地獄ロワイヤルスクワッド-生きるために命を食らう-

-零章-死後、世界

エピソード1「堕ちた先は」

｢俺は堕ちた｣

｢地獄に堕ちた｣

目の前の光景を見て真っ先に思ったことがこの二言だ。周りは灼熱の炎化メラメラと燃え上がっている。空は赤暗く、木は枯れ、子供の時から想像していた地獄と何ら変わりはなかった...

とある日のこと

「こらっ！待てえっ！」と警察官が叫びながらこちらを追ってくる。
俺は「石渕 鳴人（イシフチ ナヒト）｣今年で19になる犯罪者だ。今は万引きを偶然サツに見られて追われている。元々家が貧乏で高校にすら行けなかったため、荒野って盗んで生きていくしか道はなかった。そしてついに現場を見つかっちまったわけだ。

とりあえず今はこの先のルートを考えることにしよう。いくら走ってもいつか追いつかれる。この先の交差点を突っ切って少し奥にある山道に逃げ込むことにしよう。この先の交差点は車通りが少ないから恐らく突っ切っても大丈夫だろう。

そんなふうにかんがえて交差点に出た時だった。

俺の視界の右側に微かにだが何かが近づい来るのを捉えた。振り向いた時には既に鼻の先が硬い何かに触れていた。数秒後、激痛と共に意識が遠のいていく。俺は「俺」が終わるのを悟った。

しばらくすると意識が戻った。死に損なってベッドにでも横たわっているのだろうと重い目を開けると...目の前には赤暗い空が写った。

｢俺は堕ちた｣

｢地獄に堕ちた｣

目の前の光景を見て真っ先に思ったことがこの二言だった。

回りを見渡すと俺以外にも結構な数の人がいた。この場を離れようと思っても高さ30mはありそうな黒い壁がここにいる全員の周りを囲んでいた。

周りの人に状況を聞こうとも思ったが、その考えはすぐに消えた。顔を見ればわかる事だった。周りの人たちも状況が掴めていないのが目に見えてわかる。この壁の中もそこまで広くはないから探索は容易だが、する程のものでもない。壁以外に何も無いからだ。

しかし、周りではなく自分自身の体に1つ気になるものがあった。全身が自由に動くのもそうだが、左腕に妙な腕時計のようなものが付けられていた。時間を確認できる訳でもなくて、これといって特に機能は「まだ」無さそうだ。

そんなことを考えていると壁の上に人ならざる何かが立っていた。先程までは何もいなかったのを覚えている。

そして...

これが「地獄のゲーム」...

「地獄ロワイヤル」の始まりだった...