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第一章 出逢い 編
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エターナル大陸と呼ばれる、広大な大陸の中央に位置する場所で、空に浮かぶ雲を軽々と突き抜ける程の巨木が大地に根を生やしている。この世界の者は、この場所を聖地とし、巨木を世界樹と呼びエターナルマナと崇めた。
世界樹は何かを自らしているわけでは無い。人々は世界のバランスを保つ地上の神だと思っている様だが…
しかし世界樹は葉ひとつ見ても美しい。キラキラと輝くその葉1枚でも手に入れた者は富と名誉を手に入れる程、希少な扱いを受ける世界樹の葉。もし枝を手に入れたら国を興す事も可能だろう。
もちろん人間以外にも世界樹に魅せられた生物が集まってくる。
「あら!貴女は西の妖精さんね?今日も来てくれたのね。ありがとう。」
世界樹の枝に腰を掛けて足と羽根をパタパタさせている小さな妖精と呼ばれた彼女は世界樹に話しかけられて嬉しそうな表情をしている。
「前に来たのは200年位前?そうだったかしら?」
妖精は、魔王が復活したと教えてくれた。しかも以前より力を増しているそうだ。
「そうなの…大変ね!でもまたあの勇者様が倒してくれるんでしょ?…え~と…勇者トンジロウ様よね?名前は」
妖精は世界樹の枝で困った表情を見せる。
「死んだ?あの勇者トンジロウ様が魔王に負けたって言うの?信じられないよ…あの勇者様が負けるなんて…」
更に妖精は困った表情を見せる。
「負けてない?そうなんだ!勇者様は魔王を倒し封印して、西の国のお姫様と結婚して立派な王様になったのね」
世界樹はせっかく幸せなのに死んでしまった勇者様を嘆き…枝を震わせた。その振動に驚いた妖精は羽を羽ばたかせ宙に浮きながら世界樹に説明した。
「老衰…たった100年で老衰で死ぬなんて信じられない。きっと勇者様は難病を隠して気丈に振る舞ったのよ!」
世界樹は一度も会いに来てくれぬまま死んでしまった勇者を立派な方だったのだと想い、その死を惜しんだ。
それから500年と少し…
毎日の様に世界樹の元へ訪れる妖精や小鳥達。飛べない人族は世界樹の根もとで登る為に色々工夫を凝らしては失敗し仲間達で争いを始める、その姿を見て世界樹は楽しんでいる。
羨ましい…勇者様が魔王を倒した!賢者が不死の魔法を生み出した!西の王国で王様が侍女に手を出したのが、王妃にバレて魔法で馬にされた!懲りずに復活した魔王がまた勇者に倒されて宿屋を開いた!
退屈しない話し…見たい!…私も自分の目で勇者様や魔王を見て見たい。
どうして私は…この場所から動けないのよ!
どんどん大きくなるのに何で…歩けないのよ!
妖精さんみたいな羽が欲しいよ!
海って何よ!あの山の向こうに行けば見えるって言われても…私は動けないじゃない!
毎日、根もとで私に頭を下げる貴方?もし良かったら私を無理矢理、ここから連れ出してよ!
………う~ん……そう!駆け落ち婚って流行っているのでしょう?だったら貴方が私と駆け落ち婚してよ!
更に100年と少し…
「もう…我慢の限界なんですけど!」
その日の翌朝…
誰もが知っている。世界樹エターナルマナの姿が大陸中央から忽然と消えた。
訪れた妖精や小鳥は驚き、数ヶ月かけて森の中を進んだ人間達は消えた世界樹の跡地を見て泣き崩れた。
世界樹は果たして何処へ消えたのだろうか?
世界樹は何かを自らしているわけでは無い。人々は世界のバランスを保つ地上の神だと思っている様だが…
しかし世界樹は葉ひとつ見ても美しい。キラキラと輝くその葉1枚でも手に入れた者は富と名誉を手に入れる程、希少な扱いを受ける世界樹の葉。もし枝を手に入れたら国を興す事も可能だろう。
もちろん人間以外にも世界樹に魅せられた生物が集まってくる。
「あら!貴女は西の妖精さんね?今日も来てくれたのね。ありがとう。」
世界樹の枝に腰を掛けて足と羽根をパタパタさせている小さな妖精と呼ばれた彼女は世界樹に話しかけられて嬉しそうな表情をしている。
「前に来たのは200年位前?そうだったかしら?」
妖精は、魔王が復活したと教えてくれた。しかも以前より力を増しているそうだ。
「そうなの…大変ね!でもまたあの勇者様が倒してくれるんでしょ?…え~と…勇者トンジロウ様よね?名前は」
妖精は世界樹の枝で困った表情を見せる。
「死んだ?あの勇者トンジロウ様が魔王に負けたって言うの?信じられないよ…あの勇者様が負けるなんて…」
更に妖精は困った表情を見せる。
「負けてない?そうなんだ!勇者様は魔王を倒し封印して、西の国のお姫様と結婚して立派な王様になったのね」
世界樹はせっかく幸せなのに死んでしまった勇者様を嘆き…枝を震わせた。その振動に驚いた妖精は羽を羽ばたかせ宙に浮きながら世界樹に説明した。
「老衰…たった100年で老衰で死ぬなんて信じられない。きっと勇者様は難病を隠して気丈に振る舞ったのよ!」
世界樹は一度も会いに来てくれぬまま死んでしまった勇者を立派な方だったのだと想い、その死を惜しんだ。
それから500年と少し…
毎日の様に世界樹の元へ訪れる妖精や小鳥達。飛べない人族は世界樹の根もとで登る為に色々工夫を凝らしては失敗し仲間達で争いを始める、その姿を見て世界樹は楽しんでいる。
羨ましい…勇者様が魔王を倒した!賢者が不死の魔法を生み出した!西の王国で王様が侍女に手を出したのが、王妃にバレて魔法で馬にされた!懲りずに復活した魔王がまた勇者に倒されて宿屋を開いた!
退屈しない話し…見たい!…私も自分の目で勇者様や魔王を見て見たい。
どうして私は…この場所から動けないのよ!
どんどん大きくなるのに何で…歩けないのよ!
妖精さんみたいな羽が欲しいよ!
海って何よ!あの山の向こうに行けば見えるって言われても…私は動けないじゃない!
毎日、根もとで私に頭を下げる貴方?もし良かったら私を無理矢理、ここから連れ出してよ!
………う~ん……そう!駆け落ち婚って流行っているのでしょう?だったら貴方が私と駆け落ち婚してよ!
更に100年と少し…
「もう…我慢の限界なんですけど!」
その日の翌朝…
誰もが知っている。世界樹エターナルマナの姿が大陸中央から忽然と消えた。
訪れた妖精や小鳥は驚き、数ヶ月かけて森の中を進んだ人間達は消えた世界樹の跡地を見て泣き崩れた。
世界樹は果たして何処へ消えたのだろうか?
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