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第261話 波乱ぶくみの運動会(7) at 1995/10/10
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きーんこーんかーんこーん――。
「わーい! やったぁー! お昼だ、お昼だー!」
お前は小学生か、シブチン。
つーか……。
「……よくあんな殺伐としたグロ光景見たあとに食欲湧くよな。キャラブレしてないっつーか」
「今日のお弁当は、煮込みハンバーグですがなにか?」
マジかよ。
西町田中学校運動会、午前の部のトリを飾る競技、二年生による「棒倒し」では、予想をはるかに上回るエキサイティングかつスプラッターな阿鼻叫喚の惨劇が繰り広げられたのであった。
『いくぞぉー!』『うぉおおおおお!』
という怒号が六色の陣営から響き渡ったかと思うと、それに続くように、やれ『殺せぇえええ!』だの『死ねぇえええ!』だのと狂気に満ちた叫びが続き、棒を支える生徒たち目がけて一斉にタックルや飛び蹴りが降り注いだのだ。
それだけでも十分常軌を逸しているというのに、あちこちで取っ組み合いや殴り合いがはじまってしまい、もう最初から競技と呼べるものではなかったと思う。これにはさすがに観覧に来ている父母たちもドン引きかと思いきや、意外にも、俺にもあたしにもやらせろ的なノリで激励の声をあげている光景には、さすがに地域の防犯レベルを疑うほどだ。
最後には、というか、途中から体育教師たちが割って入り――さすがにフツーの教師は尻込みしてた――いくつかの紛争を収めていたが、そんなもので沈められるわけもなく、競技が終わった今、お昼の時間になってもあちこちで女子生徒たちによる献身的な治療が行われているのであった。
「どんだけ血に飢えてんだよ、ウチの中学は……」
「み、みんな怖かったですよぅ……騎馬戦も、あんなカンジなんですかね……やだなぁ……」
「大丈夫だよ! かえでちゃんは僕が守るから!」
「同じ騎馬なのですから、守ることは不可能だと思うのですが、渋田サブリーダー……」
「はいはい! ちょっといいかしらー、陰キャの男子諸君?」
「な、なんだよ、ロコ……?」
僕ら『電算論理研究部』の男子部員たちが陰々鬱々とハムスターのように身を寄せ合ってぷるぷる震えているところに、突然ロコが声を掛けてきた。見ると、他の三人の姿もある。
「なんだよ、じゃないでしょ? お昼の時間じゃんか。ほら、こっち来る!」
「……はい?」
仕方なくロコたちに呼ばれるがままにのこのこついていく僕ら。
すると――。
「うわー! ごちそうだー! え? え? これ。どうしたの?」
生徒席の後ろにはすでにレジャーシートが四枚ほど敷かれていて、その中心にいろとりどりの豪華な料理がいくつもタッパーに詰められて並べられていたのだ。指さしながら尋ねる僕。
「ま……まさか、これ……みんなで作ってきてくれたの!?」
「じゃーん! そーだよ、ケンタ君! さーさー! みんな、座って座ってー!」
「座ってって……ス、スミちゃんの、と、隣に!?」
「そ、そこまでは言ってません! 馬鹿っ!」
ハンバーグに唐揚げ、玉子焼きにタコさんウインナー、おにぎりもカラフルで種類豊富でどれも美味しそうだ。いやいや、女子が一生懸命作ってきてくれたお弁当がマズいわけがない。
「麦茶いる人ー!」
「はーい!」
「ほ、ほら! こっちの奴も食べなさいよっ!」
「……あ、この不格好なの、絶対サトチンが作っごがげぶっ!」
「お、おいしい、かな?」
「もちろん、とても美味しいですよ、ツッキー」
「あ、ありがとう、スミちゃん! 練習しなきゃ、って言ってたもんね」
「えっ……ああ、うん! そうだよー、ケンタ君!」
これで僕らは、あと五年は戦える!(気持ちの上では)
「わーい! やったぁー! お昼だ、お昼だー!」
お前は小学生か、シブチン。
つーか……。
「……よくあんな殺伐としたグロ光景見たあとに食欲湧くよな。キャラブレしてないっつーか」
「今日のお弁当は、煮込みハンバーグですがなにか?」
マジかよ。
西町田中学校運動会、午前の部のトリを飾る競技、二年生による「棒倒し」では、予想をはるかに上回るエキサイティングかつスプラッターな阿鼻叫喚の惨劇が繰り広げられたのであった。
『いくぞぉー!』『うぉおおおおお!』
という怒号が六色の陣営から響き渡ったかと思うと、それに続くように、やれ『殺せぇえええ!』だの『死ねぇえええ!』だのと狂気に満ちた叫びが続き、棒を支える生徒たち目がけて一斉にタックルや飛び蹴りが降り注いだのだ。
それだけでも十分常軌を逸しているというのに、あちこちで取っ組み合いや殴り合いがはじまってしまい、もう最初から競技と呼べるものではなかったと思う。これにはさすがに観覧に来ている父母たちもドン引きかと思いきや、意外にも、俺にもあたしにもやらせろ的なノリで激励の声をあげている光景には、さすがに地域の防犯レベルを疑うほどだ。
最後には、というか、途中から体育教師たちが割って入り――さすがにフツーの教師は尻込みしてた――いくつかの紛争を収めていたが、そんなもので沈められるわけもなく、競技が終わった今、お昼の時間になってもあちこちで女子生徒たちによる献身的な治療が行われているのであった。
「どんだけ血に飢えてんだよ、ウチの中学は……」
「み、みんな怖かったですよぅ……騎馬戦も、あんなカンジなんですかね……やだなぁ……」
「大丈夫だよ! かえでちゃんは僕が守るから!」
「同じ騎馬なのですから、守ることは不可能だと思うのですが、渋田サブリーダー……」
「はいはい! ちょっといいかしらー、陰キャの男子諸君?」
「な、なんだよ、ロコ……?」
僕ら『電算論理研究部』の男子部員たちが陰々鬱々とハムスターのように身を寄せ合ってぷるぷる震えているところに、突然ロコが声を掛けてきた。見ると、他の三人の姿もある。
「なんだよ、じゃないでしょ? お昼の時間じゃんか。ほら、こっち来る!」
「……はい?」
仕方なくロコたちに呼ばれるがままにのこのこついていく僕ら。
すると――。
「うわー! ごちそうだー! え? え? これ。どうしたの?」
生徒席の後ろにはすでにレジャーシートが四枚ほど敷かれていて、その中心にいろとりどりの豪華な料理がいくつもタッパーに詰められて並べられていたのだ。指さしながら尋ねる僕。
「ま……まさか、これ……みんなで作ってきてくれたの!?」
「じゃーん! そーだよ、ケンタ君! さーさー! みんな、座って座ってー!」
「座ってって……ス、スミちゃんの、と、隣に!?」
「そ、そこまでは言ってません! 馬鹿っ!」
ハンバーグに唐揚げ、玉子焼きにタコさんウインナー、おにぎりもカラフルで種類豊富でどれも美味しそうだ。いやいや、女子が一生懸命作ってきてくれたお弁当がマズいわけがない。
「麦茶いる人ー!」
「はーい!」
「ほ、ほら! こっちの奴も食べなさいよっ!」
「……あ、この不格好なの、絶対サトチンが作っごがげぶっ!」
「お、おいしい、かな?」
「もちろん、とても美味しいですよ、ツッキー」
「あ、ありがとう、スミちゃん! 練習しなきゃ、って言ってたもんね」
「えっ……ああ、うん! そうだよー、ケンタ君!」
これで僕らは、あと五年は戦える!(気持ちの上では)
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