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第五十七話 失われしパズルのピース
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「………………」
長い沈黙があった。
「……聴こえませんでしたか?」
その張り詰めた空気を破ったのは、やはり《森羅の魔王》、エルフの族長、フローラ=リリーブルームだった。先程までの遠慮気味な態度は消え失せ、むしろ挑むように見据えている。
「《異界渡り》の秘儀、それがわたくしたちの世界になにをもたらしたのかを存じ上げているからだと、そのように、申しあげたのです。貴方も……お忘れではないわよね? 代行者?」
「……聴こえている」
「お忘れではないかしら、と問うたのだけれど?」
「……っ!」
その責めるような問いに《天空の魔王》代行者は、あからさまに苦々しげな表情を浮かべると、舌打ちでもしそうな勢いで首を背け、フローラ=リリーブルームを視界の外に追いやった。
だが、一度攻勢に転じたエルフの女王は手を緩めない。
「なぜこたえないの? 《天空の魔王》代行者――いいえ、元《天空の魔王》?」
ざわり――!
その、たったひと言で、傍聴席中が、アリーナ中がどよめき立った。
俺もまた例外ではなく、いや、むしろこの場にいる誰よりも「この世界について知らない」からこそ驚愕していた。そして、受け止めがたい事実と、自然と浮かんできた疑問は。
(あいつが……元々《天空の魔王》だった、ってことかよ――!? じゃあ……今は誰が!?)
「お、おい! エリナ! エリナもこのことを……っ!?」
振り返った俺の目に映ったのは、
「………………っ」
憎しみと怒りを湛えたエリナの厳しく鋭い眼差しだった。その先にいるのは《天空の魔王》代行者――きっと、誰もがそう思っただろう。だが、俺だけは違った。不思議と違ったのだ。
(あいつのことじゃない……! その後ろにいる……誰だ? エリナがそれほど憎む相手――)
まさか――それはあまりに突然だった。
今までどうやっても見つからず、解こうとすることすらできなかったパズルの1ピースが、どこからかひとりでに現われ、差し出した指先から逃げるように、自動的に嵌り完成した感覚。
そしてその感覚は、苦かった。
(そういう……ことか……)
記憶の中の一枚の写真が、脳裏に鮮やかに浮かび上がった。
あの時、エリナと見間違えてしまった写真の中の女性。エリナよりも、もっと深く冷たい、昏い海の底の色をした瞳の女性。あそこにあったのは絶望と哀しみだったのだろうか。
いいや、違う。
彼女の瞳は毅然と前を見据え、希望と愛情に満ち溢れていたからだ。慈しむように、愛しそうに、ほっそりとした両手でふくらんだお腹を優しく抱きかかえ、包み込んでいたからだ。
だが隣に立つバルトルは、愛しさと憎しみをない交ぜにした複雑な心境を表情に出していた。
(あの時感じた違和感の正体は、これだったんだな……)
そして、次に記憶に蘇ったのは、イェゴール所長がなにげなく吐いたセリフだった。
(……エリナはね、竜と人の親を持つ《半竜人》なの。自分の中に、愚かな人間の血が流れているのを恥だと思っているの。だから、必要以上に人間に対して嫌悪感を持ってしまうのよ)
どうして気づかなかったんだろう。
そして――。
(あんたに……あんたなんかに一体何がわかるってのよ!)
(これだから人間って大っ嫌いなのよっ!!)
あの時、エリナが思わず漏らしてしまった本当の気持ち。
(そういう……ことかよ……くそっ!)
《異界渡り》の秘儀。
その禁断の術法が行われさえしなければ、エリナ・マギアという不幸な生い立ちを背負った少女は、こんなにも苦しむことはなかったのだろう。
だが、それでも――畜生!
「おい! 《七魔王》!」
俺はありったけの力を振り絞って《咎人の座》の中で吼えた。
「ち――今は貴様になぞ――!」
「俺のことはどうでもいい! けどな!?」
露骨に嫌悪感を浮かべた《天空の魔王》代行者に向けて、俺はなおも叫んだ。
「他の誰でもない! 俺の弁護人が――他でもない、ここにいるエリナ・マギアが望んでいるんだ! 今ここで《異界渡り》の秘儀をしてみせろと! 違うか!? 元《天空の魔王》!!」
「言わせておけば――!!」
――どん!
よほど腹立たしかったのだろう。《天空の魔王》代行者――いや、元《天空の魔王》は、傍聴席の最前列に控える《七魔王》の列を軽々と飛び越えると、その引き締まった体躯に不似合いなとてつもない重さと衝撃を誇示するように荒々しくアリーナに降り立ち、背にした大剣を、ぬらり、と抜き放つ。黒鉄色に鈍く光るそれが、躊躇なく俺の喉元に突きつけられた。
「一度で足りなければ、何度だって言ってやる。気に喰わないってんなら……ほら、やれよ?」
つつ、と喉の皮膚を生温かいものが滑り降りていく。
しかし、俺は一歩も退かない。動じない。
痛みなんて、毛筋ほども感じなかった。
「……けどな? あんたなら分かっているはずだろ? エリナが、他でもないエリナが、《異界渡り》の秘儀を望む辛さを。その苦しみを。どうしても分からないっていうんなら、あんたはやっぱり代行者がお似合いだ、ってことさ。違う、っていうんなら、その証を見せてくれよ」
「やめて、瑛! それに、ネェロもよ!!」
「――っ!!」
「――っ!?」
エリナの言葉に一触即発の均衡した空気が崩れた。お互いに、エリナの口からそう呼ばれるのはあまりに久しかったのだろう。どちらも唖然とした顔をしつつも、俺が隣にいる黒き戦士に向けてまん丸く目を剥いてみせる。すると、むっとしたような顰め面の中で片方の眉が跳ね上げられ、なにか問題が? と尋ね返してきた。い――いやいや、問題なんてないですってば。
《天空の魔王》代行者・ネェロは、どこか拗ねたような態度で舌打ちをすると、見惚れるほど鮮やかな仕草で大剣をひと振りしてから背の鞘に納めた。そして、エリナを見つめる。
「今のはこいつが悪い。この下等な人間種が」
「その下等な血は、あたしにも半分流れているのよ。忘れた?」
「………………無論、忘れてなどいない。悪意は……なかった」
ざまあみろ。
「瑛? あなたもよ?」
「は、はぁ!? 俺のどこが――!?」
「まったく、誰から聞いたのよ! ……ううん、きっとあなたお得意の『推理力』って奴よね」
エリナは怒るよりも呆れる方を選んだようだ。
「ホント、あなたって厄介な人間だわ、勇者A。他人がずっと隠してきた、誰にも言えなかった秘密を暴くだなんて。ああ、そうよね、詮索なんてするような人じゃない、って分かってる」
「わ、悪い……」
エリナの諦め顔を見て、反射的に謝ってしまった俺だったが、
「で、でも、俺、まだなんにも言ってないから――!」
「けど、もうあなただけは少なくとも気づいてる、そうでしょ?」
「う……」
俺は言いかけた言葉を引っ込め、代わりにこう続けた。
「でも! 俺の他にも知ってる人はいるだろ? たとえば……イェゴール所長とかさ?」
「それは、やむを得ず、っていう例外だもの。さすがに身元の分からない所員は雇えないし」
そして、エリナは哀しげな顔をして、壇上の傍聴席最前列に控える、残る《六魔王》を見た。
「それと、あたしはもう弁護人の職を失うことになる。だって、《天空の魔王》と繋がりをもった弁護人だなんて、もう誰も信用してくれないわ。……そうですよね、《六魔王》の皆様?」
「その繋がりとやらがなんなのか、それは明らかではないが……恐らくそうなるであろうな」
「グ、グズウィン議長!? ちょ――ちょっと待ってくださいよ!」
「待つ? なにをだね? 《咎人》たる勇者A?」
ぎろり、と老ドワーフは俺を冷えた目で睨みつけた。
そして、こう告げたのだ。
「《天空の魔王》代行者とエリナ・マギア弁護人は内通していた――これがあきらかになった今、我らは厳しい選択をしなければならない。それは、《天空の魔王》代行者への不信任決議と、エリナ・マギア弁護人の資格剥奪じゃ。そして……当然それは、お前さんの審問会の行方にも大きな影響を及ぼすことになるじゃろう」
そんな――!
長い沈黙があった。
「……聴こえませんでしたか?」
その張り詰めた空気を破ったのは、やはり《森羅の魔王》、エルフの族長、フローラ=リリーブルームだった。先程までの遠慮気味な態度は消え失せ、むしろ挑むように見据えている。
「《異界渡り》の秘儀、それがわたくしたちの世界になにをもたらしたのかを存じ上げているからだと、そのように、申しあげたのです。貴方も……お忘れではないわよね? 代行者?」
「……聴こえている」
「お忘れではないかしら、と問うたのだけれど?」
「……っ!」
その責めるような問いに《天空の魔王》代行者は、あからさまに苦々しげな表情を浮かべると、舌打ちでもしそうな勢いで首を背け、フローラ=リリーブルームを視界の外に追いやった。
だが、一度攻勢に転じたエルフの女王は手を緩めない。
「なぜこたえないの? 《天空の魔王》代行者――いいえ、元《天空の魔王》?」
ざわり――!
その、たったひと言で、傍聴席中が、アリーナ中がどよめき立った。
俺もまた例外ではなく、いや、むしろこの場にいる誰よりも「この世界について知らない」からこそ驚愕していた。そして、受け止めがたい事実と、自然と浮かんできた疑問は。
(あいつが……元々《天空の魔王》だった、ってことかよ――!? じゃあ……今は誰が!?)
「お、おい! エリナ! エリナもこのことを……っ!?」
振り返った俺の目に映ったのは、
「………………っ」
憎しみと怒りを湛えたエリナの厳しく鋭い眼差しだった。その先にいるのは《天空の魔王》代行者――きっと、誰もがそう思っただろう。だが、俺だけは違った。不思議と違ったのだ。
(あいつのことじゃない……! その後ろにいる……誰だ? エリナがそれほど憎む相手――)
まさか――それはあまりに突然だった。
今までどうやっても見つからず、解こうとすることすらできなかったパズルの1ピースが、どこからかひとりでに現われ、差し出した指先から逃げるように、自動的に嵌り完成した感覚。
そしてその感覚は、苦かった。
(そういう……ことか……)
記憶の中の一枚の写真が、脳裏に鮮やかに浮かび上がった。
あの時、エリナと見間違えてしまった写真の中の女性。エリナよりも、もっと深く冷たい、昏い海の底の色をした瞳の女性。あそこにあったのは絶望と哀しみだったのだろうか。
いいや、違う。
彼女の瞳は毅然と前を見据え、希望と愛情に満ち溢れていたからだ。慈しむように、愛しそうに、ほっそりとした両手でふくらんだお腹を優しく抱きかかえ、包み込んでいたからだ。
だが隣に立つバルトルは、愛しさと憎しみをない交ぜにした複雑な心境を表情に出していた。
(あの時感じた違和感の正体は、これだったんだな……)
そして、次に記憶に蘇ったのは、イェゴール所長がなにげなく吐いたセリフだった。
(……エリナはね、竜と人の親を持つ《半竜人》なの。自分の中に、愚かな人間の血が流れているのを恥だと思っているの。だから、必要以上に人間に対して嫌悪感を持ってしまうのよ)
どうして気づかなかったんだろう。
そして――。
(あんたに……あんたなんかに一体何がわかるってのよ!)
(これだから人間って大っ嫌いなのよっ!!)
あの時、エリナが思わず漏らしてしまった本当の気持ち。
(そういう……ことかよ……くそっ!)
《異界渡り》の秘儀。
その禁断の術法が行われさえしなければ、エリナ・マギアという不幸な生い立ちを背負った少女は、こんなにも苦しむことはなかったのだろう。
だが、それでも――畜生!
「おい! 《七魔王》!」
俺はありったけの力を振り絞って《咎人の座》の中で吼えた。
「ち――今は貴様になぞ――!」
「俺のことはどうでもいい! けどな!?」
露骨に嫌悪感を浮かべた《天空の魔王》代行者に向けて、俺はなおも叫んだ。
「他の誰でもない! 俺の弁護人が――他でもない、ここにいるエリナ・マギアが望んでいるんだ! 今ここで《異界渡り》の秘儀をしてみせろと! 違うか!? 元《天空の魔王》!!」
「言わせておけば――!!」
――どん!
よほど腹立たしかったのだろう。《天空の魔王》代行者――いや、元《天空の魔王》は、傍聴席の最前列に控える《七魔王》の列を軽々と飛び越えると、その引き締まった体躯に不似合いなとてつもない重さと衝撃を誇示するように荒々しくアリーナに降り立ち、背にした大剣を、ぬらり、と抜き放つ。黒鉄色に鈍く光るそれが、躊躇なく俺の喉元に突きつけられた。
「一度で足りなければ、何度だって言ってやる。気に喰わないってんなら……ほら、やれよ?」
つつ、と喉の皮膚を生温かいものが滑り降りていく。
しかし、俺は一歩も退かない。動じない。
痛みなんて、毛筋ほども感じなかった。
「……けどな? あんたなら分かっているはずだろ? エリナが、他でもないエリナが、《異界渡り》の秘儀を望む辛さを。その苦しみを。どうしても分からないっていうんなら、あんたはやっぱり代行者がお似合いだ、ってことさ。違う、っていうんなら、その証を見せてくれよ」
「やめて、瑛! それに、ネェロもよ!!」
「――っ!!」
「――っ!?」
エリナの言葉に一触即発の均衡した空気が崩れた。お互いに、エリナの口からそう呼ばれるのはあまりに久しかったのだろう。どちらも唖然とした顔をしつつも、俺が隣にいる黒き戦士に向けてまん丸く目を剥いてみせる。すると、むっとしたような顰め面の中で片方の眉が跳ね上げられ、なにか問題が? と尋ね返してきた。い――いやいや、問題なんてないですってば。
《天空の魔王》代行者・ネェロは、どこか拗ねたような態度で舌打ちをすると、見惚れるほど鮮やかな仕草で大剣をひと振りしてから背の鞘に納めた。そして、エリナを見つめる。
「今のはこいつが悪い。この下等な人間種が」
「その下等な血は、あたしにも半分流れているのよ。忘れた?」
「………………無論、忘れてなどいない。悪意は……なかった」
ざまあみろ。
「瑛? あなたもよ?」
「は、はぁ!? 俺のどこが――!?」
「まったく、誰から聞いたのよ! ……ううん、きっとあなたお得意の『推理力』って奴よね」
エリナは怒るよりも呆れる方を選んだようだ。
「ホント、あなたって厄介な人間だわ、勇者A。他人がずっと隠してきた、誰にも言えなかった秘密を暴くだなんて。ああ、そうよね、詮索なんてするような人じゃない、って分かってる」
「わ、悪い……」
エリナの諦め顔を見て、反射的に謝ってしまった俺だったが、
「で、でも、俺、まだなんにも言ってないから――!」
「けど、もうあなただけは少なくとも気づいてる、そうでしょ?」
「う……」
俺は言いかけた言葉を引っ込め、代わりにこう続けた。
「でも! 俺の他にも知ってる人はいるだろ? たとえば……イェゴール所長とかさ?」
「それは、やむを得ず、っていう例外だもの。さすがに身元の分からない所員は雇えないし」
そして、エリナは哀しげな顔をして、壇上の傍聴席最前列に控える、残る《六魔王》を見た。
「それと、あたしはもう弁護人の職を失うことになる。だって、《天空の魔王》と繋がりをもった弁護人だなんて、もう誰も信用してくれないわ。……そうですよね、《六魔王》の皆様?」
「その繋がりとやらがなんなのか、それは明らかではないが……恐らくそうなるであろうな」
「グ、グズウィン議長!? ちょ――ちょっと待ってくださいよ!」
「待つ? なにをだね? 《咎人》たる勇者A?」
ぎろり、と老ドワーフは俺を冷えた目で睨みつけた。
そして、こう告げたのだ。
「《天空の魔王》代行者とエリナ・マギア弁護人は内通していた――これがあきらかになった今、我らは厳しい選択をしなければならない。それは、《天空の魔王》代行者への不信任決議と、エリナ・マギア弁護人の資格剥奪じゃ。そして……当然それは、お前さんの審問会の行方にも大きな影響を及ぼすことになるじゃろう」
そんな――!
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