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ポチッとな!!
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美亜に指示されツカサの運転でぐるりと方向転換し、ドラゴンに向かって停止した軍用車両。前方には怒号をあげながら、ドシドシと地面を踏みしめて迫りくるドラゴンの姿が見える。
「弓矢がもうない!」
ナターシャが美亜に向かって叫ぶ。
「だ、大丈夫です! これから一発大逆転の……あれ? あれれ??」
自信がありそうで、無さそうな美亜の声。迫り来るドラゴンの気配を感じながら、慌てて手元のパネルを操作する。
「ああ、これだ。よし!! 行くぞぉ……」
何やらもそもそと、独り言を言う美亜。その後ろでガストールは、ドラゴンを見据えながら斧を握り締めている。
「ポチッとな!!」
美亜は、勢いよく人差し指をパネルに押し当てる。
言ってみたかった!
…‥でも、言ってすぐさま不吉な何かを感じた。……地平線に立ち昇るドクロマークの煙。そんなイメージが脳裏に浮かんでいく……。
沈黙とともに、砲台の先端をじっと見つめる。
でも、大丈夫だった。
ドン!! ドン!! ドン!! ドン!! ドン!! ドン!!
数秒間隔で規則的に打ち出された6発のロケット弾。ドラゴン目掛けて弧を描いて飛んでいく。
だけど……。ドラゴンに当たるには、少し軌道が上向き過ぎるような気がする……。
ちょっと焦る美亜。発射管は6発分。今6発飛んでった。つまり全弾撃ち尽くした。外したら、次がない……。
……。
いや、魔法でもう一台軍用車両を出せばいいか……。でも、それで間に合うのか……。
そんなことを考えているうちに、ドラゴンの頭上に一発目のロケット弾が到達する。しかし随分と高さがある。ドラゴンを飛び越してしまう……。
ドパン!
ロケット弾は、丁度ドラゴンの上空で小爆発した。
ドン ドン ドン……
中から飛び散った多数の子爆弾が、ドラゴンに降り注ぐ。
ド ド ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド……
そして爆発の連鎖を引き起こす。
ドッカン! ドッカン!!
更に二発目、三発目が到達。
ドッカン! ドッカン! ズッカン!! バッカン!!!! ドバゴン!! ズバゴン!! バババババババババババババババババババ……
四発目、五発目……。次々と到達するロケット弾が炸裂。輪をかけて激しく連鎖していく。
「うわあああああ……」
美亜たちの目の前で咲き乱れた大輪の地獄花火……。
ドラゴンが吐く炎のブレスどころの騒ぎではない。燃え広がる爆発は巨大なドラゴンを飲み込んで、なおも広がっていく。もはやドラゴンの姿などまるで見えない。
「何これ、凄い……」
「……炎獄魔法……いや、それ以上の威力なんじゃないか……」
ナターシャとガストールが口々につぶやく。
あまりの凄さに美亜も青ざめていた。
「弓矢がもうない!」
ナターシャが美亜に向かって叫ぶ。
「だ、大丈夫です! これから一発大逆転の……あれ? あれれ??」
自信がありそうで、無さそうな美亜の声。迫り来るドラゴンの気配を感じながら、慌てて手元のパネルを操作する。
「ああ、これだ。よし!! 行くぞぉ……」
何やらもそもそと、独り言を言う美亜。その後ろでガストールは、ドラゴンを見据えながら斧を握り締めている。
「ポチッとな!!」
美亜は、勢いよく人差し指をパネルに押し当てる。
言ってみたかった!
…‥でも、言ってすぐさま不吉な何かを感じた。……地平線に立ち昇るドクロマークの煙。そんなイメージが脳裏に浮かんでいく……。
沈黙とともに、砲台の先端をじっと見つめる。
でも、大丈夫だった。
ドン!! ドン!! ドン!! ドン!! ドン!! ドン!!
数秒間隔で規則的に打ち出された6発のロケット弾。ドラゴン目掛けて弧を描いて飛んでいく。
だけど……。ドラゴンに当たるには、少し軌道が上向き過ぎるような気がする……。
ちょっと焦る美亜。発射管は6発分。今6発飛んでった。つまり全弾撃ち尽くした。外したら、次がない……。
……。
いや、魔法でもう一台軍用車両を出せばいいか……。でも、それで間に合うのか……。
そんなことを考えているうちに、ドラゴンの頭上に一発目のロケット弾が到達する。しかし随分と高さがある。ドラゴンを飛び越してしまう……。
ドパン!
ロケット弾は、丁度ドラゴンの上空で小爆発した。
ドン ドン ドン……
中から飛び散った多数の子爆弾が、ドラゴンに降り注ぐ。
ド ド ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド……
そして爆発の連鎖を引き起こす。
ドッカン! ドッカン!!
更に二発目、三発目が到達。
ドッカン! ドッカン! ズッカン!! バッカン!!!! ドバゴン!! ズバゴン!! バババババババババババババババババババ……
四発目、五発目……。次々と到達するロケット弾が炸裂。輪をかけて激しく連鎖していく。
「うわあああああ……」
美亜たちの目の前で咲き乱れた大輪の地獄花火……。
ドラゴンが吐く炎のブレスどころの騒ぎではない。燃え広がる爆発は巨大なドラゴンを飲み込んで、なおも広がっていく。もはやドラゴンの姿などまるで見えない。
「何これ、凄い……」
「……炎獄魔法……いや、それ以上の威力なんじゃないか……」
ナターシャとガストールが口々につぶやく。
あまりの凄さに美亜も青ざめていた。
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