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第二話 酒は妖精を駄目にする
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「――って、おいぃっ!?」
叫びとともに、ぐわっ! と跳ね起きる。
もしかして……俺……眠ってたのか?
「おいおいおい……どこだよ、ここ……?」
すぐにも気づく違和感。あたりを見回すと、そこは下校途中にあったあの狭い路地なんかじゃなく、ただただどこまでも続く広い草原だったのだ。背の高い草や木も見当たらない。手入れをサボった芝生みたいな、一面の緑の中に俺はごろりと横たわっていたらしい。
なるべく気を落ち着かせてもう一度周囲を観察すると、手の届きそうな距離に俺のカバンが落ちていた。なぜかファスナーは全開で筆箱やら教科書やらがそこいらじゅうに散乱している。
「――おいよぅ。ひっく!」
この声……まさか!?
慌てて声の主を探すと、俺の目と鼻の先になんと頭上からさっき見かけた妖精がふよふよと降りてきたではないか。どうやら妖精は女らしい――らしいのだが、ツインテールに束ねた藁色の髪はぼっさぼさで、膝丈の真っ赤なワンピースの裾をまくり上げるようにして右手でしきりに、ぽり、ぽり、とお尻をかいていた。たとえるなら、二日酔いで寝起きのダメOLのごとくである。
「なんかれえのかよー。酒とか酒とかよぅ。らんも持ってねえのらー、お前?」
きいきい、と甲高い声でそうつぶやくと、深い溜息とともにむせ返るほどのアルコール臭混じりの息を妖精が吐いた。それをまともに喰らった俺は、情けなくも思わず、えほえほ、と咳き込む。
「も――持ってる訳ないだろ、酒なんて! 高校生なんだぞ、俺は!」
「コーコーセイ?」
6分の1スケールの美少女顔をした妖精には意味不明だったらしく、顔をしかめる。間違いなく美少女なのだが――酔いのせいもあって目の焦点が定まっておらず、なんとも滑稽である。
「なんらそれは? ……ま、なんれもいいやー。なー、らんかねえのかよぅ?」
「ちょ――やめろってば! お前だな、俺のカバン漁ってたのは。……こら、やめろっつーに!」
「ぷぎゃっ!?」
さすがに持ち主である俺の目の前で、堂々とカバンの中をがさごそ漁られては腹も立つ。威嚇のつもりで勢いよく振った手の風切る音に、よせばいいのに華麗なる回避行動をとったらしいその妖精は、避けるどころか俺の手にまともにブチ当たって大の字のまま手裏剣のようにくるくる回転してすっ飛んでいってしまった。
「や、やば――! ……お、おい、大丈夫か!?」
「……きゅう」
追い駆けて拾い上げたところで、くたりと手の中で萎れるようにうなだれた妖精の姿に慌てる俺。なにぶん相手は6分の1スケールのフィギュアみたいなものなのだ。どう扱ったらいいものかと途方に暮れながら、頭やら尻やらをつんつんと突いていると、しばらくして妖精が見違えるほどぱっちりと目を開けた。
そして、
「うっ――!? ……えろえろえろえろえろ」
「うおっ、汚っ! いきなり他人様の手のひらで吐くんじゃねぇえええ!」
非難の声も空しく、きれいさっぱり胃の内容物を出し切った妖精は、妙にすっきりした笑顔を浮かべた。と思いきや、急に怯えた表情をして両腕で細いカラダをかき抱くと、おそるおそるこう尋ねてくる。
「えと………………ど、どちら様?」
「どちら様、じゃないだろ!? お前のあとをのこのこついていったら、いきなりこんな知らない場所に連れてこられた哀れな犠牲者だっつーの! しかも……ほれ!」
「うわ……汚っ!」
「汚っ! じゃないの! お前がやったの!」
ううう。今すぐ手を洗いたい。ただでさえ酒臭いのは苦手だってのに。その上、酸っぱい臭いで強化されとる。自前のハンカチを汚すのも癪だったので、仕方なくそのへんの芝生にごしごしゲロまみれの手のひらをこすりつけていると、とまどい混じりの妖精の声が聴こえてきた。
「あ、あの……。またやっちゃったみたいで……ごめんなさい!」
「はぁ……。やっちゃったもんは仕方ないけどさ――」
さっきまでとはうって変わった妙にしおらしい口調に、こっちの勢いが削がれてしまった。だが、しかし。
「つーか……。また、ってことは、しょっちゅうこんなことやらかしてるんだな?」
「えと……。あの……ち、違くて! ………………はい」
慌てて手を振り否定して、最終的に認めてしまった妖精のすっかり血の気を失った表情は白く不安げに曇っていた。まあ、物理にもゲロしちゃったんだから、青白くっても無理はない。
「い、いや、違うんですー! お、お酒がいけないのですっ! あーしを狂わせるのですー!」
「周囲に散々迷惑かけておいて、お酒のせいにするオトナは一番ダメだって教わったっけ」
「で、ですよねー。……すみません」
しかしまあ、俺も冷静なものである。
目の前にいるのは掛け値なしのUMA。ファンタジー世界の住人、妖精だというのに、平然と会話を交わし、あまつさえ説教までしているだなんて。それに、ここがどこなのかもいまだにまるでわかっていなかったりする。けれど残念なことに、今のところ妖精以外にこの異常な状況を説明できそうなヤツがいないのだった。
「えっと――」
なので、居心地悪そうに乱れた身なりをいそいそ正している妖精に尋ねてみることにする。
「ひとまず、名前、教えてくれるか?」
「あ、はい!」
ぼさぼさの髪の毛はどうにもならなかったらしい。中途半端なツインテールの妖精が答えた。
「あーしはフリムル・ファルという妖精ですー。ちょっとした事情がありまして……今んとこは人間族の王様に雇われてますねー」
「俺は遊馬瑛だ。……にしても、妖精に人間族ねぇ」
ということは、他にもさまざまな種族がいる異世界のようだ。どうしてすんなりと単語の意味まで理解できたのかは少し疑問だったが、不思議だらけのこの状況において『わかる』ということはむしろ好都合でしかなかった。
「それにしても……何だかご迷惑をかけてしまったよーで。ほら、人相まで変わってますー」
「えっ!?」
フリムルが羽ばたき宙を大きく丸くなぞると、そこだけ空間が歪んだように波打って、たちまち鏡のように今の俺の姿を映し出した。
――節約のために床屋に行くのをサボっている片目が隠れるほどの長い前髪。俺自身をじっと見つめている右目は、ゲームのやりすぎで視力は落ちる一方、不機嫌そうにしかめられていて第一印象はよくなさそうだ。
鼻は大して高くなく、さりとて低すぎもしない。くちびるは左端だけ、くい、と引き上げられていて、いかにも年相応に皮肉めいた生意気さが覗いている。日頃から運動がニガテと豪語しているだけあって、肌は不健康に青白かった。
って。
「……どこも変わってないぞ?」
「ああ、なるほどー! つい」
どういう意味だよ。
つい、なんなんだよ。
「まあいいや……。な? 『フリムル』って言ったっけ? ここは一体、どこなんだ? どうして俺はこんなところに連れてこられたんだよ? ちゃんと説明して欲しいんだけど?」
「えとですねー」
こほん、とまだ生臭い咳を一つして、フリムルは話しはじめる。
「ここは、お前様が元いた世界とはほんの少しだけズレた場所にある、いわゆる『異世界』というヤツですねー。ここに暮らす者たちはこの地を、《ラッテラ》と呼んでいますー。今は、四つある中の一番大きな大陸、人間族が暮らすこの地を治める『ヴェルターニャ王国』領内のー、南のはしっこあたりですかねー」
「ごていねいな解説どうも。じゃあ……こんな感じだな?」
「はいはいー! ですですー! それでですね――」
落ちていたノートを一枚引っぺがして、フリムルの説明に沿ってカンタンな地図を書いてみる。
「東にある太い河の向こう側は獣人族の支配する国で……西のこの辺はほとんど海、と。で……ヴェルターニャの北にある山脈の向こう側なんだけど、このあたりはどうなってるんだ?」
「そこは魔族の治める凍てついた地ですねー。現在、人間族とは交戦状態にありますよー」
「ふーん」
何となく俺が連れてこられた――正確に言うと、勝手に来てしまっただけど――理由が読めてきた気がするな……。
叫びとともに、ぐわっ! と跳ね起きる。
もしかして……俺……眠ってたのか?
「おいおいおい……どこだよ、ここ……?」
すぐにも気づく違和感。あたりを見回すと、そこは下校途中にあったあの狭い路地なんかじゃなく、ただただどこまでも続く広い草原だったのだ。背の高い草や木も見当たらない。手入れをサボった芝生みたいな、一面の緑の中に俺はごろりと横たわっていたらしい。
なるべく気を落ち着かせてもう一度周囲を観察すると、手の届きそうな距離に俺のカバンが落ちていた。なぜかファスナーは全開で筆箱やら教科書やらがそこいらじゅうに散乱している。
「――おいよぅ。ひっく!」
この声……まさか!?
慌てて声の主を探すと、俺の目と鼻の先になんと頭上からさっき見かけた妖精がふよふよと降りてきたではないか。どうやら妖精は女らしい――らしいのだが、ツインテールに束ねた藁色の髪はぼっさぼさで、膝丈の真っ赤なワンピースの裾をまくり上げるようにして右手でしきりに、ぽり、ぽり、とお尻をかいていた。たとえるなら、二日酔いで寝起きのダメOLのごとくである。
「なんかれえのかよー。酒とか酒とかよぅ。らんも持ってねえのらー、お前?」
きいきい、と甲高い声でそうつぶやくと、深い溜息とともにむせ返るほどのアルコール臭混じりの息を妖精が吐いた。それをまともに喰らった俺は、情けなくも思わず、えほえほ、と咳き込む。
「も――持ってる訳ないだろ、酒なんて! 高校生なんだぞ、俺は!」
「コーコーセイ?」
6分の1スケールの美少女顔をした妖精には意味不明だったらしく、顔をしかめる。間違いなく美少女なのだが――酔いのせいもあって目の焦点が定まっておらず、なんとも滑稽である。
「なんらそれは? ……ま、なんれもいいやー。なー、らんかねえのかよぅ?」
「ちょ――やめろってば! お前だな、俺のカバン漁ってたのは。……こら、やめろっつーに!」
「ぷぎゃっ!?」
さすがに持ち主である俺の目の前で、堂々とカバンの中をがさごそ漁られては腹も立つ。威嚇のつもりで勢いよく振った手の風切る音に、よせばいいのに華麗なる回避行動をとったらしいその妖精は、避けるどころか俺の手にまともにブチ当たって大の字のまま手裏剣のようにくるくる回転してすっ飛んでいってしまった。
「や、やば――! ……お、おい、大丈夫か!?」
「……きゅう」
追い駆けて拾い上げたところで、くたりと手の中で萎れるようにうなだれた妖精の姿に慌てる俺。なにぶん相手は6分の1スケールのフィギュアみたいなものなのだ。どう扱ったらいいものかと途方に暮れながら、頭やら尻やらをつんつんと突いていると、しばらくして妖精が見違えるほどぱっちりと目を開けた。
そして、
「うっ――!? ……えろえろえろえろえろ」
「うおっ、汚っ! いきなり他人様の手のひらで吐くんじゃねぇえええ!」
非難の声も空しく、きれいさっぱり胃の内容物を出し切った妖精は、妙にすっきりした笑顔を浮かべた。と思いきや、急に怯えた表情をして両腕で細いカラダをかき抱くと、おそるおそるこう尋ねてくる。
「えと………………ど、どちら様?」
「どちら様、じゃないだろ!? お前のあとをのこのこついていったら、いきなりこんな知らない場所に連れてこられた哀れな犠牲者だっつーの! しかも……ほれ!」
「うわ……汚っ!」
「汚っ! じゃないの! お前がやったの!」
ううう。今すぐ手を洗いたい。ただでさえ酒臭いのは苦手だってのに。その上、酸っぱい臭いで強化されとる。自前のハンカチを汚すのも癪だったので、仕方なくそのへんの芝生にごしごしゲロまみれの手のひらをこすりつけていると、とまどい混じりの妖精の声が聴こえてきた。
「あ、あの……。またやっちゃったみたいで……ごめんなさい!」
「はぁ……。やっちゃったもんは仕方ないけどさ――」
さっきまでとはうって変わった妙にしおらしい口調に、こっちの勢いが削がれてしまった。だが、しかし。
「つーか……。また、ってことは、しょっちゅうこんなことやらかしてるんだな?」
「えと……。あの……ち、違くて! ………………はい」
慌てて手を振り否定して、最終的に認めてしまった妖精のすっかり血の気を失った表情は白く不安げに曇っていた。まあ、物理にもゲロしちゃったんだから、青白くっても無理はない。
「い、いや、違うんですー! お、お酒がいけないのですっ! あーしを狂わせるのですー!」
「周囲に散々迷惑かけておいて、お酒のせいにするオトナは一番ダメだって教わったっけ」
「で、ですよねー。……すみません」
しかしまあ、俺も冷静なものである。
目の前にいるのは掛け値なしのUMA。ファンタジー世界の住人、妖精だというのに、平然と会話を交わし、あまつさえ説教までしているだなんて。それに、ここがどこなのかもいまだにまるでわかっていなかったりする。けれど残念なことに、今のところ妖精以外にこの異常な状況を説明できそうなヤツがいないのだった。
「えっと――」
なので、居心地悪そうに乱れた身なりをいそいそ正している妖精に尋ねてみることにする。
「ひとまず、名前、教えてくれるか?」
「あ、はい!」
ぼさぼさの髪の毛はどうにもならなかったらしい。中途半端なツインテールの妖精が答えた。
「あーしはフリムル・ファルという妖精ですー。ちょっとした事情がありまして……今んとこは人間族の王様に雇われてますねー」
「俺は遊馬瑛だ。……にしても、妖精に人間族ねぇ」
ということは、他にもさまざまな種族がいる異世界のようだ。どうしてすんなりと単語の意味まで理解できたのかは少し疑問だったが、不思議だらけのこの状況において『わかる』ということはむしろ好都合でしかなかった。
「それにしても……何だかご迷惑をかけてしまったよーで。ほら、人相まで変わってますー」
「えっ!?」
フリムルが羽ばたき宙を大きく丸くなぞると、そこだけ空間が歪んだように波打って、たちまち鏡のように今の俺の姿を映し出した。
――節約のために床屋に行くのをサボっている片目が隠れるほどの長い前髪。俺自身をじっと見つめている右目は、ゲームのやりすぎで視力は落ちる一方、不機嫌そうにしかめられていて第一印象はよくなさそうだ。
鼻は大して高くなく、さりとて低すぎもしない。くちびるは左端だけ、くい、と引き上げられていて、いかにも年相応に皮肉めいた生意気さが覗いている。日頃から運動がニガテと豪語しているだけあって、肌は不健康に青白かった。
って。
「……どこも変わってないぞ?」
「ああ、なるほどー! つい」
どういう意味だよ。
つい、なんなんだよ。
「まあいいや……。な? 『フリムル』って言ったっけ? ここは一体、どこなんだ? どうして俺はこんなところに連れてこられたんだよ? ちゃんと説明して欲しいんだけど?」
「えとですねー」
こほん、とまだ生臭い咳を一つして、フリムルは話しはじめる。
「ここは、お前様が元いた世界とはほんの少しだけズレた場所にある、いわゆる『異世界』というヤツですねー。ここに暮らす者たちはこの地を、《ラッテラ》と呼んでいますー。今は、四つある中の一番大きな大陸、人間族が暮らすこの地を治める『ヴェルターニャ王国』領内のー、南のはしっこあたりですかねー」
「ごていねいな解説どうも。じゃあ……こんな感じだな?」
「はいはいー! ですですー! それでですね――」
落ちていたノートを一枚引っぺがして、フリムルの説明に沿ってカンタンな地図を書いてみる。
「東にある太い河の向こう側は獣人族の支配する国で……西のこの辺はほとんど海、と。で……ヴェルターニャの北にある山脈の向こう側なんだけど、このあたりはどうなってるんだ?」
「そこは魔族の治める凍てついた地ですねー。現在、人間族とは交戦状態にありますよー」
「ふーん」
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