからな!
ドドルもどきと呼んだ若者から繰り出される高速の拳。
痛みより若き日の訓練を思い出すデコル。
「儂は本物のドドルじゃ!バカタレ!!」
机ごとデコルを床に叩きつける爆腕のドドル。いささかやり過ぎた感があるが、男には引けない時があると都合良く自分で自分に言い聞かせる。
「ちょっと、お二人さん瓶割れてますよ?」
冷静に争いを見守ったレナ・バース。彼女はドドルさんが本当に若返ったんだと確信した。理由は私でも勝てそうにないから…
「何をしておる!デコル!」
「先輩が投げつけるからだろ!」
デコルは認めた。この若者はドドル先輩だ。間違いない俺が憧れて目指したあのドドル先輩だ。
でも、俺のせいにするのは納得が行かない。
「何がギルド長権限じゃ!男なら拳で語れデコル!」
「権力も立派な男の武器だ!」
壮絶な打ち合いは遂に部屋の外へと広がった。
「また壁壊しやがって…」
「お前が簡単に吹き飛ぶから壊れたんじゃ!」
壮絶な打ち合いが終わったのは日が沈む頃だった。
マナは広場で争う2人を見ていたが飽きてしまい。ベンチでレナ・バースに膝枕をしてもらい外の風を感じながら眠っていた。
レナ・バースは気持ち良さそうに眠るマナの頭を撫でながら2人の争いを見守った。
「ハァハァ…う~…参りました!俺の負けです!」
「ふん!粘りおってデコルのくせに!」
2人の争いの勝者はドドルだった。やはりAランクは、伊達じゃなかった。
「そ、それで…何か話しがあったんですよね?先輩」
忘れていた。熱くなって忘れていたぞ!
「聞いてくれ!家に…家がある丘に世界樹が出来たんじゃが…どうしたら良いのじゃ?」
「はあ?」
何だよ今日は!世界樹の事だらけじゃないか?世界樹の枝に、あの瓶はおそらくエリクサーだ。そして、世界樹が出来た?出来るものなのか世界樹は?
そう言えば今朝、ギルド諜報員達が世界樹が聖域から消えたとか言っていたな…
話しがデカすぎて頭が痛くなるぜ!
広場で大の字で寝そべるデコルは、また生え際が後退すると内心思っていた。
「エリクサーって生え際に効くのかな?」
0
お気に入りに追加
108
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
転移は猟銃と共に〜狩りガールの異世界散歩
柴田 沙夢
ファンタジー
アラサー狩りガールが、異世界転移した模様。
神様にも、仏様にも会ってないけど。
テンプレなのか、何なのか、身体は若返って嬉しいな。
でも、初っぱなから魔獣に襲われるのは、マジ勘弁。
異世界の獣にも、猟銃は使えるようです。威力がわやになってる気がするけど。
一緒に転移した後輩(男)を守りながら、頑張って生き抜いてみようと思います。
※ 一章はどちらかというと、設定話です。異世界に行ってからを読みたい方は、二章からどうぞ。
*******
一応保険でR-15
主人公、女性ですが、口もガラも悪めです。主人公の話し方は基本的に方言丸出し気味。男言葉も混ざります。気にしないで下さい。
最初、若干の鬱展開ありますが、ご容赦を。
狩猟や解体に絡み、一部スプラッタ表現に近いものがありますので、気をつけて。
微エロ風味というか、下ネタトークありますので、苦手な方は回避を。
たまに試される大地ネタ挟みます。ツッコミ大歓迎。
誤字脱字は発見次第駆除中です。ご連絡感謝。
ファンタジーか、恋愛か、迷走中。
初投稿です。よろしくお願いします。
*********************
第12回ファンタジー小説大賞 投票結果は80位でした。(応募総数 2,937作品)
皆さま、ありがとうございました〜(*´꒳`*)
大和型戦艦、異世界に転移する。
焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。
※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる