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1廃墟
#1
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人影が、傾いて倒壊寸前の廃ビル屋上から廃墟と化した都市を見下ろしていた。
都市には白い墨のような濃い霧が立ち込め、ひと気はなく静寂に包まれている。空の上には黒い鳥が舞っていた。
ジリリン!ジリリリリン!
人影が身につけている腕輪から不意にけたたましいアラート音と共に合成音声が流れ淡く点滅発光する。
【ースイグル型の発生を確認しましたー】
(……かなりの大物だな)
その変調を察した人影が独りごち、しなやかな動きで階下へ続く階段へ駆け込む。
人影の外見から性別はおろか表情も伺えない。
全身に細身の防護服のようなスーツを纏い顔のシールドを下げているからだ。に防護服のようなスーツを纏い顔のシールドを下げているからだ。その異様な姿が、更に不気味さを際立たせる。
この界隈では見慣れた格好ではあるが、やはり少し違和感を覚えてしまう。……だがそんなことを気にするものは人影の周りにいない。今やこの廃都市もネノカタスクニみたいなものだ。
廃ビルの中、各フロアもとうの昔に荒れ放題になっていた。
人影が駆け込んだその8階の大通りに面した見晴らしのいいフロアも大窓のガラスがすでに割れたか盗難にあったらしく
無くなって外の風が吹きさらしになっていた。
その大窓に近づいた人影は肩にかけていた銃を構え真下の大通りを覗き込んだ。
その時、眼下の霧が立ち込める大通りを巨大なクオーツとみまごうに輝く結晶を背中に生やした、獅子のような異形の影が散歩するように悠然と進んで行った。全身を蠢かせて。
体積はゆうに10tトラックの倍はある。
(やれるか?アタシ一人で)
異形に狙いを付けている人影の小銃型のガジェットにはスピア発射機能が内臓されており今その銃口はスビアが装填され異形にぴたりと狙いを定めていた。
この小銃型のガジェットは旧来の軍用ライフル程のサイズでスビア発射機能とウインチ機能を内臓した装備で、異形に致命傷は与えられないものの炸裂弾などの発射も可能とし、この最新型はソードオフされ従来型よりも更に取り回しがよくなっていた。
サイトで狙いをつける。
異形の駆除作業は最低二人以上で行うのが原則だ。
人影が一人で来たのには理由があった。今朝方、廃ビルに設置してあったセンサーが故障の信号を寄越してきた。その修理のためにやってて来たのだ。道中、比較的小型で仕留めやすい犬のような異形「アヌジン型」を何体か駆除した。
ガギイイン!!腹の底が痺れそうな音を立て異形の背に大型スピアが突き立つ。瞬間、特殊合金の帯鉄をより合わせたメタルワイヤーが人影と異形の間に一本の線を結んだ。
異形は立ち止まり頭をもたげビルの谷間の空をを伺うが人影はあらかじめ廃ビル外壁に敷設してあったロープを伝ってストン!と危なげなく下にいる異形の背に着地、そのま一気呵成の体勢に入る。あとは結晶の奥にあるカタバミの葉によく似た器官「核」をヤ狩猟用ジャベリンで刺し貫くだけだ。急所である「核」を破壊された異形は活動を停止、短時間で消滅する。
ふと、異形の背に飛び乗った人影はその視界前方に意外なものを見つけた。子供だ。霧が立ち込めた大通りに点在する瓦礫の影を小さな人影がヒョイヒョイと駆けていく。
(え?子供?なんで!?)
人影は不足の事態に一瞬頭の中が真っ白になった。
都市には白い墨のような濃い霧が立ち込め、ひと気はなく静寂に包まれている。空の上には黒い鳥が舞っていた。
ジリリン!ジリリリリン!
人影が身につけている腕輪から不意にけたたましいアラート音と共に合成音声が流れ淡く点滅発光する。
【ースイグル型の発生を確認しましたー】
(……かなりの大物だな)
その変調を察した人影が独りごち、しなやかな動きで階下へ続く階段へ駆け込む。
人影の外見から性別はおろか表情も伺えない。
全身に細身の防護服のようなスーツを纏い顔のシールドを下げているからだ。に防護服のようなスーツを纏い顔のシールドを下げているからだ。その異様な姿が、更に不気味さを際立たせる。
この界隈では見慣れた格好ではあるが、やはり少し違和感を覚えてしまう。……だがそんなことを気にするものは人影の周りにいない。今やこの廃都市もネノカタスクニみたいなものだ。
廃ビルの中、各フロアもとうの昔に荒れ放題になっていた。
人影が駆け込んだその8階の大通りに面した見晴らしのいいフロアも大窓のガラスがすでに割れたか盗難にあったらしく
無くなって外の風が吹きさらしになっていた。
その大窓に近づいた人影は肩にかけていた銃を構え真下の大通りを覗き込んだ。
その時、眼下の霧が立ち込める大通りを巨大なクオーツとみまごうに輝く結晶を背中に生やした、獅子のような異形の影が散歩するように悠然と進んで行った。全身を蠢かせて。
体積はゆうに10tトラックの倍はある。
(やれるか?アタシ一人で)
異形に狙いを付けている人影の小銃型のガジェットにはスピア発射機能が内臓されており今その銃口はスビアが装填され異形にぴたりと狙いを定めていた。
この小銃型のガジェットは旧来の軍用ライフル程のサイズでスビア発射機能とウインチ機能を内臓した装備で、異形に致命傷は与えられないものの炸裂弾などの発射も可能とし、この最新型はソードオフされ従来型よりも更に取り回しがよくなっていた。
サイトで狙いをつける。
異形の駆除作業は最低二人以上で行うのが原則だ。
人影が一人で来たのには理由があった。今朝方、廃ビルに設置してあったセンサーが故障の信号を寄越してきた。その修理のためにやってて来たのだ。道中、比較的小型で仕留めやすい犬のような異形「アヌジン型」を何体か駆除した。
ガギイイン!!腹の底が痺れそうな音を立て異形の背に大型スピアが突き立つ。瞬間、特殊合金の帯鉄をより合わせたメタルワイヤーが人影と異形の間に一本の線を結んだ。
異形は立ち止まり頭をもたげビルの谷間の空をを伺うが人影はあらかじめ廃ビル外壁に敷設してあったロープを伝ってストン!と危なげなく下にいる異形の背に着地、そのま一気呵成の体勢に入る。あとは結晶の奥にあるカタバミの葉によく似た器官「核」をヤ狩猟用ジャベリンで刺し貫くだけだ。急所である「核」を破壊された異形は活動を停止、短時間で消滅する。
ふと、異形の背に飛び乗った人影はその視界前方に意外なものを見つけた。子供だ。霧が立ち込めた大通りに点在する瓦礫の影を小さな人影がヒョイヒョイと駆けていく。
(え?子供?なんで!?)
人影は不足の事態に一瞬頭の中が真っ白になった。
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