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第1章 紫月reaper
chapter1 とある部室 introduction
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「君はサンタクロースをいつまで信じてたの?」
と、なんの突拍子もなく聞かれ僕は言葉に詰まってしまった。
暦の上ではもうとっくに梅雨入りした事を朝スタのナイスバディなお天気お姉さんが宣告し、全国の蛙共が喜びの讃歌を大合唱しているような6月の中頃、体育祭も一段落した今日、文芸部室で紅茶を飲みながら部長が僕に聞いてきた。
だから、つい、「は?」と僕はどうしてそんなことを?といったニュアンスで部長に答えてしまった。別に反抗期とかそういう時期はとっくに過ぎ去ったというのに少し強めの言い方で。すると、
「ごめんごめん、今のは分かりにくかったよね正しくなかったよね。正確にはいつから信じなくなったの?だね。」
とテヘペロといった感じのジェスチャーまで入れて言い直してきた。別にそんな所を疑問に思った訳では無いのに...。
「今まで考えたこと無かったけど多分小学校2年生ぐらいなんじゃないかな。」
「ふーん、なんか普通だね。君のことだもっと面白い返事を期待していたんだけどね。」
「悪かったな普通で。」
「別に悪いことはないよ。普通でいることを悪だなんて言い出したらこの世は変人だらけになってしまうよ?」
そんなのは私も嫌だよ。と言って紅茶を啜る。
ここは、私立玉國高校の文芸部室。現在部員は僕ことこの物語の語部である、宇田川 宙とこの部屋の主である猫屋敷 弥尾のたった2人きりである。
別に密室で男女が二人っきりでドキドキとかそんな展開は残念ながら望めそうにないので「なーんだ残念」と思った方々はここで御退室頂いて結構だ。
正直僕もできれば退室したいのだが。
「残念ながらそれはできません。それに君が言って来たんでしょ、この先一生私に忠誠を誓うって。」
「そんな堂々と嘘をつくな!僕はそんな大層なこと言ってないぞ。なんでもひとつ言うことを聞くって言っただけだ。」
「そうだったかしら?」
「そうだった。それ以外は無い。」
チッ覚えてやがった、みたいなことを言いたげな顔で頬を膨らませながら僕を見つめてくる。しかし、実は...いやまた今度にしよう。この話をするにしては現時点ではまだ早すぎるからな。
「さてと、」と部長がティーカップを机に置いた時にはもう時計の短針と長針が協力して曲がりの無い一直線を示し、空は雨雲が太陽を厚く覆い隠しているせいでよく分からないがさっきよりは暗くなっているのがわかるぐらいの時刻になってきたので、僕も慌てて湯のみに入れられ、もうとっくに冷めきっていた紅茶を一気に飲み干した。
「それじゃ、ジャンケンでいい?」
といつもの様に聞かれたので僕は頷く。そして負ける。いつもの事だ。僕は彼女になんにも勝てない。何でも勝てない。けど別にいい。そんなことで腹は立たない。でも、
「やーい、また負けてやんのぷぷぷ!」
とこう煽られると青筋は立つ。平常心平常心と心の中で暴れだしそうな己を「ドードー」と落ち着かせる。
「いいんだよ別に、悔しくなんてない。」
そう、それに勝てないからといってほかの勝負をしようとは思はない。(ほかの勝負はもう試したがジャンケンよりもいたたまれない結果となったためもうしないと誓った。)
そして、僕だけよっこらせと立ち上がり僕の湯のみと彼女のティーカップ、そして今日のおやつとして出したクッキーを入れた皿をお盆に乗せて片手で持ち、もう片方の手で部室の扉を開けると目の前にある水道でお皿やカップを洗う。
この部室は実は、校舎の中ではなく体育館のほぼ隣にあるプレハブ小屋のため、部室の扉を開けるとすぐ目の前に運動部御用達の水道がある。だからと言っては何だが、顧問である先生が全然部室に足を運ばないため僕達文芸部員は結構やりたい放題しているわけだ。
雨が降っているので制服が濡れないうちにぱぱっと洗ってしまい部室に戻って部屋にある布巾でササッと拭きお盆に伏せておく。これで終わりっと。
「お疲れ様~」とソファーの上で猫のように丸くなった猫屋敷は帰る用意もせずにグダグダとしていた。
「今、雨が収まってきているからさっさと帰ろうぜ。」と言い自分のリュックを背負い上げて急かすように言った。
「えー、めんどくさいなー。」と猫屋敷は言って顔を僕から逸らす。そして、何かを思いついたかのような顔を僕に向け、
「ねぇ!今日学校に泊まろうよ!」
とキラキラした顔で言ってきた。
「却下」
と、僕は一刀両断する。
「ええ~、いいでしょしょうよ~ねぇねぇ~」と駄々をこね始めた。
「しつこい!」
「このいけずー」とブーブーとブーイングマークを向けてきやがる。
「大体、今日はなんの用意もしてないだろ。それ夕飯はどうするんだ?風呂は?朝食は?ベッドは?」
「それは君が考えて!」
「嫌だ」はいこの話終わり。と言って猫屋敷のカバン左手に、猫屋敷の制服の襟を右手に持って部室を出た。
と、なんの突拍子もなく聞かれ僕は言葉に詰まってしまった。
暦の上ではもうとっくに梅雨入りした事を朝スタのナイスバディなお天気お姉さんが宣告し、全国の蛙共が喜びの讃歌を大合唱しているような6月の中頃、体育祭も一段落した今日、文芸部室で紅茶を飲みながら部長が僕に聞いてきた。
だから、つい、「は?」と僕はどうしてそんなことを?といったニュアンスで部長に答えてしまった。別に反抗期とかそういう時期はとっくに過ぎ去ったというのに少し強めの言い方で。すると、
「ごめんごめん、今のは分かりにくかったよね正しくなかったよね。正確にはいつから信じなくなったの?だね。」
とテヘペロといった感じのジェスチャーまで入れて言い直してきた。別にそんな所を疑問に思った訳では無いのに...。
「今まで考えたこと無かったけど多分小学校2年生ぐらいなんじゃないかな。」
「ふーん、なんか普通だね。君のことだもっと面白い返事を期待していたんだけどね。」
「悪かったな普通で。」
「別に悪いことはないよ。普通でいることを悪だなんて言い出したらこの世は変人だらけになってしまうよ?」
そんなのは私も嫌だよ。と言って紅茶を啜る。
ここは、私立玉國高校の文芸部室。現在部員は僕ことこの物語の語部である、宇田川 宙とこの部屋の主である猫屋敷 弥尾のたった2人きりである。
別に密室で男女が二人っきりでドキドキとかそんな展開は残念ながら望めそうにないので「なーんだ残念」と思った方々はここで御退室頂いて結構だ。
正直僕もできれば退室したいのだが。
「残念ながらそれはできません。それに君が言って来たんでしょ、この先一生私に忠誠を誓うって。」
「そんな堂々と嘘をつくな!僕はそんな大層なこと言ってないぞ。なんでもひとつ言うことを聞くって言っただけだ。」
「そうだったかしら?」
「そうだった。それ以外は無い。」
チッ覚えてやがった、みたいなことを言いたげな顔で頬を膨らませながら僕を見つめてくる。しかし、実は...いやまた今度にしよう。この話をするにしては現時点ではまだ早すぎるからな。
「さてと、」と部長がティーカップを机に置いた時にはもう時計の短針と長針が協力して曲がりの無い一直線を示し、空は雨雲が太陽を厚く覆い隠しているせいでよく分からないがさっきよりは暗くなっているのがわかるぐらいの時刻になってきたので、僕も慌てて湯のみに入れられ、もうとっくに冷めきっていた紅茶を一気に飲み干した。
「それじゃ、ジャンケンでいい?」
といつもの様に聞かれたので僕は頷く。そして負ける。いつもの事だ。僕は彼女になんにも勝てない。何でも勝てない。けど別にいい。そんなことで腹は立たない。でも、
「やーい、また負けてやんのぷぷぷ!」
とこう煽られると青筋は立つ。平常心平常心と心の中で暴れだしそうな己を「ドードー」と落ち着かせる。
「いいんだよ別に、悔しくなんてない。」
そう、それに勝てないからといってほかの勝負をしようとは思はない。(ほかの勝負はもう試したがジャンケンよりもいたたまれない結果となったためもうしないと誓った。)
そして、僕だけよっこらせと立ち上がり僕の湯のみと彼女のティーカップ、そして今日のおやつとして出したクッキーを入れた皿をお盆に乗せて片手で持ち、もう片方の手で部室の扉を開けると目の前にある水道でお皿やカップを洗う。
この部室は実は、校舎の中ではなく体育館のほぼ隣にあるプレハブ小屋のため、部室の扉を開けるとすぐ目の前に運動部御用達の水道がある。だからと言っては何だが、顧問である先生が全然部室に足を運ばないため僕達文芸部員は結構やりたい放題しているわけだ。
雨が降っているので制服が濡れないうちにぱぱっと洗ってしまい部室に戻って部屋にある布巾でササッと拭きお盆に伏せておく。これで終わりっと。
「お疲れ様~」とソファーの上で猫のように丸くなった猫屋敷は帰る用意もせずにグダグダとしていた。
「今、雨が収まってきているからさっさと帰ろうぜ。」と言い自分のリュックを背負い上げて急かすように言った。
「えー、めんどくさいなー。」と猫屋敷は言って顔を僕から逸らす。そして、何かを思いついたかのような顔を僕に向け、
「ねぇ!今日学校に泊まろうよ!」
とキラキラした顔で言ってきた。
「却下」
と、僕は一刀両断する。
「ええ~、いいでしょしょうよ~ねぇねぇ~」と駄々をこね始めた。
「しつこい!」
「このいけずー」とブーブーとブーイングマークを向けてきやがる。
「大体、今日はなんの用意もしてないだろ。それ夕飯はどうするんだ?風呂は?朝食は?ベッドは?」
「それは君が考えて!」
「嫌だ」はいこの話終わり。と言って猫屋敷のカバン左手に、猫屋敷の制服の襟を右手に持って部室を出た。
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