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2 Blue Brain BBomber
#2δ
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クロエー!これなんかの撮影とかじゃないんだから、 魅せプしてないで早く駆除してー!!」
(『魅せプ』とは『魅せるプレイ』の略で観衆に自分の腕前を披露しながら立ち回り礼儀作法や心身の鍛錬も追求する一集の作法である
〈T大出版部 発行『ペストハンター心得』より〉)
オクショウがそう大声で叫ぶと、クロエを飲み込んだ黒い塊が内側から
無理矢理押し広げられ、隙間から無数の触手が
沸き出してきた。
それを押し留めようと必死に抵抗する黒い塊、が、やがて抵抗むなしく黒い塊はバラバラに引き千切られ、中から現れたクロエはボロボロになっていた。
「あっちゃ~、派手にやったねぇ~。怒られるよ?」
「うるさい!それより、こっちは終わったぞ!」
ぜぇぜぇと肩で荒い息を吐きクロエがウサ耳女に向かって怒鳴る。
「じゃ~あっ、今度は私の見せ場♪クロエさんはそこで休んでて!」
そう言うと彼女は、おもむろに長銃を構え、ナホコに向かって2発、立て続けに発砲した。周囲に甲高い銃声が響き渡る。
そして、その音に合わせてナホコの体がびくん、と跳ね「Gyaaaaa!!」悲鳴と共に地面に倒れ伏す。
「えっ……?」
俺は一瞬の出来事に理解が追いつかず、ただ呆然と目の前で繰り広げられる光景を見つめることしかできなかった。
「あらら~、やっぱりダメかぁ~!ま、予想通りだけどね!」そう言いつつ彼女は俺の静止を無視して再び長銃を構える。
「おい、待て!やめろ!」
「オノナホコさん、17さい。K大付属高等学校2年生。奇病ワクチンの接種は済ませてあるけど、免疫力が低下してるのかな?それともそもそも受けてない……?どちらにしてもこのまま放置は危険だよね……」
「やめろって言ってんだろうが!」
俺はそう叫んで咄嗟に彼女の腕を掴む。すると、彼女が俺の方を向く。
「ごめん、君の彼女もうとっくの昔に異形になってる。」
「えっ?」
俺は彼女の言葉の意味を理解することができずにいた。
「どういう意味だよ?まさか、ナホコが感染してるのか?」
「違うよ。この子が発症したのは去年の夏。もうとっくに変異してたってこと。」
「そんなわけ……だって……」
俺は否定しようと言葉を紡ごうとするがうまく口が回らない。
「あんまし言いたくないけどさ、君、あの子とキスとかHしたことないでしょ?だから何ともないんだよ。」
「うっ……」
図星だった。確かに俺とナホコの間にはそういった行為は一度もなかった。もちろん、お互いそういうことをしたいと思ったことがないわけではない。だが、俺達はお互いにまだ高校生であり、親の庇護下にいる以上そのような行為をするのは早すぎると思っていたのだ。
「多分B君(仮)は君に内緒でその子と濃厚接触してたんだと思う。もしくは、あえて彼女が本当に好きだった君に何もしないように我慢、していたか……立派ね。いずれにせよ、君が彼女と触れ合わなかったことで助かって欲望に忠実だったB君(仮)が破滅した。単純なこと……そう、とっても簡単な話……なんだけどね」
」俺はあまりのショックに膝から崩れ落ちた。
「B君(仮)は一度に沢山のウイルスを体に取り込みすぎて急激に異形化したいね。それであんな風になっちゃったんだと思う。泣きっ面に蜂だけど養殖場から逃げた後もB君(仮)が積極的に誘ってたんだと思う、自業自得だよ。」
「なんで……どうしてそこまでわかるんだ?」
俺は恐るおそる訊ねる。
「そりゃあ、お姉さんも一応プロフェッショナルですから、それなりに経験はしてますし、それに……私も……ううん、何でもない」彼女は何かを言いかけて口をつぐんだ。
「とにかく彼女が感染源なのは間違いないし、このままだと馬鹿チンがどんどん異形化するだろうから早く駆除しないとね。さっきみたいにまた取り込まれちゃうと面倒だし。」「クロエー、どうするの?」
ウサ耳女がクロエに問いかける。
「おまえ急にキャラ変わって変だぞ、昨日何か変なもの口にしなかったか?」
クロエが不気味なものを見るような目で彼女を睨む。
「ちょっと、人聞き悪い事言わないでよ!私は至って正常、真面目なお仕事モードなんだから!」
クロエと呼ばれた足の太い美人が俺の方を見て「こいつはこういう奴だ、諦めろ」と首を横に振った。
「すいません、あなた達は
駆除課の方々で間違いありませんね?リョウスケと話をしたいので少しお時間を頂けませんか?」
聞き慣れた彼女の声、俺の彼女ナホコの声だ去年の夏から付き合っている……。しかし、その声にはいつものような明るさはなく、どこか無機質で冷たい印象を受けるものだった。
「悪いアンタの彼君少しお借りしてたわ。」クロエと呼ばれていた女性がそう答える。俺は彼女を無視してナホコの方に目をやった。
「大丈夫か?今助けてやるからな!」俺はそう言いながら彼女に駆け寄ろうとする。
「ダメ!」ウサ耳女が俺の首根っこを掴んで制止する。
「離せ!ナホコを助けないと……」
「ダメだってば!落ち着いて!まずしっかり今の彼女を見て!」
俺は言われるままに視線を向ける。そこには黒いザリガニとカマキリを擬人化したような異形が立っていた、だが体付きを見ればわかる。あれは間違いなくナホコだ。
「嘘だ……」俺は思わずそう呟いた。異形化なんて信じたくなかった、俺が彼女の異変に気付けなかったことは事実である。だからこそ余計に辛かった。
「あまり時間がないの。手短に話すわね。」
そう言うと彼女は淡々とした口調で話し始めた。
「私ね……あの夏ずっとB君にガボラッ!」彼女が話し終えないうちにウサ耳女が俺の背中越しにナホコの頭を長銃で吹き飛ばした。
銃は専門外なので理屈はよくわからないが、ウサ耳女の長銃は先ほどより銃身が三倍近く膨れ上がり鋼鉄の鮪か鮫の口から銃身が飛び出したような異形の銃に変異していた。
「あのね、この子ももう人間じゃないんだよ?わかってる?」
「そんな……でもナホコはナホコで……」
俺はなんとか言葉を絞り出す。だが、彼女は無慈悲にも俺の言葉を否定する。
「いい加減現実見ようよ、ナホコちゃんはもうとっくに死んでるの。これは君の妄想なんだよ?」
「ぉふぉふぉふぉふ」突然ナホコが……ナホコだったものが両手でピースサインを作り笑い出した。それは俺がよく知っているはずのあの笑い声ではなく、まるで感情のないただ音を発するだけのスピーカーのようだ。
「エミ刑事の純情派な説得もなかなか効き目がないみたいね」
クロエと呼ばれている女がどこからともなく取り出した自身の太股ほどもあるククリ刀をくるりと回して構える。
「あんまりやりたくないけど仕方ないかぁ」
エミと呼ばれる俺の脳を破壊しに来た黒ウサギはそう言って長銃、いや手筒砲を構え直す。
「リョウスケ君だっけ?もし生きて帰れたらあの足の太いお姉さんが部屋で自分の趣味をたっぷり教えてくれるってさ!」
「勝手に決めるな!」いいざま、ライフル女が単射式のライフルをナホコに立て続けに撃ち放った。
(『魅せプ』とは『魅せるプレイ』の略で観衆に自分の腕前を披露しながら立ち回り礼儀作法や心身の鍛錬も追求する一集の作法である
〈T大出版部 発行『ペストハンター心得』より〉)
オクショウがそう大声で叫ぶと、クロエを飲み込んだ黒い塊が内側から
無理矢理押し広げられ、隙間から無数の触手が
沸き出してきた。
それを押し留めようと必死に抵抗する黒い塊、が、やがて抵抗むなしく黒い塊はバラバラに引き千切られ、中から現れたクロエはボロボロになっていた。
「あっちゃ~、派手にやったねぇ~。怒られるよ?」
「うるさい!それより、こっちは終わったぞ!」
ぜぇぜぇと肩で荒い息を吐きクロエがウサ耳女に向かって怒鳴る。
「じゃ~あっ、今度は私の見せ場♪クロエさんはそこで休んでて!」
そう言うと彼女は、おもむろに長銃を構え、ナホコに向かって2発、立て続けに発砲した。周囲に甲高い銃声が響き渡る。
そして、その音に合わせてナホコの体がびくん、と跳ね「Gyaaaaa!!」悲鳴と共に地面に倒れ伏す。
「えっ……?」
俺は一瞬の出来事に理解が追いつかず、ただ呆然と目の前で繰り広げられる光景を見つめることしかできなかった。
「あらら~、やっぱりダメかぁ~!ま、予想通りだけどね!」そう言いつつ彼女は俺の静止を無視して再び長銃を構える。
「おい、待て!やめろ!」
「オノナホコさん、17さい。K大付属高等学校2年生。奇病ワクチンの接種は済ませてあるけど、免疫力が低下してるのかな?それともそもそも受けてない……?どちらにしてもこのまま放置は危険だよね……」
「やめろって言ってんだろうが!」
俺はそう叫んで咄嗟に彼女の腕を掴む。すると、彼女が俺の方を向く。
「ごめん、君の彼女もうとっくの昔に異形になってる。」
「えっ?」
俺は彼女の言葉の意味を理解することができずにいた。
「どういう意味だよ?まさか、ナホコが感染してるのか?」
「違うよ。この子が発症したのは去年の夏。もうとっくに変異してたってこと。」
「そんなわけ……だって……」
俺は否定しようと言葉を紡ごうとするがうまく口が回らない。
「あんまし言いたくないけどさ、君、あの子とキスとかHしたことないでしょ?だから何ともないんだよ。」
「うっ……」
図星だった。確かに俺とナホコの間にはそういった行為は一度もなかった。もちろん、お互いそういうことをしたいと思ったことがないわけではない。だが、俺達はお互いにまだ高校生であり、親の庇護下にいる以上そのような行為をするのは早すぎると思っていたのだ。
「多分B君(仮)は君に内緒でその子と濃厚接触してたんだと思う。もしくは、あえて彼女が本当に好きだった君に何もしないように我慢、していたか……立派ね。いずれにせよ、君が彼女と触れ合わなかったことで助かって欲望に忠実だったB君(仮)が破滅した。単純なこと……そう、とっても簡単な話……なんだけどね」
」俺はあまりのショックに膝から崩れ落ちた。
「B君(仮)は一度に沢山のウイルスを体に取り込みすぎて急激に異形化したいね。それであんな風になっちゃったんだと思う。泣きっ面に蜂だけど養殖場から逃げた後もB君(仮)が積極的に誘ってたんだと思う、自業自得だよ。」
「なんで……どうしてそこまでわかるんだ?」
俺は恐るおそる訊ねる。
「そりゃあ、お姉さんも一応プロフェッショナルですから、それなりに経験はしてますし、それに……私も……ううん、何でもない」彼女は何かを言いかけて口をつぐんだ。
「とにかく彼女が感染源なのは間違いないし、このままだと馬鹿チンがどんどん異形化するだろうから早く駆除しないとね。さっきみたいにまた取り込まれちゃうと面倒だし。」「クロエー、どうするの?」
ウサ耳女がクロエに問いかける。
「おまえ急にキャラ変わって変だぞ、昨日何か変なもの口にしなかったか?」
クロエが不気味なものを見るような目で彼女を睨む。
「ちょっと、人聞き悪い事言わないでよ!私は至って正常、真面目なお仕事モードなんだから!」
クロエと呼ばれた足の太い美人が俺の方を見て「こいつはこういう奴だ、諦めろ」と首を横に振った。
「すいません、あなた達は
駆除課の方々で間違いありませんね?リョウスケと話をしたいので少しお時間を頂けませんか?」
聞き慣れた彼女の声、俺の彼女ナホコの声だ去年の夏から付き合っている……。しかし、その声にはいつものような明るさはなく、どこか無機質で冷たい印象を受けるものだった。
「悪いアンタの彼君少しお借りしてたわ。」クロエと呼ばれていた女性がそう答える。俺は彼女を無視してナホコの方に目をやった。
「大丈夫か?今助けてやるからな!」俺はそう言いながら彼女に駆け寄ろうとする。
「ダメ!」ウサ耳女が俺の首根っこを掴んで制止する。
「離せ!ナホコを助けないと……」
「ダメだってば!落ち着いて!まずしっかり今の彼女を見て!」
俺は言われるままに視線を向ける。そこには黒いザリガニとカマキリを擬人化したような異形が立っていた、だが体付きを見ればわかる。あれは間違いなくナホコだ。
「嘘だ……」俺は思わずそう呟いた。異形化なんて信じたくなかった、俺が彼女の異変に気付けなかったことは事実である。だからこそ余計に辛かった。
「あまり時間がないの。手短に話すわね。」
そう言うと彼女は淡々とした口調で話し始めた。
「私ね……あの夏ずっとB君にガボラッ!」彼女が話し終えないうちにウサ耳女が俺の背中越しにナホコの頭を長銃で吹き飛ばした。
銃は専門外なので理屈はよくわからないが、ウサ耳女の長銃は先ほどより銃身が三倍近く膨れ上がり鋼鉄の鮪か鮫の口から銃身が飛び出したような異形の銃に変異していた。
「あのね、この子ももう人間じゃないんだよ?わかってる?」
「そんな……でもナホコはナホコで……」
俺はなんとか言葉を絞り出す。だが、彼女は無慈悲にも俺の言葉を否定する。
「いい加減現実見ようよ、ナホコちゃんはもうとっくに死んでるの。これは君の妄想なんだよ?」
「ぉふぉふぉふぉふ」突然ナホコが……ナホコだったものが両手でピースサインを作り笑い出した。それは俺がよく知っているはずのあの笑い声ではなく、まるで感情のないただ音を発するだけのスピーカーのようだ。
「エミ刑事の純情派な説得もなかなか効き目がないみたいね」
クロエと呼ばれている女がどこからともなく取り出した自身の太股ほどもあるククリ刀をくるりと回して構える。
「あんまりやりたくないけど仕方ないかぁ」
エミと呼ばれる俺の脳を破壊しに来た黒ウサギはそう言って長銃、いや手筒砲を構え直す。
「リョウスケ君だっけ?もし生きて帰れたらあの足の太いお姉さんが部屋で自分の趣味をたっぷり教えてくれるってさ!」
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