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4 デイオフ
#5β
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(……ゆ、許された?)
ほっと安堵したのも束の間、「この卑しんぼ!!!」
先ほどまでは想像もつかなかったドスの効いた声音で私の言葉を遮ります、そしてついにトヨミさん、私につかみかかって来ました、爪こそ立ててはいませんがものすごい力です
彼女の体臭でしょうか?腐った水のような匂いが鼻先にわっと広がって……その時です。
「うーん、お母さん、おじいちゃん……まだビスケットにシロップはかけないで…今年のクリスマスは……」
酔いから覚めつつあるのか、寝言のようにつぶやくオソレの声。
「…ぽぽぽ……興ざめしました……」
真顔ともあきれ顔ともつかない微妙な表情で頭をかくトヨミさん。
「お嬢様は天才技術者でもありますがこう見えて寂しがり屋でございます故、何かあったときはお助け下さいませ。特に街の外にお出になる際は……ぽぽ、そういえば、お名前、伺ってませんでしたよね?」
─今度こそ、ゆ、許された!?─
色々あって聞きそびれたものですから、と微笑む彼女を見て私も思わず引きつった笑みで返します。
「……とりあえず、<原典>とかご大層な呼び名はやめてください、私はワカ、漢字で書くと和歌の和に……」
パリン…
、そう説明しようとした矢先、テーブルに突っ伏して酩酊していたオソレが誤ってグラスを床に落としてしまいます。肘dでも当たったのでしょうか?
「はぁ……飲み過ぎや」
トヨミさんが割れたグラスを片付けようとエプロンから絹のハンカチを広げたその時、ふっ、蝋燭の灯りが消え、一瞬の闇が訪れます。同時に柱時計が間延びした音で3回鳴りました。
─な に ?─
、そして次の瞬間……
「……出ちゃいましたねぇ、大きな音」
一瞬の静寂と暗転のあとブザーと共に赤色灯に照らされた食堂、血のような赤色に染まったトヨミさんがポツリとつぶやきます。
そういえば─大きな音をたてるな─と、この謎の地下施設に入る直前オソレに忠告された気がします。
「ワカ様……少々厄介なことになりました……割りとヤバいかも」
(私とあんたら以上にヤバいやつがこの世界におるんかい)
そう心の中でツッコミたくなる気持ちを抑えて 、一体何がヤバいんです?─外の子達が怒ったんですか?グラスが割れたり私たちの出した音のせいで─と尋ねます。
その刹那 <バン!> 食堂と一階のエントランスを隔てるドアが勢いよく開きます。ドアの影には白いもやが浮かんでいて……
「ふぁ~、いい旅夢気分ですわ……って……ぬぁ!」
長い酩酊から目覚めたオソレは窓の外を見つめ一瞬表情を凍りつかせましたが……その瞳に再び理知的な光が宿りました。
「……出しましたね、大きな音」
そして私達を交互に見遣りながら……少しうんざり顔でそう言うのです。
つづく
ほっと安堵したのも束の間、「この卑しんぼ!!!」
先ほどまでは想像もつかなかったドスの効いた声音で私の言葉を遮ります、そしてついにトヨミさん、私につかみかかって来ました、爪こそ立ててはいませんがものすごい力です
彼女の体臭でしょうか?腐った水のような匂いが鼻先にわっと広がって……その時です。
「うーん、お母さん、おじいちゃん……まだビスケットにシロップはかけないで…今年のクリスマスは……」
酔いから覚めつつあるのか、寝言のようにつぶやくオソレの声。
「…ぽぽぽ……興ざめしました……」
真顔ともあきれ顔ともつかない微妙な表情で頭をかくトヨミさん。
「お嬢様は天才技術者でもありますがこう見えて寂しがり屋でございます故、何かあったときはお助け下さいませ。特に街の外にお出になる際は……ぽぽ、そういえば、お名前、伺ってませんでしたよね?」
─今度こそ、ゆ、許された!?─
色々あって聞きそびれたものですから、と微笑む彼女を見て私も思わず引きつった笑みで返します。
「……とりあえず、<原典>とかご大層な呼び名はやめてください、私はワカ、漢字で書くと和歌の和に……」
パリン…
、そう説明しようとした矢先、テーブルに突っ伏して酩酊していたオソレが誤ってグラスを床に落としてしまいます。肘dでも当たったのでしょうか?
「はぁ……飲み過ぎや」
トヨミさんが割れたグラスを片付けようとエプロンから絹のハンカチを広げたその時、ふっ、蝋燭の灯りが消え、一瞬の闇が訪れます。同時に柱時計が間延びした音で3回鳴りました。
─な に ?─
、そして次の瞬間……
「……出ちゃいましたねぇ、大きな音」
一瞬の静寂と暗転のあとブザーと共に赤色灯に照らされた食堂、血のような赤色に染まったトヨミさんがポツリとつぶやきます。
そういえば─大きな音をたてるな─と、この謎の地下施設に入る直前オソレに忠告された気がします。
「ワカ様……少々厄介なことになりました……割りとヤバいかも」
(私とあんたら以上にヤバいやつがこの世界におるんかい)
そう心の中でツッコミたくなる気持ちを抑えて 、一体何がヤバいんです?─外の子達が怒ったんですか?グラスが割れたり私たちの出した音のせいで─と尋ねます。
その刹那 <バン!> 食堂と一階のエントランスを隔てるドアが勢いよく開きます。ドアの影には白いもやが浮かんでいて……
「ふぁ~、いい旅夢気分ですわ……って……ぬぁ!」
長い酩酊から目覚めたオソレは窓の外を見つめ一瞬表情を凍りつかせましたが……その瞳に再び理知的な光が宿りました。
「……出しましたね、大きな音」
そして私達を交互に見遣りながら……少しうんざり顔でそう言うのです。
つづく
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