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第二十八話 円卓会議(2)
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「ううむ――」
トバルじいさんは、すっぱぁ、とパイプをふかし、隣のラピスさんが大袈裟に咳込むのをまるで無視して弱り切ったようにこう続けた。
「――にしてもじゃ、若造。あのコボルドたちを殺したというのはたしかなことかね?」
「ええ。……い、いや、どうなんでしょう?」
「?」
「い、いや、俺にはコボルドの見分けなんてつかないですよ……。それに、あんな真っ暗な洞窟の中の乱戦で、誰が誰とかなんて区別はつきませんでした。必死だったんです、俺だって」
必死だったといえば見逃してもらえるなどとは決して思ってはいない。
けれど、それは掛け値なしの本音だったし、実際俺にはコボルドの個体識別なんてできない。
「ちょっと、トバル?」
その会話にしびれを切らして割り込んできたのはラピスさんだった。
「話題はもう『妖精を市民として認めるべきか』にすり替わってしまっているのよ。であれば、ここはもう敢えて攻めずに引くべきではないかしら? 《七魔王》の反応を見たでしょう?」
「だなー、これ。しかも、よりによって、人間嫌いの《憤怒の魔王》が身柄を引き受けちまったんだからなー。これ」
魚人のマッコイさんも渋い顔つきでうなずく。
だが、ハールマンさんは首を振った。
「いや……俺はまだチャンスがあると思っている」
「だと思ったし……。まーあたしもワンチャンあるかなーって思ってんよー?」
マユマユさんもその隣で、にやり、とJS(邪神)らしい邪な企みを抱いた笑みを浮かべた。
「……ハールっち、先言う?」
「お譲りしますよ、レディーファーストが俺の信条なんでね」
室内だというのに被ったままだった帽子をとりハールマンさんが丁寧に会釈すると、マユマユさんは、ウケるー! とケラケラと笑いながら話を続けた。
「あーしはねー? この数日間いろいろあちこちから話を聞きまくってきてさー? こう思ったワケ! ミスター・EGFは大したネタを持ってないって。だから、あんなテ使ってんの」
「ミ、ミスターEGF?」
「エルヴァール=グッドフェローだし! そんくらい気づけし!」
独特な感性をお持ちですね……。
「ガチィで勇者Aクンって、あの《祠》くらいにしか行ってないっしょ? だーかーらー、いろんなアラを探したくても大したネタが見つかんなくって焦ってんの! 接触してる相手もフツーの人ばっかだし、町の人間ともあまり接点がないから証言も取れてないっぽいんだわー」
「あの王様には、ほぼ初対面で今すぐ《祠》に行け! って命令されたくらいですからね……」
そうだよな。
フツーの召喚者なら、城の人間とか町の住民とのふれあいとか多少はあるもんだしな。
「逃亡中の王様とか召喚魔導士なんかを捕まえれば、勇者Aクンが正真正銘の勇者だってことが証明できるっしょ? でーも、もしそうなったらなったで、審問会はそっちがメインになるじゃん? なんならー、勇者Aクンがまだなりたて勇者だってことを逆に証明しちゃうっしょ」
あの魔導士長のベリストンさんも捕まってないみたいだな。
悪い人ではなかったっぽいし、このまま捕まらないといいんだけどな……。
マユマユさんはいろいろ寄り道したあげく、こう話を締め括った。
「つまりー、勇者Aクンの罪を暴こうとしても、ガチィな話、大したモンは見つかってないワケ。だからこそ、いっとー最初のこれから白旗あげちゃうと、かなーり不利になるっぽいよ?」
「俺も結論の部分では同意見だな」
ハールマンさんは、皮肉めいた口調にムッとするマユマユさんを横目に、そう言った。
「今回俺たちが目指しているのは、この審問会における『完全勝利』だ。些細な罪であろうが認めるワケにはいかない。ましてや、ここまで破綻している糾弾を許せば、今後にも響くからな」
「それって……俺のためですか?」
「……それだけじゃないさ」
ハールマンさんは鋭い犬歯を見せつけるようににやりと笑った。
「無論、ウチの見習い、エリナの名誉のためだけでもない。俺たち《正義の天秤》は今までさんざんアイツにしてやられているんだからな。あの――ミスター・EGF、だったよな?」
ふてくされ気味だったマユマユさんにお道化た仕草で片眉をはね上げてみせると、嬉しそうにうんうんと返事が返ってきた。ハールマンさんはお詫びのつもりか、帽子を上げて合図する。
「あの浮かれた坊ちゃんにはそろそろキツいお灸を据えてもいい頃合いだろう。……だよな?」
ハールマンさんが問いかけたのはイェゴール所長へだ。
イェゴール所長は微笑み、何も言わずにうなずいた。
「これは絶好のチャンスだと俺は考えている。過去にも判例のない、勇者の完全無罪を勝ち取る、その奇跡的な成果をこの世に知らしめる、な? それを《正義の天秤》が成し遂げるんだ」
一斉に歓声があがり――とはいかなかった。
あまりに突拍子もない夢物語のように聴こえたのだろう。
所員たちは戸惑っている。
そこでエリナは誰しもが気になっていることをストレートに口にした。
「ウチの格を上げるため、ということですか、副所長?」
「そうじゃない。それはあくまでオマケだ、エリナ君」
「もしかして……『正義のため』、とか言ったりしないですよね?」
「ははっ、ダメだったか?」
「……正義なんて絵空事です。カンタンに裏返るコインの表と裏です」
冷静さを装うエリナの言葉には、他人事とは思えないほどの深い感情がこめられていた。
「新しくなったこの世界にだって、理不尽で許しがたいものはいくらでも存在しているんです。それは、副所長――ハールマンさんだって、とっくにご存知のはずじゃないですか?」
ちょっと! ――そう言いかけたイェゴール所長をハールマンさんは片手で制すると、エリナの言葉に耳を傾けた。
「この『勇者狩り』だってそうです。たしかに人間族の王は多くの勇者を召喚したと記録に残されています。……けれど、今まで審問会にかけられた人間の中には、明らかに勇者ではない者たちが含まれていた事実も、過去の判例を調べ尽くしたハールマンさんならご存知のはず!」
「……ああ、知っている、今は。つい、この前のことだがな」
なん……だって……?
俺よりもっと酷い目に遭わされているヤツがいたってことじゃないか!?
けれど。
それよりもっと気になるのは、雑用で見習いのはずのエリナが、なぜそんなに詳しい事情を知っているかということだった。対照的に、エリナの先輩であるはずのラピスさんやマッコイさん、トバルさんまでもはじめて耳にした情報だったらしく、目を丸くして驚いているのに。
「おい、イェゴール。これは――?」
ハールマンさんもそこに疑問を覚えたようだ。
しかし、イェゴール所長は軽く肩をすくめたきり口を開こうとはしなかった。だが、その落ち着き払った仕草を見る限り、『知って』はいるらしい――エリナの秘密を。ハールマンさんは、やれやれ、と首を振りつつ会話を戻す。
「はぁ……どうやら俺たち《正義の天秤》魔法律事務所は、少々厄介なことに首をつっこんだらしい。……だが、やるべきことは変わらないぞ。審問会での完全勝利。勇者Aの無罪判決だ」
「その目途はありますの?」
「無論ないわけじゃないさ、ラピス君」
「しっかし、これ……コボルドが市民だってのは認められちまったワケだしな、それ……」
「うむ。あの証言を無効だと主張するのは悪手じゃろうな」
「あら? 少し勘違いしてるんじゃないかしら?」
マッコイさんとトバルさんの懸念を吹き飛ばすかのごとく、イェゴール所長は大きな手で仰ぐようにして口元に手を当ててくすくすと笑いを溢した。
「あなたたちも言っていたでしょう? 妖精云々の話は手詰まりだって。だったら、普通の市民として扱った上で、その証言の矛盾を突けばいいだけのハ・ナ・シ♡ ……違ったかしら?」
「それは! そうですけど……」
反論の意を唱えようとした俺の語尾は弱々しく消えてしまう。
あのコボルドの未亡人の、証言の中に潜む矛盾。
果たしてそんなものが存在するのだろうか。
最後にハールマンさんがこう締めくくる。
「次のルゥナの日まではまだ時間がある。この六日間のうちに、ヤツの糾弾を粉々に論破する方法をみんなで考えるんだ。いいな?」
トバルじいさんは、すっぱぁ、とパイプをふかし、隣のラピスさんが大袈裟に咳込むのをまるで無視して弱り切ったようにこう続けた。
「――にしてもじゃ、若造。あのコボルドたちを殺したというのはたしかなことかね?」
「ええ。……い、いや、どうなんでしょう?」
「?」
「い、いや、俺にはコボルドの見分けなんてつかないですよ……。それに、あんな真っ暗な洞窟の中の乱戦で、誰が誰とかなんて区別はつきませんでした。必死だったんです、俺だって」
必死だったといえば見逃してもらえるなどとは決して思ってはいない。
けれど、それは掛け値なしの本音だったし、実際俺にはコボルドの個体識別なんてできない。
「ちょっと、トバル?」
その会話にしびれを切らして割り込んできたのはラピスさんだった。
「話題はもう『妖精を市民として認めるべきか』にすり替わってしまっているのよ。であれば、ここはもう敢えて攻めずに引くべきではないかしら? 《七魔王》の反応を見たでしょう?」
「だなー、これ。しかも、よりによって、人間嫌いの《憤怒の魔王》が身柄を引き受けちまったんだからなー。これ」
魚人のマッコイさんも渋い顔つきでうなずく。
だが、ハールマンさんは首を振った。
「いや……俺はまだチャンスがあると思っている」
「だと思ったし……。まーあたしもワンチャンあるかなーって思ってんよー?」
マユマユさんもその隣で、にやり、とJS(邪神)らしい邪な企みを抱いた笑みを浮かべた。
「……ハールっち、先言う?」
「お譲りしますよ、レディーファーストが俺の信条なんでね」
室内だというのに被ったままだった帽子をとりハールマンさんが丁寧に会釈すると、マユマユさんは、ウケるー! とケラケラと笑いながら話を続けた。
「あーしはねー? この数日間いろいろあちこちから話を聞きまくってきてさー? こう思ったワケ! ミスター・EGFは大したネタを持ってないって。だから、あんなテ使ってんの」
「ミ、ミスターEGF?」
「エルヴァール=グッドフェローだし! そんくらい気づけし!」
独特な感性をお持ちですね……。
「ガチィで勇者Aクンって、あの《祠》くらいにしか行ってないっしょ? だーかーらー、いろんなアラを探したくても大したネタが見つかんなくって焦ってんの! 接触してる相手もフツーの人ばっかだし、町の人間ともあまり接点がないから証言も取れてないっぽいんだわー」
「あの王様には、ほぼ初対面で今すぐ《祠》に行け! って命令されたくらいですからね……」
そうだよな。
フツーの召喚者なら、城の人間とか町の住民とのふれあいとか多少はあるもんだしな。
「逃亡中の王様とか召喚魔導士なんかを捕まえれば、勇者Aクンが正真正銘の勇者だってことが証明できるっしょ? でーも、もしそうなったらなったで、審問会はそっちがメインになるじゃん? なんならー、勇者Aクンがまだなりたて勇者だってことを逆に証明しちゃうっしょ」
あの魔導士長のベリストンさんも捕まってないみたいだな。
悪い人ではなかったっぽいし、このまま捕まらないといいんだけどな……。
マユマユさんはいろいろ寄り道したあげく、こう話を締め括った。
「つまりー、勇者Aクンの罪を暴こうとしても、ガチィな話、大したモンは見つかってないワケ。だからこそ、いっとー最初のこれから白旗あげちゃうと、かなーり不利になるっぽいよ?」
「俺も結論の部分では同意見だな」
ハールマンさんは、皮肉めいた口調にムッとするマユマユさんを横目に、そう言った。
「今回俺たちが目指しているのは、この審問会における『完全勝利』だ。些細な罪であろうが認めるワケにはいかない。ましてや、ここまで破綻している糾弾を許せば、今後にも響くからな」
「それって……俺のためですか?」
「……それだけじゃないさ」
ハールマンさんは鋭い犬歯を見せつけるようににやりと笑った。
「無論、ウチの見習い、エリナの名誉のためだけでもない。俺たち《正義の天秤》は今までさんざんアイツにしてやられているんだからな。あの――ミスター・EGF、だったよな?」
ふてくされ気味だったマユマユさんにお道化た仕草で片眉をはね上げてみせると、嬉しそうにうんうんと返事が返ってきた。ハールマンさんはお詫びのつもりか、帽子を上げて合図する。
「あの浮かれた坊ちゃんにはそろそろキツいお灸を据えてもいい頃合いだろう。……だよな?」
ハールマンさんが問いかけたのはイェゴール所長へだ。
イェゴール所長は微笑み、何も言わずにうなずいた。
「これは絶好のチャンスだと俺は考えている。過去にも判例のない、勇者の完全無罪を勝ち取る、その奇跡的な成果をこの世に知らしめる、な? それを《正義の天秤》が成し遂げるんだ」
一斉に歓声があがり――とはいかなかった。
あまりに突拍子もない夢物語のように聴こえたのだろう。
所員たちは戸惑っている。
そこでエリナは誰しもが気になっていることをストレートに口にした。
「ウチの格を上げるため、ということですか、副所長?」
「そうじゃない。それはあくまでオマケだ、エリナ君」
「もしかして……『正義のため』、とか言ったりしないですよね?」
「ははっ、ダメだったか?」
「……正義なんて絵空事です。カンタンに裏返るコインの表と裏です」
冷静さを装うエリナの言葉には、他人事とは思えないほどの深い感情がこめられていた。
「新しくなったこの世界にだって、理不尽で許しがたいものはいくらでも存在しているんです。それは、副所長――ハールマンさんだって、とっくにご存知のはずじゃないですか?」
ちょっと! ――そう言いかけたイェゴール所長をハールマンさんは片手で制すると、エリナの言葉に耳を傾けた。
「この『勇者狩り』だってそうです。たしかに人間族の王は多くの勇者を召喚したと記録に残されています。……けれど、今まで審問会にかけられた人間の中には、明らかに勇者ではない者たちが含まれていた事実も、過去の判例を調べ尽くしたハールマンさんならご存知のはず!」
「……ああ、知っている、今は。つい、この前のことだがな」
なん……だって……?
俺よりもっと酷い目に遭わされているヤツがいたってことじゃないか!?
けれど。
それよりもっと気になるのは、雑用で見習いのはずのエリナが、なぜそんなに詳しい事情を知っているかということだった。対照的に、エリナの先輩であるはずのラピスさんやマッコイさん、トバルさんまでもはじめて耳にした情報だったらしく、目を丸くして驚いているのに。
「おい、イェゴール。これは――?」
ハールマンさんもそこに疑問を覚えたようだ。
しかし、イェゴール所長は軽く肩をすくめたきり口を開こうとはしなかった。だが、その落ち着き払った仕草を見る限り、『知って』はいるらしい――エリナの秘密を。ハールマンさんは、やれやれ、と首を振りつつ会話を戻す。
「はぁ……どうやら俺たち《正義の天秤》魔法律事務所は、少々厄介なことに首をつっこんだらしい。……だが、やるべきことは変わらないぞ。審問会での完全勝利。勇者Aの無罪判決だ」
「その目途はありますの?」
「無論ないわけじゃないさ、ラピス君」
「しっかし、これ……コボルドが市民だってのは認められちまったワケだしな、それ……」
「うむ。あの証言を無効だと主張するのは悪手じゃろうな」
「あら? 少し勘違いしてるんじゃないかしら?」
マッコイさんとトバルさんの懸念を吹き飛ばすかのごとく、イェゴール所長は大きな手で仰ぐようにして口元に手を当ててくすくすと笑いを溢した。
「あなたたちも言っていたでしょう? 妖精云々の話は手詰まりだって。だったら、普通の市民として扱った上で、その証言の矛盾を突けばいいだけのハ・ナ・シ♡ ……違ったかしら?」
「それは! そうですけど……」
反論の意を唱えようとした俺の語尾は弱々しく消えてしまう。
あのコボルドの未亡人の、証言の中に潜む矛盾。
果たしてそんなものが存在するのだろうか。
最後にハールマンさんがこう締めくくる。
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