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2 Blue Brain BBomber
#4β
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「危ねぇぞ、ボケどもがぁ!轢き殺すぞコラァ!」
運転席からぬっと顔を出したクマが大声で怒鳴る。
「主任!?……どうしてここに?」
クロエとエミが唖然としていると、紺と赤に塗り分けられた車体の脇に取り付けられたランチャーから軽い音を立て煙幕弾が発射された。青い煙があたり一面に充満していく。
「今のうちに早く乗れ!後ろだ!」
クマの声に我に帰った三人は急いで荷台に乗り込む。と、バギーは一気に加速をかけて『それ』を振り切り、走り去った。
***
「ハア……」
廃都市からしばらく西へ走ったところにある埠頭で、クロエ達を乗せたバギーはようやく停止した。
「ふぅ……とりあえず撒いたか」
クマは額の冷却液を拭いながら言った。
「どうだ私の運転技術は?なかなかだったろう?」
「んぐんぐ……ぷはー、うん、普通に上手い」
クロエはクマに貰った冷たいスポーツドリンクを飲みなから答える。
「「いやいや、ちょっと待ってよ」」
バギーから降りたエミは車体の右後方、タイヤ付近の焦げ跡をゴンゴンと手の甲で叩きながら抗議した。
「これ見てよ。めっちゃ燃えてたじゃん」
「ああ、あの風船みたいな異形は電気クラゲのような性質を持っているらしい。
どうやらあれの放電を受けると、辺り一帯が感電して電子機器が軒並み壊れてしまうようだ。幸いバッテリーには影響がなかったみたいだが……」
「それってつまり……このバギーも!?」「そう言うことだ」
「……」クマを半目で睨むエミ。
「仕方ないだろう?他に手段が無かったんだから」
「……で、なんでこんな所に来たんです?まさかこのまま海に飛び込んで魚の餌になれとか言いませんよね?」
「まぁ落ち着け、実はな……この近くに、昔の港湾ターミナルがある。そこならまだ使える機械類が残っているはずだ。そこで修理しようと思ってな」
「なるほど……」
クロエは納得する。
「さすが主任。頭いいですね」
「えへへ、もっと褒めてもいいんだよ?」
「でも……」
「でも?」
「一体どういうことなんですか?さっきのアレは」
クロエがが尋ねると、クマは頭をボリボリと掻きむしり応じる。
「一つ確認させてくれ。『あれ』は……最初の異形を駆除して現れたものなのか?」
「はい、そうだと思います」
「そうか、つまりあれは……」
クマは腕組みしながら考え込む。
「あ~っ、誰かさんの乱暴な運転で肩凝ったわ~……ねえ、クロエ揉んでくれない?肩……とか」
エミはわざとらしく首を回しアピールしてくる。
「はいはい……まったく、エミさんはお疲れ様ですねぇ」
クロエはエミの背後に回り込み肩に手を伸ばす。しかし彼女はそれをスルリとかわすと、今度はエミがクロエの後ろに回る。「ほら、早くしないと追ってくるかもよ?」
エミはニヤッと笑うと指先でクロエの背筋を下から上へとなぞるように撫で上げる。
「んあッ!?」思わず変な声が出てしまった。
「ちょ、やめてエミ!くすぐったい!お前またそういうことを!」
「アハハッ、だって楽しいんだもん♪」
「前々から思ってたけど……実は君たちってそういう関係?」
クロエ達のやり取りを見て呆れたようにため息をつくクマ。
「誤解しないでください!」
クロエは顔を真っ赤にして否定する。
「え~、別に隠すことないじゃん」
エミは悪びれる様子もなく、クロエに抱きつく。
「誤解しないでください!!」
クロエは再び叫ぶ。
「黙れさっきからうるさいぞ、神経がイラダツ。ここは結構ヤバい所なんだから、もう少し緊張感を持ってくれ」
***
「はぁ……やっと着
それから十数分後、ようやく目的地に到着した。そこは埠頭の一角にある巨大な倉庫だ。周囲は廃都市同様に荒れ果てていた、が巨大な台形の箱のような倉庫に目立った痛みは見当たらなかった。
「ここが昔使われていたターミナルだ。今は使われていないが、まだ電気は通っているはず私も初めて来たが、なかなか大きい施設だな」
クマの言葉に、エミは感心する。
「へぇ~、なんか凄いね。こんな大きな建物見たこと無いや」クロエも同意見だ。
「確かに……これはなかなか立派なものだ」
「早速作業に取り掛かろう。リョウスケ君も手伝ってくれるな?」
「……」
それまで無気力に立っていただけのリョウスケだったが、急に声をかけられてビクッとなる。
「うおっ、びっくりした……」
「ああ、すまなかった。大丈夫だ。ちゃんと元通りに修復できるから安心してくれ」
「そ、そうじゃなくて……俺は……」
リョウスケは何かを言いかけて、そのまま口をつぐむ。
「ふむ……」
クマはその様子を見て何事かを察したのか、それ以上は何も言わずそのまま倉庫の正面、巨大なシャッターの前に立つ。
「主任、どうしますか?」
クロエが尋ねるとクマは振り返らずに答える。
「この扉を開けるのは骨が折れそうだ。『ランナー』のレーザー砲を使おう」
「え?それって……」
クロエが言い終わる前に、クマはバギーのあった場所に獣のように走り去る。
そして例のごとく運転席に乗り込みハンドルを握る
「しゅーーにーん!必殺クマパンチ!!(物理)とかでぇー直接やったらぁー
ダメかなんですかぁーっ!なろうみたいにーっ!」
エミがクマの背中に向かって叫ぶが、クマはまるで聞こえていないかのように無視する。
(……あの人絶対難聴だよ……)
「主任、一体何をするんです?」
クロエは恐る恐る尋ねる。
「この扉を壊す」
クマの返答を聞いて、クロエ達は(えっ?いきなりそういう感じ?)と気を引き締めました。
「よし、いくぞ……」
そう言うとクマはバギーの運転席に行儀よく腰掛けました。
「し、主任……まさかとは思いますが……」
クロエは嫌な予感を感じつつ尋ねます。
「そのまさかだが?それがどうかしたかね?」
クマは今さら何を言っているんだと言いたげな表情で答えます。
「ヤバいよクロエ……クマ、もう完全にやる気モードになってるよ……」
エミは不安そうにクロエの腕にしがみつきながら訴えてきます。
「あ、やっぱりそうなりますよね……」クロエはエミの肩に手を置いて諭します。
「うん、無理だね」
エミも納得しました。
「ヨシ!光の矢、ガンマC-HL線を撃つ!」
「あっ、ビーム撃っちゃいますね……これ……」
クロエは思わず天を仰ぎました。
水平線に沈む夕日と、宵の明星が無性に綺麗でした。
「……ないわ~」
エミさん(23)も諦めたようです。
「よし!発射!」
クマさんはノリノリでビームを撃ち込みます。
「うおぉ!?マジかよ!」
ビームが命中すると巨大なシャッターはガラガラと音を立てて崩れ去り、勢い余って隣のコンテナにも穴を空けてしまいました。
「アハハハハッ、アハアハアハ……ふぅ……ちょっとやりすぎちゃったかな~」
「主任……あなたという人は……なんてことを……!」
クロエ達も、流石にこれには苦笑いを隠せませんでした。
「まぁいいじゃないか。結果オーライだ」
「はぁ……本当に仕方のない人ですね……」
「そんなことより、早く中に入ろう。いつ連中が現れるかわからないからな」
「そうですね、行きましょう」
***
「……奴らは『ヴィーラス』、もしくは異形使いだと言われている」
「……異形使い?異形そのもの?」
クロエは首を傾げる。
先ほど開けた穴から、倉庫の中に入った一同。
薄暗い室内には所狭しと様々な機械類や、工具、資材などが並んでいる。
「ああ、そうだ。詳しいことは分からないが、恐らく人型をした何かだろうな。例えば……ほら」
そう言ってクマは、自分の首元を指差す。そこには、まるでチョーカーのように黒いベルトが装着されている。
(ああ、それですか?趣味だと思ってました。着ぐるみの上から首輪つけるなんて真正の変態だと思ってましたけど)
とクロエは言いたかったが堪えた。
「ふむ、趣味ではない。これはあのウイルスに感染した最初の21人、つまり『一次感染者』が身につけていたものだ」
「え?それってどういう……」
クロエが質問しようとする……とバチュン!バチュン!突如暗闇から飛来した銃弾が壁や金属製のの梁に弾けて火花を散らす。
「なんだ!?」
リョウスケ達が身を屈めると、すぐに銃撃は止み、再び静寂が訪れる。
「襲撃だ!気をつけろ!」
クマが叫ぶと同時に小柄な黒い影が飛び出し、エミとクロエを突き飛ばすとリョウスケを後ろから羽交い締めにした。
「がああああぁあ!!」
突然の襲撃にパニックになるリョウスケ。しかし次の瞬間、クロエは目を見開いた。
「女の子!?」
クロエは思わず叫ぶ。
「オマエラ、イッタイダレダァー!?」
金髪碧眼、トゲのように鋭い目付きの少女はが片言の日本語で叫んだ。
運転席からぬっと顔を出したクマが大声で怒鳴る。
「主任!?……どうしてここに?」
クロエとエミが唖然としていると、紺と赤に塗り分けられた車体の脇に取り付けられたランチャーから軽い音を立て煙幕弾が発射された。青い煙があたり一面に充満していく。
「今のうちに早く乗れ!後ろだ!」
クマの声に我に帰った三人は急いで荷台に乗り込む。と、バギーは一気に加速をかけて『それ』を振り切り、走り去った。
***
「ハア……」
廃都市からしばらく西へ走ったところにある埠頭で、クロエ達を乗せたバギーはようやく停止した。
「ふぅ……とりあえず撒いたか」
クマは額の冷却液を拭いながら言った。
「どうだ私の運転技術は?なかなかだったろう?」
「んぐんぐ……ぷはー、うん、普通に上手い」
クロエはクマに貰った冷たいスポーツドリンクを飲みなから答える。
「「いやいや、ちょっと待ってよ」」
バギーから降りたエミは車体の右後方、タイヤ付近の焦げ跡をゴンゴンと手の甲で叩きながら抗議した。
「これ見てよ。めっちゃ燃えてたじゃん」
「ああ、あの風船みたいな異形は電気クラゲのような性質を持っているらしい。
どうやらあれの放電を受けると、辺り一帯が感電して電子機器が軒並み壊れてしまうようだ。幸いバッテリーには影響がなかったみたいだが……」
「それってつまり……このバギーも!?」「そう言うことだ」
「……」クマを半目で睨むエミ。
「仕方ないだろう?他に手段が無かったんだから」
「……で、なんでこんな所に来たんです?まさかこのまま海に飛び込んで魚の餌になれとか言いませんよね?」
「まぁ落ち着け、実はな……この近くに、昔の港湾ターミナルがある。そこならまだ使える機械類が残っているはずだ。そこで修理しようと思ってな」
「なるほど……」
クロエは納得する。
「さすが主任。頭いいですね」
「えへへ、もっと褒めてもいいんだよ?」
「でも……」
「でも?」
「一体どういうことなんですか?さっきのアレは」
クロエがが尋ねると、クマは頭をボリボリと掻きむしり応じる。
「一つ確認させてくれ。『あれ』は……最初の異形を駆除して現れたものなのか?」
「はい、そうだと思います」
「そうか、つまりあれは……」
クマは腕組みしながら考え込む。
「あ~っ、誰かさんの乱暴な運転で肩凝ったわ~……ねえ、クロエ揉んでくれない?肩……とか」
エミはわざとらしく首を回しアピールしてくる。
「はいはい……まったく、エミさんはお疲れ様ですねぇ」
クロエはエミの背後に回り込み肩に手を伸ばす。しかし彼女はそれをスルリとかわすと、今度はエミがクロエの後ろに回る。「ほら、早くしないと追ってくるかもよ?」
エミはニヤッと笑うと指先でクロエの背筋を下から上へとなぞるように撫で上げる。
「んあッ!?」思わず変な声が出てしまった。
「ちょ、やめてエミ!くすぐったい!お前またそういうことを!」
「アハハッ、だって楽しいんだもん♪」
「前々から思ってたけど……実は君たちってそういう関係?」
クロエ達のやり取りを見て呆れたようにため息をつくクマ。
「誤解しないでください!」
クロエは顔を真っ赤にして否定する。
「え~、別に隠すことないじゃん」
エミは悪びれる様子もなく、クロエに抱きつく。
「誤解しないでください!!」
クロエは再び叫ぶ。
「黙れさっきからうるさいぞ、神経がイラダツ。ここは結構ヤバい所なんだから、もう少し緊張感を持ってくれ」
***
「はぁ……やっと着
それから十数分後、ようやく目的地に到着した。そこは埠頭の一角にある巨大な倉庫だ。周囲は廃都市同様に荒れ果てていた、が巨大な台形の箱のような倉庫に目立った痛みは見当たらなかった。
「ここが昔使われていたターミナルだ。今は使われていないが、まだ電気は通っているはず私も初めて来たが、なかなか大きい施設だな」
クマの言葉に、エミは感心する。
「へぇ~、なんか凄いね。こんな大きな建物見たこと無いや」クロエも同意見だ。
「確かに……これはなかなか立派なものだ」
「早速作業に取り掛かろう。リョウスケ君も手伝ってくれるな?」
「……」
それまで無気力に立っていただけのリョウスケだったが、急に声をかけられてビクッとなる。
「うおっ、びっくりした……」
「ああ、すまなかった。大丈夫だ。ちゃんと元通りに修復できるから安心してくれ」
「そ、そうじゃなくて……俺は……」
リョウスケは何かを言いかけて、そのまま口をつぐむ。
「ふむ……」
クマはその様子を見て何事かを察したのか、それ以上は何も言わずそのまま倉庫の正面、巨大なシャッターの前に立つ。
「主任、どうしますか?」
クロエが尋ねるとクマは振り返らずに答える。
「この扉を開けるのは骨が折れそうだ。『ランナー』のレーザー砲を使おう」
「え?それって……」
クロエが言い終わる前に、クマはバギーのあった場所に獣のように走り去る。
そして例のごとく運転席に乗り込みハンドルを握る
「しゅーーにーん!必殺クマパンチ!!(物理)とかでぇー直接やったらぁー
ダメかなんですかぁーっ!なろうみたいにーっ!」
エミがクマの背中に向かって叫ぶが、クマはまるで聞こえていないかのように無視する。
(……あの人絶対難聴だよ……)
「主任、一体何をするんです?」
クロエは恐る恐る尋ねる。
「この扉を壊す」
クマの返答を聞いて、クロエ達は(えっ?いきなりそういう感じ?)と気を引き締めました。
「よし、いくぞ……」
そう言うとクマはバギーの運転席に行儀よく腰掛けました。
「し、主任……まさかとは思いますが……」
クロエは嫌な予感を感じつつ尋ねます。
「そのまさかだが?それがどうかしたかね?」
クマは今さら何を言っているんだと言いたげな表情で答えます。
「ヤバいよクロエ……クマ、もう完全にやる気モードになってるよ……」
エミは不安そうにクロエの腕にしがみつきながら訴えてきます。
「あ、やっぱりそうなりますよね……」クロエはエミの肩に手を置いて諭します。
「うん、無理だね」
エミも納得しました。
「ヨシ!光の矢、ガンマC-HL線を撃つ!」
「あっ、ビーム撃っちゃいますね……これ……」
クロエは思わず天を仰ぎました。
水平線に沈む夕日と、宵の明星が無性に綺麗でした。
「……ないわ~」
エミさん(23)も諦めたようです。
「よし!発射!」
クマさんはノリノリでビームを撃ち込みます。
「うおぉ!?マジかよ!」
ビームが命中すると巨大なシャッターはガラガラと音を立てて崩れ去り、勢い余って隣のコンテナにも穴を空けてしまいました。
「アハハハハッ、アハアハアハ……ふぅ……ちょっとやりすぎちゃったかな~」
「主任……あなたという人は……なんてことを……!」
クロエ達も、流石にこれには苦笑いを隠せませんでした。
「まぁいいじゃないか。結果オーライだ」
「はぁ……本当に仕方のない人ですね……」
「そんなことより、早く中に入ろう。いつ連中が現れるかわからないからな」
「そうですね、行きましょう」
***
「……奴らは『ヴィーラス』、もしくは異形使いだと言われている」
「……異形使い?異形そのもの?」
クロエは首を傾げる。
先ほど開けた穴から、倉庫の中に入った一同。
薄暗い室内には所狭しと様々な機械類や、工具、資材などが並んでいる。
「ああ、そうだ。詳しいことは分からないが、恐らく人型をした何かだろうな。例えば……ほら」
そう言ってクマは、自分の首元を指差す。そこには、まるでチョーカーのように黒いベルトが装着されている。
(ああ、それですか?趣味だと思ってました。着ぐるみの上から首輪つけるなんて真正の変態だと思ってましたけど)
とクロエは言いたかったが堪えた。
「ふむ、趣味ではない。これはあのウイルスに感染した最初の21人、つまり『一次感染者』が身につけていたものだ」
「え?それってどういう……」
クロエが質問しようとする……とバチュン!バチュン!突如暗闇から飛来した銃弾が壁や金属製のの梁に弾けて火花を散らす。
「なんだ!?」
リョウスケ達が身を屈めると、すぐに銃撃は止み、再び静寂が訪れる。
「襲撃だ!気をつけろ!」
クマが叫ぶと同時に小柄な黒い影が飛び出し、エミとクロエを突き飛ばすとリョウスケを後ろから羽交い締めにした。
「がああああぁあ!!」
突然の襲撃にパニックになるリョウスケ。しかし次の瞬間、クロエは目を見開いた。
「女の子!?」
クロエは思わず叫ぶ。
「オマエラ、イッタイダレダァー!?」
金髪碧眼、トゲのように鋭い目付きの少女はが片言の日本語で叫んだ。
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