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第四十九話 フリムル・ファム
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「じゃ、じゃあ、あたし、明日は調べ物があるから――あの……」
「ん? ああ、うん、分かった。俺のことは心配しなくていいぜ。おとなしくしてるよ」
「うん。……っ」
「?」
俺とエリナは《正義の天秤》魔法律事務所から定時で帰宅すると、もうすっかり下宿宿のような安心感が漂うバルトルさんの家の玄関を入ったところで別れた。俺が居候している――軟禁、とも言う――物置代わりに使われていた納戸は、狭く急な階段を昇って四階。一方、エリナと家主のバルトルさんが使っている居住スペースは一階と二階だ。
けれど……妙に何だか。
「くふふー。あいかわらずですねぇ、お前様は」
「なんだよ、起きてたのかよ、フリムル。……あいかわらず、ってどういう意味だよ?」
後ろ髪引かれる思いで、のろのろと階段を昇っていた俺の目の前に、突然胸ポケットの中から飛び出してきた、元・アル中の花の妖精、フリムル・ファムが現われた。そして、妙ににやにやと薄気味悪い笑みを浮かべながら、スティックパン・サイズのつま先を、うりうりうりー! と眉を顰める俺の頬にねじり込んでくる。
すっごく鬱陶しい。
が、そこまで嫌ではない。
「どういう意味もー! うりうりうりー! まったく鈍いんですから、お前様はー!」
「や、やめろやめろ! それ、邪魔だから! 階段踏み外すから! 一体、何の話だよ?」
「ふーんふーん。知らなきゃしらねーでいーんですけどねえー。ふーん」
「ウザっ」
そんなやりとりを繰り広げながら、俺たちは四階にある納戸まで辿り着いた。すでに疲れてくたくただったが、狭いスペースの中央にテーブル代わりとして置いてある丸椅子の上に、すっかり見慣れた清潔な白いナプキンがかけられた木のトレイを見つけて、ぐう、と腹が鳴る。
が、俺が手を伸ばすより先に、ずっと眠りこけていて元気いっぱいのフリムルに先を越されてしまった。フリムルは白いナプキンをさっと掠め取ると、ニ、三度はためかせたそれを、きゅきゅっ、と腰に巻き付けた。そして、ずいぶんと誇張されたミュージカル女優のごとき芝居っ気しかないポーズでこう言い出した。
「ああー! あたしのココロはー! あなたにはー届かないのー!」
「な、なんだよ、それ」
格好だけは一丁前だが、演技も発声も、そもそも脚本の時点で絶望的なレベルだ。
が、妙に神経に触ってしまい、むっと顔を顰める俺。その、微妙に突き出た唇をジャンプ台代わりにして、フリムルが、ぴるん、と飛び跳ねる。
「ホーント! 鈍感なんですよねえー、お前様はー!」
「何が言いたんだよ? さっぱり分からないんだって」
「エ・リ・ナ、のこーと、ですよー! くふふー!」
「だーかーらー!」
「……むぎゅ」
よほど油断していたのか、やけにあっさりとフリムルは俺の伸ばした右手の中に収まった。
「いふぁいでしゅよー、お前様ー!」
「……だからさ。ホント……分からないんだって――自分自身の気持ちって奴が、さ」
「くひゅ?」
絞めつける力が見る間に失われたのを察知したフリムルは、緩く握りしめられたままの俺の右拳の上に這い上ると、腕組み、胡坐をかいて、ふむ――とひとつ唸った。それから尋ねる。
「お前様はー、エリナ様のことがお嫌いで?」
「……いいや、嫌いじゃない」
「なーらお前様はー、エリナ様のことがお好きで?」
「……それは――それは――それが分からないんだよ」
「へー」
「へー、って。聞いといてそれかよ……」
「まー。花の妖精であるあーしにはー、恋の気配なんてー丸分かりですからねえー」
俺はこたえず腰を降ろし、空いている左手で木のスプーンを掴む。およ? と、フリムルは不思議そうな顔をしたが、気にせずまだ湯気の立ち昇るスープをすくい上げた。
「くふふー。気にならないんですかあー? お前様はー?」
「……き、気にならない、って言ったら嘘になるからな」
「いしししー!」
「でも……それを聞いちゃうのはルール違反だろ。だって」
「? そーゆーもんですかねー?」
「そういうものなの。……さ、あったかいうちに食べるぞ。ほら」
木のトレイの上をすっかり覆い尽くすほどの料理を皿に取り分け、俺の分とフリムルの分に並べ直してやる。フリムルはしばらく唇を尖らせて考えていたが、妖精の集中力なんてたかが知れている。じき、すっかり何もかも忘れてしまったようにミニチュア・サイズのスプーンでがつがつと食べはじめた。
やっぱりバルトルさんの料理の腕前は折り紙付きだ。
前に事務所のみんなと行った、フーチーさんの親父さんの店にも引けをとらない。
しばらく無言で食べ、すっかり満腹になった頃、ごろりと横になった俺の視界に、垂直にフリムルが降り立った。
「ねーねー。お前様ー?」
「なんだ、フリムル?」
「どーしてお前様はー、あーしを『酒の悪魔の呪い』から助けてくれたのさー?」
「うーん……」
満腹すぎて起き上がるのも億劫だ。
なので、そのまま話をすることにした。
「……やっぱり、可哀想だから、かなぁ」
「カワイソー?」
「い、いや、だってさ? フリムルだって、好きで酒に溺れたワケじゃない。だろ?」
「まー」
「だからだよ」
「でもでもー? あーしはお前様を罠にかけてー、こっちの世界に連れてきたんですよー?」
「うーん……それはそうなんだけどさ――」
物事を善悪だけで区別するのならば、フリムルのした行為は悪だ。
でも、世界はそれだけじゃない。
「でも。それだって、あの傲慢でやたら偉そうな王様の命令だったんだろ? やらなきゃ酒はやらん、とか言われてさ? それとも、フリムル、お前は俺が憎かったのか? 違うだろ?」
「あーしはお前様のことー大好きですよー!」
「うわ、やめろやめろ! 尻を俺の顔に押しつけるな! キスもしなくていい! 舐めるな!」
突如はじまった大サービスの、ぐりぐりー! ちゅちゅちゅー! ぺろぺろー! を慌てて止める。愛情表現が犬猫レベルな上に、なにもかもが突然なので避けるのも難しいのだ。だが、ある意味裏表なんてなくて素のままの感情が伝わってくるワケで。それはそんなに嫌ではない。
「大好きでいてくれるのは嬉しいけど、毎回それやるのやめてくれって。もう……」
「恥ずかしがり屋さんですねえー、お前様はー」
「そういう問題じゃないんだって。……あ! そういえば!」
「?」
そうだ。
フリムルに聞きたいことがあるのをすっかり忘れていた。
がば、と身を起こすのと同時に手のひらでフリムルをすくい上げて、両手の中に俺は尋ねた。
「なあ、フリムル? 質問、いいか?」
「お前様のためならなんなりとー」
「今日、ウンディーネ――水の妖精――精霊と会ったんだ。あいつらも、フリムルと同じ術が使えるのか? あの……《異界渡り》って奴をさ?」
「使えなくはないですよー」
「『なくはない』って……なんか勿体ぶった言い方だな?」
「あーしは説明ヘタクソですからねー。でも、『なくはない』ものは『なくはない』ですよー」
「?」
それからフリムルは何とか俺にうまく説明しようと、胡坐をかいた体勢のまま跳んだり、逆さまになったり、壁にぶつかったりしつつちっちゃな頭脳をフル回転させて考えていたのだが。
「……ぷしゅー」
「うわわっ!? だ、大丈夫か、フリムル!?」
「だ、駄目みたいですねー……うううー」
たちまちオーバーヒートしてしまい、結局何ひとつ聞き出すことはできないまま、俺たちは眠りについたのだった。
「ん? ああ、うん、分かった。俺のことは心配しなくていいぜ。おとなしくしてるよ」
「うん。……っ」
「?」
俺とエリナは《正義の天秤》魔法律事務所から定時で帰宅すると、もうすっかり下宿宿のような安心感が漂うバルトルさんの家の玄関を入ったところで別れた。俺が居候している――軟禁、とも言う――物置代わりに使われていた納戸は、狭く急な階段を昇って四階。一方、エリナと家主のバルトルさんが使っている居住スペースは一階と二階だ。
けれど……妙に何だか。
「くふふー。あいかわらずですねぇ、お前様は」
「なんだよ、起きてたのかよ、フリムル。……あいかわらず、ってどういう意味だよ?」
後ろ髪引かれる思いで、のろのろと階段を昇っていた俺の目の前に、突然胸ポケットの中から飛び出してきた、元・アル中の花の妖精、フリムル・ファムが現われた。そして、妙ににやにやと薄気味悪い笑みを浮かべながら、スティックパン・サイズのつま先を、うりうりうりー! と眉を顰める俺の頬にねじり込んでくる。
すっごく鬱陶しい。
が、そこまで嫌ではない。
「どういう意味もー! うりうりうりー! まったく鈍いんですから、お前様はー!」
「や、やめろやめろ! それ、邪魔だから! 階段踏み外すから! 一体、何の話だよ?」
「ふーんふーん。知らなきゃしらねーでいーんですけどねえー。ふーん」
「ウザっ」
そんなやりとりを繰り広げながら、俺たちは四階にある納戸まで辿り着いた。すでに疲れてくたくただったが、狭いスペースの中央にテーブル代わりとして置いてある丸椅子の上に、すっかり見慣れた清潔な白いナプキンがかけられた木のトレイを見つけて、ぐう、と腹が鳴る。
が、俺が手を伸ばすより先に、ずっと眠りこけていて元気いっぱいのフリムルに先を越されてしまった。フリムルは白いナプキンをさっと掠め取ると、ニ、三度はためかせたそれを、きゅきゅっ、と腰に巻き付けた。そして、ずいぶんと誇張されたミュージカル女優のごとき芝居っ気しかないポーズでこう言い出した。
「ああー! あたしのココロはー! あなたにはー届かないのー!」
「な、なんだよ、それ」
格好だけは一丁前だが、演技も発声も、そもそも脚本の時点で絶望的なレベルだ。
が、妙に神経に触ってしまい、むっと顔を顰める俺。その、微妙に突き出た唇をジャンプ台代わりにして、フリムルが、ぴるん、と飛び跳ねる。
「ホーント! 鈍感なんですよねえー、お前様はー!」
「何が言いたんだよ? さっぱり分からないんだって」
「エ・リ・ナ、のこーと、ですよー! くふふー!」
「だーかーらー!」
「……むぎゅ」
よほど油断していたのか、やけにあっさりとフリムルは俺の伸ばした右手の中に収まった。
「いふぁいでしゅよー、お前様ー!」
「……だからさ。ホント……分からないんだって――自分自身の気持ちって奴が、さ」
「くひゅ?」
絞めつける力が見る間に失われたのを察知したフリムルは、緩く握りしめられたままの俺の右拳の上に這い上ると、腕組み、胡坐をかいて、ふむ――とひとつ唸った。それから尋ねる。
「お前様はー、エリナ様のことがお嫌いで?」
「……いいや、嫌いじゃない」
「なーらお前様はー、エリナ様のことがお好きで?」
「……それは――それは――それが分からないんだよ」
「へー」
「へー、って。聞いといてそれかよ……」
「まー。花の妖精であるあーしにはー、恋の気配なんてー丸分かりですからねえー」
俺はこたえず腰を降ろし、空いている左手で木のスプーンを掴む。およ? と、フリムルは不思議そうな顔をしたが、気にせずまだ湯気の立ち昇るスープをすくい上げた。
「くふふー。気にならないんですかあー? お前様はー?」
「……き、気にならない、って言ったら嘘になるからな」
「いしししー!」
「でも……それを聞いちゃうのはルール違反だろ。だって」
「? そーゆーもんですかねー?」
「そういうものなの。……さ、あったかいうちに食べるぞ。ほら」
木のトレイの上をすっかり覆い尽くすほどの料理を皿に取り分け、俺の分とフリムルの分に並べ直してやる。フリムルはしばらく唇を尖らせて考えていたが、妖精の集中力なんてたかが知れている。じき、すっかり何もかも忘れてしまったようにミニチュア・サイズのスプーンでがつがつと食べはじめた。
やっぱりバルトルさんの料理の腕前は折り紙付きだ。
前に事務所のみんなと行った、フーチーさんの親父さんの店にも引けをとらない。
しばらく無言で食べ、すっかり満腹になった頃、ごろりと横になった俺の視界に、垂直にフリムルが降り立った。
「ねーねー。お前様ー?」
「なんだ、フリムル?」
「どーしてお前様はー、あーしを『酒の悪魔の呪い』から助けてくれたのさー?」
「うーん……」
満腹すぎて起き上がるのも億劫だ。
なので、そのまま話をすることにした。
「……やっぱり、可哀想だから、かなぁ」
「カワイソー?」
「い、いや、だってさ? フリムルだって、好きで酒に溺れたワケじゃない。だろ?」
「まー」
「だからだよ」
「でもでもー? あーしはお前様を罠にかけてー、こっちの世界に連れてきたんですよー?」
「うーん……それはそうなんだけどさ――」
物事を善悪だけで区別するのならば、フリムルのした行為は悪だ。
でも、世界はそれだけじゃない。
「でも。それだって、あの傲慢でやたら偉そうな王様の命令だったんだろ? やらなきゃ酒はやらん、とか言われてさ? それとも、フリムル、お前は俺が憎かったのか? 違うだろ?」
「あーしはお前様のことー大好きですよー!」
「うわ、やめろやめろ! 尻を俺の顔に押しつけるな! キスもしなくていい! 舐めるな!」
突如はじまった大サービスの、ぐりぐりー! ちゅちゅちゅー! ぺろぺろー! を慌てて止める。愛情表現が犬猫レベルな上に、なにもかもが突然なので避けるのも難しいのだ。だが、ある意味裏表なんてなくて素のままの感情が伝わってくるワケで。それはそんなに嫌ではない。
「大好きでいてくれるのは嬉しいけど、毎回それやるのやめてくれって。もう……」
「恥ずかしがり屋さんですねえー、お前様はー」
「そういう問題じゃないんだって。……あ! そういえば!」
「?」
そうだ。
フリムルに聞きたいことがあるのをすっかり忘れていた。
がば、と身を起こすのと同時に手のひらでフリムルをすくい上げて、両手の中に俺は尋ねた。
「なあ、フリムル? 質問、いいか?」
「お前様のためならなんなりとー」
「今日、ウンディーネ――水の妖精――精霊と会ったんだ。あいつらも、フリムルと同じ術が使えるのか? あの……《異界渡り》って奴をさ?」
「使えなくはないですよー」
「『なくはない』って……なんか勿体ぶった言い方だな?」
「あーしは説明ヘタクソですからねー。でも、『なくはない』ものは『なくはない』ですよー」
「?」
それからフリムルは何とか俺にうまく説明しようと、胡坐をかいた体勢のまま跳んだり、逆さまになったり、壁にぶつかったりしつつちっちゃな頭脳をフル回転させて考えていたのだが。
「……ぷしゅー」
「うわわっ!? だ、大丈夫か、フリムル!?」
「だ、駄目みたいですねー……うううー」
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