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第355話 二学期・期末テスト(4) at 1995/11/28
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(うーん……一体、なぜあんな写真が女子たちの間でやりとりされてるんだ? なんのため?)
僕は視線の先の、黒板に書かれた文字を睨みつけ、頭のうしろで手を組んで考えを巡らせた。
一、社会 九:〇〇~九:五○
二、美術 十:○〇~十:五〇
三、数学 十一:○〇~十一:五〇
あとは最後の一時間、数学さえ終われば、ようやく二学期の期末テストも終了となる。にしても、ラスボスにふさわしい教科が待ち構えていたものだ。みんなの顔はげんなりしていた。
その中において、僕だけが別のことに頭をフル回転させている。
(まるであれじゃあ、いじめに遭ってるのはロコじゃなくって桃月みたいに思えるんだけど……。やっぱりウワサの方が真実だとでも言うんだろうか? うーん……よくわからないなぁ)
後方の二本脚だけでバランスをとるように前後に揺れながら、ぎい、ぎい、と椅子を軋ませてあらゆる可能性を考えてみる。前の席に座る工藤くんが聞こえよがしに溜息をついた。
(アレを校内にばらまかれたくなければ、ってことなんだろうか? 確かに僕が被写体の女の子だったら嫌かもしれない。……ん? そういえば、ロコは写っていなかった気がするぞ?)
さっそく手元で確かめたいところだったけれど、さすがに教室の中ではマズい。ウワサの輪から排除されている僕らがアレを手に入れたことに気づかれでもしたら最悪なことになる。
と。
(ち――ちょっと待て、古ノ森健太ぁあああああ!!)
そこで急に頬が熱くなり、どぎまぎと視線は筆記用具だけが並んだ机の上をさまよった。
(し、下着と肌だけしか写ってない写真で、ど、どうしてロコかそうじゃないかわかる!?)
どどどどうしてだ!?
なんとなくの勘でしかないのだけれど、あの中にロコはいなかったと僕は確信していた。だが、その僕が『確信できた』ことにかなりの問題点が含まれているように感じてならなくって――。
ちらっ? ――じーっ。
(ひ――ひぃいいいい!!)
妙にうしろめたくなってきた僕がふと右側に視線を向けると、そこにはぽっかりと空いた木の洞のような光を失い切った真っ黒くろの瞳をした純美子の視線があり、急いで目をそらす。
「ね……え……? ケンタ……君……?」
「えっ!? な、なに、スミちゃん……?」
「今……他の女の子のハダカ……想像してなかった……カナ……?」
隣から、がしり、と腕を掴まれる。
氷のように冷たく、掴まれただけで痺れが走る手だ。
「そっ! そんなわけないでしょ……? や、やだなぁ、もう、スミちゃんは……あはは……」
(ひ――ひぃいいいい! ひぃいいいい!! こっ、こえぇえええええ!!)
ひきつり気味の笑顔を浮かべつつ、僕は内なる声をおくびにも出さずに純美子を刺激しないようやんわりと諭した。
というか、ヤンデレメンヘラ気質の上に、霊感までも持ってるの!?
ついでに、ただいま絶賛エナジードレイン攻撃されてるんだけど!?
「……なーんてね♪ 冗談だってば。やだなぁ、ケンタ君、恐がりすぎだってば♡」
そこで純美子は僕にカラダを寄せ、そっと囁いた。
(ねえねえ、ケンタ君? 昨日のあの写真の中に、ロコちゃんだけがいなかったよね?)
(……やっぱりスミちゃんもそう思った? そうなんだよ、ロコのハダカだけなくってさー)
――じーっ。
違う違――うっ!――見たいとかじゃなくっ――てっ!――このままだ――とっ!――継続ダメージ――でっ! し、死ぬぅううう!
僕は視線の先の、黒板に書かれた文字を睨みつけ、頭のうしろで手を組んで考えを巡らせた。
一、社会 九:〇〇~九:五○
二、美術 十:○〇~十:五〇
三、数学 十一:○〇~十一:五〇
あとは最後の一時間、数学さえ終われば、ようやく二学期の期末テストも終了となる。にしても、ラスボスにふさわしい教科が待ち構えていたものだ。みんなの顔はげんなりしていた。
その中において、僕だけが別のことに頭をフル回転させている。
(まるであれじゃあ、いじめに遭ってるのはロコじゃなくって桃月みたいに思えるんだけど……。やっぱりウワサの方が真実だとでも言うんだろうか? うーん……よくわからないなぁ)
後方の二本脚だけでバランスをとるように前後に揺れながら、ぎい、ぎい、と椅子を軋ませてあらゆる可能性を考えてみる。前の席に座る工藤くんが聞こえよがしに溜息をついた。
(アレを校内にばらまかれたくなければ、ってことなんだろうか? 確かに僕が被写体の女の子だったら嫌かもしれない。……ん? そういえば、ロコは写っていなかった気がするぞ?)
さっそく手元で確かめたいところだったけれど、さすがに教室の中ではマズい。ウワサの輪から排除されている僕らがアレを手に入れたことに気づかれでもしたら最悪なことになる。
と。
(ち――ちょっと待て、古ノ森健太ぁあああああ!!)
そこで急に頬が熱くなり、どぎまぎと視線は筆記用具だけが並んだ机の上をさまよった。
(し、下着と肌だけしか写ってない写真で、ど、どうしてロコかそうじゃないかわかる!?)
どどどどうしてだ!?
なんとなくの勘でしかないのだけれど、あの中にロコはいなかったと僕は確信していた。だが、その僕が『確信できた』ことにかなりの問題点が含まれているように感じてならなくって――。
ちらっ? ――じーっ。
(ひ――ひぃいいいい!!)
妙にうしろめたくなってきた僕がふと右側に視線を向けると、そこにはぽっかりと空いた木の洞のような光を失い切った真っ黒くろの瞳をした純美子の視線があり、急いで目をそらす。
「ね……え……? ケンタ……君……?」
「えっ!? な、なに、スミちゃん……?」
「今……他の女の子のハダカ……想像してなかった……カナ……?」
隣から、がしり、と腕を掴まれる。
氷のように冷たく、掴まれただけで痺れが走る手だ。
「そっ! そんなわけないでしょ……? や、やだなぁ、もう、スミちゃんは……あはは……」
(ひ――ひぃいいいい! ひぃいいいい!! こっ、こえぇえええええ!!)
ひきつり気味の笑顔を浮かべつつ、僕は内なる声をおくびにも出さずに純美子を刺激しないようやんわりと諭した。
というか、ヤンデレメンヘラ気質の上に、霊感までも持ってるの!?
ついでに、ただいま絶賛エナジードレイン攻撃されてるんだけど!?
「……なーんてね♪ 冗談だってば。やだなぁ、ケンタ君、恐がりすぎだってば♡」
そこで純美子は僕にカラダを寄せ、そっと囁いた。
(ねえねえ、ケンタ君? 昨日のあの写真の中に、ロコちゃんだけがいなかったよね?)
(……やっぱりスミちゃんもそう思った? そうなんだよ、ロコのハダカだけなくってさー)
――じーっ。
違う違――うっ!――見たいとかじゃなくっ――てっ!――このままだ――とっ!――継続ダメージ――でっ! し、死ぬぅううう!
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